2020年8月9日日曜日

第十回 VT句会


◇集計結果

(10点)冷蔵庫のなかみと目が合う(以太)  ◎◎○○○○○○△△△  
    the most single circles!
(7点)江ノ電ゆっくり夕立から夕立 (タケウマ)    ◎◎◎○○●△△△△△△ 
    complete! & the most double circles! & the most comments!
(5点)ゴミ箱へねじこまれた夕刊へ月光(以太) ○○○○○△△△△△△
(5点)絵日記の顔ぢゆう黒子夏の雨(なな)   ◎○○○△△△
(5点)忘れたい人の昼顔に火をつける (こう)    ◎◎○○●△△△△△ complete!
(4点)くすぶる日を傘にまで花のある (由紀)   ◎◎△△△△
(4点)スパコンの動きつづける終戦日 (雪兎)   ◎◎△△△△△
(4点)こんなにかなしく死んだ女が幽霊にされている (働猫)   ◎○○○●△△△△△ 
    complete!
(3点)文字読めぬ祖母の手を払った夏祭りへの道(あるけ)   ◎○△△△△△△
(3点)逢えば小さく笑う父夏の温度が低い (こう)   ◎○○●△△△△ complete!
(3点)シャワー止めたら屋根ごと雨に包まれる(玉虫)   ○○○△△△△△
(2点)今日も夕餉の匂いを帰る(古戸信)   ○○△△△△△△△
(2点)死して尚生きる理由となる金魚(一音)   ○○△△△△△△
(2点)溺れる夢が覚めない(古戸信)   ○○ △△△△△△△
(2点)生まれ変わってまたきみの隣室で暮らす(あるけ)  ○○△△△△△△
(2点)どんどん膨れていく夫にちょいと針刺してみる(タケウマ)  ○○ △△△△△△
(1点)翼竜と自画自賛する明け方(とつき)   ○△△△△△
(1点)永遠に終わらぬ梅雨の裏の木戸(静恵)   ○△△△△△△△
(1点)溶いていない卵黄を蘇鉄に塗る、裸足、裸足(なな)   ○○●△△△△△
(0点)かすめてゆくほどにツバメの運(造林鎌)   △△△△△△△△
(0点)ミズミチテナムアミダブツ (錆助)   △△△△△△△
(0点)なんかいやっても振り出しに戻る(とつき)   △△△△△△
(0点)夜とろうそくとあわれはすぐに消せるから(静恵)   △△△△△△△
(0点)戻らない男たちの中指愛でている(一音)   ○●△△△△△△△
(0点)きのうの夢の家が出棺 (由紀)   △△△△△△△△△ the most triangles!
(0点)孤独死のぶらさがってる九相図 (玉虫)   ○●△△△△△△△
(-1点)大学生と付き合ってるクラスメイトのほほえみ(雪兎)   ○●●△△△△△△△
(-1点)地に溢れ泥濘の七色にてらりてらり (錆助)   ●△△△△△△
(-2点)もののけもののけミニマリストをみなごろす(働猫)   ●●△△△△△
(-3点)ワイパーの待合室(造林鎌)   ●●●△△△△ the most black circles!

以上、30句。
※特選◎(2点)、並選 ○(1点)、逆選 ●(-1点)として集計。
※△の数の計算においては、自解コメントを外した。

◇投句

【ホームセンター造林鎌】
かすめてゆくほどにツバメの運
ワイパーの待合室

【石原とつき】
翼竜と自画自賛する明け方
なんかいやっても振り出しに戻る

【笛地静恵】
永遠に終わらぬ梅雨の裏の木戸
夜とろうそくとあわれはすぐに消せるから

【藤井雪兎】
大学生と付き合ってるクラスメイトのほほえみ
スパコンの動きつづける終戦日

【尾内以太】
ゴミ箱へねじこまれた夕刊へ月光
冷蔵庫のなかみと目が合う

【古戸信】
今日も夕餉の匂いを帰る
溺れる夢が覚めない

【谷あるけ】
文字読めぬ祖母の手を払った夏祭りへの道
生まれ変わってまたきみの隣室で暮らす

【なかやまなな】
溶いていない卵黄を蘇鉄に塗る、裸足、裸足
絵日記の顔ぢゆう黒子夏の雨

【畠働猫】
もののけもののけミニマリストをみなごろす
こんなにかなしく死んだ女が幽霊にされている

【吉村一音】
死して尚生きる理由となる金魚
戻らない男たちの中指愛でている

【矢野錆助】
ミズミチテナムアミダブツ
地に溢れ泥濘の七色にてらりてらり

【タケウマ】
江ノ電ゆっくり夕立から夕立
どんどん膨れていく夫にちょいと針刺してみる

【由紀】
くすぶる日を傘にまで花のある
きのうの夢の家が出棺

【さいとうこう】
逢えば小さく笑う父夏の温度が低い
忘れたい人の昼顔に火をつける

【小笠原玉虫】
シャワー止めたら屋根ごと雨に包まれる
孤独死のぶらさがってる九相図

以上、15名。
※投句順。

2020年7月9日木曜日

第九回 VT句会


◇集計結果

(9点)靴で殴る雨ってたのしい(由紀)  ◎◎◎○○○
(9点)花を枯らす男を信じてこの街にいる(あるけ)  ◎◎○○○○○
(6点)土砂降りに米を買う(一音)  ◎◎○○
(6点)五月闇父の配信始まりぬ (雪兎)  ◎◎○○
(5点)コンプラに触れているから月きれい(働猫)  ○○○○○
(4点)今日を終える雨の匂い(古戸信)  ◎○○
(4点)憂鬱の衛星としてかたつむり(一音)  ◎○○
(4点)バックミラーにうつしてみる裸足(東子)  ◎○○○● complete!
(3点)会う人もなくて午後の窓(直治)  ○○○
(3点)庭先の枇杷にも猫にも夕陽射す (古戸信)  ○○○
(1点)デモ、はじめて新宿で大声出した(雪兎)  ◎●
(1点)おんなの吐息しめり小雨(錆助)  ◎●
(1点)「いらっしゃい」の眼が呼んでない(京介)  ○
(1点)保存した写真の中にきみが撮った花(あるけ)  ○
(1点)助け来ぬ間に泣き止めば夏至(玉虫)  ○
(1点)生きている目ではなかった鏡(直治)  ○
(1点)春の花朽ちたまま蛙鳴く(錆助)  ○
(1点)交響楽鳴り響く西日の四畳半(タケウマ)  ○
(1点)タイムマシンに入れるコインがない(京介)  ○○●
(0点)生き過ぎた罪あるいて帰る(働猫)
(0点)花合歓や互いに白髪ほめ合うて(東子)
(0点)窓から顔を出す鉄塊衆(造林鎌)  ○●
(0点)紫陽花脇で会っており紫陽花のことは言わず (由紀)  ○●
(0点)炎帝の目から逃れて暗渠かな(玉虫)  ○●
(-1点)人差し指に記憶(タケウマ)  ●
(-1点)水着が頭をのせている(以太)  ●
(-1点)暴れ両腕の鉄塊員(造林鎌)  ●
(ー3点)見えない銃弾がつらぬいたゼリー(以太) ○●●●●

以上、28句。
※特選◎(2点)、並選 ○(1点)、逆選 ●(-1点)として集計。

◇投句者

【直治】
会う人もなくて午後の窓
生きている目ではなかった鏡

【ホームセンター造林鎌 】
暴れ両腕の鉄塊員
窓から顔を出す鉄塊衆

【藤井雪兎】
デモ、はじめて新宿で大声出した
五月闇父の配信始まりぬ

【矢野錆助】
おんなの吐息しめり小雨
春の花朽ちたまま蛙鳴く

【尾内以太】
見えない銃弾がつらぬいたゼリー
水着が頭をのせている

【畠働猫】
生き過ぎた罪あるいて帰る
コンプラに触れているから月きれい

【吉村一音】
土砂降りに米を買う
憂鬱の衛星としてかたつむり

【タケウマ】
人差し指に記憶
交響楽鳴り響く西日の四畳半

【古戸信】
今日を終える雨の匂い
庭先の枇杷にも猫にも夕陽射す

【北大路京介】
「いらっしゃい」の眼が呼んでない
タイムマシンに入れるコインがない

【谷あるけ】
保存した写真の中にきみが撮った花
花を枯らす男を信じてこの街にいる

【由紀】
靴で殴る雨ってたのしい
紫陽花脇で会っており紫陽花のことは言わず

【中川東子】
花合歓や互いに白髪ほめ合うて
バックミラーにうつしてみる裸足

【小笠原玉虫】
助け来ぬ間に泣き止めば夏至
炎帝の目から逃れて暗渠かな

以上、14名。
※投句順。

2020年6月14日日曜日

第三十九回 鍛錬句会


※2019年8月開催

◇集計結果
(4点)エアコンで冷やしている化石  ハルニコフ 
◎かっこいい。手のひらで観察し、なお、あっけにとられているぞ。化石としても、部屋は何度が快適だと思っているのやら?(造林鎌)
○意味はわからない。(koto)
○実家の畳の上で、趣味で集めてる化石をためつすがめつしてるイメージ。大変な月日を越えてきた化石を、エアコンの効いた室内で眺めていることの可笑しさを感じました。(玉虫)
△博物館の景であろうか。見に来ている自分よりも大切にされていることに嫉妬しているのだろう。暑すぎる夏のせいだ。(働猫)

(4点)犬が吠える夜を叫ぶ    koto
◎好き。野獣のように吠えてたんだけど、後に痛みや悲しみを感じて叫びに転じたのかなーと思いました。吠える・叫ぶが似た言葉ですが、動物的な吠えるから人間的な叫ぶに転じるイメージが面白いと思いました。(玉虫)
○よくわからないがハードボイルドでよい。(働猫)
○吠えたい気分だが、年をとると億劫になる。さらに年をとるとどうなってしまうのか?(造林鎌)
△わからない。(ハルニコフ・バンダム)

(3点)冷えた背に頬の火  働猫
◎火は言い過ぎとは思ったが、実景として想像できた。(koto)
○好き句。バイクや自転車の二人乗りのイメージ。背にもたれかかっている頬が熱いのがよく分かります。この季節に冷えているのは何故なのか。(玉虫)
△頬の火まで言わなくてよいのでは。(ハルニコフ・バンダム)

(2点)いぬの病知り何処も灼けており  玉虫
○いい句。(ハルニコフ・バンダム)
○致命的な病気であったのだろう。愛する者を失くす予感が世界を焼野原に見せたのか。良句。(働猫)

(2点)月光をまとういつかこんなふうにふたりは死ぬ  働猫
○既視感がつよい。(koto)
○好き。わたしも直ちに月光をまといたい。(玉虫)
△こんなふうにが必要なのかな。(ハルニコフ・バンダム)

(1点)夏の山のはげとる  koto
○方言句。素で言っていることが重要だ。(造林鎌)
△ただごと写生。(ハルニコフ・バンダム)
△「夏の山」は季語であるが、はげ山に季節感はない。「季語」に対する問題提起か。(働猫)
△写生句ですねーうちの田舎の方にある、赤土の、途中まで削った山がバーンと眼の前に浮かびました。(玉虫)

(1点)1年365日おつかい 造林鎌
○おつかいは億劫。(ハルニコフ・バンダム)
△スカイリムもfalloutもそんなもんだよね。クエストアイテムが捨てられずに所持重量圧迫するの人生ぽくてよいな。(働猫)

(1点)葉桜の改札口の笑顔のひとつ  koto
○素直な子は好き。(ハルニコフ・バンダム)
△久しぶりの再会であろうか。実に素直な句。(働猫)

(1点)汗かかぬ波打ち際の空ボトル  ハルニコフ
○意味は無いが、なぜかみとれてしまう。海水の水滴が、汚かったり綺麗だったりする。(造林鎌)
△よくわからない。575を組み合わせたAI俳句っぽい。(働猫)

(1点)炎天のまっすぐねむる犬  ハルニコフ
○寝相がいいのか。(koto)
△日陰に避難させてあげて下さい!!(玉虫)
△夏バテだろうか。前出の病気の犬ならば愛おしさも増しているだろう。(働猫)

(1点)舌打ちし何もない日盛り  玉虫
○暑いとイライラする。暴動が起こるのはいつも夏。
△「遭難」のPVの椎名林檎の舌打ちはかっこいい。(働猫)

(0点)十万日を超えてすべてが曖昧となる熱帯夜  働猫
△思わず調べてしまった、大体273年位?10万日という日々の長さを選んだ意味が知りたい。(玉虫)
△十万日がわからなかった。曖昧となる熱帯夜は良いです。(ハルニコフ・バンダム)

(-1点)色の中にある本当の色  造林鎌
●何を言っているかわからなかった。また、「色」はいかようにも動く。想いの中にある本当の想い、愛の中にある本当の愛。(koto)
△ワオ……ゼン……。(働猫)
△伝えたいことはわからないでもない。そんなこともないか。(ハルニコフ・バンダム)

(-2点)磨くという動作から龍を得る  造林鎌
●ちょっとだけ、ちょっとだけ、狙いすぎのようなイメージ! 言いたいことは分かります。(玉虫)
●龍を得ることはない。空想すぎる。(ハルニコフ・バンダム)
△ベストキッドぽいね。ワックスかける。ワックスとる。(働猫)

(-2点)木曜果てしなく終わりとおくひどくひどく朝飯が不味い  玉虫
●あまりに冗長。混乱を表現しているのか、何も伝えるつもりがないのか。(働猫)
●長文を期待して読むが、あまり、うれしくなかった内容の為。(造林鎌)
△働いてると木曜日が嫌いになる(ハルニコフ・バンダム)

以上、15句。
※特選◎(2点)、並選○(1点)、逆選(-1点)として集計。

◇投句者

【koto】
夏の山のはげとる
葉桜の改札口の笑顔のひとつ
犬が吠える夜を叫ぶ

【造林鎌】
磨くという動作から龍を得る
1年365日おつかい
色の中にある本当の色

【働猫】
十万日を超えてすべてが曖昧となる熱帯夜
冷えた背に頬の火
月光をまとういつかこんなふうにふたりは死ぬ

【ハルニコフ】
汗かかぬ波打ち際の空ボトル
エアコンで冷やしている化石  
炎天のまっすぐねむる犬

【玉虫】
いぬの病知り何処も灼けており 
木曜果てしなく終わりとおくひどくひどく朝飯が不味い 
舌打ちし何もない日盛り