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2012年10月26日金曜日

第六回 鍛錬句会



(最高得点句)


みんな消えてしまえと叫ぶ声する市営住宅 

(6点)



(最低得点句)


トラブルで人を知るおろかさ (−2点)

 

【互選集計】

(6点) みんな消えてしまえと叫ぶ声する市営住宅○○○○○○
(4点) たっぷりと血のつまったぼくら笑いころげて◎◎
(3点) 真っ黒な体で家壊している○○○
(3点) 今度はツヤでくらべるどんぐり◎○
(2点) 陽の色だけ咲かせた◎○●
(2点) 西日の窓辺ゆく天道虫◎
(2点) 足が攣った明け方のこおろぎの声す◎
(2点) 欠けた月も眩い◎
(2点) 帰りたい空に少し欠けている月○○
(2点) 懸命に走っただけで拍手をしないでくれ○○
(2点) たばこ一つあれば良い夜のベランダ○○
(1点) ザ・人間 同じ機能が横たわる○○●
(1点) 道を語らなければ好い人だ◎●
(1点) 眼鏡を外した世界でこけた○
(1点) いっせいにとんぼ飛んで行く夕暮れが来る○
(1点) 排水口車でひけば答えを言う○
(1点) 君の座ってた椅子に何か乗せよう○
(-1点) 雨へ逃げる○●●
(-1点) 出したいクソが出ない●
(-2点) トラブルで人を知るおろかさ●●
(無点) 予測せよ我がママチャリと事故の人
(無点) 脛毛に迷った蟻と身支度
(無点) どこかのピアノも寝付けない夜長
(無点) 啄ばまれ蜜柑まだ青く

※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



・作者発表

【渋谷知宏】
帰りたい空に少し欠けている月
足が攣った明け方のこおろぎの声す
出したいクソが出ない

【白川玄齋】 
トラブルで人を知るおろかさ
懸命に走っただけで拍手をしないでくれ
道を語らなければ好い人だ

【天坂寝覚】
いっせいにとんぼ飛んで行く夕暮れが来る
たばこ一つあれば良い夜のベランダ
雨へ逃げる

【中筋祖啓】
ザ・人間 同じ機能が横たわる
予測せよ我がママチャリと事故の人
排水口車でひけば答えを言う

【馬場古戸暢】
 眼鏡を外した世界でこけた
脛毛に迷った蟻と身支度
どこかのピアノも寝付けない夜長


【藤井雪兎】
君の座ってた椅子に何か乗せよう
たっぷりと血のつまったぼくら笑いころげて
今度はツヤでくらべるどんぐり 

【松田畦道】
みんな消えてしまえと叫ぶ声する市営住宅
真っ黒な体で家壊している
陽の色だけ咲かせた

【矢野錆助】
西日の窓辺ゆく天道虫
欠けた月も眩い
啄ばまれ蜜柑まだ青く

以上。





62 件のコメント:

  1.  みんな消えてしまえと叫ぶ声する市営住宅(6点)

    ○「怖い場面ですね。今の状況なら近所でもありそうです。」
    ○「言葉からして、関東圏での出来事でしょうか。わかって演じているように 思えます。」
    ○「好き句。現代社会の抱える闇の様なものが感じられる。」
    ○「現代では、ありそうな話だと思う。ありそうな日常を事実として描いた佳句だと思います。作者自身だと想像すると恐ろしい。」
    ○「都会のリアリティを上手くとらえています。猟奇的な事件が、日常茶飯事になってしまう都会ならではの現実。鉄道の人身事故も、日常化してしまうと、どんどんと感覚がマヒして恐怖が薄れてしまいます。そういった、己の感覚の鈍角化自体に困惑している様子がうかがえる一句です。」
    ○「『みんな消えてしまえと叫ぶ声』は多分にドラマチックで、ともすれば句がファンタジーになってしまいかねないが、『市営住宅』という言葉の現実感が、句を日常に繋ぎ止めている。それと同時に『市営住宅』という言葉には、声を結局は他人事として処理する心情も見え隠れする。それもまた日常の一側面だろう。」

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    1. 市営住宅を聴衆として演じている感が、どことなくします。叫び主は、決して気が狂っているわけでも、誰かを本当に誘うとしているわけではないように思うのです。

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    2. 上記、「誘う」は「刺そう」の誤りです。失礼いたしました。

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    3. 作者、畦道です。

      少し前のことになります。
      たぶん五歳くらいの男の子でしょうか、
      「みんな居なくなればいいんだー」
      って、泣きながら駄々をこねていたのを見たんです。
      子供って怖いこと言うなぁ、とそれが妙に印象に残っていて、本句になりました。
      何でもないような景色が全く違う意味を持った句になってしまうという、
      いわばマジックのようなものですが、だったら種明かしというのも野暮なものです。

      たくさん選んで頂き嬉しいです。
      ありがとうございます。

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  2.  たっぷりと血のつまったぼくら笑いころげて(4点) 

    ◎「たっぷりとつまった血は生きてる証拠だと思います。そしてぼくらは笑っている。
    生きてる賛歌とも取れますが、たっぷりと血のつまったという表現が、引っかかって仕方がありません。どこか陰がある感じがするのです。その微妙な対比に惹かれてます。」
    ◎「青春と思った。それは『ぼくら笑いころげて』という部分からも感じ取れるが、やはり『たっぷりと血のつまった』が印象深い。若さが溢れるとかはちきれるとか言うが、それも『たっぷりと血』がつまっているからなのだろう。『笑いころげて』を現在進行形と見るか、過去完了形と見るかで趣が変わるのも良い。どちらにせよ甘酸っぱくて、少し切ない句だ。」
    △(以下△印は選外・コメントのみ)「好きな句だが、思わせぶりなだけかも」

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    1. 作者、雪兎です。

      仰る通りこの句は青春がテーマになっていますが、
      若者は肉体的には強いですが傷つきやすく、
      少しでも肉体や心に亀裂が走ると夥しい量の血が噴き出します。
      そこをどう表現しようかと考えている内に、「たっぷりと血のつまった」という言葉に行き着きました。
      強さと弱さが常に同居し、どちらか一方に極端に振り切れるのが若者です。
      そしてそんな日々でも笑い転げずにはいられないのも若者です。

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    2. 特選で取りました。
      「たっぷりと血のつまった」という表現は、いつか破裂しそうな危うさを内包していると感じました。
      それが若さとリンクしていて、そこが、この句の良いところだと思った次第です。

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    3. >渋谷さん

      特選にお取りいただきありがとうございます。
      まさに仰る通り、若者の危うさを表現したかったのです。
      「今しか書けない句を」という思いもありました。

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  3.  真っ黒な体で家壊している(3点)

    ○「炎天下での作業、しかも家を取り壊す作業、虚しい情景を感じます。」
    ○「出来ていますし個人的にも好みの景ですが、高い評価を得るには、もう一段上を目指さなければいけないと思います。一石路ほど力強く無く、山頭火ほど口承性に優れているワケでも無い。難しいと思いますが、基礎の出来ている作者であると思うので高みを目指して欲しいです」
    ○「すんなり景が浮かぶ句です。類句があったような気もしますが、いい句です。」

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  4.  今度はツヤでくらべるどんぐり(3点)

    ◎「大の男がひとりでやっていると想像すると、何かよい。少年少女がやっているのであれば、ベクトルの違う景となる不思議。」
    ○「ちょっと浮世離れの感さえある景色が実にユーモラス。なるほど探せば差異はいくらでもある。「どんぐりの背比べ」という慣用句ありきだろうが、それを読み手に思い起こさせた時点でこの句の勝ち。ツヤが同じでも、また何か違う差異を探すのだ。」
    △「面白い!子供達の姿を描いたのだとすれば微笑ましく、大人達の姿ならバカバカしい事この上ない」

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    1. 作者、雪兎です。

      不思議なことに、「誰が」くらべているかということは全く考えてませんでした(笑)
      仰る通り「どんぐりの背比べ」に引っかけたのですが、そういう見方もあるのですね。
      あまり句の「主語」は考えない方なので参考になりました。

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    2. 特選にていただきました。一度目は背比べ、そして今度はツヤ比べを、大の男がひとりで腰をかがめてやっている様を想像しました。景を浮かべたいために、たいてい主語を想起して、句を読みます。他の句評にもありましたが、子供なら微笑ましく、大人ならなんとも滑稽なところがまたいいです。

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    3. >古戸暢さん

      お取りいただきありがとうございますm(__)m
      先にも書いた通り私は句の主語はあまり考えませんので、そうした見方もあるのかと驚きました。
      その見方で行くと、今まで特に気にしてなかった句が、また違った面を見せて来ますね。

      ちなみにこの句の主語は、三十路の大の男である私です(笑)
      背比べで負けてもまだツヤがある、ツヤで負けてもまだコマの回り具合があるといったように、生きている限りはリベンジの機会が必ず回って来るということをどんぐりをいじりながら考えている大の男。
      …こうして書いてみるとかなり滑稽ですね(笑)

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    4. この句は面白いですね。
      後になって来ました。
      最初は取らなかったけど、取っといたら良かった。
      すいません。

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    5. >渋谷さん

      いえいえ、お気になさらないでください。
      私もそういう経験があります。
      最初は引っ掛からなくて取らなかったけど、後でよく見たら意外といい句だったという。
      実際今回の鍛練句会や研鑽句会でもそういう句がいくつかあります。

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    6. この句は、完全につぼにはいりました。
      珍しく、迷うことなく特選でした。
      じわじわ系ですね。

      先の主語の話ですが、
      絶えずこの句の主語は誰かな?と思いながら読むわけではなく、
      想像する際に出てくる誰かがいるという感じです。
      すみません、自分でもいまいち何を言っているのやら。

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    7. >古戸暢さん

      ありがとうございます。仰っている意味、何となくですがわかります。その句の一部として主語が現れて来る、という意味ですよね。その「誰か」をどう見せるかも難しい所ですね。

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  5.  陽の色だけ咲かせた(2点)

    ◎「花が咲くには太陽の光だけではなく水や空気も必要なはず。ならば花として咲けなかった他の色はどこへ行ったのか。かなり理不尽な印象を受けるが、それでこそ花という気もする」
    ○「なんの花かな。陽の色の花とは、良い表現。かなり好きな句なんですが、「だけ」と言う言葉の使い方が気になります。陽の色が数量のように感じてしまった。そんな事はどうでも良いとも思いますが、気になりました。」
    ●「『咲かせた』がどうにも読みきれなかった。『だけ』とした意味も分からない。皆さんの解釈を聞きたい。」
    △「詩的完成度も高い良句」

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    1. とりませんでした。私も「だけ」の意味をうまく処理できませんでした。「陽の色」はよかったですし、決してわるくはないのですが、ぴんとこなかったという感じです。

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    2. 特選にていただきました。

      私は逆に「だけ」が効いていると思いました。
      咲くまで日光の他に水や空気などの恩恵を受けているにも関わらず、あえて「陽の色」だけ咲かせる理不尽さが、美の残酷な側面を物語っているようでした。

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    3. 作者、畦道です。

      畑に空いた場所でコスモスを咲かせているのをよく見かけます。
      コスモスといえばピンクの濃淡が主ですが、オレンジのものもそれに次いで多いです。
      『キバナコスモス』という異種であるようです。
      本句はその、キバナコスモスを詠んだものです。
      夕暮れ時、畑の隅にオレンジの花が揺れているのを見て、ああ陽の色だ、と。
      そのときピンクの花はなかったので『だけ』となりました。

      最近、短く決める、ということに興味があります。
      なので、たくさんのご意見を頂けて嬉しいです。

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    4. なるほど、キバナコスモスですか。勝手に深読みしちゃいました(;´∀`) あれは確かに陽の色ですね。

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  6.  西日の窓辺ゆく天道虫(2点)

    ◎「秋の夕方、窓辺にてんとう虫が這っている姿が美しいなと思いました。」

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  7.  足が攣った明け方のこおろぎの声す(2点)

    ◎「良句。ユーモアとペーソスの同居」

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  8.  欠けた月も眩い(2点)

    ◎「俳句なぞ囓っておきながら、日常の雑事についかまけてしまい、夜空を見上げることなく名月を逃してしまった。そういえば、と気づいたときには二、三日過ぎており、月は既に欠けてしまっていた。それでもいいじゃないか、充分きれいだよ、という本句。無粋者を慰めてくれる優しさがある。」

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  9.  帰りたい空に少し欠けている月(2点)

    ○「出来ている。しかし、月はそれ自体が詩情を強く含んでいるので類句に嵌り易い。類句類想自体はそうNGであるとは思わないが、それだけに自身の律と言葉に磨きをかけて欲しい」
    ○「帰りたいほど焦がれる空に出ている少し欠けた月は、まるで帰れない理由そのもののようだ。この月が満ちるまでに、どのぐらいの時間を要するのだろうか。」 

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    1. 今回の句評全体に多い、「出来ている」というコメントは、どういう意味でしょうか?
      句の形が取れているということでしょうか。
      作者の渋谷です。
      嫌とかそういう意味ではなく、ちょっと気になったもので。
      この句は「帰りたくても帰れない」その理由を月に寄せたものです。

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    2. こんばんは。多分、「出来てる」というコメントを多用しているのは私です。

      意味合い的には、「句意も伝わるし、これといって指摘する様な表現上の弱点も見受けられないある一定以上の完成度のある句」といったカンジです。
      選句する時は、まず、拙い句からどんどん外していくのですが、やはりある一定ラインを越えると、「あとは好みの問題だよなぁ……」となってくるんですよね。
      その「あとは好みの問題」となった句は、私の中でまず「出来てる」となります。

      上手く説明出来ている自信はあるませんが、そういう事です。

      渋谷さんの今回の句に関しては、並選句で採らせて頂いておりますが、評の後半にある月の詩情に寄せるやり方についての発言は、たまたま私も今回の投句で「欠けた月」句を出したので、自分自身への反省も込めて、少し厳しめの評となってしまいました。

      とはいえ、並選句に採ってるくらいですから、大変好きな句です。

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    3. >錆助さん

      どうもありがとうございます。
      「欠けた月」の句で被ってる人いるなと思ってました。
      でも、全然出来てくるのが違うので面白かったです。
      指摘される月の詩情は、僕もいつも月を詠む度に自分自身で自問自答してしまうんです。
      もう詠まれてるんじゃないかって。
      でも、出すんですけどね…

      どうもありがとうございました!

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  10.  懸命に走っただけで拍手をしないでくれ(2点)

    ○「運動会、体育祭といった類のもので、徒競走に出ればかならずビリだった。そんな私には、共感できる句。しかし、ひとつの作として完成させるには、まだ何か足りない。どこか、磨き足りないというか。素材の発見はあくまでも句の完成への第一歩だ。その先へ踏み出せれば特選もあったと思う。」 
    ○「順位が振るわなかっただけではなく、もっと努力できたという事が自分でもわかっているので、このような心境に至ったのだろう。拍手の受け取り方で、選手の積み上げて来たものがわかる。」
    △「笑った!」

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  11.  たばこ一つあれば良い夜のベランダ(2点)

    ○「冗長でありまたそのままの句とも思いましたが、家族唯一の喫煙者の悲哀を感じたためとりました。ひとり暮らしだとすれば、それはそれでよいです。」
    ○「元喫煙者なので気持ちはわかる。喫煙そのものは健康には良くないが、手軽に自分の時間を作り出せるのだ。今夜もそれを求める人がベランダへ旅立つ。」
    △「出来ているが、一昔前のトレンディードラマの様な景」

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  12.  ザ・人間 同じ機能が横たわる(1点)

    ○「ザ・にはどうでもいいようなことに何か意味ありげな含みを持たせる、という効果がある。『ザ・ガマン』、『ザ・決算』、『ザ・ウルトラマン』等々。本句の場合はその大げさな感じが笑いをもたらしたが、実は『ザ・人間』は取っ払い、『同じ機能が横たわる』のみにした方が優れていたとも思える。」 
    ○「『ザ・人間』という言い回しを使いたかったんだろうな、というのがまず印象としてある。その言葉のよそよそしさが、『機能』という言葉と結びついてますますよそよそしい。いっそ冷笑すら聞こえそうだ。しかし、そういう気持ちは誰しも大なり小なり持っているはずだ。そうした一種後ろぐらい気持ちが在るところに針を刺されて、強く実感させられた気分。個人的には空白でなく句読点、もしくは『ザ・人間』と括弧で括ってしまった方が良いのではと思う。」
    ●「インパクトを狙って作った感じがします。人間を機械やロボットのようにみたてていて、面白いとは思います。でも、そればかりでは芸が無いじゃあないでしょうか。」
    △「味があるし面白いが、まだ表現として完成度をあげられる気がする」

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  13.  道を語らなければ好い人だ(1点) 

    ◎「私の知り合いに、性格的にとても優しく、さっぱり毒の無い器の大きい人なのですが、なぜか、地図を見るとか、ハンコを押すとか、文字を書くとか、なんでもないような事が異常にヘタクソな人がいます。天は二分を与えずとはよくいいますが、もしも仮に、対人関係も、どんな仕事をも、器用に何でもできる人がいたとすれば、凡人は、近寄りがたくなるので、ドラえもんの出来杉君のように、あまり、人から愛される要素がなくなってしまいます。(その人の短所も含めて好き)また、(短所を見せられる信頼関係)こそが、愛なのかもしれないな、と。いやあ、色々と深く考えさせられる一句です。歴史上の人物で例えると、良寛さまかな?」
    ●「普段は好い人なのだが、酒が入るか何かで急に、説教臭くなる。そんな人は確かにいる。その点、共感はできるのだが、それを一句に仕立てるとなると難しい。道を語らなければ好い人、に対する批判は己のほうに返ってくる。ともすればこの一句の方こそ道を語っている、ということにもなりかねない。」
    △「これは俳句でしょうか?」

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    1. 特選をとりました祖啓です。

      ちなみに「トラブル」の句も逆選にとりました。

      実は、毎回といっていいくらい、玄斎さんの句を特選か逆選に
      選んでしまうので、これって不思議なことですね。

      うーん・・・・、不思議です。

      こういった疑問が、句会を重ねていくことで
      晴れることを楽しみにしてみます。

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    2. >>祖啓さん

      それは、玄斎さんの句が、
      祖啓さんの中のベクトルの両極端に位置するということでしょうか。

      そうするととても面白い事だと思います。

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    3. kotoさんへ

      そうみたいです。

      脳に直接入ってくるみたいです。

      うーん、それだけに、良い部分も悪い部分も両方気になる、という事になりそうです。

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  14.  眼鏡を外した世界でこけた(1点)

    ○「この世界に参加したくなり、一票。この世界で、ヒゲダンスを踊りたい。夢の中にいるような空回り感が、病み付きになるだろう。」
    △「このゆるさが心地良い。おっとりしたユーモア」

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  15.  いっせいにとんぼ飛んで行く夕暮れが来る(1点)

    ○「写生句。これが基本だと思わせる句です。とんぼが飛ぶ夕暮れ。しかもいっせいに…想像すると揺さぶられるものがある。それが詩なんだろう。」
    △「出来てる。しかし、類句類想多し。個人的に類句類想自体はそうNGであるとは思わないが、それだけに自身の律と言葉に磨きをかける必要大」

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    1. とんぼって詠みやすいですしつい詠みたくなりますが、確かに類句類想が多そうで、難しいですね。罪な生き物です。

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  16.  排水口車でひけば答えを言う(1点)

    ○「排水溝の蓋が持ち上がる表現が面白いなと思います。」
    △「『答えを言う』は、やり過ぎな気がする。そこに詩性があるのかもしれないが独りよがりになりかねない」

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    1. とりませんでした。
      何の答えかがわからなかったのです。

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    2. どうも、詠み手の中筋です。

      この場合の「答え」とは・・・?
      自分でもよく分からなかったので、色々と見直しましたところ、

      「およそ世の中の無口なヤツ、奥手なヤツが・・・・・、一体何を考えているのか?」
      という事の答えだったようです。

      爪楊枝とか、綿棒とか、カメムシとか、クーラーの室外機とか・・・・、

      特に、徹底した「脇役キャラ」が何を考えているのか、という事が、普段、とても自分の中で気になっていたようです。

      日常生活の中で、もっとも脇役でしかも、無口なヤツといったら???

      「排水溝のフタ」だ!

      と。

      ひたすら、みんなに踏まれ続けても、台風が来ても、吹雪が吹いても、全く何にも意見を言わない排水溝のフタが、大型トラックに轢かれた時だけ、ついに、

      「カコーン!!!!」

      と、本音をしゃべった瞬間!が、自分の中で、とても快感だったようです。

      「あ・・・・・・!、こいつがやっと、本音をしゃべりよったぞ・・!?」と。

      人間的なキャラクターでいえば、映画の中の高倉健さんが、そうですが、非常に、無口で奥手で不器用で、けれども、それが高倉健さんだった場合、一体、何を考えているのか????周りは気になってしょうがないはずですよね。

      そういうキャラが、トラックにはねられて、はじめて本音をしゃべる瞬間。これは、やはり、快感!です。(高倉健さんが、トラックにはねられているシーンを想像してしまう悪趣味も、・・・・なぜか、これも、快感です)

      この瞬間、金子みすずさんのポエムにある、

      「見えぬけれどもあるのだよ
       見えぬものでもあるのだよ」

      というキャッチフレーズと、同じような心境になります。

      どんなに無口で目立たないヤツの中にも、きちんと、ストーリーが存在するんだよと。あ、高倉健さんは、目立ちすぎですけど・・・。

      さて、これは、そういう一句だったようです。

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    3. と、なりますと、これは、

      ・排水口車で轢けば本音を言う

      のほうが良かったのかもしれませんね!

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  17.  君の座ってた椅子に何か乗せよう(1点) 

    ○「思いを寄せる女性の座った椅子に頬ずりし、匂いを嗅ぐ。そんな映画の一シーンを思い出した。君、というのが少なからず好意を寄せている人であるのは間違いのないところ。その分身であるかのような椅子に、とりあえず何か自分の持ち物を乗せてみるという。ちょっとフェティッシュで、狂おしい片思いか。」
    △「う〜ん……個人的には、こういった曖昧模糊とした呟きの様な句はあまりスイングできない事の方が多い。この句では『何か』が詩情のポイントなのかもしれないが、むしろ私はそこに具体的な何かを持ってきた方がイイ気がする」

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    1. 作者、雪兎です。

      「君」がいなくなってぽっかりと空いた椅子にどうしようもなく喪失感を感じ、
      一秒でも早く「何か」を乗せようと焦っている男を表現したかったので、あえて「何か」にしました。
      焦り過ぎて乗せるものが決まっていないというような。

      具体性は俳句に欠かせない要素の一つだと思いますが、
      それだけだと「事物の羅列」になりやすいので、
      その辺りは匙加減の問題ではないでしょうか。

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    2. 成る程です。雪兎さんの自解を聞いて、その狙い処や表現したかったモノはわかりました。

      残念ながら私は読みが浅かったので、「焦っている男を表現」しているとは気付けず、上記の様なコメントになってしまいました。

      私はもっとストレートに喪失感を語った句かと思っていましたので、

      「君の座ってた椅子に花をおく」

      みたいな形や

      「君の座ってた椅子がさびしい」

      くらい想いを全面に打ち出すほうがイイのではと思ったワケです。
      しかし、結果としては雪兎さんの狙いを読み切れなかった私の読みが稚拙だったようで、愚評大変失礼致しましたm(_ _)m


      あ、余談ですが、雪兎さんは「事物の羅列」を気にされてましたが、この句の場合、「君の座ってた」の部分が十分にドラマを語っているので、その後に具体的な何かを持ってきたとしても「事物の羅列」に陥る事はないだろうと思います。

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    3. >錆助さん

      いえいえ、全ては私の力不足です。参考になる句評をありがとうございますm(__)m

      最初は「乗せよう」が「乗せなきゃ」だったのですが、「きゃ」の語感がどうしても気に入らなくて、変更してしまったんですね。
      そのため、あまり焦燥感が伝わらず、錆助さんが仰る通り喪失感が前面に出てきてしまったのだと思います。これは私の失敗です。

      喪失感を表現するなら「君の座ってた椅子に花をおく」はかなりいいと思います。
      しかし喪失感をそのままにしておかないで、何とか埋めようとしたのは、私の性格上の問題なのかもしれません(笑)

      それと「事物の羅列」の件ですが、どこの誰とは言えませんが、物の名前をダラダラと並べただけのような句を書く人がいるんです(鉄塊衆の方ではありません)。それが嫌で嫌で。
      「草原」の随句のように、リズムを意識してスパッと明快に写生してくれるのならいいのですが、そうでない写生句は苦手ですね。

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    4. とりませんでした。
      私も錆助さんと同じような意見でした。
      写生句好き?というのもありますが。

      あと私は、この句を深読みしすぎたというか、邪推しすぎてしまいました。君の座ってた椅子に対するフェティシズムといいますか、何かが、ひねくれてしまったように思ったのです。

      今日は飲んでいるせいか(いつも通りかもしれませんが)、説明下手で申し訳ありません。

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    5. >古戸暢さん

      いや、そういう捻くれた見方も大歓迎です。フェティシズムもかなり興味ある分野ですので。

      ただ最近、「写生」って何だろうという疑問もあることは確かです。ただ「写生」していれば本当に俳句は成り立つのかと。また、子規があれほど「写生」を前面に押し出した理由は何かと。この辺は私の勉強不足のためかずっと頭の中で引っ掛かっております。

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    6. 匂いを嗅ぐのを我慢するために置いてみたような、そんな感じです。

      写生句でも、好きなものと、そうではないものとあります。
      そうではないものは、そのまますぎる感じです。
      好きなものはどうかというと、、、どうなんでしょう。
      寄物陳思あたりを深めればいいのかもしれません。

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    7. 並選に頂きました。

      真っ先に思い浮かべたのが、『仕立て屋の恋』という映画でした。
      句評の通り、椅子に頬ずりするシーンがあるのです。
      田山花袋『蒲団』に通じる名場面として、映画好きには知られています。
      大好きな一本なのです。

      作者雪兎さんの解説には、なるほどと思いました。
      『何か』のところに、焦った気分を出そうと。
      なかなかそこまでは読みきれませんでしたが、良い句であったと思います。

      錆助さんの意見も、興味深く拝読しました。
      『さびしい』という感情をそのまま『さびしい』と詠んでしまって成功するのは、自由律ならではと思いました。
      (即座に思い浮かぶ有名句がいくつもあるはずです)
      ただ、本句の場合はどうでしょうか。
      私は『何か』の曖昧さに、奥行きを見ます。

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    8. >畦道さん

      選んでいただきありがとうございます。
      ただこれでは焦った感じがあまり出なかったので、「乗せなきゃ」が嫌なら「何か乗せよう何か」などにすべきだったと思います。
      とにかく、「自由律の定型」を打破するためには何でもやってみようという気持ちです。

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  18.  雨へ逃げる○●●(-1点)

    ○「対人関係に疲れた末路が、上手くとらえられているナと感じました。雨から逃げるのではなく、雨の中へと逃げこむ理由は、やはり、対人関係が一番高いのではないでしょうか?中学生の頃のように、対人関係に四苦八苦する状態に追い込まれると・・・、うーん、たしかに、(雨へ逃げる)だ。そういえば、(廊下へ逃げる)という、思い出もあります。」
    ●「詠み手と感覚を共有できませんでした。何かを言ったようでもありますが、何を言っているのかよくわかりませんでした。」
    ●「正直、わからないです。私なりにこの情景をあれこれと自由に思い浮かべることはできるのですが、そんなことをしても良いのかどうかもわかりません。」
    △「作者の苛立ちや、やるせなさは伝わるが、言葉足らずの句評もあるだろう」

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  19.  出したいクソが出ない(-1点)

    ●「ツッコんだら負けな気もするが、品のない句だ。だがそんな理由で逆選にはしない。お通じが悪いのは仕方がない。だがこの句は、その事実の報告で終わってしまっている。要するに大した発見がないのだ。よって逆選とさせていただく」
    △「コーラックでも呑んどきなさい」

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    1. 作者渋谷です。
      コーラック買いに走らなきゃ(嘘)
      うまく伝えられない、句で申し訳ない。
      この句も、極私的な要素が多分にある句です。
      「クソ」は、自分の排泄物でありますが、本物のう○こではありません。
      そこがうまく伝えられなかったかな。

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  20.  トラブルで人を知るおろかさ(-2点)

    ●「たんなる格言でしかない」
    ●「(おろかさ)という結論がすっきりしませんでした。この場合、(トラブルで人を知る昨今)または(トラブルで人を知るこの頃)としたらどうでしょう?」

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    1. とりませんでした。私も格言と思ったのです。

      じゃあ格言と自由律俳句の違いは何かと問われれば、即答に窮します。
      おそらく、読み手が「そうですね。」で終わらないかどうかあたりに、その答えがある気がします。

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    2. おそらく格言と自由律俳句の違いは、「象徴」がはっきりと浮かんで来るかどうかの違いではないかと愚考致します。
      子規があれほど写生にこだわったのも、それが一番「象徴」を作り出す最も合理的な方法だったからではないでしょうか。

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  21.  予測せよ我がママチャリと事故の人(無点)
    △「笑えるが、その先がない。わざわざ選んで褒め称える様なものではない」

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  22.  脛毛に迷った蟻と身支度(無点)
    △「出来ているので、あとは好みの問題か」

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  23.  どこかのピアノも寝付けない夜長(無点)
    △「出来ているが、助詞の『も』は主体性を内包している。個人的には『も』を使わない感じで作った方が良句になるのではないかと思う」

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  24. 以上です。
    誰も特選にとっていない句が最高得点、というちょっと変わった結果になりました。
    では、個々の句へのコメント、お待ちしております。
    今月も活発な議論がありますように。
    (編集担当・畦道)

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