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2013年8月16日金曜日

「ユニットさ行」を読む

矢野錆助×天坂寝覚の自由律俳句ユニット、「さ行」が遂にそのベールを脱いだ。
津川智宏さんの「同人誌800」から、初の句集が出たところだ。

昨日いそいそとセブンイレブンに赴き、出してきた私は狂喜し、真っ暗い夜道をにこにこ笑いながら帰宅した。近隣住民の皆様、ごめん。


いい。実にいい。


以前TwitterのTL上で、錆助さんとおしゃべりしていた際、

「玉虫さんは何でやってみようと思ったの? 自由律のどこが好きなの?」

と、問われたことがある。

「嫋々としてないところ」

と、私は答えた。

「短歌のそういうところが非常に好きだったんですが、自由律俳句に出会ったら、
 なんか嫋々としてない自由律のがずっとカッコイイなと思っちゃったんですよ。
 カッコイイからやりたいのです、そういう不純な動機からです」

「そんなもんだよな(笑) 始める動機なんて、これカッコイイとかそのくらいでいいんだよ」

錆助さんはTLの向こう側で笑っておられるようだった。


で、「さ行」。


いいいですなぁ。自由律の、ぶっきらぼうな言い切りが、私は非常に好きなんですが、
もうこの男くささ! たまらないですね。
このような境地に、女の身であるけれど、私も至りたいと考えている訳です。
ひとつの理想のかたちを見せつけられたようで、大変興奮致しました。


どっちがどの句を詠まれたのか、明らかにされていないところもステキ。
その匿名性が、句を音楽に成らしめている。
ジャズのセッションのようなスリリングさに満ち溢れております。
錆助さんが吠えている。寝覚くんが重低音を奏でている。
(そう、明かしていないけれど、どちらが詠んだかほんのり分かっている)
そして両者が、調和しながらも譲り合っていない。ぶつかって火花を散らしている。
これは惚れるなと言っても無理です。


四季をそれぞれ詠んでおられる。
自由律は季語を必要としない表現形式ですが、敢えて詠むこのやり方に、俳句そのものへのリスペクトを感じます。このさらりとしたリスペクトが、ニクい。
白熱のライブを観てきたような興奮に包まれる読後感。最高です。


ただ熱いのではない。自由律かくあるべし、とでも言いたくなるような「ぽつん感」。
これがまたたまらんですね。


私は自由律にはさみしそうであってほしい。
二人でいてもさみしい。
さみしさこそが存在意義というか、実在とか、そういう難しい言葉をふと思い出してしまうような
人間としての根源的さみしさが、自由律的カッチョヨサだと、不肖玉虫は考えております。


以下、特に惹かれた句と、その感想を述べ…と思っていたんですが、これはアレだ。
私の感想なんて、蛇足でしかない。


なので、私が特に惹かれた句を並べるだけにしておきますね。


この熱と、逆説的に、冷たい水が押し寄せてくるようなさみしさとを、
そのまま皆さんに感じてほしいのです。



俺はここに居てはいけない海風


舌絡み合って熱帯夜


鱗粉残し蛾の失せて夜明け


泣き止んだ子のまた泣く月がまるい


言葉無くなった道の終わり


ちょっとそこまでの靴がおもい雪夜


夜歩くさびしさが二つ続く


別れる角についた木枯らし


夜のしじまに君を見つづける



3 件のコメント:

  1. 『同人誌800』の入手方法です(^〇^)

    1.お近くのセブンイレブンのコピー機まで。

    2.タッチパネルから「ネットプリント」選択

    3.出力番号「10157175」を入力

    4.あとは出てくるのを待つだけ!!(^皿^)

    白黒版20円、カラー版は今回60円だっけかな?

    津川さんの素晴らしいアートワークもご堪能頂けますので、
    是非カラー版の方でお楽しみ下さい!!

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  2. どうもありがとうございます。近所のセブンイレブンがないので、機をみて探し、入手してみます。

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  3. いつのまにかそんな時代になっていたとは、驚きです!

    今日は休みなので、セブンイレブンを探してみようと思います。

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