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2020年8月9日日曜日

第十回 VT句会


◇集計結果

(10点)冷蔵庫のなかみと目が合う(以太)  ◎◎○○○○○○△△△  
    the most single circles!
(7点)江ノ電ゆっくり夕立から夕立 (タケウマ)    ◎◎◎○○●△△△△△△ 
    complete! & the most double circles! & the most comments!
(5点)ゴミ箱へねじこまれた夕刊へ月光(以太) ○○○○○△△△△△△
(5点)絵日記の顔ぢゆう黒子夏の雨(なな)   ◎○○○△△△
(5点)忘れたい人の昼顔に火をつける (こう)    ◎◎○○●△△△△△ complete!
(4点)くすぶる日を傘にまで花のある (由紀)   ◎◎△△△△
(4点)スパコンの動きつづける終戦日 (雪兎)   ◎◎△△△△△
(4点)こんなにかなしく死んだ女が幽霊にされている (働猫)   ◎○○○●△△△△△ 
    complete!
(3点)文字読めぬ祖母の手を払った夏祭りへの道(あるけ)   ◎○△△△△△△
(3点)逢えば小さく笑う父夏の温度が低い (こう)   ◎○○●△△△△ complete!
(3点)シャワー止めたら屋根ごと雨に包まれる(玉虫)   ○○○△△△△△
(2点)今日も夕餉の匂いを帰る(古戸信)   ○○△△△△△△△
(2点)死して尚生きる理由となる金魚(一音)   ○○△△△△△△
(2点)溺れる夢が覚めない(古戸信)   ○○ △△△△△△△
(2点)生まれ変わってまたきみの隣室で暮らす(あるけ)  ○○△△△△△△
(2点)どんどん膨れていく夫にちょいと針刺してみる(タケウマ)  ○○ △△△△△△
(1点)翼竜と自画自賛する明け方(とつき)   ○△△△△△
(1点)永遠に終わらぬ梅雨の裏の木戸(静恵)   ○△△△△△△△
(1点)溶いていない卵黄を蘇鉄に塗る、裸足、裸足(なな)   ○○●△△△△△
(0点)かすめてゆくほどにツバメの運(造林鎌)   △△△△△△△△
(0点)ミズミチテナムアミダブツ (錆助)   △△△△△△△
(0点)なんかいやっても振り出しに戻る(とつき)   △△△△△△
(0点)夜とろうそくとあわれはすぐに消せるから(静恵)   △△△△△△△
(0点)戻らない男たちの中指愛でている(一音)   ○●△△△△△△△
(0点)きのうの夢の家が出棺 (由紀)   △△△△△△△△△ the most triangles!
(0点)孤独死のぶらさがってる九相図 (玉虫)   ○●△△△△△△△
(-1点)大学生と付き合ってるクラスメイトのほほえみ(雪兎)   ○●●△△△△△△△
(-1点)地に溢れ泥濘の七色にてらりてらり (錆助)   ●△△△△△△
(-2点)もののけもののけミニマリストをみなごろす(働猫)   ●●△△△△△
(-3点)ワイパーの待合室(造林鎌)   ●●●△△△△ the most black circles!

以上、30句。
※特選◎(2点)、並選 ○(1点)、逆選 ●(-1点)として集計。
※△の数の計算においては、自解コメントを外した。

◇投句

【ホームセンター造林鎌】
かすめてゆくほどにツバメの運
ワイパーの待合室

【石原とつき】
翼竜と自画自賛する明け方
なんかいやっても振り出しに戻る

【笛地静恵】
永遠に終わらぬ梅雨の裏の木戸
夜とろうそくとあわれはすぐに消せるから

【藤井雪兎】
大学生と付き合ってるクラスメイトのほほえみ
スパコンの動きつづける終戦日

【尾内以太】
ゴミ箱へねじこまれた夕刊へ月光
冷蔵庫のなかみと目が合う

【古戸信】
今日も夕餉の匂いを帰る
溺れる夢が覚めない

【谷あるけ】
文字読めぬ祖母の手を払った夏祭りへの道
生まれ変わってまたきみの隣室で暮らす

【なかやまなな】
溶いていない卵黄を蘇鉄に塗る、裸足、裸足
絵日記の顔ぢゆう黒子夏の雨

【畠働猫】
もののけもののけミニマリストをみなごろす
こんなにかなしく死んだ女が幽霊にされている

【吉村一音】
死して尚生きる理由となる金魚
戻らない男たちの中指愛でている

【矢野錆助】
ミズミチテナムアミダブツ
地に溢れ泥濘の七色にてらりてらり

【タケウマ】
江ノ電ゆっくり夕立から夕立
どんどん膨れていく夫にちょいと針刺してみる

【由紀】
くすぶる日を傘にまで花のある
きのうの夢の家が出棺

【さいとうこう】
逢えば小さく笑う父夏の温度が低い
忘れたい人の昼顔に火をつける

【小笠原玉虫】
シャワー止めたら屋根ごと雨に包まれる
孤独死のぶらさがってる九相図

以上、15名。
※投句順。

41 件のコメント:

  1. (10点)冷蔵庫のなかみと目が合う(以太)
    ◎目が合ったということは冷蔵庫の「なかみ」にも目が付いているということですね。さて、どんな目でしょう。我々と同じものでしょうか。(雪兎)
    ◎インパクトがあります! やばい雰囲気を醸し出して、怪談を短くまとめたところはすごいです。(とつき)
    ○合ってしまった。残虐的に読めば、バラバラ遺体の頭部。真面目に読めば、金目鯛の目。不思議に読めば、豆腐小僧の目。「中身」とせず、「なかみ」とやわらかくいうのだから、ぷるぷるのなにやらかわいいやつがいい。いいんだけど、目が合って、ああーなぜしまったと思うんだろう。(なな)
    ○魚の事かな?こんにちわ。口が開いたままでした。(造林鎌)
    ○取りました。これ、ホラー映画にあるような生首とか、もしくは尾頭付きのお魚とかじゃなくて、なんか顔とかないような、ふつーのものと「目が合った」と感じた句なんだろうなと想像しました。例えばキャベツ。キャベツなのに、何気なく冷蔵庫を開けた瞬間、ギョロリと見開いた目とバチッと視線が合ってしまったように感じることの恐怖。林先生案件の始まりです。その方が、ありきたりな生首とかを見つけるよりも、ゾワーーッと恐怖を覚えます。我が身にこそ狂気は宿っていたのです。(玉虫)
    ○季節だけが俳句になるのではありません。身近なものにこそ感動があり、詩が宿るのです。これぞ自由律俳句の真骨頂だと思いました。(こう)
    ○たまにあるよね。(タケウマ)
    ○笑いました。冷蔵庫の中に残されている食材は確かにコチラを見ている気がします。(錆助)
    △なかみは何だろう。魚など本当に目があるものだと迫力がありそう。(由紀)
    △要素がもうひとつ足らない。(古戸信)
    △生首とかなのだろうけど、さんまとか魚で考えると日常の句として読める。魚だけにギョッとした、なんてね。……ああ!窓に!窓に!(働猫)

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    1. 深夜に冷蔵庫をあけて、夕方から探していた財布を見つけた時の雰囲気に近いです。

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  2. (7点)江ノ電ゆっくり夕立から夕立 (タケウマ)
    ◎トンネルを越えるだけで天候が一変する。雨もふったり、ふらなかったりする。湘南地方の気候の面白さを一句にまとめた。地元では、海に開いた谷を谷戸(やと)という。谷戸によって言葉や生活習慣さえも異なっていた。(静恵)
    ◎俳句は基本的には「今」を詠むものだと思うのですが、この句は「今」を少し前後に広げ、ちょっとした時間をもたせています。2回も出てくる夕立ちが時の始点と終点となっており、その間をゆっくりと走る江ノ電の姿に余情が広がります。(こう)
    ◎リズム、言葉の取り合わせ、景、とても好き。夕立の激しさと江ノ電ののんびり感の対比がいい。夕立って同じようでいて、町ごとにそれぞれ色があって、それを車窓から見比べているように思った。(一音)
    ○電車もない田舎で育った人間には憧れの風景。江ノ電憧れます。(あるけ)
    ○そんなこともあるものか。(古戸信)
    ●江ノ電は使いやすいですよね。ロケーションをもっと絞ったら良かったかも。(とつき)
    △旅情がある。(以太)
    △江ノ電は乗ったことありませんが速く走っている姿が想像できない。大好きな電車です。(雪兎)
    △「夕立から夕立」は駅それぞれに夕立の景色があるということだろうか。ゆっくりと全体が夕立につつまれたということだろうか。(由紀)
    △好き句。光景が浮かびます。写生に徹してる感じが好き。(玉虫)
    △おっ。サザンオールスターズ。(働猫)
    △「夕立から夕立」に作者のセンスが光っている句だと思います。ただ、「江ノ電」と言う固有名詞にどれ程の効果があったのか再考の余地があると思います。(錆助)

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  3. (5点)ゴミ箱へねじこまれた夕刊へ月光(以太)
    ○夕刊の行きつく正しい場所は、ゴミ箱に思えるのでわざわざクローズアップする必要もないが嫌いじゃない。(あるけ)
    ○新聞紙とゴミ箱と月光。その組み合わせがなんとも見事にいい。大切に扱われていない物が、大切に照らされている所に、神の意志、暗示を読み取るという事なのか?(造林鎌)
    ○神秘的ですらある。(古戸信)
    ○深夜の駅と読んだ。残業帰り。ゴミ箱にねじこまれた夕刊はまるで自分のようだ。その夕刊をねじこんだ人もまた自分と同じように疲れ果てているのだろう。月光は、ただの慰めか、明日への希望か。「へ」が続くのが気になる。「ゴミ箱“に”」としたらよいかと。(一音)
    ○美しい。(タケウマ)
    △どんな記事が載っていたのでしょう。(雪兎)
    △夕刊は当日のものかそれより前か。月光が分かるほどに暗い部屋であり、誌面は更に暗いのだろう。(由紀)
    △好き句。月光の大げさな感じが好み。(玉虫)
    △夕刊は地方では本当に減ってきて、自分にとっては寂しさの象徴です。そこに月光。ただ「ねじこまれた」という表現には違和感も。読み捨てとはいえわざわざゴミ箱にいれるかな。(とつき)
    △「俗」をより強調するなら「夕刊」よりも「週刊ポスト」とか「ゲロ拭いた新聞紙」とか限定した方がよりよくなったと思う。(働猫)
    △「月光」は圧倒的にメジャーな詩語なので、この上句では、ちょっと弱いと思います。(錆助)

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  4. (5点)絵日記の顔ぢゆう黒子夏の雨(なな)
    ◎きっとすてきな絵なのだろう。(タケウマ)
    ○トライポフォビア句、そいつが余程嫌いなんだと分かる。(以太)
    ○一人だけそのような顔なら単に黒子が多い人かもしれませんが、もし全員なら絵日記の作者のメンタルが心配です。(雪兎)
    ○これはきもくてよい。キモ句。(働猫)
    △雨粒の描写が顔に及んだ結果、ほくろに見えたということだろうか。表情・感情よりも存在感のあるほくろだろう。(由紀)
    △最後まで採るか悩んだ。(古戸信)
    △子供の絵画は、なかなか怖い。「夏の雨」は、微妙な合わせの気がします。(錆助)

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  5. (5点)忘れたい人の昼顔に火をつける (こう)
    ◎「昼/顔」で切れる。昼顔の花を連想させつつ自らの顔へ放火する激しい情愛が描かれている。忘れたいのに忘れないから、忘れたくなる顔になる。(以太)
    ◎「昼顔」はドラマがあり、また花言葉に「情事」なんていうのがあるから、スキャンダラスな花のイメージがある。だから忘れたい人はかつての恋人かな、と思ってしまう。しかしもう愛情は一切ない。憎悪しかない。朝顔をも凌駕するこのでかでかとした風貌と、毒かとも思うほどの濃い色彩(それが白であっても! )にこの厚顔無恥が!! と叫びたくなる。家の外壁と公道とを曖昧にさせる。そうやってこっちに侵入しやがって。今度はこっちから火で侵入してやる。(なな)
    ○意味はよくわかっていない。(古戸信)
    ○表現、というか言葉の組み合わせにひかれました!(とつき)
    ●火をつけると火事になる。困る。消火器の使い方が心配になってしまう為、逆選。(造林鎌)
    △昼顔が燃えているのは幻想的かつ退廃的ですね。(雪兎)
    △簡単に忘れられない間柄なのだろう。昼顔が水気でなかなか燃えなさそうなのもつらい。(由紀)
    △どういう状況なのか分からない。昼顔を育てることはないから、忘れたい人「の」昼顔って何なのか分からない。暗喩にしてもどういうつもりなのか分からない。(玉虫)
    △「昼顔に火をつける」がよくわからなかった。燃えるの?(働猫)
    △「昼顔」の扱いで読みに悩みました。(錆助)

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    1. 「忘れたい人の」と「昼顔」はつながっていないものと考えました。忘れたい人 昼顔 火をつける の三つから成るような。

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  6. (4点)くすぶる日を傘にまで花のある (由紀)
    ◎雰囲気で。(古戸信)
    ◎今回の特選はこちらに。透明のビニール傘を想起。雨の日、気分も最悪だけど、透明の傘は雨粒がよく見えるし、何なら花びらまで乗っている。気圧の低い日の、頭痛持ちの重いあたまがズーンとして、ほんとにもうズーン一色なんだけど、一服の清涼感。希望とまでは言えないけれど、こうしたことに案外人は慰められるものだよなぁと思います。(玉虫)
    △傘に花を載せてまで「くすぶる日」について考えさせる。(以太)
    △花柄の傘ということなのでしょうか。(雪兎)
    △花柄の傘かな。「くすぶる日を」のあとに何が省略されているのか読み切れない。(働猫)
    △「くすぶる」の形容が良くも悪くも気になりました。(錆助)

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    1. くすぶるがよかったです。ただ意味はやはりわかっていないです。

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  7. (4点)スパコンの動きつづける終戦日 (雪兎)
    ◎非常に不思議な光景。どういう事なのかは分からないが、すごさだけが伝わってくる。なんか、すごい。(造林鎌)
    ◎この世界の全てを計算していくかの如く動き続けるスーパーコンピュータの前では、我々人間の様々な想いが交錯する終戦日も1と2からなる単なる数字の羅列なのかも知れません。色々と考えさせられてしまう強い一句だと思います。特選に採らせて戴きます。(錆助)
    △日本のいちばん長い日における現代版チューリングマシンだろう。(以太)
    △終戦日という断じて消せない時点と、機械が象徴する時間の連続性との対比が面白い。(由紀)
    △1945年段階であったのか。(古戸信)
    △時代は変わりましたねぇ。(玉虫)
    △そりゃいつでも動いてんじゃねえかな。(働猫)

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  8. (4点)こんなにかなしく死んだ女が幽霊にされている (働猫)
    ◎リアリティとホラーの両立が見事。生きている人間の都合で他者の死が幽霊などに脚色されるのだろう。まさに生きている人間の怖さだ。和語中心の構成も怪談を思わせて良い。(由紀)
    ○疲れたらどうして怪談を摂取したくなるんだろう。実録系だと「おいらん淵」の話ばかり出てくる。読むけど、多分一生行かないだろうな、おいらん淵。引きずり込まれてしまうだろうから。この句の女は誰かを道連れにしてしまうような幽霊ではない。むしろ幽霊ですらない。こんなかなしい死に方をしたんだから、幽霊にならないほうがおかしいと謎のお節介をやかれて幽霊にされてしまった。その決めつけの方が怖いわ。(なな)
    ○何度も見ているうちに、「こんなに」が無い方がいいのか、あるからいいのかずっと考えてしまった。(あるけ)
    ○「されている」がセンス抜群です。(錆助)
    ●「こんなに」の中身がわからない。難しいが単刀直入に書いてほしいところだ。(静恵)
    △「こんなにかなしく死んだ」から幽霊にされたのであり、屈折するには「こんなに楽しく生きた」くらい必要。(以太)
    △もう休ませてあげてください。(雪兎)
    △死人は口を持っていないからか。(古戸信)
    △好き句。タイ人がめっちゃ幽霊を信じてるっていう記事にあったんですけど、幽霊を信じる文化っていうのは、他人の無念を理解して、報われないままじゃ可哀想って思うような、優しさのある文化なんですって。きっとこの句の女性もかなしい亡くなり方をしたのでしょう。で、化けて出るとか言われて。でも化けて出るって言われちゃうということは、冒涜ではないのです。むしろ、おとなしく死んでないで化けて出てほしい、という、故人に対して寄り添う気持ちから、このような噂が出るのです。一瞬かなしい句のようでいて、あたたかい句です。(玉虫)
    △「かなしく」はいるのかな~、と思いました。(とつき)
    △自分の句なんだが、前にどこかに似たような句を出したような気がしてきたんだ。すまない。(働猫)

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    1. どこかで見たような気がしないでもない。

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  9. (3点)文字読めぬ祖母の手を払った夏祭りへの道(あるけ)
    ◎良句。久しぶりに良い句にあえた。物語がある。ここに人生がある。これが文学である。(働猫)
    ○気になる句。取ります。おばあちゃんに冷たくするなよ!(泣)と思うけど、ついおばあちゃんにこういうことしてしまった自分もズキッとしている、と感じました。忘れたいけど、痛い思い出として残ってる感じで印象が強かったです。(玉虫)
    △手を払われた文盲の祖母はどう思っただろう。悲しく重苦しい記憶として。(以太)
    △どの文字を読めなかったから祖母の手は払われたのでしょうか。(雪兎)
    △本当は祖母を好きなのだろう。祖母の存在そのものへの葛藤と思われるので、「手を」は省略可能では。(由紀)
    △時代か。(古戸信)
    △寂しすぎる句だな~。泣けました。(とつき)
    △「文字読めぬ」にセンスを感じます。大人への階段をのぼる若い残酷さが描かれています。(錆助)

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  10. (3点)逢えば小さく笑う父夏の温度が低い (こう)
    ◎温度が低い夏は父にとって過ごしやすいといいな。(あるけ)
    ○このお父さんの過去の笑顔と今のを比較して、かなり違っていたら、夏の暑さも忘れてしまうかもしれません。(雪兎)
    ○好き。離れて暮らしてる子どもをとても愛しているけれど、あまり大げさな愛情表現はしないタイプのお父さんなのでしょう。実家に着いても特に出迎えもせず、子どもの方で畑仕事してるお父さんを見つけて声をかけると、おーうとか言って小さく笑う。それだけなんだけど、深い愛情を感じる。距離感が素敵な句です。この距離感と冷夏って合いますね。(玉虫)
    ●なんか多いな。要素が。(働猫)
    △高いはずの「夏の温度が低い」という意外さに父の存在を危ぶむ。(以太)
    △「温度が低い」は清涼感なのか寒さなのか迷う。そこから父との関係性を見出そうとするも解釈が難しい。(由紀)
    △そういえばそうだった。(古戸信)
    △冷夏の普通では無い空気を上手く使っていると思います。でも、人を本当に弱らせるのはキチガイじみた暑さな気がします。(錆助)

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  11. (3点)シャワー止めたら屋根ごと雨に包まれる(玉虫)
    ○雨音の激しさを、いきなり感じた瞬間。濡れる肉体。瑞々しい一句。(静恵)
    ○音と書かずに音を捉えた。(以太)
    ○作者の視点が素晴らしいです。とめた瞬間の間とその直後に響く夏の雨音のコントラストが見事です。(こう)
    △人工物に囲まれていると自然物に気付かないこともあります。(雪兎)
    △シャワーと雨の、音の対比、温度の対比が面白い。(由紀)
    △トタン屋根ぽい。(古戸信)
    △大雨。毎年九州は大変だ。無能な人間は政治に関わらせないようにしないといけない。(働猫)
    △言葉のセンスは凄く感じられました。好き句ですが、少々景が弱く感じられ、採るにまでは至りませんでした。(錆助)

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  12. (2点)今日も夕餉の匂いを帰る(古戸信)
    ○学校からの帰り道なのか仕事帰りなのかは分かりませんが、毎日通る道なのでしょう。そこにはありふれた幸せがあり作者の心を動かします。はたして作者の帰る家には幸せな夕餉があるのでしょうか。一見何の変哲もない句に見えますが、様々な解釈や想像が広がる句だと思いました。(こう)
    ○おつかれさまです。(タケウマ)
    △いいね。(以太)
    △この匂いで日常を作っているのです。(雪兎)
    △匂いは毎日変わるのか、それともみそ汁など定番の匂いがあるのか。想像する楽しみがある。(由紀)
    △好き句。おだやかなしあわせ。5年前くらいのわたくしだったらたぶん取ったと思う。(玉虫)
    △これはよく分かりますが、夕餉、匂い、帰るは、被りすぎかな。(とつき)
    △小さい頃の思い出が甦る。夏休み句だな。(働猫)
    △平和な令和に今晩は。(錆助)

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    1. 帰る家には幸せな夕餉は今日もありませんでした。

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  13. (2点)死して尚生きる理由となる金魚(一音)
    ○金魚しかいなかったのだ。強烈な孤独が伝わる。(静恵)
    ○死して尚、死ぬ事の出来ぬ程の執着。その妄執の理由が金魚とは……笑える。(錆助)
    △餌をやらないといけない。(以太)
    △この金魚を手に入れた経緯が気になります。(雪兎)
    △その理由は何だろうか。(由紀)
    △食べたのか。(古戸信)
    △何言ってんだか全然分かんないけど、なんかいい感じで好き句。金魚好きなので、金魚礼賛句は問答無用で好き句。(玉虫)
    △金魚にすげえ思い入れあるんだなあ。(働猫)

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  14. (2点)溺れる夢が覚めない(古戸信)
    ○夢は大体理不尽で、しかも自分の意志で終了させられないのが辛いですね。しばらく水に近寄れなくなりそうです。(雪兎)
    ○あああ苦しいこれは苦しいやだやだやだ。と最初は思ったが、いやこれ案外気持ちいいのか?「溺れる」のが海やプールとは限らない。愛、セックス、おクスリ…とか。(一音)
    △夢で溺死して現へ戻れないとどうなるのか、その先を想像をさせる。(以太)
    △夢「から」ではなく、夢「が」覚めない。もう夢が自分から離れて独立してあるような、不思議さ。(なな)
    △願望睡眠、どちらの夢で読んでも現実に戻れない恐怖がある。(由紀)
    △文字通りに取るなら、あるある。暗喩だとしたら、はまっちゃいけない男に激ハマり!とかのことを言ってるのかも。いいですねー。(玉虫)
    △短律は難しいですね。単なる夢のことではなく、象徴句だとは思うのですが、、。あとひとつ要素を加えれば余韻が生まれグッと良い句になると思いました。(こう)
    △グラン・ブルーはいい映画だったよね。マンマのパスタ。(働猫)
    △無限地獄。(錆助)

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    1. 水が口に鼻に入ってきて苦しくなったと思ったら、沈んでいく前の顔だけ出してもがいている状態に戻ります。そんなことが延々と続く夢でした。

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  15. (2点)生まれ変わってまたきみの隣室で暮らす(あるけ)
    ○めちゃくちゃ怖い。隣室で「きみ」の生活をうかがっているのだ。ぼくなんか、というのは謙遜や自信のなさではない。そこに喜びを感じてしまっている。いやもうほんとうに怖い。(なな)
    ○おそらく隣人であっても知人ではないのだろう。隣室という距離はなんとも危うい。(由紀)
    △「きみの隣室」から赤ちゃんの夜泣きが聴こえる。落語の怪談噺みたいに「もう半分」とか言う。(以太)
    △前世の記憶があるのは幸せなのか不幸なのか。(雪兎)
    △生まれ変わって隣室に暮らすころには、すでに数十年が過ぎているのではないのか。いいのかそれで。(古戸信)
    △切ない系のいい句と見せかけて、ストーカー句ですねこれは。話しかけたりして発展させる勇気はないけど、隣にへばりついていたいという。二度と生まれ来るな、本気でそう思いました。(玉虫)
    △ストーカー句だと思うのだけど、猫の句だと思って読むとかわいいかわいい。長靴履いてそう。(働猫)
    △一途とストーキングはコインの裏表。正直、怖さって言う点だけでみたら、今回の句群で一番怖い句です。優れた一行怪談。(錆助)

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  16. (2点)どんどん膨れていく夫にちょいと針刺してみる(タケウマ)
    ○これは、初めから刺してみるつもりでわざと膨らませたに違いない。試してみたいな。プシュ〜としぼむのか、パーン!と割れるのか。(一音)
    ○たぶん死体の句なんだろうけど、結婚後太っていく夫に裁縫の合間にちょっかい出している句と見ればなんともほほえましく見える。そちらの解釈で採る。(働猫)
    △夫は風船、というより寄生虫に蝕まれているのでは。(以太)
    △空気が抜けてやせるかもしれませんね。(雪兎)
    △風船を割るイメージで読むと童話的で、実景として読むと生かさず殺さずの凄味がある。(由紀)
    △物理的に刺していない気がして採り損ねた。(古戸信)
    △さ、刺さないであげてーーー(泣) 太っちゃうときってほんとつらいけど太っちゃうんですよーーーーーそこを責められるとつらいです。(玉虫)
    △怖っ!!ファットな俺には身の毛もよだつ様な一句です。(錆助)

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  17. (1点)翼竜と自画自賛する明け方(とつき)
    ○言外の空が見える。(由紀)
    △明け方のお絵描きとは怪異。(以太)
    △その翼の明け方の色はさぞかし美しいことだろう。(雪兎)
    △意味をつかみそこねた。(古戸信)
    △夜通し飲んで帰る朝のように思う。飛べるよ君にも羽を広げてごらんよ。(働猫)
    △明けの空を雄大に翼を広げて飛ぶ鳥の気持ちを詠んだものか、はたまた、明け方まで飲んだ酔漢の戯れか。(錆助)

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  18. (1点)永遠に終わらぬ梅雨の裏の木戸(静恵)
    ○梅雨も裏も木戸も閉塞感の象徴のようだ。「終わらぬ」がなくとも景色は伝わるのかもしれないが、出口の見えない実感を表す上で必要な強調だろう。(由紀)
    △その木戸は梅雨明けの世界へ繋がる、少し不思議。(以太)
    △今年の梅雨は長かったですね。全部濡れていました。(雪兎)
    △じめる。(古戸信)
    △好き句。永遠に終わらぬ梅雨、のイメージが好き。梅雨ってイヤな季節と思われがちだけど、結構いいですよね。今年は長かったので楽しかった。(玉虫)
    △心境、風景は伝わります。ただストレートすぎるかなとも。(とつき)
    △すげえリズムいいと思ったら定型句だった。やはり定型はつよい。なじむ。実になじむぞ。(働猫)
    △今年は長梅雨でしたね。悪い意味で尻切れトンボ感が強いです。何かが足りていません。(錆助)

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  19. (1点)溶いていない卵黄を蘇鉄に塗る、裸足、裸足(なな)
    ○すごく好きです。卵黄と蘇鉄の組み合わせは予想外です。どこか異世界にいくような…。(とつき)
    ○なんという奇祭。おらわくわくしてきたぞ。(働猫)
    ●まず卵黄を蘇鉄に塗る理由がわからないし、その次に裸足、裸足と繰り返すのも何の効果を狙っているのかわからない。このように「過剰に」異化された情景を一行で終わる俳句で描写するのは、何行も言葉を重ねられる現代詩と比べて「不利」だと思う。(雪兎)
    △「溶いていない卵黄」が面白い。「裸足、裸足」はペタペタという擬音語として読める。(以太)
    △夏の太陽が浮かんだ。(由紀)
    △なぜ。(古戸信)
    △なんかちょっといい感じがして好き句。真夏っぽさとプリミティブな感じがある。ソテツもいいし「裸足、裸足」が好き。でも何で卵黄塗ってるのかが分からない。(玉虫)
    △凄い。凄い詩だと言う気がします。しかし、何とも私には読みきれず、受け入れ難いモノがあります。(錆助)

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    1. 「裸足、裸足」をペタペタと読んだとするコメントは秀逸。

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  20. (0点)かすめてゆくほどにツバメの運(造林鎌)
    △「ツバメの運」とは、当たらないのは作中主体の幸運ではなく、飛燕の方の幸運ということか。(以太)
    △生きているだけで運がいい。(雪兎)
    △ツバメが至近距離を飛んだ景色だろうか。(由紀)
    △わからなかった。(古戸信)
    △かすめてゆくツバメを運に見立てたのかな。ちょっとよく分かんないけど、アンラッキー句とは感じなかった。むしろラッキーがそこまで来てるようなハッピー感がある。ちょっと説明不足な感じはするけど、なんかけっこう好き句です。(玉虫)
    △「運」という絞めが効果的ですね。寂しさも感じられて。(とつき)
    △運ってなに? うんちのことかな?(働猫)
    △「ツバメの運」が肝の詩語かと思うのですが、私には、なかなか読みきれないモノがありました。(錆助)

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  21. (0点)ミズミチテナムアミダブツ (錆助)
    △「水満ちて」は祈りか、それとも水死なのか。(以太)
    △先の九州豪雨を思い出します。(雪兎)
    △洪水かもしれない。しかし今というよりは古文書に不意に出てくる文言。あるいは村の長がふと漏らす言葉。言葉が意味に繋がるまで少し間がある。その間が悟りなのかもしれない。(なな)
    △読経のあぶくが水中から上ってくるイメージ。(由紀)
    △うどん供えて~の句を思い出した。(古戸信)
    △洪水の景かなー。「ミズミチテ/ナムアミダブツ」だろうけど、七五のリズムになってるのが好き。カタカナで突き放してるようでいて、悼む気持ちを感じる。悼んでいる自分から離れようとしている感じ。たぶん悼むっていう行為の持つウェットさを、詠み人はよしとしないタイプなのでしょう。共感します。(玉虫)
    △イトッシャノウ……イトッシャノウ……。(働猫)

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    1. 水が迫ってきているところと詠んでおりました。死者への祈りというよりは、死者あるいは仏様への願いのような。

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  22. (0点)なんかいやっても振り出しに戻る(とつき)
    △最後に一人だけ残り、骰子をふり続ける。(以太)
    △それでも進まなければならないのはしんどいですね。(雪兎)
    △共感するものの、作者が句の境地に至った景色を想像できなかった。(由紀)
    △足らない。(古戸信)
    △この農場から出ていきたければ、「漆黒の意志」をもって「決闘」に打ち勝たなくてはならない。それが男の世界……。(働猫)
    △笑えた。人生、そんなもん。好き句。(錆助)

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  23. (0点)夜とろうそくとあわれはすぐに消せるから(静恵)
    △しんみり。(以太)
    △灯りがあるから夜、という見方もできなくはないです。(雪兎)
    △「消せる」が面白い。消す側に作中主体がいることが不穏でよい。(由紀)
    △消せない。 (古戸信)
    △ちょっと何言ってんのかわかんない。(働猫)
    △何か凄く惜しい句だと思いました。あと一息で傑作句になった気がします。「夜」だと思います。この「夜」が問題な気がします。(錆助)

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  24. (0点)戻らない男たちの中指愛でている(一音)
    ○中指は予め置いてあったのか、それとも取りに行ったのか、物語を想像させる。(以太)
    ●長ければよいというものではない。(タケウマ)
    △阿部定事件を思い出しました。(雪兎)
    △あーいしたー男たちーのーと脳内再生。戻らないというか、戻れないというか。いろんな部位があるのだけど、中指。膣や肛に入れるのに最適な指だ。ひとりじゃなく何人もの中指を有しているこのひとはなんなんだろう。(なな)
    △物理的に「戻らない」のか、精神的にか。どちらの場合も中指は身体というよりモノのようだ。(由紀)
    △マダム・ジーナ。(古戸信)
    △エロ句かな?(玉虫)
    △バイツァダスト使いそう。いいや限界だ押すね。(働猫)
    △バレ句ですね。私は好き句です。死とエロスは相性が良いです。(錆助)

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    1. 時間軸が相当に長い句ととりました。何人もの男の中指を愛でてきたが、誰もいまだ戻らない。それでもなお、今晩も男の中指を愛でている。

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  25. (0点)きのうの夢の家が出棺 (由紀)
    △今日告別式で出棺ということは「きのうの夢」は通夜のあとに見たことになる。夢に出てもおかしくない。(以太)
    △全然知らない家ならなおさら怖いですね。(雪兎)
    △昨日夢に出てきた家が、今日葬式をあげている。虫の知らせにしては遅いし、夢に出てきただけで知り合いでもない。予知夢というほど重要ではない。夢に出てきたからといっで参列するわけにはいかないんだよなあ。(なな)
    △「出棺」で切るのはもったいないように思う。(あるけ)
    △予言者。(古戸信)
    △いいですね。ホラー句。こういう薄っすらと怖いのセンスあるなーと思います。(玉虫)
    △ダークファンタジーですかね。好きです。(とつき)
    △予知夢というやつなんだろうが、人んちのことはほっといてやれよと思う。(働猫)
    △夢占いでは吉夢です。(錆助)

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  26. (0点)孤独死のぶらさがってる九相図 (玉虫)
    ○現世の地獄絵図。今回、もっとも印象鮮明。「孤独死」も現在を切り取る単語である。特選にしようか最後まで迷った。ただ九相図の示す長い時間ほど、首の関節が、紐にかかった体重の圧力に耐えられるか。わからない。疑問が残った。(静恵)
    ●死体の朽ちていく様子を描いている九相図自体に死体がぶらさがっているという発想は面白い。しかし、「孤独死」はそのまますぎるのではないかと引っかかった。九相図のはじめは看取られているが、野ざらしという扱い、それは死しても孤立、孤独といえるのではないか。その引っかかりから逆選。(なな)
    △すでに「孤独死」があるので「九相図」に重複しか感じず、意外さがなく活きない。(以太)
    △九相図、現代の感覚で見ると辛いものがあります。仏教絵画なのですが。(雪兎)
    △九相図と死の文字の組み合わせはしつこさを感じる。(あるけ)
    △九相図は徐々に孤独死の様相を濃くしていると気づかされた。「ぶらさがってる」の解釈に迷った。(由紀)
    △新規性が見えなかった。(古戸信)
    △「九相図」自体が孤独に朽ちて行く様子なのでつきすぎとか重複ってやつではないでしょうか。(働猫)
    △助詞の「の」が肝。これが読みを複雑にしていると思います。これを良しとするか、悪しとするかで評価が別れるのでは無いでしょうか。今回、私は採るのをヤメにしました。(錆助)

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  27. (-1点)大学生と付き合ってるクラスメイトのほほえみ(雪兎)
    ○うれしそうなので、応援。作者は女性だろうか?(造林鎌)
    ●句の中の強弱がわかりにくく、説明的な印象を受けた。大学生と付き合っている点を優位にするか、ほほえみを優位にするか、どちらか明確であると作者の感動がより伝わるのでは。もしくは作者がどこでその事実を知ったかなどが見えても面白いかも。視点は面白い。(由紀)
    ●この「ほほえみ」を説明せずに詩で表現できたならどんなに素敵なことでしょう。題材は抜群だと思いましたが、説明に終始しており余韻を感じすることが難しかったです。(こう)
    △ニキビ面女子高生のマウンティングな微笑み、そのうち捨てられるけれど。(以太)
    △ 懐かしい風景。(あるけ)
    △景が思い浮かばなかった。(古戸信)
    △余裕綽々の笑みですね。(玉虫)
    △ほのぼのとしてますね。クラスメイトは高校生? 大学生とくくるより、もう一言あったほうがおもしろかったかな。説明口調にならない程度でどんな大学生かを描いたら…。(とつき)
    △思春期の気持ちを忘れないのすごいと思う。(働猫)
    △肥大化した自己愛の生む優越感。醜悪ですね。(錆助)

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  28. (-1点)地に溢れ泥濘の七色にてらりてらり (錆助)
    ●雰囲気はあるが、句というより妖怪アニメのテーマソングになりそう。(あるけ)
    △きれい。(以太)
    △そういえば最近こういうのを見てません。(雪兎)
    △結句のオノマトペによって、泥濘に命があるように映った。(由紀)
    △生まれ出てきそう。(古戸信)
    △「泥濘の七色にてらりてらり」は好き。地に溢れ、が何を言っているのか分からなかった。(玉虫)
    △水害句であろうか。衷心よりお見舞い申し上げる。ただし、句としては消化不足に思う。(働猫)

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  29. (-2点)もののけもののけミニマリストをみなごろす(働猫)
    ●文意がわからなかった。(古戸信)
    ●ミニマリストって言いたいだけでしょ、と思った。殺せるもんなら殺してみなよ。なんでミニマリストって嫌われるんでしょうねーゴミ屋敷よりいいじゃん。(玉虫)
    △断捨離された物の怪たちの恨みがミニマリストへ向かう。(以太)
    △ほとんどのミニマリストは優しく生きようとしているので見逃してください。(雪兎)
    △ミニマリストを断捨離するという皮肉が面白い。判断の下にものを減らす点では、作中主体もまたミニマリストなのだろうか。そうなると作中主体も「みなごろ」される側になるのだろう。(由紀)
    △最後のみなごろすは強烈ですね。(とつき)
    △日本の妖怪は、モノが化け物となる事が多いですよね。ミニマリストを気取って、バンバン断捨離を敢行していると、捨てられたモノに殺されるかも。リズムの気持ち良い句です。(錆助)

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    1. 正直なところ、ミニマリストが何かよくわからないままに評した気がしてきました。

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  30. (-3点)ワイパーの待合室(造林鎌)
    ●車のフロントガラスの下にあるアレを「待合室」と呼んだ功績は認める。でも語が足りず未至俳である。(以太)
    ●「ワイパー」と「待合室」の関係が読めないし、それをつないでいる「の」の意味もわからなかった。わからなさを楽しむこともできなかった。(一音)
    ●言葉足らずな気がします。これだけでは、気の利いた言い回しってだけで、終わってしまうと思います。残念ながら、今回は逆選とさせて頂きます。(錆助)
    △オートバックスですかね。(雪兎)
    △車中をそう見立てたのだろうか。会話はなさそうだ。(由紀)
    △恐怖。(古戸信)
    △ちょっと何言ってんのかわかんない。(働猫)

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    1. 新幹線の待合室のようなところでワイパーたちがひたすらに動いている様を想像しました。一番ホラーっぽかったです。

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