2020年6月14日日曜日

第三十九回 鍛錬句会


※2019年8月開催

◇集計結果
(4点)エアコンで冷やしている化石  ハルニコフ 
◎かっこいい。手のひらで観察し、なお、あっけにとられているぞ。化石としても、部屋は何度が快適だと思っているのやら?(造林鎌)
○意味はわからない。(koto)
○実家の畳の上で、趣味で集めてる化石をためつすがめつしてるイメージ。大変な月日を越えてきた化石を、エアコンの効いた室内で眺めていることの可笑しさを感じました。(玉虫)
△博物館の景であろうか。見に来ている自分よりも大切にされていることに嫉妬しているのだろう。暑すぎる夏のせいだ。(働猫)

(4点)犬が吠える夜を叫ぶ    koto
◎好き。野獣のように吠えてたんだけど、後に痛みや悲しみを感じて叫びに転じたのかなーと思いました。吠える・叫ぶが似た言葉ですが、動物的な吠えるから人間的な叫ぶに転じるイメージが面白いと思いました。(玉虫)
○よくわからないがハードボイルドでよい。(働猫)
○吠えたい気分だが、年をとると億劫になる。さらに年をとるとどうなってしまうのか?(造林鎌)
△わからない。(ハルニコフ・バンダム)

(3点)冷えた背に頬の火  働猫
◎火は言い過ぎとは思ったが、実景として想像できた。(koto)
○好き句。バイクや自転車の二人乗りのイメージ。背にもたれかかっている頬が熱いのがよく分かります。この季節に冷えているのは何故なのか。(玉虫)
△頬の火まで言わなくてよいのでは。(ハルニコフ・バンダム)

(2点)いぬの病知り何処も灼けており  玉虫
○いい句。(ハルニコフ・バンダム)
○致命的な病気であったのだろう。愛する者を失くす予感が世界を焼野原に見せたのか。良句。(働猫)

(2点)月光をまとういつかこんなふうにふたりは死ぬ  働猫
○既視感がつよい。(koto)
○好き。わたしも直ちに月光をまといたい。(玉虫)
△こんなふうにが必要なのかな。(ハルニコフ・バンダム)

(1点)夏の山のはげとる  koto
○方言句。素で言っていることが重要だ。(造林鎌)
△ただごと写生。(ハルニコフ・バンダム)
△「夏の山」は季語であるが、はげ山に季節感はない。「季語」に対する問題提起か。(働猫)
△写生句ですねーうちの田舎の方にある、赤土の、途中まで削った山がバーンと眼の前に浮かびました。(玉虫)

(1点)1年365日おつかい 造林鎌
○おつかいは億劫。(ハルニコフ・バンダム)
△スカイリムもfalloutもそんなもんだよね。クエストアイテムが捨てられずに所持重量圧迫するの人生ぽくてよいな。(働猫)

(1点)葉桜の改札口の笑顔のひとつ  koto
○素直な子は好き。(ハルニコフ・バンダム)
△久しぶりの再会であろうか。実に素直な句。(働猫)

(1点)汗かかぬ波打ち際の空ボトル  ハルニコフ
○意味は無いが、なぜかみとれてしまう。海水の水滴が、汚かったり綺麗だったりする。(造林鎌)
△よくわからない。575を組み合わせたAI俳句っぽい。(働猫)

(1点)炎天のまっすぐねむる犬  ハルニコフ
○寝相がいいのか。(koto)
△日陰に避難させてあげて下さい!!(玉虫)
△夏バテだろうか。前出の病気の犬ならば愛おしさも増しているだろう。(働猫)

(1点)舌打ちし何もない日盛り  玉虫
○暑いとイライラする。暴動が起こるのはいつも夏。
△「遭難」のPVの椎名林檎の舌打ちはかっこいい。(働猫)

(0点)十万日を超えてすべてが曖昧となる熱帯夜  働猫
△思わず調べてしまった、大体273年位?10万日という日々の長さを選んだ意味が知りたい。(玉虫)
△十万日がわからなかった。曖昧となる熱帯夜は良いです。(ハルニコフ・バンダム)

(-1点)色の中にある本当の色  造林鎌
●何を言っているかわからなかった。また、「色」はいかようにも動く。想いの中にある本当の想い、愛の中にある本当の愛。(koto)
△ワオ……ゼン……。(働猫)
△伝えたいことはわからないでもない。そんなこともないか。(ハルニコフ・バンダム)

(-2点)磨くという動作から龍を得る  造林鎌
●ちょっとだけ、ちょっとだけ、狙いすぎのようなイメージ! 言いたいことは分かります。(玉虫)
●龍を得ることはない。空想すぎる。(ハルニコフ・バンダム)
△ベストキッドぽいね。ワックスかける。ワックスとる。(働猫)

(-2点)木曜果てしなく終わりとおくひどくひどく朝飯が不味い  玉虫
●あまりに冗長。混乱を表現しているのか、何も伝えるつもりがないのか。(働猫)
●長文を期待して読むが、あまり、うれしくなかった内容の為。(造林鎌)
△働いてると木曜日が嫌いになる(ハルニコフ・バンダム)

以上、15句。
※特選◎(2点)、並選○(1点)、逆選(-1点)として集計。

◇投句者

【koto】
夏の山のはげとる
葉桜の改札口の笑顔のひとつ
犬が吠える夜を叫ぶ

【造林鎌】
磨くという動作から龍を得る
1年365日おつかい
色の中にある本当の色

【働猫】
十万日を超えてすべてが曖昧となる熱帯夜
冷えた背に頬の火
月光をまとういつかこんなふうにふたりは死ぬ

【ハルニコフ】
汗かかぬ波打ち際の空ボトル
エアコンで冷やしている化石  
炎天のまっすぐねむる犬

【玉虫】
いぬの病知り何処も灼けており 
木曜果てしなく終わりとおくひどくひどく朝飯が不味い 
舌打ちし何もない日盛り