2012年12月27日木曜日
第八回 鍛練句会
最高得点句
窓ガラス冷たいから割らない
最低得点句
脱け殻の君よ禁欲を説くなかれ
互選集計
(5点)窓ガラス冷たいから割らない ◎◎○
(4点)同じ目の高さで昨日も聞いた話 ◎○○○●
(4点)株式欄を敷いて酔いつぶれていた ○○○○
(4点)また泣いているほっぺたの熱ささわる ◎○○
(3点)心のとなりで腹が鳴っている ◎○
(3点)イタチ轢き殺したやつにもしぐれ ◎○
(3点)ことばを出せぬ隣人のためにことばを超える何かをください ◎○○●
(2点)一人だけニコニコ笑っている会議 ○○
(2点)小腹減ったやかん鳴かせている ○○
(2点)少女の小さな頭蓋を掴む ◎
(1点)ポインセチアなければひとりの夜 ○
(1点)ラリっている波の光を追うばかり ○
(1点)菅笠の男の般若心経の白い息 ○
(1点)雀の長さんがのーぼった ○
(0点)ギター取り戻しに屋上へ ○●
(0点)女のうなじがマフラーの中 ○●
(-1点)そのまま冷めるにまかせ足の爪切る夜が深まる ●
(-3点)脱け殻の君よ禁欲を説くなかれ ●●●
(無点)朝が解けない
(無点)君と君のパスワードとすれ違う
(無点)歳末のジョンに包囲されている
(無点)きみがいた窓を開けて目が合ったけれど
(無点)無念の墓の土から薊
(無点)雪が降りそうな夜の窓をなぞる
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。
作者発表
【渋谷知宏】
イタチ轢き殺したやつにもしぐれ
菅笠の男の般若心経の白い息
そのまま冷めるにまかせ足の爪切る夜が深まる
【白川玄齋】
心のとなりで腹が鳴っている
脱け殻の君よ禁欲を説くなかれ
ことばを出せぬ隣人のためにことばを超える何かをください
【天坂寝覚】
朝が解けない
また泣いているほっぺたの熱ささわる
きみがいた窓を開けて目が合ったけれど
【中筋祖啓】
一人だけニコニコ笑っている会議
ラリっている波の光を追うばかり
雀の長さんがのーぼった
【馬場古戸暢】
少女の小さな頭蓋を掴む
女のうなじがマフラーの中
雪が降りそうな夜の窓をなぞる
【藤井雪兎】
ギター取り戻しに屋上へ
君と君のパスワードとすれ違う
窓ガラス冷たいから割らない
【本間鴨芹】
小腹減ったやかん鳴かせている
ポインセチアなければひとりの夜
歳末のジョンに包囲されている
【松田畦道】
同じ目の高さで昨日も聞いた話
株式欄を敷いて酔いつぶれていた
無念の墓の土から薊
以上全8人。
※五十音順。
第八回 研鑽句会
最高得点句
食う物を裸で取り囲んでそれが旨くねえんだ
最低得点句
愚かしや生ビール旨しと思わざる者は死ね
互選集計
(6点)食う物を裸で取り囲んでそれが旨くねえんだ ◎○○○○
(3点)よその人の食べものを見るな花ふぶき ○○○
(3点)七十年も働いて何かが祟っておるとわめく母 ○○○
(3点)恋のなやみもちメーデーの赤旗を見まもる ◎○
(3点)兵隊の時この顔でこいつはずるい奴だと軍曹にいわれた ◎○○●
(2点)ひょうきんもの衣食住即ちひょうきん ◎
(2点)死ぬ前近所に生まれた仔犬を一匹欲しがった ◎
(2点)『たわしはいりませんか』どの台所も日あたらぬ家 ◎
(2点)何も見たくないという両眼の眼帯がとれぬ子でにこりともせぬ ◎
(2点)母よもう一年生きよと云えば「たった一年か」と ◎
(2点)わかれてしまってからのプラットホームのつくづく自分というもの ○○
(1点)二百万円損失す宝くじのばば既に帰りし為 ○
(1点)爪のほかはどこからでも汗が出てくる ○
(1点)へんな弁当が出来て花見に路地を出る ○
(1点)鶴の美しい目ふり向けば妻が手を握る ○
(1点)芸術もすこしは解し妻に叱られてねる ○
(1点)全身で下痢して下痢より寧ろ不安な下痢休暇 ○
(1点)欲しい物目の前にあれどわれらは笑い去る ○
(0点)『こうもり傘の直し』くらしの修理は出来ぬであろうか ○●
(-1点)地を敷くデモ東西の訛り怒りに結集し ●
(-4点)愚かしや生ビール旨しと思わざる者は死ね ○●●●●●
(無点)たとえ大工でも娘がパン助になる世とは何んのこっちゃい
(無点)卵よ卵よどんな世にお前はどんな位置にいる
(無点)ろくな子がないとこぼしこぼし大工の女房また妊る
(無点)変哲もない味噌壺より朝はわが家に抒情起る
(無点)新緑に鶏卵かっと砕りてのむ
(無点)さんま食いたしされどさんまは空を泳ぐ
(無点)蛇嫌いの吾に賀状の蛇めが二百匹
(無点)時々いい酒でとんかつが食いたいと君は僕にうったえた
(無点)娘にここ打れたと告げに来る母に少し酒酌ぐ
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。
※句の作者は30句全て橋本夢道。出句原本は「橋本夢道全句集(1977年、未来社刊)」。
2012年12月25日火曜日
今年一年を振り返る
鉄塊メンバーが、今年一年、2012年を振り返り、
自分自身が一年間に詠んだ句の中から自選5句と、
「鍛錬句会」の句の中から他選5句を選句して感想をのべる、
という、年末おおみそかにピッタリなイベントです。
(年末忙しく、原稿の執筆が間に合わなかった人の分は、年明けに改めて、原稿を収集し、掲載する予定です。)
松田畦道の場合
・自選5句
鴉の形した咳を闇へ放す
花の名を忘れた口へ匙を運ぶ
凌霄花を映した目で狂っている
家族はあなただけになりましたと真夜中にぽつり
かげもくろねこ
(選評)
■皆さんの評価はともかく自分なりに気に入っているもの、得点をたくさん頂けたもの両面から選んだ。
『鴉の形』は私が初めて参加した鉄塊句会に出した一句。酷評はされたが忘れ難い。
続く『花の名』は、初めての最高得点句。嬉しかった。
続く『凌霄花』は、出したときの自信と結果がまるで食い 違っていた一句。
『家族は』はVT句会より。私小説ならぬ『私俳句』を持ち味にしようと、腹を括って挑んだ。
『くろねこ』は句会ではなくブログ近 作より。猫を飼い始めたのは今年の私的重大ニュースだが、句会に猫の句を出すと私の作とすぐバレてしまうので、今のところ控えている。以上、こう して見ると花の句が多いことに改めて気づく。来年はもっと、素材の引き出しを増やしていきたいものだ。
・他選5句
この手のひらを選んでくれた雨粒(藤井雪兎)
俺の願いの落ちとる七夕(馬場古戸暢)
苦瓜をひとつ実らせる人生か(白川玄齋)
皆出て行った花火の音(天坂寝覚)
空蝉のくるぶしあたり(渋谷知宏)
(選評)
■得点と作者名をなるべく見ないようにして、まっさらな気持ちで選んだ。
雪兎さんの『この手のひら』。雨粒にしか選ばれない孤独。切ない。
古戸暢さんの『七夕』は、私のなかでは今年一番の句。方言の柔らかさ、なんともいえぬおかしみ。
玄齋さんの『苦瓜』はそれに続く良句。人生か、という詠 嘆に漂う余韻。
寝覚さんの『花火』は、映画『この空の花』の一場面を思い出させ、タイムリーな一句だった。映画と共に、忘れられない。
渋谷さんの 『空蝉』は、祖啓さんの珍解釈(第三回鍛錬句会報参照)との共作。意表をついた。以上、五句に絞るのはとても難しかった。来年も充実した句会でありますように。
馬場古戸暢の場合
・自選五句
今日からニートの女と歩く
夕餉のにおいの間を走る
深夜の道漕ぐ少年四人
俺の願いの落ちとる七夕
女も知らずに少年は逝く
・他選五句
うでをひろげてそらのまね
花の名を忘れた口へ匙を運ぶ
今度はツヤでくらべるどんぐり
それぞれのにおいのする金で払っている
みんな消えてしまえと叫ぶ声する市営住宅
諳んじることができた句を選んだ。自由律俳句もうたである以上、口誦性の高さは最重要な要素のひとつであろう。また、頭を回転させてようやく理解できる句よりも、一読して景が浮かぶ句の方が、共感性の高い句といえる。ここに挙げた他選五句は、これらの条件を満たした秀句だと考えている。
白川玄斎の場合
まず最初に皆さんに感謝申し上げます。七月下旬から今も入院していて、その間の編集にも携われない間の皆さんの種々の温かいフォローに感謝いたします。メンバーの皆さんは本音で意見を闘わせる一方で、そういう心配りのできる方々です。それで私も安心して投句や選句ができて、とても嬉しいです。来年は元気に頑張ります。
・自選5句
○苦瓜をひとつ実らせる人生か
●私自身は今回一番当たりかなと思う句です。夏から今も入院しており、その頃のグリーンカーテンに苦瓜を植えていて、実をいただいた患者さんがいるということを思い出していました。
○アンドロイドを夢見た少年は機械に命を握られており
●これは私の今の状況をSFチックに書いたものです。呼吸器を少しは外しても良いけれども付けていると楽ですからほぼ終日つけています。
○電話の先に本当にいるのか確かめたくなり
●電話の先で話しているのは人間なのかなと思うときがありました。
○この一瞬のために死んでもよいと言わなくなり
●論語にも道のために我が身を殺して云々とありますが、これも粉骨砕身努力するということであって、本当に死ぬわけではないのです。巷の「〜のために死ぬ」というのは素敵な生き方でもあるのですが、入院中に二回ほど死にかけた私には、本当はできないことを敢えて言って人の耳目を集めようとするようなことはできないと思いました。
○恥で済めば安いものだと六十八の父
●鉄塊に入った直後に詠んだものです。父とお酒を飲んでいるときの話が句を作るときによく思い出します。勉強だけでは決して出てこない言葉、これも私の課題のひとつです。
・他選5句
○今朝夢でころしたひとと笑う 天坂 寝覚
●初めてこの句を見たとき、「えっ?」と思いました。私は親しい人に殺される夢をよく見ます。翌日にその人と会ったときは数分間は表情に苦労していました。荘子の胡蝶の夢という言葉もありますが、夢と現実が混じり合うような感覚を覚えた句でした。
○みんな消えてしまえと叫ぶ声する市営住宅 松田 畦道
●今の時代を連想させる句です。叫ぶ人と声を聞いて怯える人との両方の気持ちが理解できます。みんなギリギリのところで生きていることを思います。
○女も知らずに少年は逝く 馬場 古戸暢
●以前読んだライトノベルに太守が自分の妻を殺した若い暗殺者に、吟遊詩人の恋の歌を聴かせるという復讐のエピソードを思い出しました。人としての楽しみを知らないことを後悔しながら処刑される、とても残酷な場面を思い出しました。
○何かしら言い訳しているイルミネーション 本間 鴨芹
●各地のイルミネーションが美しい眺めを見せながら、周りの暗黒を意識させない、そんな社会的状況の比喩、そんな風に思いました。
○それぞれのにおいのする金で払っている 藤井 雪兎
●マネーロンダリングの前の、マフィアたちが各種のシノギで稼いできた人の血のつまった金、とてもリアルなものを想像していました。
◎次回に向けて
私は来年に向けて二つの目標を立てました。
一つ目は、私の句へのコメントにあった、私の句が標語になってしまうという部分からの脱却です。句と標語との違いを、雪兎さんは「象徴の有無」と述べていました。ここで私は歌人の岡井隆さんが短歌の教本に書いていた、「感情をそのまま詠むのではなくて、その感情を言い表している物を使って表現する」という言葉を思い出しました。漢詩でも重要なポイントです。
二つ目は、自由律ならではの表現にしていくことです。少し手直ししたら短歌や俳句になるものはむしろそうすべきで、「この句を自由律にしたのは自由律でなければ表現できないからだ」と言えるほどのものを、これからの人生で追究できればと思います。では、よいお年を。
藤井雪兎の場合
【自選五句】
ハートの外側通って君の家に着いた
ちょっとだけ死をくすぐって君は美しい
二番目に好きなことなら教えた
野球捨てた筋肉が鉄を打っている
たっぷりと血のつまったぼくら笑いころげて
【他選五句】
あー死にたい。でも死ねないのは君のせいだよ(知宏)
恥で済めば安いものだと六十八の父(玄齋)
たった一つのめしを食う夜(寝覚)
今日からニートの女と歩く(古戸暢)
花の名を忘れた口へ匙を運ぶ(畦道)
【総評】
自選は鉄塊句会以外からでも可ということでしたので、
なるべく結社誌にしか載せていない句を選びました。
「鉄塊」に参加していたからこそ気付けた事がかなりありましたね。
これからも、従来の俳句では当たり前とされてきた常識をもう一度見直し、
そこからこぼれ落ちたものを拾い上げ、
定型俳句や短歌ともまた違った自由律俳句独自の世界を追求して行きたいと思います。
皆様、2013年もよろしくお願い致します。
中筋祖啓の場合
自選5句
・きっと今そうなんだろうツバメ飛ぶ
・趣味 すばやさ
・溶けたのか世界が雲へ消えてゆく
・日常生活流忍者
・ミミズのどうしようも無い真剣さ
※選評
今年の一年を振り返り、印象強かった5句です。
特に一番印象強いのが、「趣味 すばやさ」です。この、たった一句をめぐって、数々の疑問、議論、ハプニングやアクシデントが次々と起きましたので、まさに祈念すべき一句でした。
また、一番最近詠めました「日常生活流忍者」という、へんてこな感性が、来年、一体どのように成長していくのか、楽しみにして、新たな年を迎えたいと思います。よろしくお願いいたします。
他選5句
・おねがい。もうちょっとしがみつかせて 渋谷
・苦瓜をひとつ実らせる人生か 玄斎
・それぞれのにおいのする金で払っている 雪兎
・若気の至りの上限にいる 馬場
・桃そっと置かれたまま腐っとる 矢野
※選評
なんといっても、渋谷さんの「しがみつかせて」が優勝です。
完全に私の個人的な趣味ですが、この句はぜひともスカウトしたいです!
また、玄斎さんの「苦瓜」は、鍛錬句会の句を、内容的に眺めた場合、これが、今年で一番良かった、と思いました。うーん、苦瓜をひとつ実らせる人生か・・・・、と、中毒性のある句です。
ほかの三句も、それぞれ魅力的です。
上の二句が横綱だとすると、次席の三句は、大関くらいの存在でした。
選句によって、その人の趣味が反映される、という事が浮き彫りになるので、面白い結果となったと思います。
本間鴨芹の場合
自選五句
何かしら言い訳しているイルミネーション
ソフトクリームと書かれ寒風の幟
枯葉集まるここが新居です
枯葉頭に乗せて徐行してください
正露丸一粒国後島を望む
他選五句
うでをひろげてそらのまね 藤井雪兎
俺の願いの落ちとる七夕 馬場古戸暢
急いでなにか建ててるそこはかつて工場だった 松田畦道
空が青い風邪をひいたことにしよう 天坂寝覚
どっかの犬が吠え続ける夜を帰る 矢野風狂子
自選は鉄塊以外からも可ということでしたが、敢えて鉄塊関連の句から選びました。とはいえ11月入会の僕には現時点では11月句会とVT句会に出した8句(うち定型2句)しかないので、ここにあるのがほぼすべてということになります。多分来年もこの企画はあると思うので、その時自分がどれくらい成長しているのか、その比較基準としての5句とします。
自由律という世界で自分が何をしたいのか、まだ手探りの状態です。その中の道しるべになってくれそうな5句を他選として選ばさせていただきました。渋谷知宏の場合
自選五句
春の雨の軒下の知らない猫と居る
躑躅の甘い匂いがして学生はまだ知らないらしい
あー死にたい。でも死ねないのは君のせいだよ
お願い。もうちょっとしかみつかせて
秋刀魚の目の丸さ瞬きもせず
記憶
今年は激動の一年でした。
それを象徴するかのように見事に夏頃から句が変わっていきました。
でもこうしてみると面白い句が出たなとも思います。
秋刀魚の句のみVT句会であとは鉄塊に投句した句です。
他選五句
桃そっと置かれたまま腐っとる 錆助
空んなった手をまだなめる犬の舌あったかい 寝覚
彼方からパンツと告げし乙女二人 祖啓
たっぷりと血のつまった僕ら笑いころげて 雪兎
寒空そびえる生足 古戸暢
記憶
第一回よりも二回、二回よりも三回と皆の句が変わって行くのが、ほんとよくわかって楽しかったし、刺激を受けました。
ここにあげた句に限らず印象に残る句が多かった。
今後も良い刺激を受けて、僕も成長させていただきたい。
2013年もよろしくお願いします。
天坂寝覚の場合
自選五句
題名知らない歌を覚えた母が好きで
てんごくの話するふたりで海に行く
てんごくの話するふたりで海に行く
ここに死があったという花が汚い
傘借りてまだ居る
夏の色の舌出して拗ねてる
夏の色の舌出して拗ねてる
他選五句
靴擦れを隠して輪に入った 藤井雪兎
たっぷりと血のつまったぼくら笑いころげて 藤井雪兎
彼方からパンツと告げし乙女二人 中筋祖啓
花の名を忘れた口へ匙を運ぶ 松田畦道
桃そっと置かれたまま腐っとる 矢野風狂子
自選は鉄塊に投句したものでなくてもいいということなので、twitterに投稿したものから。他選は過去の鍛錬句会で選に取ったものから、今好きな句を。鍛錬句会や研鑽句会等を通して色々な句を知り、ようやく自分なりの句とかスタイルとかを模索する時期に入ったのが2012年だったのかな、と思う。そういうものが確立されるのはまだまだ先のことだろうけれど、ともあれ2013年もよろしくお願い致します。
2012年12月17日月曜日
第二回 VT句会(2012冬)
最高得点句
箸の間蠅のすり抜ける
最低得点句
雪崩弾丸(なだれだま)かよ
互選集計
(6点)箸の間蠅のすり抜ける ◎○○○○
(5点)都掘れば死者 ◎○○○
(4点)軒先のいづれも丸し冬の蜂 ◎◎
(3点)天高し兵器をつくる大人にも ◎○
(3点)金に狡い叔母は薔薇作りの名人だった ○○○
(3点)薄給の軽石みたいなパンを買う ◎○
(3点)秋刀魚の目の丸さ瞬きもせず ◎○
(3点)ふるさとのぬるま湯につかる ◎○
(2点)同じ日の同じ落葉を踏みたくて ◎
(2点)これこそがお母さんの買わぬ味 ◎
(2点)この丸薬で治るよと五人目のコメント ○○
(2点)川に沿ふ街のあかるさ ○○
(2点)カウンターに多産の女 ◎
(2点)介錯をたとへば紅葉散るごとく ◎○●
(2点)死にたい男ばかり深夜のバー ○○
(2点)枯葉頭に乗せて徐行してください ◎
(2点)飲みすぎた夜が壊れ始めた ◎
(1点)空に触れたい子を肩車する ○
(1点)レンタカーにぐずる子ら乗せていく ○
(1点)冷え床の僅かに白く午前二時 ○
(1点)丸々としていつかの子猫 ○
(1点)暇そうに腕組む店主秋の蠅 ○
(1点)二番目のひとにも慣れる居待月 ○
(1点)地を舐めて丸太 ○
(1点)月も歪んだ糞な夜 ○
(1点)はなうぐひとほくおよげる母ならん ○
(1点)花束が落ちるまでにはケリがつく ○
(1点)約束を思い出せないまま小春 ○
(1点)にょろにょろと出てきた蛇を拝みけり ○
(1点)手足丸めて甲虫も死んどる ○
(1点)立冬を二つの顔で生きている ○
(1点)この弾丸避ければ和尚に当たるだろう ◎●
(1点)三つ編みにメガネとおでこ名は不二子 ○
(1点)うそ寒の舌のかたちへ粉薬 ○
(1点)子連れママチャリの号泣 ○
(1点)正露丸一粒国後島を望む ○
(1点)水瓜のなかも祭り囃子 ○
(0点)弾丸とだけ書いておく年用意 ○●
(0点)Magical Tripper Ferris wheel is the vivid ○●
(0点)似非レンズの眼鏡の試着繰り返し十一月の鏡 ○●
(0点)怖ろしきまり子の母性赤き月 ○●
(0点)丸ついてもう話すことは無い ○●
(-1点)密会の駅や秋刀魚の血したたる ●
(-1点)前奏曲全二十四曲にて終演 ●
(-1点)残酷な心におうて認めたり ●
(-1点)ジョイントを丸めて渡せブリンブリン ●
(-1点)神の肉球くすぐる ●
(-1点)冬の花火をロープウェイが斜めに過る僕のベランダ ●
(-2点)雪崩弾丸(なだれだま)かよ ●●
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。
作者発表
【青山茂根】
都掘れば死者
川に沿ふ街のあかるさ
介錯をたとへば紅葉散るごとく
時雨ほど死装束は染めやすき
地を舐めて丸太
【丑丸敬史】
神の肉球くすぐる
水瓜のなかも祭り囃子
のねずみをとこよの王となす五月
はなうぐひとほくおよげる母ならん
ひじゆらかな猿丸舞ひをまふところ
【興梠隆】
似非レンズの眼鏡の試着繰り返し十一月の鏡
冬の花火をロープウェイが斜めに過る僕のベランダ
同じ日の同じ落葉を踏みたくて
前奏曲全二十四曲にて終演
雪崩弾丸(なだれだま)かよ
【篠原識別子】
水たまりに立ちつくす鷺宮の異教徒
二度と戻らぬ鳩と知っている
天高し兵器をつくる大人にも
絶望の淵の一葉を拾ふ子よ
軒先のいづれも丸し冬の蜂
【柴田千晶】
カウンターに多産の女
死にたい男ばかり深夜のバー
密会の駅や秋刀魚の血したたる
怖ろしきまり子の母性赤き月
丸呑みにされたし冬のラフレシア
【渋谷知宏】
空に触れたい子を肩車する
青臭いバッタが跳んだ
にょろにょろと出てきた蛇を拝みけり
秋空に下ネタ話すとび職人
秋刀魚の目の丸さ瞬きもせず
【白川玄齋】
この本をインテリアにしたくない
岡目八目と言う君の頬に米粒
待ちわびる落葉の候帰宅の日
短檠の外は雨音菊花咲く
この丸薬で治るよと五人目のコメント
【天坂寝覚】
何羽も鴉来て橋を急ぎ過ぎる
冬になるあらしが来る窓をみんな閉める
二番目のひとにも慣れる居待月
約束を思い出せないまま小春
丸ついてもう話すことは無い
【中筋祖啓】
やっちまったなあパソコン
子連れママチャリの号泣
これこそがお母さんの買わぬ味
残酷な心におうて認めたり
知りません目がまん丸に星になる
【覇王粟野】
蒼天の容赦ない高さ
Magical Tripper Ferris wheel is the vivid
薄給の軽石みたいなパンを買う
手に夕焼け三万三千朝鮮人
ジョイントを丸めて渡せブリンブリン
【馬場古戸暢】
ふるさとのぬるま湯につかる
飲みすぎた夜が壊れ始めた
かさこそやゴキブリ一匹いや二匹
そこここの軒下のそと秋時雨
丸々としていつかの子猫
【藤井雪兎】
箸の間蠅のすり抜ける
カレーのにおい漂う九回裏
花束が落ちるまでにはケリがつく
三つ編みにメガネとおでこ名は不二子
この弾丸避ければ和尚に当たるだろう
【本間鴨芹】
西風つづく校舎前の日章旗
枯葉頭に乗せて徐行してください
とろろ汁程良く冷めた腐れ縁
暇そうに腕組む店主秋の蠅
正露丸一粒国後島を望む
【松田畦道】
レンタカーにぐずる子ら乗せていく
金に狡い叔母は薔薇作りの名人だった
立冬を二つの顔で生きている
うそ寒の舌のかたちへ粉薬
弾丸とだけ書いておく年用意
【矢野錆助】
月も歪んだ糞な夜
小雨の寒い
冷え床の僅かに白く午前二時
晩秋の雨を恨んで野良の鳴く
手足丸めて甲虫も死んどる
以上全15人。
※五十音順。句の並びは、自由律二句、定型二句、題詠一句の順。
2012年12月16日日曜日
『日本プロレス界の今後を憂う』 (選挙の為)
(先日の書き込みは、あまりにも悪ふざけの度が過ぎてしまいましたので、今回は、すっかり改心!心を入れ替えて、マジメな原稿を書かせていただきます。くわばら、くわばら。)
・序
まずは、プロレス界の今後を語るに当たって、各レスラー同士の相性や相互関係について説明をさせていただく。
昨今、「吸いつつ知宏」というとんでもない荒技までもが誕生したのだから、もはや、王者シチュー知宏の座をおびやかす存在は、この国に居なくなってしまったといっても過言ではない。
このままでは、シチュー知宏の独占連勝が、以後軽く十年は続いてしまうのだろうから、真のプロレスを愛するプロレスファンとしては、どうにかして、彼をやっつけるだけの強力なライバルの出現を生み出してさらなる活気を望みたいところだ。
このままでは、シチュー知宏の独占連勝が、以後軽く十年は続いてしまうのだろうから、真のプロレスを愛するプロレスファンとしては、どうにかして、彼をやっつけるだけの強力なライバルの出現を生み出してさらなる活気を望みたいところだ。
私の勘では、彼に対抗できるだけの格闘家は、今の日本では、かの伝説の格闘家、矢野風狂子か、もしくは、闇の帝王、覇王粟野以外には、すでに居なくなってしまったと断言する。
武士道最強!矢野風狂子
裏世界最強!覇王粟野
正統派最強!シチュー知宏
裏世界最強!覇王粟野
正統派最強!シチュー知宏
しかし、彼らは、それぞれ、違う環境で生き、違うルールで、格闘の世界に接しているため、どこでどう、その最強同士を遭遇させて、さらには、何を基準にトップを決めたらよいのかが、極めて難しい。
風狂子のルールにおいては、「飾り」の概念が無く、
粟野のルールにおいては、「日本」という概念が無く、
知宏のルールにおいては、「外道」という概念が無い。
それぞれのルールに欠如があるので、どうしても、公式戦を制定して、きちんとした審判を決める事がことのほか困難なのだ。(時間も、場所も、パンツの厚ささえも一致させることが困難)
「日本」が通用しない粟野や、「飾り」が通用しない風狂子を、
ちゃんとしたリングに呼びよせて、ちゃんとした時間に、同じパンツをはかせて、「はいどうぞ、やりましょうね。」と戦わせるなんて、こんな苦労は並大抵の事ではない。
すでに彼ら三人は、誰も追いつけないくらいの最強の格闘家であるにもかかわらず、なぜ、無理やりにも戦わせる必要があるのか?
これを、さらに、深く取り上げてみよう。
・各レスラーの世界観相関図
「武士道」 = 矢野風狂子
「裏世界」 = 覇王粟野
「正統派レスラー」 = シチュー知宏、ラッシュ藤井、スベスベ畦道、ハロー寝覚
「さわやかポジション」 = 魔球古戸暢
「カタツムリ教団」 = カタツムリ鴨芹
「論外、問題外」 = トロピカル祖啓
現在、日本のプロレス界は、このように人材が分かれている。
魔球古戸暢の「さわやかポジション」というのは、非常に珍しいポジションで、彼は、正統派レスラーであるにも関わらず、武士道や、裏世界、カタツムリ教団、論外、問題外といった、あらゆるポジションの人とさわやかに接せられるため、本人自体は、正統派レスラーであるにも関わらず、このような特異的な存在となっている。
カタツムリ鴨芹は、つい最近、正統派レスラーの世界に入ったばかりで、本来の目的は、「カタツムリ教団」の布教が目的なのだから、このような位置となる。
カタツムリ教団と、鉄塊の方向性との違いが無い事を祈りたいとは、先日の記事にも書いたとおりである。
トロピカル祖啓の「論外、問題外」というポジションについては、彼はそもそも、レスラーというか、なんというか、それ以前の人間なのでこうなってしまった。
彼の正式名称は、通称「バグ」と呼ばれている。彼については、「バグっているから仕方が無い」という以上、掘り下げても何も出てくる事はないので、今回の記事においても、これ以上は何も説明を加えない。
さて、この日本プロレス界の現状を眺めてみれば、当然、正統派レスラーと、裏世界を生きる、覇王粟野とのルールが噛み合いにくい事は、まず、単純にして明快である。
そして、ここで、現在結成されているトリオグループ「そねだゆ」について注目する重要性をかかげさせて頂く。
そして、ここで、現在結成されているトリオグループ「そねだゆ」について注目する重要性をかかげさせて頂く。
本来、違うルールに生きて、一致しないはずの価値観に見える、風狂子、粟野、古戸暢の三人が、このトリオを結成してお笑い芸人になろうとしているとは、全く持って奇跡とも呼べる不思議な縁だ。しかも、なかなかに相性がよく、絶妙のボケとツッコミ具合から、お茶の間の人気者になりはじめている。
(粟野はボケ専門。古戸暢はツッコミ専門。風狂子は、ボケとツッコミの中間に位置する)
この場合、闇の存在であるはずの覇王粟野が、サムライ風狂子と、さわやか古戸暢の存在を得る事によって、はじめて表の社会に登場する事が可能となった。
お笑いグループ「そねだゆ」によって、正統派レスラー達も、裏世界の覇王粟野の存在を知り、脅威を受ける可能性が、現在計画されている。
覇王粟野の存在が、最大のキーパーソンとなってくるのは、どうしても、普通に生活をしていると、正統派プロレスにばかり人材が流れ、正統派レスラー同士でしか戦わない、いわゆる「なまぬるい環境」「なあなあ」「お約束試合」になってしまう可能性が高いので、真のプロレス魂で、観客を心から楽しませるためには、反則技で、いやがおうにも、レスラーを必死にさせなければならない。そのためにも、外道レスラーの存在が必要不可欠なのだ。
正統派レスラーのプロレスとは異なる、風狂子、粟野の存在が注目すべきなのは、そこにある。
・審判の問題
ルールが違う格闘家同士を戦わせるにおいて、何よりも難しいのが、やはり審判の存在である。
一体誰が、こんな訳のわからない試合の審判をつとめられるのか?
一体誰が、こんな訳のわからない試合の審判をつとめられるのか?
武士道には、「生死」
裏世界には、「自由」
正統派には、「政治」
というルールが、審判、ジャッジとして存在するように思われるが、これらを総括してつかさどる審判、裁判官を、一体にして誰がつとめれば良いのだろう?
まったくもって難しい難題だ。。。
うーん・・・・・、誰だろう、これは・・・・?
「自由」で、「武士道」を重んじてて、しかも「政治的」な人間だと・・・・!?
そんなヤツが、この世にいるのか・・・・???
うーん・・・・、
うーん・・・・・・・・・、
うーん・・・・・、誰だろう、これは・・・・?
「自由」で、「武士道」を重んじてて、しかも「政治的」な人間だと・・・・!?
そんなヤツが、この世にいるのか・・・・???
うーん・・・・、
うーん・・・・・・・・・、
一体、誰なんだぁ・・・・・・・・・・、
と!!!
その時、突然、
王者シチュー知宏が、乱入した!!!!!
「お前は、どうしたいんだ!?」
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
「お前は、どうしたいんだ!?」
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
憂いの一句
悩ましきプロレスラー 何をさせてもプロレスラー
そうだ、何をさせてもプロレスラーは、プロレスラー。
みんな、プロレスが好き。
みんなもともと、プロレスが大好きなんだから、今現在、何をしてても、本当は、おんなじだ。
みんなもともと、プロレスが大好きなんだから、今現在、何をしてても、本当は、おんなじだ。
「お前は、どうしたいんだ!?」
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
「お前は、どうしたいんだ!?」
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
維新の一句
切り開けプロレスラー 坂本竜馬だプロレスラー
坂本竜馬のように、「層雲」だとか「海紅」だとか、そんな狭い結社の枠を超えて、今一度、日本を洗濯しなおしてみよう。
自由律だとか、定型俳句だとか、ポエムだとか、そんな枠組みも越えて、この国を、今一度、洗濯しなおしてみよう。
武士道だとか、裏世界だとか、正統派だとか、それらの言葉を、「プロレス」という、ただひとつの「一番大好きな名前」に集約させて見詰めなおしてみよう。
武士道だとか、裏世界だとか、正統派だとか、それらの言葉を、「プロレス」という、ただひとつの「一番大好きな名前」に集約させて見詰めなおしてみよう。
なにしろ、まもなく海外から、物騒な大砲を載せた黒船がやってくるのだから、そんな呑気な事を言っている場合などではなかった。
お笑いグループ「そねだゆ」は、宿敵、黒船と戦うために結成された新ユニットなのである。
この国をおびやかす、真の敵に歯向かうべく!
武士道と、裏世界と、正統派レスラーは、力を合わせ、シチューを黒船にぶっかける!!
「お前は、どうしたいんだ!?」
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
「お前は、どうしたいんだ!?」
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
シチュー!!シチュー!!シチュー!!シチュー!!
突然、「お前はどうしたいんだ!?」と、顔面にシチューをぶっかけられて、答えるべく、答え。
それこそが、日本プロレス界の未来。
日本プロレス界の未来は、「シチュー」だ!
『シチューぶっかけ論』
以上から、今回のシチュー事変についての収拾をつけてみる。
シチュー知宏が最強の王者である所以の多くは、その必殺技のすべてに、あるひとつの共通点が存在するからだ。
いきなり相手に、
「お願い、もうちょっと、しがみつかせて!!」
と、しがみつき、無理やりにでも、依存関係を構築する「しがみつかせて知宏」。
「あったかいシチューいらない。なーんて嘘」
と、一旦、油断をさせておき、
「お前はどうしたいんだ!?」
と、隠し持っていたシチューを相手の顔面にぶっかけ、
無理やりにでも、食べ物を相手に分け与える慈悲の行を実践する「シチュー爆弾」。
いきなり相手に、
「吸いつつ、吸いつつ、吸いつつ、男はバカ!!」
と、顔面にデッド・キスをし、求愛行動にせまってしまう「吸いつつ知宏」。
これらの総てに共通するのは、つまりは、あらゆる行動の動機の根源は、
「ただ単に、好かれたいだけだぞ!」
「ただ単に、仲良くなりたいだけだぞ!」
と、問答無用の求愛行動をせまっている事を意味している。
まったく無関係だった人の顔面に「シチュー」という美味しい物体をわけあたえ、
仲良くなるきっかけをつくるこの行為は、
まさしく、片思いの女子中学生のバレンタインデーのごとき、求愛のテロリズムだ。
「お前はどうしたいんだ!?」
という、質問に対して、
「どんなヤツがやってこようとも、あらゆる手段を使ってでも、無理やりにでも仲良くなってみせる!」
という、問答無用の求愛行動によって、見事、その難を解決したのだ。
シチューをぶっかける知宏の精神状態がまさしくそうなのであるから、
いきなり、シチューをぶっかけられた人達は、
「シチュー・・・・・、うまかった。」
と、いうよりほかあるまい。呆然と、食べてしまうほかあるまい。
もはや、誰もが彼と仲良くならざるを得ない。
どれだけ嫌がって見せたとしても、あまりにもシチューが旨すぎる場合、そんな野暮な言い訳など通用しないのだ。
以上から、話を結論づければ?
たとえ、サムライ矢野風狂子が、プロレス界に乱入したとしても、
たとえ、闇の帝王粟野が、正統派レスラーに革命をしかけたとしても、
王者シチュー知宏の、必殺技、「しがみつかせて知宏」「シチュー爆弾」「吸いつつ知宏」の前においては、まったく手も足もでない、という事だ・・・。
おそるべし、知宏!!
彼こそが、地球最強のプロレスラーだ!
彼はついに、黒船の顔面にシチューをぶっかけた。
その黒い大砲に、デッド・キスをした。
黒船の、その、錨に、抱擁してしがみついてしまった。
無理やりにでも、仲良くなろうとしてしまった・・・。
こんなことをされたのでは、ペリーもビックリ!
「なんてフレンドリーすぎるやつなんだ!」
と、すっかり母国を忘れ、戦争を忘れ、嫌でも知宏と、友達になってしまうのであった。
と、すっかり母国を忘れ、戦争を忘れ、嫌でも知宏と、友達になってしまうのであった。
以上の話から、真のプロレスの死闘において、
究極的な審判をつとめられる唯一の存在、それは、
「捨て身のテロリズムで求愛行動にせまる女子中学生」
に、ほかならないのであった。
本日の締めの一句
収拾のつかない事を素直にやる 祖啓
2012年12月11日火曜日
プロレス界最強!!『真・鉄塊衆名簿』
素晴らしきストーリーが誕生しました。
鉄の塊をぶちまけろ!!空想上 プロレス名鑑『真・鉄塊衆名簿』の完成です。(by トロピカル祖啓)
(※この物語は、すべてフィクションです。実際の鉄塊衆とは、何の関係もございません)
リングを去った、伝説のレスラー (計2名)
・矢野風狂子
「鉄塊」という、最強のレスラー養成機関の基礎を創設した伝説のレスラー。戦闘能力の実力はもちろんのこと、レスラーの日々の生活管理や、レスラー同士の社交の場の秩序への配慮にも事欠かない、徹底した格闘家魂の持ち主。
ショー、見世物としてのプロレス界自体に限界と疑問を感じ、ある日、プロレス界から突如、引退を発表。
現在は、真の格闘家を目指すべく、矢野錆助と名を改め、在野に下り、質実剛健にバーリトゥードの道を歩むのであった・・・
観客へのサービスや新技の開発よりも、武士道を歩むことを旨とする求道者としての姿勢から、ドキュメンタリー本「矢野風狂子の今」「最強の九州男児」が発売され話題となる。大山倍達の生まれ変わりとも称された不世出のレスラー。
矢野風狂子の九州訛りは、獅子咆哮のごとく、図太く猛々しく、並みのへなちょこレスラーは、その声を耳にしただけで、縮み上がって一目散に逃げ出してしまうのだ。
そしてまた、口癖として「モモが腐っとる」と、なぜか言う。
・覇王粟野
数々の異名を持つ、覆面レスラー。ヒール役を買って出ることが特徴であり、怪我を恐れない捨て身戦法を得意とする。
ヒール役のレスラーを続けることは、社会的に様々な複雑な影響を及ぼすため、現在は、とある事情から、表のプロレス界からは、姿を消した。
引退当時、北朝鮮拉致説、暗殺説など、様々なデマがとびかったが、現在は、裏の世界最強のプロレスラーとして、地下格闘技場への出場を目指している。
なにぶん、裏世界のレスラーなため、今現在のリングネームはおろか、日々の生活スタイルにいたるまで、すべてが謎につつまれている。
また、プロレス業界の裏金事情に精通しており、経済の常識を根本から覆してしまう、革命的な裏取引の方法を多数隠し持っている、根っからの勝負師でもある。
覇王粟野は、日常生活で出会う総ての人類に対して、決闘を申し込む性格ゆえ、数々の名勝負を行った実績があるのだが、やはり、とある裏の事情により、それらの名勝負は全て、放送禁止、出版禁止、闇に閉ざされる事となった。
突然黙祷を捧げたり、放浪の旅に出たり、俳句結社を発起したりと、立ち振る舞いの全てが、収拾のつかない事になっている。
現役「鉄塊」所属のプロレスラー (計8名)
・シチュー知宏 (平成24年度優勝)
平成24年度の日本プロレス界で、ついに見事優勝を成し遂げた、最強最大のチャンピオン。
シチュー技も多才だが、しがみつかせて技という、独自の必殺技を開発することにより、数々の不敗連勝記録を持つ。
特に最強の技である、「しがみつかせて知宏」で数々の対戦相手に無理やりにもしがみつき、見事、圧勝を続けてきた。
まさしく「鉄塊」を代表する、看板レスラーであり、次の新たな新技は何が飛び出すものか、日本中の誰もが注目しているところである。
チャンピオンの立場上、他のプロレス団体との交流も盛んで、日本プロレス青年団の名誉団長に殿堂入りを果たす。その様子は、各メディアを通じてトップニュースとして報道され、「シチュー!!シチュー!!」の大喝采とともに、日本中にシチュー旋風を巻き起こした。
ファンの声援に対して、感極まると、「お前はどうしたいんだ!?」と、突然、ファンの顔面に熱々のシチューをぶっかけ、チャンピオンだからこそ許される、ファン対チャンピオンのテロリズムを勃発させる。
ひとつ忠告をしておく。ヤツにしがみつかれたら、おしまいだ!
・ラッシュ藤井
筋肉バカになりがちである「鉄塊」において、唯一、社会性を兼ね備えた文武両道のレスラー。
プロレスの強さの追及のみでなく、もっとも機能的なリングの開発や、覆面マスクやパンツのファッションデザイナーとしても活躍するなど、多才な面をのぞかせる。
覆面の威力を十倍に引き出す得意技、「奇声ラッシュ」に歯止めをかけることは、伝説のレスラー矢野風狂子をもってしても難しい。
また、ラッシュ藤井は「約束KO」という必殺技を持ち、「何時何分に必ずお前を倒す!!」という宣言をする。この死の宣告を受けて、見事時間通りに倒されなかったのは、矢野風狂子ただ一人というのだから、約束レスラーよ、おそるべし!
・魔球古戸暢
かつてピッチャーとして、甲子園出場の経歴を持つ、さわやかスポーツマンレスラー。
矢野風狂子と同じく、九州地方出身で、甲子園球児らしく、努力と秩序を重んじる堅実なプレイが好評である。
野球を応用させた魔球技シリーズにより、数々の対戦相手を病院送りにしてきた。
対戦相手が矢野風狂子の場合、キャッチー役を、矢野風狂子に演じさせ、「九州男児甲子園」というショーを、リング上で展開させるなど、観客へのサービス精神が何よりも旺盛である。
また、プロレス界一の高学歴で、「パンツ凶器理論」という、世界初の研究テーマに没頭し、レスラーと科学者の仕事をかけもちにしている。残念ながら、「パンツ凶器学会」自体が、地球上には存在しないため、研究発表の場は皆無。一人孤高にも、凶器とパンツの法則を研究する日々に明け暮れている。
また、日ごろプライベートでも親交の深い、矢野風狂子、覇王粟野、魔球古戸暢の三人の事を、まとめて通称「そねだゆ」と呼ぶ。
・ハロー寝覚
若さを売りにした、朝寝坊技を得意とする、寝言レスラー。
寝言と挨拶を一体化させることにより、試合中、起きているのか、寝ているのか区別のつかない独特な行動で、審判のジャッジに数々の疑問を投げかけてきた。
もちろん、寝技を得意とするのだが、突然、寝床から起き上がり「ハロー!」と挨拶しはじめて観客の意表をつく寝言技が、真骨頂とする得意ジャンルだ。
審判殺しの異名をもつ寝覚は、試合開始そうそういきなり爆睡をしはじめ、夢遊病により、プロレス会場から外の路上へと乱入して戦おうとする。
また、テンカウントをとれば、気絶状態であるにもかかわらず、激しい寝返りをうち、頭突きで相手を逆転KOさせたりするので、どこまでが戦闘不能ととるべきか、極めて判断の難しいトリッキーなレスラーだ。
・スベスベ畦道
かつては、無所属の格闘家としてヤクザなケンカに明け暮れていたが、伝説のレスラー矢野風狂子に出会ったことにより改心し、レスラーとしての道を志す。
名前の通り、スベスベでソフトな肌触りが特徴で、男臭く毛深い対戦相手をなごませ、骨抜きにしてしまうのが特技。また、妻と猫を愛する家庭派レスラーでもある。
その反面、「スベスベマンジュウガニ」という猛毒のカニを、好物として平気で食べてしまう、ワイルドな二面性をあわせもつ。
また、口癖として「それはサイババの勝手なんですよ」と、意味不明なことをつぶやく。
・軍師玄齋
中国からはるばる、日本のプロレス界にケンカを売りに来た、向上心旺盛な知略派レスラー。
専属のコーチを持たず、自らが、自らの特訓スケジュールを組み立てて試合に臨むという、独自のスタイルから、異色のプロレス哲学を構築させた。
異色のプロレス哲学で、熱狂的なマニア層にファンを獲得し、ゲーム「三国志」において、「軍師玄斎」を隠しキャラとして登録させる動きが現在検討されている。
四面楚歌な状況になると、楚の項羽のごとく、オリジナルの漢詩を即興吟詠しはじめて、観客を独占!試合には負けるがファンを横取りにするという、反則的なワンマンショーを開始する。
また、パンツの中に、凶器として常に「孫子の兵法書」を隠し持っている、根っからの職業軍人だ。
・トロピカル祖啓
人間技とは思えないような怪しい技を開発しすぎ、
レスラーとしてよりも、怪人として世間を度々驚かせることとなった妖怪レスラー。
覆面をつけないで、普段着のまま歩いていても、怪人と映ってしまうところが特徴で、むしろ、リング上で戦っている時の姿のほうが、安全で平和な状態ともいえる。
一説によれば、レスラー、怪人としての姿すらも仮であり、
「ヤツの本当の真の姿は『忍者』なのではあるまいか?」
と言う噂も耳にするが、何分、あまりにも時代錯誤すぎる噂なため、誰にも本気にはされていない。
鳴き声として「ウッキー」という言葉を多用し、リング上で必死さが増してある一線をこえると、「ウッキィーーーッ!!ウッキィーーーーーーッ!!!」と、悲痛な叫び声をあげる。
また、トロピカル祖啓は、覆面をかぶると「ひょっこり仮面」という、さらに怪しい怪人へと変貌し、きゅうにおとなしく無口になり、人見知りをしてしまう。
そしてなぜか、メールアドレスが、sokeidaizenzu(祖啓大禅師)という当て字で構成されているのだから、もう、どうしようもないやつだ。
この生き物の、正式名称は「バグ」。
・カタツムリ鴨芹
新米レスラーとして、おそるおそるも、汗臭い筋肉のひしめく「鉄塊」に参戦を申し出た、志願兵レスラー。
新興宗教「カタツムリ教団」の幹部で、レスラーとしての生活信条よりも、「カタツムリ教団」の教義を布教することを真の目的としている。
これからの活躍が期待されるところだが、「カタツムリ教団」と「鉄塊」との方向性がずれないでいてくれることを祈るばかりだ。そのためにも今後、教祖カタツムリの暴走がないことを祈る。
※編集者 中筋祖啓記者の感想
はなむけの一句
・たくましきプロレスラー どこもかしこもプロレスラー 祖啓
とにかく、みんな、すごく強そうです!
あなたは、どのレスラーと戦ってみたいですか?
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