2013年3月30日土曜日

第十一回鍛錬句会


最高得点句

雪が雨になって夜はこんなに暗かった

(7点)雪が雨になって夜はこんなに暗かった ◎◎◎○
(6点)事故車の隣で笑顔だ ◎○○○○
(3点)少年ジャンプだけ束ねてある安アパートの灯り ◎○
(3点)黴匂う本屋にいてしずかな ○○○
(3点)酔った勢いでも出てこない言葉 ◎○
(3点)少しつめたいからだ出てった春の朝はやく ◎○
(3点)君と僕しか知らない炬燵の下である ○○○
(3点)抱きしめられ剃刀の落ちる ◎◎●
(2点)明日履く靴下もなく二月尽く ○○
(2点)生足増えて春はもうすぐ ○○
(1点)八つ当たりがこの春定年迎えます ○
(1点)菜の花の天麩羅を塩でいただく春をいただく ○
(1点)十年後に完成するはずの廃墟 ○
(1点)星も見えてつまりトーキョーは東京という所 ◎●
(1点)呪い言一番最後に力が無い ○
(1点)そもそも金もないのに出てきた日も暮れて ○
(1点)電話鳴るたび電話代お安くなる話 ○○●
(1点)雨の傘がばたばた開かれる夜の出口 ○
(0点)キラキラネームで二十歳になった ○●
(0点)沈丁花香り始めた変わろう先ず前髪を切る ○●
(0点)トラックのラジオから元カノの歌声 ○●
(0点)柔肌以外もいろいろ知らず ○●
(-3点)つぶ&マーガリンだよコッペパン ●●●
(無点)ダンシング一本松の逆光よ 
(無点)さんざん悩ませた死顔が花に囲まれている 
(無点)春らしいパンツの穿き心地が悪い 
(無点)春風の寝湯に浮かぶ 
(無点)逆光です車種もナンバーも分かりませんでした 
(無点)地球上にただひとり凍て咳の夜 
(無点)藤棚の蛇になりたい花房の影で君を狙って 

※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。

作者一覧

【小笠原玉虫】
沈丁花香り始めた変わろう先ず前髪を切る
藤棚の蛇になりたい花房の影で君を狙って
明日履く靴下もなく二月尽く

【渋谷知宏】
君と僕しか知らない炬燵の下である
そもそも金もないのに出てきた日も暮れて
黴匂う本屋にいてしずかな

【白川玄齋】
酔った勢いでも出てこない言葉
十年後に完成するはずの廃墟
柔肌以外もいろいろ知らず

【天坂寝覚】
雨の傘がばたばた開かれる夜の出口
少しつめたいからだ出てった春の朝はやく
星も見えてつまりトーキョーは東京という所

【中筋祖啓】
呪い言一番最後に力が無い
つぶ&マーガリンだよコッペパン
ダンシング一本松の逆光よ

【畠働猫】
雪が雨になって夜はこんなに暗かった
地球上にただひとり凍て咳の夜
キラキラネームで二十歳になった

【馬場古戸暢】
生足増えて春はもうすぐ
菜の花の天麩羅を塩でいただく春をいただく
春風の寝湯に浮かぶ

【藤井雪兎】
トラックのラジオから元カノの歌声
事故車の隣で笑顔だ
抱きしめられ剃刀の落ちる

【本間鴨芹】
電話鳴るたび電話代お安くなる話
八つ当たりがこの春定年迎えます
春らしいパンツの穿き心地が悪い

【松田畦道】
少年ジャンプだけ束ねてある安アパートの灯り
さんざん悩ませた死顔が花に囲まれている
逆光です車種もナンバーも分かりませんでした

91 件のコメント:

  1. 雪が雨になって夜はこんなに暗かった(7点)

    ◎「夜に降る雪はきらきらと輝いてみえる。地面に積もればなおさらで、雪明かり、などという言葉もあるように、雪は夜をほの明るく照らす。それが 雨に変わって地面の雪も溶けてしまえば、夜は真の闇となる。春の訪れを夜の暗さと結びつけた、見事な一句。暖かくなり嬉しいばかりが春ではない。」 (畦道)
    ◎「よくわかります。雪の夜が明るいことに、雪が去ったときに気づくのです。」(鴨芹)
    ◎「雪の夜は、反射のおかげで意外と明るい。ところが、それが雨になると途端に暗くなる。そうして「本当はこんなにも暗かったのだ」と気づいてしまう。光景の移り変わりと心情の移り変わりがリンクしていてすばらしい。」(寝覚)
    ○「雪国の冬はとてつもなく長いので、雪明かりに照らされた夜が当たり前だと思ってしまう。そしていざ雪が溶け出し、夜が暗くなると、嬉しい半面かなり戸惑ってしまうのだ。変化には不安がつきものだから。」(雪兎)

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    1. 実は、この句の景を想像できていなかった。雪とは程遠い生活環境をうらむ。

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  2. 事故車の隣で笑顔だ(6点)

    ◎「これはたまらない句だ。一瞬で情景と物語が広がる。やってしまったという照れ隠しの笑顔だろう。おそらく自損。おそらく怪我人はなかったのだろう。よかった。しかし、パトカーが来るまで、あるいはレッカー車が来るまで、運転手は好奇の目にさらされ続けることになる。てへぺろを使うならこんな場面がふさわしい。思う存分てへぺろでごまかして、帰ってから枕を濡らしてほしい。運転のへたくそな男は軽蔑され嘲笑されて然るべきなのだ。」(働猫)
    ○「酷薄な瞬間。けれどありふれた瞬間。そこを素通りしなかった作者は偉い。描写を絞ったところがまたいい。」(寝覚)
    ○「見たことがあるような景だ。きっと保険でうまいことなるのだろう。」(古戸暢)
    ○「心霊写真がとれそうで、怖い。なんとなく、女の子の写真がとれそうだ。」(祖啓)
    ○「この笑顔の主はやはり事故の当事者だろう。事故の対応をしているときは妙にハイテンションになったりする。そして複雑な心境を打ち消したい笑顔をつくるのだ。」(鴨芹)
    △「所詮は他人事です。でも、心配する気遣いは欲しいところと感じました。」(知宏)

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    1. これだけ評を集めているのに何故私は素通りしたのか考えました。そして気づきました。『だ』が苦手なのです。自分でもたまに使うくせに、ですが。なくてもいいような気がしてしまう。詩性を殺ぐような気もしてしまう。個人的な感覚ですが。

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    2. 畦道さんの言う「だ」これは言い切る形で、自由律ではよく使いますよね。僕もこの句はいいと思えるまで読み切れなかった口ですが、この「だ」が影響してるかもと感じました。個人的には「だ」はありだと思っています。

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    3. 作者です。私も「だ」や体言止めを使うのは嫌いだったのですが、いつの間にか使ってました。
      理由はわかりませんが、その光景を見た時に、「だ」しか句の締めはないと感じたのかもしれません。

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    4. 私も当初は「だ」を苦手に思っていた記憶がありますが、慣れたようです。しかし思えば、日常生活でも文章上でも「だ」を用いることはほとんどありません。いったい何なのだ。

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  3. 少年ジャンプだけ束ねてある安アパートの灯り(3点)

    ◎「この組み合わせは良い。都会の片隅といった風情だ。しかも少年ジャンプ『だけ』というのもどこか物悲しい。『灯り』は廊下のものか部屋のものかわからないが、ここでは束が廊下に出しっ放しにしてあると読んだ。果たしてこの『灯り』は希望になり得るか。」(雪兎)
    ○「少年ジャンプという存在がこの句の状況を読み手に知らしめている。そのアパートの誰かは分からないが、ジャンプが捨ててある。週刊ポストとか文春とかではなくジャンプ。」(知宏)
    △「好きだけれど、思い切りが足りない。あるいは足りないのは思い入れかもしれない。」(寝覚)

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    1. 実はこの句の主役はジャンプでもアパートでもなく「灯り」だと思います。できれば裸電球であって欲しい。

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    2. 私も裸電球と受け取りました。で、木造アパート。

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    3. 私も「灯り」かつ裸電球でとりました。「少年ジャンプ」と「安アパート」が、昭和臭を醸し出します。

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  4. 黴匂う本屋にいてしずかな(3点)

    ○「東京の神保町に妙な古書店がある。店の九割はロック関係の書籍や雑誌が占め、奥のほうにある小部屋のようなところに、俳句の本が山積みになっているのだ。この、ロックを通過して俳句の小部屋へ至る、という道筋がなんとも心地良く、いくらでも長居できる。本句はその古書店を思い出させ た。」(畦道)
    ○「古本屋の独特な匂いですね。古書店を懐かしく思いました。」(白川)
    ○「古本屋でしょうか。あの黴のような埃のような匂いの、懐かしいのによそよそしい匂い。ひとりきりでぶらり出向き、好きなだけ立ち読みなどしつつ獲物(掘り出し物)を探す至福の時間。私もそういうひとり遊び大好きです。分かりすぎるためとらせていただきました。しずかな、という終わり方も好き。」(玉虫)
    △「静けさはよく出たと思うが、それだけ。」(寝覚)

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  5. 酔った勢いでも出てこない言葉(3点)

    ◎「たしかに、そういう時ってあるなあ。共感性の高い一句だ。」(祖啓)
    ○「これは私の日常だ。酔えば大抵のことは言えるものだが、やっぱり言えないこともある。それを曝け出せる人に私は出会えるだろうか。」(雪兎)
    △「どんな言葉だろうか?気になってしょうがない。」(知宏)
    △「その言葉をこそ用いて作るべきだったように思う。用いたくないのかもしれないが。」(寝覚)

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    1. △の二句評と同じ意見だった。

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    2. > koto さん、

      正直そこまでの詳細は言えないです。。。
      特定の人に迷惑がかかりますので。

      そういう題材をどうやって詠むのか、
      さらに考えていきます。

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    3. 寝覚さんの評に同意します。その言葉こそ、輝く句材なのでは。

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    4. > 畦道さん

      koto さんのお返事と同じになってしまいますが、
      個人的に迷惑のかかることをあえて句材に使うのは
      良くないと改めて思いました。

      この句自体を作らなかった方がよいのではなかったかと、
      改めてそう思いました。

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  6. 少しつめたいからだ出てった春の朝はやく(3点)

    ◎「後朝の光景かなと思いました。『源氏物語』の空蝉の巻の春バージョンを想像しました。衣変わりに冷たさが残る、そんな情景ですね。」(白川)
    ○「理由ととるか、物体ととるか。作者の冷たさが彼女を出て行かせたのか。自分を温めて冷たくなってしまった身体が出て行ったのか。おそらく両方である。こんなにも愛してくれる女性に対して十分な愛情を示すことができない。そうして無情な後朝を繰り返す。ハードボイルドでもある。ダメ男でもある。」(働猫)

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    1. 誰の「からだ」なのかわからず、想像の幅が広すぎたため採れなかった。

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    2. この一句だけ眺めると、バランス感覚の行き届いたとてもいい句。でも句会では埋もれてしまうこともあるんですね。私にはちょっと、行儀が良すぎたかもしれません。

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  7. 君と僕しか知らない炬燵の下である(3点)

    ○「選句の際の気分の問題で並選にしたが、本当はこの句も特選にしたい。炬燵の下という世界とそこでの出来事は君と僕しか知らないし、また、炬燵の下という世界は君と僕以外の存在を知らない。どちらの句意を取っても、小さな世界にすっきり収まった調和が美しい。いっそ閉鎖的ですらあるが、完全な調和ってだいたいそんなものだろう。まして、ふたりきりならなおさら。」(寝覚)
    ○「作句において否定形を使うのは案外難しいと感じているのだが、この句は上手いと思う。否定形を使わないとすれば「君と僕だけ知っている」などとなるのだろうけど「知らない」の方が秘密めいた感じが出て良い。」(鴨芹)
    ○「どことなく甘酸っぱい。飲んで騒いで雑魚寝していたあの頃を思い出す。」(古戸暢)
    △「そこ、何してるんだね…けしからんけしからん!w くすくす忍び笑いなんかしている二人なのでしょう。可愛い。好きです。」(玉虫)

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    1. こちらもいま見直すと良い句。何故とらなかったのか、後悔しています。

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  8. 抱きしめられ剃刀の落ちる(3点)

    ◎「初見で最も印象的だった句。見た瞬間胸が痛くなり、選句表全体を読み直すのすら怖くなりました。薄暗いアパートの一室の印象。光景がまざまざと目に浮かびます。抱きついてきた女性と今も一緒でも一緒でなくても切ない。感情は何一つ書いてないのに切ない。自由律ってこんなふうでありたいという私の理想そのものの句。文句なしの特選です。」(玉虫)
    ◎「なんだこの句?と思いましたが、状況を妄想すると、ちょっと良いので取ってしまった。心を許した瞬間ですね。」(知宏)
    ●「きっといいシーンなのだろうが、あまりに情報が少なすぎる。読者の好意的解釈を前提としているようにも見え、甘いと思う。そこへ至る経緯を省略し読者に委ねるのならば、せめて剃刀の描写だけでももう少し、緻密にしてみてはどうだろうか。どんな剃刀なのか、どこからどこへ落ちたのか。」 (畦道)
    △「きれいな光景だと思う。少しきれい過ぎて、画面の中の出来事に感じられたのが残念ではある。」(寝覚)

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    1. 初読で「危ない!」と思ってしまったのがいけなかった。

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    2. この句は「剃刀」をどう取るかで印象が変わる。この「剃刀」が単なる「剃刀」なら、危ないとしか思えないのですが、この「剃刀」がどこか他者を拒否している、そんな人の「心」の比喩的表現と取れれば、この状況はかなりドラマティカルな句と変わるのではないでしょうか。漫画などでクライマックスに近づいてくる、そんな瞬間に僕は感じました。だから特選。

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    3. 作者です。何と言うかこう、ヒリヒリした感じの句が書きたかったのです。
      あと、私は句が「説明になっている」と結構言われるので、思い切って描写を削ってみたのですが、なかなかその匙加減は難しいですね。
      ただ、句の視点がスナップショットかムービーかで、句に盛り込む描写が変わって来ることは確かです。

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  9. 明日履く靴下もなく二月尽く(2点)

    ○「二月尽くに若干の違和感を感じもしたが、共感できた。早めの洗濯が大事である。」(古戸暢)
    ○「井上陽水の『傘がない』を思い出しました。世の中のことよりも自分の生活優先、そんな情景を思い浮かべました。」(白川)
    △「三月になる明後日にはあるのだろうか。」(寝覚)

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    1. 今日、私の靴下が尽きました。雨天が続いたのが行けませんでした。反省します。

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  10. 生足増えて春はもうすぐ(2点)

    ○「都会ではこんなところに季節を見つけるのだ。俳人として正しい姿勢と言えるかもしれない。などと自分を正当化していやらしいところばっかり見ているのだろう。作者はすけべえな人だ。(人格攻撃である。)」(働猫)
    ○「西東三鬼の おそるべき君等の乳房夏来るの、春バージョンといった風情。可愛くてちょっとエッチで、三鬼のよりもより若々しくてぴちぴちしたイメージですね。生足のお嬢さん方のお召し物の、ピンクだのうす緑色だのの春らしい色まで目に見えるようです。ハッピーな気持ちになれる明るい句。好きです。」(玉虫)
    △「春っていいものですね。」(寝覚)

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    1. 古戸暢さんの「生足句」今思えば冬より春の方が良いなぁ。暖かくて、男性目線でちょっと面白く表現されてると感じました。

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    2. 余談ではありますが、鉄塊ブログの記事として、コトさんの生足句をまとめて鑑賞したいです。よろしくお願いします!

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    3. ありがとうございます。いつかやってみます。ただそれをしてしまいますと、何と言いますか、私のイメージが定着してしまいそうな危惧を覚えます。

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  11. 八つ当たりがこの春定年迎えます(1点)

    ○「お疲れ様でした。定年と聞くと、寂しくも目出度いと思いますが、最近では、辞めたくなくても辞めなければいけない。みたいな感じも受けたりします。この句は、そんなネガティブな感じではなく、ライトに読みました、なんとも平和な日常を感じられ、良いなと思いました。」(知宏)
    △「うるせぇあいつがやっとやめるよー、的な安堵感、イヤミのひとつも言ってやりたいような気持ちが透けて見えつつ、実はこの八つ当たり氏、案外愛されていそうにも思えて可愛いなと思いました。八つ当たり氏の新しい毎日、のんびり隠居生活に幸あれ。」(玉虫)
    △「この句は『が』を抜けば定型になりますね。鍛錬句会で定型がOKならば、そうした方がよいのではと思いました。」(白川)
    △「どうしても読めない。」(寝覚)

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    1. よくわからなかった。「八つ当たり」があだ名であれば、理解できる。

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  12. 菜の花の天麩羅を塩でいただく春をいただく(1点)

    ○「響きが良い。「を」はない方が良いと感じたがいかがでしょう。」(鴨芹)
    △「佳句。春の喜びが感じられて好きです。」(知宏)
    △「“塩でいただく”との響き合いを狙ったのかもしれないが、“春をいただく”があまりに取ってつけたような印象。さぞかし美味しかったのだろうが、この句で「美味しそう」とは思えない。」(寝覚)

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    1. ありがとうございます。個人的には両方の「を」があった方が、響きが良い気がします。ちなみに、普通に美味しいといった感じでした。

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  13. 十年後に完成するはずの廃墟(1点)

    ○「入ってみたい、面白そうだ。」(祖啓)
    △「僕は廃墟マニアではないが、このシチュエーションにはくすぐられるものがある。」(鴨芹)
    △「廃墟となることが完成だという風景・情景。そこにあるのは滅びの美学のようなものだろうか。いや、もしかしたら原発のことかもしれない。」(寝覚)
    △「独り暮らしの老人の、いわゆるごみ屋敷のようなところを思い浮かべた。家主がこの世のものでなくなったとき、廃墟は完成するのだ。恐ろしい発想だと思った。」(畦道)

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    1. 完成した状態が廃墟ということか。くみとりきれなかった。

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    2. > koto さん

      これは最寄り駅の駅前の開発で十年後に完成する予定ですが、
      更地の状態が長期間続いていますので、
      本当に完成するのかな、ということを思い浮かべていました。

      廃墟、あるいは闇市のような風景になっています。

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  14. 星も見えてつまりトーキョーは東京という所(1点)

    ◎「読み手の中にあったトーキョーが、ようやく現実味を帯びたところを詠んだものだろう。凝りすぎている感じもしたが、相手はトーキョーである、それでよし。」(古戸暢)
    ●「すみません逆選にとりました、でも拙いとか嫌いとかでは断じてないです。なぞかけされて、解けぬままぽつんと取り残された感があり、気になってしょうがないのでとりました。トーキョーと東京?福島をフクシマっていう違和感みたいなアレでしょうか?星も見える?それは見えた方がいいの?サンシャインの展望台から見下ろす、宝石箱をぶちまけたみたいな池袋の夜景がばーっと見えるような句ですが、作者が、言葉が、ほんとに表そうとしていることが分からなかったので気になります。教えて下さい。」(玉虫)

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    1. 「トーキョー」が「TOKYO」だったら取っていたかも。
      カタカナだとまだ非現実感が弱い気がします。

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    2. この句もよく分からなくて素通りしました。
      「トーキョー」で SF チックな雰囲気を出しているのかなと思いましたが、
      正直何も分かりませんでした。できれば作者の方にも伺いたいです。

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    3. 外国の方が詠み手なら、TOKYOでよいと思います。ちょうど先日東京へ行ったためか、採ってしまいました。

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    4. トーキョーも東京も音にすると一緒で区別つかない(から句意がわからない)という理由で取らなかったのですが、今となっては区別つかなくてもこれで良いと思うようになりました。僕はまだ東京を知らないので少しうらやましい。

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    5. 「星が見えて」と「トーキョー」がうまくリンクしませんでした。「トーキョー」には、「東京」とは違う別の世界を感じて良いなぁとは思いましたよ。

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  15. 呪い言一番最後に力が無い(1点)

    ○「言いながら後悔しているんだろうか。しているんだろうな。なんという映画だったか忘れたが、『この世界では怒りは持続しない』という台詞を思い出した。」(寝覚)
    △「これは、いけない。呪うのなら思い切り呪わないと。しかし、優しい人なんだろうなと感じました。本当に人を呪う人より、このような人の方が好きです。」(知宏)
    ○「言いながら後悔しているんだろうか。しているんだろうな。なんという映画だったか忘れたが、『この世界では怒りは持続しない』という台詞を思い出した。」(寝覚)

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    1. 上記、寝覚さんのコメントが二つ含まれておりますが誤りです。

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    2. 寝覚さんの句評の台詞の典拠は分からないのですが、
      同じような言葉が『孫子』にもあります。

      昔は城攻めはきちんと攻城兵器を組み立てたり、
      準備に時間をかけて行わないといけないのですが、

      もし将軍がその場の怒りにかられて無理な攻城命令を
      出してしまうと、将軍の怒りはいずれおさまるとしても、
      その間に起きた甚大な被害は取り返しようがない、
      ということを説明した部分がありました。

      怒りは収めやすく、事態の収拾は難しい、
      そんなところを思い浮かべました。

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    3. 「呪い言」や「一番最後」、「力」の意味するところを理解できていなかった。

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    4. 呪おうと思いつつも、その人の良いところをふと思い出してしまった瞬間でしょうか。やさしさを感じます。

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  16. そもそも金もないのに出てきた日も暮れて(1点)

    ○「何がそもそもだ。と出会った友人は苦笑しながら一杯おごってくれるのだろう。あるいは誰にも出会えず、ただ春の夜を歩き疲れるまでさまようのか。いずれにしてもその後の物語がある。『そもそも』も便利ワードかもしれない。もうこれ以降は使わないように封印すべきだ。」(働猫)
    △「金がない時は本当は引きこもっているのが一番だと分かっているのだけれど、『何か』を期待して出てしまう。けれどそういう時はたいがい期待したような『何か』に巡り合うことはない。仮にあっても、金がなくて対応できず、結局その『何か』は無かったことになる。そうして日が暮れる。そこに落胆は無い。何故なら“そもそも金もない”から。「やっぱりね。」という諦めがあるくらいだ。僕の生活を見られたようで、泣けてきた。」(寝覚)
    △「あるあるあると膝を打ちました。何か家にいられなくて、給料日前だし別に何か見たいとか欲しいとかでもないのに、ふらっと出てしまった休日。疲れたなーもう夕方かー、時間無駄にしちゃったかなー、でも、ふふ、ちょっと楽しかったな一人で、と、思うのでしょう。よくある私の日曜日みたい。スゴいシンパシー。好きです。」(玉虫)
    △「「も」が多い句だ。」(鴨芹)

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    1. 資本主義への反駁。

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    2. そもそも必要だし、大事なものだとわかってはいるけど、「金」という存在はそろそろ消えて欲しいと、思ってはいる。が、その時点で僕は、ある意味金というものに囚われているのだろう。「そもそも」は使わせて頂きました。

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  17. 電話鳴るたび電話代お安くなる話(1点)

    ○「この話をすればするほど、話を持ってきた方の電話代はかかる。何とも奇妙ではあるが、それでも誰かが得しているからこそ社会は回っているのだろう。」(雪兎)
    ○「うちもありました。金額を聞くとそんなに得でもありませんので、諸々の作業のコストが大きいだけですね。」(白川)
    ●「縁起の悪い話なので、困る。不吉だ。」(祖啓)
    △「句意が読めませんでした。そのまま読むと、単なる宣伝文句だけだと思います。」(知宏)
    △「“お安く”という口振りから察するに、営業電話の類だろう。そういう電話ばかりでうんざりしてしまったのか。現代では本来の意味で孤独でいることは難しい。だからこそ、孤独感はより募るのかもしれない。こういう電話に出た後は特に。」(寝覚)

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    1. 携帯しかもっていないためかこんな電話はかかってこない孤独。

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  18. 雨の傘がばたばた開かれる夜の出口(1点)

    ○「地下鉄の出口を想像しました。あたたかな地下鉄の駅から寒い雨の夜に吐き出されてゆく人々。でもみんなに帰る家がある。いまこの場では慌しいけれど、ほっとするような光景でもあります。好き。私なら、雨の傘が、じゃなくて、傘の花、ってやりそう。その方がわざとらしいかな。」(玉虫)
    △「『雨の』が必要なのかどうか。シーンとしてはかっこいい。アルパチーノかデニーロのギャング映画にあったような。ボスの邸宅内での葬儀が終わり帰っていく幹部たち。5部派なのでたまらない。」(働猫)

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    1. 「雨の」はなくてもいいかもしれないが、そうすると雨が景から消える気もする。全員サングラスをかけていてほしい。

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    2. 夜の出口、という一節がよいと思います。全体はもう少し、整理できたのでしょうか。何故か見逃してしまった一句でした。

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  19. キラキラネームで二十歳になった(0点)

    ○「プリクラか。キラキラが本当に輝いていそうだ。」(祖啓)
    ●「句材が今のものだなと思って、それだけ。」(寝覚)
    △「惜しい。二十歳になってそれからどうしたのか、今どうしているのか。内容を広げるヒントが欲しかった。」(雪兎)
    △「これも新しい句だと思いました。余韻がもう少し感じれたら、取ったかも知れません。キラキラネームでお婆さんまでなったらどんな感じでしょうか。その頃には伝統的な名前になってたりして(笑)」(知宏)

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    1. 俳号っぽい名前をつけてみたい。間違いなく将来非難されるだろう。

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  20. 沈丁花香り始めた変わろう先ず前髪を切る(0点)

    ○「饒舌で詰め込みすぎのように見える一句。しかし、それも春の、浮き足立つような忙しないような気分の表れと読めば納得できる。試しに(変わろう先ず)を取り払ってみても、充分に句は成立するだろう。ただ本句はこのままでいいと思う。前髪はオンザ眉毛でぱっつんと切りそろえて欲しい。」 (畦道)
    ●「句というよりは散文の重ね合わせのように思いました。こういう句の是非はどうなのか分からないという意味で逆選です。」(白川)
    △「器用ではないけれど、その分決意の強さが感じられる。」(寝覚)
    △「そこまで流暢に説明しなくても十分に伝わると思いました。」(知宏)
    △「『変わろう』はなくとも伝わると思う。」(働猫)

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    1. 冗長なためか、景が動画のように流れるというよりは、静止画がコマ送りされた。

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    2. 落ち着かない感じが「変わろう先ず」で表現されているように思います。全体的には短歌っぽいと感じました。

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  21. トラックのラジオから元カノの歌声(0点)

    ○「夜中三時頃から始まる、トラック運転手向けラジオ番組が好きだ。知らない演歌歌手がDJを務め、これまた知らない演歌をかけて、(安全運転で いってらっしゃーい)などとリスナーに呼びかける。まるで異世界である。本句ではその歌声が、元カノのものだったという。さぞ不思議な気分だろ う。」(畦道)
    ●「選句表を読み進めてこの句で「だから?」と呟いてしまいました。僕も言われたことがありますが、読み手に委ね過ぎてるかと思います。ゆえに逆選とします。」(知宏)
    △「トラックのラジオだから聴いていたのは走れ!歌謡曲ですね。つまり元カノは演歌歌手。」(鴨芹)
    △「こういう経験はないし、きっと今後もない。光景としては随分フィクショナルだと思うが、距離の遠さはちゃんと表されたと思う。」(寝覚)

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    1. ジャンルが気になる。

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    2. 作者です。もちろんフィクションなのですが、この世に絶対無いとは言い切れないので、敢えて投句致しました。
      ジャンルは西野カナあたりかなあ。

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  22. 柔肌以外もいろいろ知らず(0点)

    ○「なんとも若い句と思いましたが、中年が作っていても、面白い。ちょっと気持ち悪かったりもしますが。すんなり読めば、やはり青い春の青臭さ全開で、ある意味羨ましい。色々知るのもどうだかなと思ったりもした句です。」(知宏)
    ●「「いろいろ知らず」なのは誰だろう。自身のこととも読めるし、知らずに亡くなった若者と考えることもできる。そこが曖昧になってしまったのが残念。」(鴨芹)
    △「それでもまず知るなら柔肌からで、というニュアンスを感じて面白かった。ややこしいことは後回しでいい。」(畦道)
    △「こんなこと言ってもし気に障ったらごめんなさい、読んだ瞬間秋葉原通り魔事件の犯人、加藤くんを思い出しました。あんなにもひと(恐らく女の)ぬくもりを求めていたのに、あんなことやらかしたせいで童貞のまま死刑になるんだな、と思ってやるせなかったことを思い出したのです。絶対に許されないことやりましたが、正直に申し上げますと、彼を思うとズキッとします。それとは関係なしに、普通の若い男の子のことなら、大丈夫。知ろうと思えば知ること出来るよ、頑張れ、若いの、って思いました。いろんなこと経験していい男になってね!いい男は世界の財産ですものね。」(玉虫)
    △「この形になるまでに省かれたものがもしあるのなら、それこそが大事だったように思う。」(寝覚)

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    1. おはようございます。作者です。

      これは入院中に詠んだ句です。改めて眺めてみますと
      自分自身とは遠いところを詠んでいるのが分かります。
      私自身がおおよそ人間世界に適応できていないという気持ちを
      あまり深刻な形にならないように工夫しようと思っていました。
      今から思えば、かえって無理して詠む必要があったのかどうか
      と思いました。

      知らなくても良いことも多い、しかしそこを知らなければ
      人間というものの本当の姿がつかめない、
      そんなところを考えていました。

      これからもしっかりと考えて工夫していきます。

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    2. 知らないことによるとりあえずの帰結をみたかったです。

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  23. つぶ&マーガリンだよコッペパン(-3点)

    ●「確かにリズムは良い。しかしだから何だと言うのか。この句でいったい何を表現したいのか。私たちは何を感じとるべきなのか。確かにリズムは良い。その発見の喜びにはあふれている。嫌いではない。しかしだから何だと言うのか。しかも『生パスタ茄子とチーズのボロネーゼ』(ファミリーマート)が類句としてある、とか言ってみる。」(働猫)
    ●「何度読んでみても何もない。これだけである。『マーガリン』の部分が何か別の物だったら句になるかもしれないが、いくら着眼点や発想が優れていても、作品として優れていなければどうしようもないのだ。」(雪兎)
    ●「そうですか、としかいいようがない。韻律にのせれば句になるわけではない。」(古戸暢)
    △「夜食にちょうどいいですね。」(寝覚)
    △「セブンイレブンで105円。よく食べてます。美味いんですよね。」(知宏)

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    1. なんとも難しい結果になりました。

      つぶあん
      ジャム
      ピーナッツコッペパン

      と、色々あって、どれもやたら、美味しいです

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    2. コッペパンじゃなかったらなぁ。

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    3. つぶ&マーガリンを句材にするところが、面白いとは思ったんですけどね。セブンイレブンや値段とか、それをどうしたとか、どう感じたとか。色々表現には出来そうだと思ったのですが、この句はそのもの自体を詠んでいる。ものへの愛が尋常ではないのではないだろうか。TVのバラエティ番組で、エッフェル塔と結婚した女性が出ていたけど、それと似たものを感じました、

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    4. 商品名でしたか。まったく気づきませんでした。

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    5. 渋谷さんの句評が、ジャストでした!

      ・コンビニの菓子パンコーナーの好きずき

      このような表現も、可能だったのかもしれません。

      しかし、菓子パン産業の競争の激しさ、また、キャッチコピーの上手さに心奪われる事が多く、このような事態に陥ってしまいました。

      ランチパック 黒糖マーガリン ピーナッツコッペ まるごとバナナ

      などなど・・・・

      名前だけで、はまってしまう事が多いです。

      そういえば、

      ・かにパン

      って、うまそうで、かつ、まずそうなネーミングで気になっていました。
      旨いのか?まずいのか?

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  24. ダンシング一本松の逆光よ(無点)

    △「わざわざ“ダンシング”でなくとも、おどるでいいんじゃ無いだろうか。意味合いを不明瞭にしようという意図があったのかもしれないが、面白くはない。」(寝覚)

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  25. さんざん悩ませた死顔が花に囲まれている(無点)

    △「悩まされたのが自分なのか、亡くなったかたの方なのか、両方にとれるなと思い、解釈がちがってくるかなと一瞬思ったんだけど、訪れる安らぎは似ているように思いました。きっと薄っすら笑みを浮かべているような死に顔なのでしょう。辺りには濃厚に菊と百合の香りが立ち込めている。線香の煙と匂いも漂っている。ゆっくりお休み下さい…と合掌したくなる句。まさに自由律という感じ。好きです。」(玉虫)
    △「ただ「顔」としてもわかるかと。」(鴨芹)
    △「“さんざん悩ませた”割にはずいぶんさりげない。あるいはだからこそなのだろうか。“さんざん悩ませた”ひとの死を受け止めきれないこころが、花に目を向けさせるのか。僕にはまだわからない。」(寝覚)

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    1. 「死顔」よりただ「顔」とした方が、生前の顔が想像しやすいと思います。

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    2. こんにちは。選では素通りしましたが
      改めてみてみると良い句だなと思いました。

      ある方のお葬式で同じような言葉を聞きました。
      ひどい人ではなくても亡くなったらあんなことを言われるのかと、
      そう思って悲しい気持ちになったことがあります。

      とっさの時に人の本性があらわになる、
      そんな光景を思い浮かべました

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    3. 雪兎さんの句評に同意します。

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    4. 鴨芹さんや、雪兎さんの言うように「顔」だけで良かったと思います。

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  26. 春らしいパンツの穿き心地が悪い(無点)

    △「ジョジョの奇妙な冒険第四部、東方仗助の「新しいパンツをはいたばかりの~」という台詞を思い出しました。この句は全く逆なんですが。」(寝覚)

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    1. 久しぶりにはいたのだから仕方ないのである。春である。

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  27. 春風の寝湯に浮かぶ(無点)

    △「広い風呂で羨ましい。」(寝覚)
    △「寝湯には入ったことはないが、春風と共に寝湯に浮かぶ心地良さが十分伝わってくる。」(雪兎)
    △「いろんな球状のものが浮かんでいるのでしょうね。りんごとか檜玉とかだけでなく。」(働猫)
    △「気持ちよさそうなのだが、まず露天風呂を想起し、露天に寝湯があるだろうかとか、寝湯なら(浮かぶ)とするには浅いのでは、などと余計なこと を考えてしまい、とれなかった。でも爽やかな良句ではあると思う。」(畦道)

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    1. ありがとうございます。

      よくいくスーパー銭湯での景です。露天に寝湯が設置されています。完全に浮くというよりは、浮いて落ちるをゆっくり繰り返す感じで浸かっています。明日晴れたら、行ってきます。

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  28. 逆光です車種もナンバーも分かりませんでした(無点)

    △「職質を受け、動揺を隠しながらこのように答えた。しかし「逆光です」が不自然で、そこから逮捕へとつながるのであった。」(鴨芹)
    △「それはお巡りさんに言ってください。」(寝覚)

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  29. 地球上にただひとり凍て咳の夜(無点)

    △「“地球上にただひとり”は言い過ぎかもしれないが、けれどこういう状態のときは確かにそう思うので、これは正しい。“凍て”は状態、心情と「居て」を掛けたのかもしれないが、こちらは厳しい。」(寝覚)

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  30. 藤棚の蛇になりたい花房の影で君を狙って(無点)

    △「多分これは短歌の定型の中で溢れさせた方がいい。」(寝覚)
    △「句の素材として斬新に感じました。西洋的、耽美的そんなイメージを持ちました。」(知宏)

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    1. 「藤棚の蛇になりたい」という願望を何か他の書き方で表現した方がよかったかもしれません。何故なら、願望はその人特有のもので、「他人事」になりやすいからです。

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    2. でしゃばりますが、「花の影で君を狙う」これだけでも女性的で、怖さも伝わると思いました。

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    3. 蛇になる必然性がみえませんでした。

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