※きやらぼく No.372(2013年5月)より。
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虚空いざなう鳶を撃つ 三好利幸
どことなくは惹かれるところがあった。何を(誰を)いざなっているのだろうか。
沸点超えた日も窓に雨打つ ゆきいちご
ここでいう沸点は、怒りの沸点だろうか。やかんの沸点と読んでも面白い。
献血する私の一滴さくらんぼ形 ゆきいちご
血が少しこぼれたところを詠んだものとみた。よくぞ気付いたと思う。
杖つく影を追い越さないでゆく 藤田踏青
狭い道での出来事だろうか。いつもとは違うゆっくりとした歩みを楽しめたことだろう。
わかり切った事もう言うな月が出て来た 天野博之
夫婦の会話のひとこまと読んだ。話をごまかそうとしているようにもみえる。なお、同氏によるエッセイも面白い。
眠るばかりの君に春の雲ながれ 幾代良枝
誰がどうして眠ってばかりいるのかわからないが、淡々としたあたたかい日常をみる。
古戸暢さんお疲れ様です。
返信削除「きやらぼく」は俳句に真摯な方々が集い、それぞれ独自に個性を発揮している印象です。我々もこうありたいですね。
この中ではゆきいちごさんの「献血する私の一滴さくらんぼ形」に惹かれます。まさに発見の句です。また、人によっては別の形に見えるでしょうから、そこがまた面白いです。