2015年4月29日水曜日

第三十三回 鍛錬句会

◇最高得点句

南無観世音、月の楕円(小澤温)

花影を歩き続けている(畠働猫)

冬あけても膝抱いている(武里圭一)

◇互選集計
(2点)南無観世音、月の楕円◎
(2点)花影を歩き続けている◎
(2点)冬あけても膝抱いている○○
(1点)春雨に濡れてもつれているふたり○
(1点)この道も胸に穴あける道○
(1点)猫とボインが着地する暁○
(1点)博奕打妻子の顔と春の海○
(1点)女の指の長さに春日○
(1点) 赦されたい夜の薬切れとる○
(無点)あてどなく春の風に吹かれ大阪城
(無点)過ぎ去りし十代は血の味のして
(無点) 四月の風吹け我葉桜を待つ
(無点)黒光りする水にも桜の色が襲う
(無点)般若心経の一人酒
(無点) 濡れた夜も深まる
(-1点)酒飲む体に薬いれとく●
(-1点)桜の根元のお母さんを呼ぶ●
(-2点)凍えてしまう(ハルハクル?)空が白む●●
以上18句。
※特選◎(2点)、並選○(1点)、逆選(-1点)として集計。

◇作者発表

【小澤温】
南無観世音、月の楕円 
般若心経の一人酒 
博奕打妻子の顔と春の海

【武里圭一】
この道も胸に穴あける道
あてどなく春の風に吹かれ大阪城
四月の風吹け我葉桜を待つ
黒光りする水にも桜の色が襲う
冬あけても膝抱いている

【畠働猫】
花影を歩き続けている
猫とボインが着地する暁
凍えてしまう(ハルハクル?)空が白む
春雨に濡れてもつれているふたり
過ぎ去りし十代は血の味のして

【馬場古戸暢】
赦されたい夜の薬切れとる
桜の根元のお母さんを呼ぶ
女の指の長さに春日
濡れた夜も深まる
酒飲む体に薬いれとく

18 件のコメント:

  1. (2点)南無観世音、月の楕円
    ◎佳句。リズムがよい。読点は好みによろうがこの場合効果的か。祈りから夜空への視点の移動に一呼吸の間を演出している。(働猫)
    △もともと楕円気味だとか。(古戸暢)

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  2. (2点)花影を歩き続けている
    ◎足らないところも含めて。(古戸暢)

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  3. (2点)冬あけても膝抱いている
    ○寒さによって生命が脅かされる冬に比して、実際には春の方が憂鬱なものである。生きる意志がなくとも生きられてしまうからだ。この句でも、そうした無気力と理由のない悲しみの季節が描かれている。(働猫)
    ○好きな景。(古戸暢)

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  4. (1点)春雨に濡れてもつれているふたり
    ○いい感じ。(圭一)
    △「濡れても釣れている」ならあるいは。(古戸暢)

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  5. (1点)この道も胸に穴あける道
    ○さみしいね。(温)
    △どの道も悲しみに充ちているということか。それとも銃弾の飛び交う修羅の国かな。(働猫)
    △ヒットマンが待っている道か。(古戸暢)

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  6. (1点)猫とボインが着地する暁
    ○意味はわからないです。(古戸暢)

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  7. (1点)博奕打妻子の顔と春の海
    △自業自得だが死ねばなお遺す者を苦しめるものだ。生きろ。(働猫)
    ○とってつけた感も含めて。(古戸暢)

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  8. (1点)女の指の長さに春日
    ○良句。「指」を句に詠み込むことで読者はその様々な形態、動作を想像する。春日を受けている指の長さをどういった場面で発見するのか。色気のある情景である。(働猫)

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  9. (1点) 赦されたい夜の薬切れとる
    ○自嘲的な句であるが、「~とる」が軽妙な印象を添えている。方言であろうが、ここでは効果的であると言える。(働猫)

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  10. (無点)あてどなく春の風に吹かれ大阪城
    △死に場所を求めて秀頼のもとに集った牢人のような心境か。(働猫)
    △「大阪城」のところが何でもよすぎる。(古戸暢)

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  11. (無点)過ぎ去りし十代は血の味のして
    △そんなでしたっけ。(古戸暢)

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  12. (無点) 四月の風吹け我葉桜を待つ
    △「葉桜を待つ」とはどのような心境か。よくわからない。特別な思い入れでもあるのかと思う。北海道の開花は四月どころか五月中旬ですよ。ゴールデンウィークにはぜひお越しください。(働猫)
    △「我」が気になった。(古戸暢)

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  13. (無点)黒光りする水にも桜の色が襲う
    △汚れた水か。重油であろうか。昔のガソリンスタンドはこうした水を垂れ流していたように思う。昭和の記憶だ。色彩の対比を狙ったものと思うが、「の色」がうるさく感じる。削るべきだろう。(働猫)
    △好きな景。「桜の色が襲う」のところが気になった。(古戸暢)

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  14. (無点)般若心経の一人酒
    △写経であろうか。仏と向き合う時間は一人ではなかろう。(働猫)
    △お坊さんでしょうか。(古戸暢)

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  15. (無点) 濡れた夜も深まる
    △濡れた夜が深まるのは当たり前だろう。(働猫)

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  16. (-1点)酒飲む体に薬いれとく
    ●体を大事にしましょう。アルコールを体内に取り込むと、その摂取量に比例して中性神経抑制作用が増強します。それで、どのような事になるかというと、眠気や精神運動機能低下など薬の副作用が強く出てしまったり、逆に全く薬の効果が得られなくなってしまう事があります。どのような症状が出るかはその人の体質によって異なるのですが、普段からお酒を飲む習慣がある方は薬の効果が感じられなくなる事が多いそうです。薬の副作用が強く出てしまった場合は、酷くなると意識障害や呼吸困難に奇異行動など、他にも様々な危険症状を引き起こしてしまいます。また運動機能が著しく低下してしまいますので、転倒を起こして骨折など怪我をしてしまう可能性も高くなります。アルコールと薬の同時服用が原因で、死亡事故につながってしまったケースも多々あるので、お酒と風邪薬は絶対に一緒に飲まないようにしましょう。(温)
    △お医者さんが駄目だと言っていたでしょう。飲むなら飲むな。飲んだら飲むな。(働猫)

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  17. (-1点)桜の根元のお母さんを呼ぶ
    ●桜の下に死体はありがち過ぎる。(働猫)

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  18. (-2点)凍えてしまう(ハルハクル?)空が白む
    ●それぞれが離れすぎている。(圭一)
    ●コピペミスか。(古戸暢)

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