2015年6月27日土曜日

第三十四回 鍛錬句会


◇最高得点句

夕焼け仏陀桜は散った 働猫

降る春の小さい手でつかまえた 温

◇互選集計

(3点)夕焼け仏陀桜は散った ◎○
(3点)降る春の小さい手でつかまえた ◎○
(2点)春眠汗ばむ子の声 ○○
(2点)桃の花照る下のわが子 ○○
(1点)黒髪に月がかかる ○
(1点)花病んで月射す ○
(1点)子らが海を指差す橋だ ○
(0点)酔えないまま日が射してきた
(0点)春踏み潰した靴を脱ぐ
(0点)浮気バレてそろそろ夏がくるらしい
(0点)正しいと信じて生きて五月闇
(0点)冷めた蛍光灯に稚児のような咳繰り返す
(0点)責られて顔の陰影
(0点)三度目の桜散り過去はどうして赦してくれない
(0点)後悔するっきゃない放浪の夢
(0点)春のトランクいっぱいの闇
(-1点)夢の君が振り向く夢か ●
(-1点)地平の月の大きさをふたり ●
(-1点)何の残渣か肉の冷え ●

以上19句。
※特選◎(2点)、並選○(1点)、逆選(-1点)として集計。

◇作者発表

【畠働猫】

夕焼け仏陀桜は散った
春踏み潰した靴を脱ぐ
正しいと信じて生きて五月闇
花病んで月射す
春のトランクいっぱいの闇

【武里圭一】

酔えないまま日が射してきた
冷めた蛍光灯に稚児のような咳繰り返す
責られて顔の陰影
何の残渣か肉の冷え
後悔するっきゃない放浪の夢

【小澤温】

降る春の小さい手でつかまえた
桃の花照る下のわが子
黒髪に月がかかる
浮気バレてそろそろ夏がくるらしい

【馬場古戸暢】

夢の君が振り向く夢か
春眠汗ばむ子の声
地平の月の大きさをふたり
三度目の桜散り過去はどうして赦してくれない
子らが海を指差す橋だ

19 件のコメント:

  1. (3点)夕焼け仏陀桜は散った

    ◎朱い。信仰心皆無でも美しいと感じる。(圭一)
    ○言葉を並べただけという印象は免れない。(古戸暢)

    返信削除
  2. (3点)降る春の小さい手でつかまえた

    ◎佳句。(古戸暢)
    ○花びらをつかまえた様子だろう。戦争や子を詠んだ句はダメ出ししにくい。(働猫)

    返信削除
  3. (2点)春眠汗ばむ子の声

    ○聴覚にクる佳句。(圭一)
    ○よほほほh-い。(はる)
    △縁側での昼寝だろうか。子もその親も汗ばんでいるのだろう。くっついて眠っていたものか。(働猫)

    返信削除
  4. (2点)桃の花照る下のわが子

    ○「下の」はなくともよいか。(古戸暢)
    ○明るい景が子の無邪気さとよく相まっている。(圭一)
    △桃は古来より魔除け、厄除けの力を持ち、中国では仙道において重要な霊木である。そうした力にあやかって健やかに育ってほしいという願いを込めて見つめているのであろう。(働猫)

    返信削除
  5. (1点)黒髪に月がかかる

    ○懐かしい景。(古戸暢)
    △何も起こっていない。(働猫)

    返信削除
  6. (1点)花病んで月射す

    ○クサイところをなくせば、万葉の歌の世界。(温)
    △嫌いではないが、ありがち。(圭一)

    返信削除
  7. (1点)子らが海を指差す橋だ

    ○「海が薫る橋で泣く(古戸暢)」第二十八回 鍛練句会(2014年11月)で特選にとった句だ。作者は同じく古戸暢であろうかと思うが、この「橋」は多くのドラマの舞台となってきたものなのだろう。(働猫)

    返信削除
  8. (0点)酔えないまま日が射してきた

    △夜明けととるか。西日ととるか。「酔う」が酒によるものかそれとも別のものか。夜明けと酒では平凡な句に堕してしまうが、西日と情交に酔うものととればバレ句とも読める。四畳半の匂いが漂ってくる。(働猫)

    返信削除
  9. (0点)春踏み潰した靴を脱ぐ

    返信削除
  10. (0点)浮気バレてそろそろ夏がくるらしい

    △冬だと絶望的だが、夏なのでなんとか生きてはゆけるだろうという呑気さがある。みやすのんきか。(働猫)

    返信削除
  11. (0点)正しいと信じて生きて五月闇

    返信削除
  12. (0点)冷めた蛍光灯に稚児のような咳繰り返す

    △形容詞が多すぎてよくない。語り過ぎか。(働猫)

    返信削除
  13. (0点)責られて顔の陰影

    △うつむいて影が濃くなった様子だろうか。祖啓の句であれば、中東諸国の人々の彫りの深い顔を詠んだとか、そんな違う意も読み取れそうだが、彼はもうここにはいないんだな……。(働猫)

    返信削除
  14. (0点)三度目の桜散り過去はどうして赦してくれない

    △過去がゆるしてくれないのは当然であり、「どうして」と問いかけるには値しない。(働猫)

    返信削除
  15. (0点)後悔するっきゃない放浪の夢

    △みやすのんきかな?(働猫)

    返信削除
  16. (0点)春のトランクいっぱいの闇

    返信削除
  17. (-1点)夢の君が振り向く夢か

    ●夢ですね。(圭一)
    △あとの「夢か」は気づきの詠嘆であろう。かつて愛した女の顔が思い出せない。共感できる句である。ムジナの怪談として読んでもよかろう。(働猫)

    返信削除
  18. (-1点)地平の月の大きさをふたり

    ●月並みってやつ。(温)
    △二人がともに何をしたのか。その行為について、読む者に委ねているのだろう。見つめ合ったのか。それとも互いに句や歌にしてみたのか。「月」も「ふたり」も鉄板ネタかもしれない。「月並み」ということです。(働猫)

    返信削除
  19. (-1点)何の残渣か肉の冷え

    ●意味をつかみそこねた。(古戸暢)
    △「残渣」が言いたかったんだろう。(働猫)

    返信削除