2013年7月27日土曜日

第十五回 鍛練句会



(最高得点句)
母の指差す空に私はなんにも見えない(8点)



(8点)母の指差す空に私はなんにも見えない◎◎○○○○△
(4点)叱られて歩く子も一人前の荷物◎○○△
(3点)寝てはいけない人と寝る外は雷○○○△△
(3点)はばたいたミサゴは必ず次へゆく◎○△△
(3点)地球儀を指で止めてここへ行きたいここで死にたい◎○△△
(3点)さっきと違う人が寝ているベンチ◎○△
(2点)月あかりそうっと戸を開ける◎△△
(2点)記念碑をずっと眺めていたい気分○○△△△
(2点)風邪の床のぞく明け暮れ○○△
(2点)この雨は新宿の地下水となる立ち止まる◎○●△△(コンプリート句)
(2点)生乾きのにおいのする昼めしだ○○△△
(2点)火のついた手紙いつ離そうか○○△△△
(2点)文芸コーナー居並ぶ夏の無精髭ども○○△△△△
(1点)誘蛾灯があおく蛾もこない部屋です○△△
(1点)処女だったおんなに子供ができた◎○●●△(コンプリート句)
(0点)雨上がり苦笑い青い傘の男さ○●△△
(0点)悪夢に跳ね起きる凌霄花窓から覗き込んでる○●△
(-1点)死者おちんこも隠さずに●△△△△
(-3点)がたがた音たてやがって寝れねぇじゃねぇか●●●△△
(無点)朝起きていきなりすぐの朝ごはん△△
(無点)風のかたちに夜のジョギング△△△△
(無点)からっぽの花瓶からすぐに指抜き△△
(無点)青色クレヨンが雨になったよ△△△
(無点)選句結果をまとめる手の玉葱くさい△△△
(無点)一日動かない部屋の空気のおもたさ△△△△
(無点)無愛想なレジの女ピアスの穴が膿んでる△△
(無点)七夕飾り雨を纏って秘密囁いている△△




(以上、27句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



◆作者発表(投句順 編者除く)

【馬場古戸暢】
風のかたちに夜のジョギング
さっきと違う人が寝ているベンチ
選句結果をまとめる手の玉葱くさい

【中筋祖啓】
朝起きていきなりすぐの朝ごはん
はばたいたミサゴは必ず次へゆく
記念碑をずっと眺めていたい気分

【松田畦道】
無愛想なレジの女ピアスの穴が膿んでる
叱られて歩く子も一人前の荷物
地球儀を指で止めてここへ行きたいここで死にたい

【藤井雪兎】
火のついた手紙いつ離そうか
この雨は新宿の地下水となる立ち止まる
からっぽの花瓶からすぐに指抜き

【小笠原玉虫】
寝てはいけない人と寝る外は雷
悪夢に跳ね起きる凌霄花窓から覗き込んでる
七夕飾り雨を纏って秘密囁いている

【風呂山洋三】
文芸コーナー居並ぶ夏の無精髭ども
雨上がり苦笑い青い傘の男さ
生乾きのにおいのする昼めしだ

【シブヤTヒロ】
誘蛾灯があおく蛾もこない部屋です
がたがた音たてやがって寝れねぇじゃねぇか
青色クレヨンが雨になったよ

【天坂寝覚】
月あかりそうっと戸を開ける
一日動かない部屋の空気のおもたさ
風邪の床のぞく明け暮れ

【畠働猫】
死者おちんこも隠さずに
母の指差す空に私はなんにも見えない
処女だったおんなに子供ができた


34 件のコメント:

  1. (8点)母の指差す空に私はなんにも見えない◎◎○○○○△

    ◎母上が見たのは鳥だろうか、それとも昼の星か。おそらくは介護の一場面だろう。空になにかが見えるという母に、そうだね見えるねと適当な相槌を打ちながら、実はなにも見えていないという、その距離感がいい。同じものが見えていた頃も、確かにあったはず。その過去の遠さが、なんとも哀しい。(畦道)
    ◎人があれだこれだと言うて指差しているのに、全く気づかない。なんてことよくあります。あくまでも人間はひとりだということを気づく。そういう意味ではないのでしょうが、そう受け取りました。(Tヒロ)
    ○これもひとつの老いのかたちか。あるいは、私を取り残して母は新しい世界をみはじめているのか。(古戸暢)
    ○「私は」はいらなかった気もするが、母子間の意思疎通が満足にできていないのは伝わってくる。母は空に何を見たのだろう。(雪兎)
    ○母にしか見えない何か。母との距離感を感じます。それは縮めたいと思えば思うほど遠退くものかもしれません。(洋三)
    ○誰かが指差した先に何も見つけられないことがよくある。「あれ!」と言われても「どれ?」というように。そういう時僕は視点の違いというものを通じて他者との隔絶を感じるのだけれど、“私”も母相手にそれを感じているんだろうか。(寝覚)
    △お母さんには何が見えているのかな~。ちょっとオカルト的なんだけど、なんかほのぼのしてしまう句ですね。好き。(玉虫)

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  2. (4点)叱られて歩く子も一人前の荷物◎○○△

    ◎旅行中だろうか。何をしでかしたが知らないが、一人前にしっかり歩いて行ってほしい。(古戸暢)
    ○「もう、お兄ちゃんなんだから」とか言われているのでしょうか。私がそうでした。(洋三)
    ○スーパーから帰る親子連れを想像した。怒るのでなく叱ってくれる親がいるのであれば、しっかり育つことだろう。なんとなく昭和を思った。(働猫)
    △山歩き、登山の光景かなと思った。山中にあっては貧富老若男女問わず、ただ単に「一人」としてカウントされる。そうした公平さの下でこそ「一個の人間としてどうか」というものを問われるし、また考えるのだろう。と、思ったけれどこの句は多分そういうことではないね。」(寝覚)

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  3. (3点)寝てはいけない人と寝る外は雷○○○△△

    ○たまたま居合わせてしまったら、どうしよう。(祖啓)
    ○“寝てはいけない人”と結局は寝るのだけれど、雷鳴の一瞬我に返るのかもしれない。(寝覚)
    ○この句は初見で、ハッと思いました。美しい。特選で採らなかった理由はいくつか。まず「外は雷」が余分か。「雷」ではあまりにあたりまえすぎるし、なくてもいい。または、「外は雷」を削って、季語を上の句に持ってきて定型にしてもいいか。友人とぴったりな季語を探してみたところ、「仏法僧」がよいということになった。「仏法僧寝てはいけない人と寝る」鳥の声でもあり、背徳・破戒も表現できる。ね。いいでしょう?(働猫)
    △雷だろうと槍が降ってようと、寝てはいけない人とは寝てはいけないのであーる。などと良識ぶる気はないが、やや演歌調というか、肌に合わなかった。(畦道)
    △「雷」が衝撃を倍増させています。(洋三)

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  4. (3点)はばたいたミサゴは必ず次へゆく◎○△△

    ◎これはかっこいい句。前向きであり、雄々しい。ミサゴをもってきたことで非常にイケメン句に仕上がっている。ネイティブアメリカンの格言のようでもある。おそらく作者自身の心境をはばたくミサゴに仮託しているのだろうが、「ミサゴ」を「オスプレイ」のことだとすると、政治的な風刺ととることもできる。(働猫)
    ○…と見せかけて何もしないミサゴもいるかもしれないが、何か作者の決意のようなものを感じた。格好良い。(雪兎)
    △なんかよく分かんないんだけど、ちょっと前向きな感じがして好き。ミサゴかっこいい鳥ですよね、私も好きです。(玉虫)
    △“次”が何を指すのかは分からないけれど、当たり前が当たり前に行われることの力強さを、“必ず”という言葉、“ゆく”という言い切りから強く感じる。ミサゴを知らないのでわざわざミサゴと断定した意図は分からない。(寝覚)

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  5. (3点)地球儀を指で止めてここへ行きたいここで死にたい◎○△△

    ◎命を削っての投句であれば、問答無用に他人に影響を及ぼしていく。(祖啓)
    ○どこでもいいということと読みました。(Tヒロ)
    △指し示した“ここ”への思い入れは無いんだろうけれど、そこへ行きたい、そこで死にたいと言う、思う。その一連の流れを追体験して「まだ見ぬどこかへの望郷」を抱いた。ただの逃避かもしれないが。(寝覚)
    △ダーツの旅の要領か。ここではないどこかを求めているのだろう。(働猫)

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  6. (3点)さっきと違う人が寝ているベンチ◎○△

    ◎現代社会ならではの発見だと思う。みんな疲れているのだが、その疲れを受け止める存在が必ずあるのもまた現代社会ならでは。(雪兎)
    ○作者自身も寝場所を求めて彷徨っているのだろうか。終電を逃した夜か。それとも昼休みのひとときか。ちょっと時間をおいてまた来てみたのに、違う人が寝ている。なんだよ、もう。という感じがよく出ている。(働猫)
    △うららかな日というやつだろうか。“さっきと違う人”であることに心動いたのだと思うが、どういう動きかは分からない。自分も寝たい、と僕なら思うところだけれど。(寝覚)

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  7. (2点)月あかりそうっと戸を開ける◎△△

    ◎「そうっと」が効いています。誰かを起こさないようにでしょうか。それとも月にみつからないように、などとも思ってしまいます。どこか幻想的な句。(洋三)
    △実に自由律らしくて好きです。静かな月夜。(玉虫)
    △やましい心があるのだろう。月に見咎められているような。ばれているぞ。(働猫)

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  8. (2点)記念碑をずっと眺めていたい気分○○△△△

    ○こういう心持になったことがないので、少し羨ましい。五七五のリズムになってしまっているが、感性を評価。(雪兎)
    ○だからどうなの?と思うが、いまの自分には何と無く伝わるものがあった。(Tヒロ)
    △その気分をほかのかたちで表現できればあるいは。(古戸暢)
    △記念碑そのものというよりは、その記念碑が建てられるに至った背景を見ているような。そこには無いもの、見えないものを見ていたいのだろうか。(寝覚)
    △自らの偉業なのか。それとも哀しみの碑であるのか。(働猫)

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  9. (2点)風邪の床のぞく明け暮れ○○△

    ○風邪で伏せっている感がよく出ている。類句はあるだろう。(古戸暢)
    ○心配そうな姿が目に浮かぶようです。(洋三)
    △心配なのだろう。やさしい。(働猫)

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    1. 明け暮れがのぞいているものと読んでいました。

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  10. (2点)この雨は新宿の地下水となる立ち止まる◎○●△△(コンプリート句)

    ◎見た瞬間特選に決めました。大変いいです。本来の地下水の意味とは異なるかもしれないし、きれいな水ではないかもしれない。でも、こんなことを思ってふと立ち止まってしまう作者のあり方が好き。汚いものも汚いままで受容する包容力のようなものを感じます。好きすぎる。今すぐボクと結婚してくれ。(玉虫)
    ○突然の雨に打たれ、その水の行方についてふと足を止めて考える。新宿の、という微妙さがいい。適度に汚れているのだ。なんとなく、打たれていて安心な雨という気がする。美しく降って南アルプス天然水になるような雨は、どうも落ち着かない。(畦道)
    ●これはうまく出来てない句だと思います。この雨と限定して地下に流れる(マンホールに落ちる?)動きのあとに、立ち止まると作者が出てくる。上と下の二句が繋がらずに見事にバラバラだと感じました。(Tヒロ)
    △立ち止まったのは「雨は地下水になるけれど、自分は?」という疑問が過ぎったからかもしれない。その回答が出るまで立ち止まっていたい。そうもいかないけれど。(寝覚)
    △循環するものに不意に気づいたのだろうか。足を止めて眺めてみれば、すべては無常であることがわかる。いつかその雨水に再び出会うこともあるのだろう。(働猫)

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    1. 詠み手がどこにいるのか気になってしまいました。

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  11. (2点)生乾きのにおいのする昼めしだ○○△△

    ○梅雨の家庭を想像した。(古戸暢)
    ○まずそう。(祖啓)
    △生活感、特に独り身の生活感を強く感じた。さすがに食べ物から生乾きのにおいはしないだろうと思うけれど。(寝覚)
    △弁当を包んでいたナプキンが生乾きだったのだろう。愛情もルーティンの中で行き届かなくなることもあるのだ。がまんして食べよう。(働猫)

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  12. (2点)火のついた手紙いつ離そうか○○△△△

    ○手紙を焼こうかどうしようか悩む、というのはよくある。しかし、もう火をつけてしまってなお、捨てるタイミングに迷うとは。明かに不必要な過去に対する執着。その凄まじい業を、さらっと言い表しているのがいい。(畦道)
    ○いいですね。複雑な思いが見てとれます。燃やして処分してしまおうと思い立ったのにまだ未練がある感じ。もらった手紙じゃなく、自分が書いて出せなかった手紙のように思いました。大好きな句です。(玉虫)
    △この気持ち、わかる気がします。決して未練ではない別の思い。(洋三)
    △本当の火なら“火のついた”とは言わず「火を点けた」とか言いそうに思うので、この句はほとんどが比喩で出来ていると判断した。してみると、火で手紙だからラブレターということだろうか。“いつ離そうか”は心の揺れの表れということなのだろうか。(寝覚)
    △手紙を燃やして完全に消去するためには、十分に全体に火が回らなくてはならない。だから手を離すタイミングは難しい。しかしそれ以上に心を占めているのは、手紙とともに自分をも消去したいという思いだろうか。完全に消去するためには、十分に全体に火が回らなくてはならない。(働猫)

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    1. 手紙文化を持たなかったためか、よくわかりませんでした。いつ離すか考える時間があるほど、ゆっくりと燃えて行くのでしょうか。

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  13. (2点)文芸コーナー居並ぶ夏の無精髭ども○○△△△△

    ○ふふっと笑いました。なーんか読書は冬休みよりも夏休みのが似合いますよね。暑い方が深刻な古典に向かい合うエネルギーが湧いてくるのだと思います。それにしても魅力的な無頼たちであることよ。好き。(玉虫)
    ○この場合無精髭はどういう意味なのか。平日なのか休日なのかでも変わると思います。文芸というジャンルは金にならないということか。(Tヒロ)
    △参加したい。陳列したい。(祖啓)
    △想像するだけで暑苦しい。しかし夏の無精髭どもは書店へは行かずア○ゾンなど利用するのでは。(畦道)
    △“無精髭ども”が客を指すのか、本に添えられた写真(著者近影とか)を指すのか少し悩んだけれど、わざわざ“夏の”と言うからには前者だろうか。なんにせよ、光景から伝わってくるものも想像の切欠となるものも特に無い。強いて言えば、むさ苦しいということを言いたいのだろうか。(寝覚)
    △自分はあまり本を読まないので、文芸コーナーにもあまりなじみがないのだが、こんな感じなのかな?ただ、立ち読みしてるやつは邪魔くさくてイライラする。それがしかも夏で無精髭生やしたデブだったらほんと嫌。(働猫)

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    1. 「文芸コーナー」の後に助詞がないためか、一瞬悩んでしまいました。皆さん夏休みなのでしょうか。

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  14. (1点)誘蛾灯があおく蛾もこない部屋です○△△

    ○厳しい孤独って感じがして好きです。「です」っていう言い切りの終わり方も大変好みです。物語性がある。(玉虫)
    △誘蛾灯があろうと無かろうと、そもそも蛾が来ない部屋なのか。“蛾も”という言い方は「誰も」と言っているも同じだけれど、作中主体の心情を精確に伝えるためにはこの言い方が最適なように思う。(寝覚)
    △誘蛾灯に蛾が来ないというのは製品的な欠陥があるのではないか。もしや、省エネのためにLED電球に交換してはいないか。LEDの冷たい光には虫が寄らないそうです。もう一度電球を確認することをお勧めします。それか誰も来ないなら出かけるべき。(働猫)

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  15. (1点)処女だったおんなに子供ができた◎○●●△(コンプリート句)

    ◎“処女だったおんな”がいい。遠い日に関係を持った女と見るか、最近関係を持った女と見るかで解釈が分かれると思うけれど、僕はどちらの解釈も好きだ。後者ならお幸せにと言ってやりたい。(寝覚)
    ○見逃せない本能だ。(祖啓)
    ●処女懐胎のことかとも思ったが、だからどうしたというその先がない。そして(だった)も気になる。よくよく考えると、これは誰でもそうではないか。言葉を費やして結局、なにも言えなかったという印象。(畦道)
    ●今回逆選が非常に難しかったのでほぼ言いがかりになります。言ってることがあんまり好きじゃない、というアンフェアな選び方でこちらを取らせて頂きました。処女が処女でなくなることに必要以上にこだわってんの、やーな感じ!そりゃ生まれたときは処女だし時が流れりゃ結婚するし子も産むだろうよ、それがナニか?と反感を覚えました。でもちゃんと俳句になってるし、自由律としては全然アリだと思います。(玉虫)
    △気持ちはわかります。(洋三)

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  16. (0点)雨上がり苦笑い青い傘の男さ○●△△

    ○雨に唄えばを気取り損なっての自嘲と思った。これが出来る男はモテるとは言わないまでも、かっこいいとは思う。青い傘も光景に添えられた色としてとても印象的で好きだ。(寝覚)
    ●景を想像できなかった。また単語間のぶち切れ感が気になった。(古戸暢)
    △とにかく調子がいい。とれなかったのに、何度も読み返している。(畦道)
    △雨が上がっても気づかずに傘を差していたのだろう。「男さ」が気障でよい。(働猫)

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  17. (0点)悪夢に跳ね起きる凌霄花窓から覗き込んでる○●△

    ○夏に咲く花には狂気を連想させるものが多い。とりわけ凌霄花は不気味だ。蔓から垂れ下がったオレンジの花は、真夜中に開かれた妖しいものの眼のように見えただろう。やや未整理な気もする句だが、この暑苦しさが気分だ。(畦道)
    ●悪い夢から覚めて、それから視界に入った凌霄花を美しいと思ったのだろうか。それにしても、跳ね起きてから凌霄花に気付くまでのタイムラグが排されているのは、凌霄花に感じた印象を強めたかったからなのか分からないけれど不自然。不自然さが悪いわけではないけれど、この不自然さを僕は許容できない。悪夢に跳ね起きたのは凌霄花、ということであっても。(寝覚)
    △花の呪いだろうか。僕も花に囲まれて暮らしたいと思っているが、あまりに生々しく不気味に見えることもありますよね。(働猫)

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  18. (-1点)死者おちんこも隠さずに●△△△△

    ●何たるこの衝撃。「おちんこ」句はユーモラスな感じになるものだとばかり思い込んでいただけに、いい意味での裏切りです。とりあえず、ここは逆選でいただきます。(洋三)
    △隠してあげてください。(古戸暢)
    △惜しい。おちんこは隠したほうが哀しさ倍増だった。「おちんこ隠して屍」。(畦道)
    △「死者」という厳粛な言葉と「おちんこ」という幼児語の衝突があまり上手くいっていない印象。普通に「死者性器も隠さずに」なら取っていたかも。(雪兎)
    △前回の研鑽句会を受けてのネタをそれなりに仕上げてきたな、という感じ。その背景が無い、知らないとしても無難という印象は拭えないと思う。無難が悪いわけではないけれど。(寝覚)

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    1. 畦道さんの句であれば、採っていたかもしれません。ただ「屍」ときくと、どうしてもドラクエを先に思い出します。

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  19. (-3点)がたがた音たてやがって寝れねぇじゃねぇか●●●△△

    ●困った・・・。なんとも、申し訳のない気持ちになった。(祖啓)
    ●何かあるかと思って何度も読んでみたが、これではただの抗議の台詞だ。これを句とした意図を知りたい。(雪兎)
    ●若い二人は周囲に気をつかう余裕なんてないのですからしかたがないのです。あなたにもそんな時代があったはずです。広い心を持って、聞こえないふりをしてあげてください。(働猫)
    △直球すぎるか。(古戸暢)
    △うむー。俳句かなー。(玉虫)
    △口語表現の句が向かう先の一つがこういうものなのかもしれないけれど、この形は作者のキャラクターとセットになってはじめて句になるものだと思う。(寝覚)

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  20. (無点)朝起きていきなりすぐの朝ごはん△△

    △朝ごはんが用意されていること、用意してくれる人がいることはとてもありがたいことなのだけれど、“いきなりすぐ”だと少し重たい。いや、ありがたいとは思うし、思ってるんですよほんとに。(寝覚)
    △小学生まではこのように、「起こされて」「ごはんが出てくる」という普通の生活が送れていました。今思えばそれこそが幸福だったのかもしれない。なんだって失ってから気づくものだ。(働猫)

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  21. (無点)風のかたちに夜のジョギング△△△△

    △発想は悪くありませんが、この手の句は結構見ます。(雪兎)
    △あーこれ、分かるなぁ。夜の方が風をはっきり感じますよね、何故だろう。夜のジョギングもまた楽しい一人遊びのひとつ。シンパシーを感じます。好きです。(玉虫)
    △“ジョギング”ということならこの風はそよ風なのかなと思ったけれど、どういう風なのかは言い切ってくれた方がよかった。“かたちに夜のジョギング”に心地よいスピードを感じただけに。(寝覚)
    △夜のジョギングは気持ちがいい。僕も夜の運動が好きです。(意味深)(働猫)

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  22. (無点)からっぽの花瓶からすぐに指抜き△△

    △この画は好き。何故指を入れたのか、そして何故すぐに抜いたのかは全く分からない。その理由が僕なりにつかめるまでは、句として見られない。(寝覚)
    △何やってんだ。仁和寺の和尚か。(働猫)

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    1. 特異な状況なためか、わかりませんでした。

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  23. (無点)青色クレヨンが雨になったよ△△△

    △メルヘンな句。あと何年かしたら私も「青色クレヨン」で詠みたいものです。(洋三)
    △幼子と絵を描いている光景が浮かんだ。見て幸せな光景であるし、うたとしても聞いて幸せなうただと思うので、愛されやすいんじゃないだろうか。(寝覚)
    △初めてクレヨンで絵を描いたときの喜びだろうか。クレヨンが紙の上で何にでも変わる。あどけない発見に満ちた瞬間。そんな時代が僕にもありました。(働猫)

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    1. 洋三さんの数年後の句が楽しみです。

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  24. (無点)選句結果をまとめる手の玉葱くさい△△△

    △料理の合間に選句。生活感溢れる味わい深い句です。(洋三)
    △洗ってもなかなか落ちないからねー。さておき、このままだと日記でしかない。(寝覚)
    △ハンバーグでもつくったのでしょうか。選句が生活の中に溶け込んでいる。自分はまだこのような境地になれない。(働猫)

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  25. (無点)一日動かない部屋の空気のおもたさ△△△△

    △この句もどこかで見たことがあるような。悪い句ではないのですが。(雪兎)
    △こちらも好き。このぽつん感が実に自由律っぽい。一日家にいて、何もしたくない日もありますよね。(玉虫)
    △海紅の先輩曰く「“硬さ”は硬くない」とのこと。この句を読んで思い出しました。(洋三)
    △空気の重たさを感じるのは違う空気の場所から移動してきたからだ。自分の部屋だとすれば、一日留守にしていた部屋に帰ってきて感じたのであろう。しかしそれが他人の部屋だったとしたら、その部屋の住人は一日動かなかったのだ。空気の重さ以上の悲劇が待っているような気がしてならない。(働猫)

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  26. (無点)無愛想なレジの女ピアスの穴が膿んでる△△

    △“無愛想な”は無くてもいいように思う。「レジの女のピアスの穴が膿んでる」で十分じゃないだろうか。(寝覚)
    △「無愛想」と「ピアス穴の膿み」は両方入れるととっちらかってしまう気がする。だいたいピアス穴の膿んでるような女は無愛想に決まっている。「耳たぶ腐って取れかかってるのにやたら愛想のいい女」だったら句材にしたい。いや、うまくできる自信はないけど。(働猫)

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  27. (無点)七夕飾り雨を纏って秘密囁いている△△

    △“秘密囁いている”がいいだけに、“雨を纏って”が残念。(寝覚)
    △きれい。秘密は短冊にあるのだろう。(働猫)

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