2013年1月31日木曜日

第九回 鍛練句会


最高得点句

知らない人が四回目の出場だ


最低得点句

スプーンの、事が・・・・・・・・、好きです。


互選集計
(7点) 知らない人が四回目の出場だ ◎◎○○○
(3点) シュークリームをつかむ小指の爪の長い ◎○
(3点) 雨を来て来ただけ ◎○
(3点) 長靴ちいちゃく雨を蹴った ◎○
(3点) 冷蔵庫氷を産んだ聖夜 ◎○
(3点) 舌だしてもの欲しがってぶさいく ◎○
(3点) また寝て夜 ◎○
(3点) 名言つぶやいても私の声 ○○○
(2点) 人妻が待っているメールを開く ○○
(2点) 拳怪我したまま新学期 ○○○●
(2点) ストーブの内々に燃ゆ芯の炎 ◎
(1点) くだを巻く金もなく直帰 ○
(1点) 磨り減ったサンダルが火事だといって走る ○○●
(1点) すっからかんだった夜(よ)に雪満ちる ○○●
(1点) くびれてるからあの星が見える ○
(1点) 肺病む父子であり無口 ○
(1点) 愛も死体も抱いて湖凍りつく ○○●
(-1点) 低きに流れて大河 ●
(-1点) 宿るものごと平たい骨を嚥下する ●
(-2点) スプーンの、事が・・・・・・・・、好きです。 ○●●●
(無点) 名前を呼ぼうとして枯れ草
(無点) 雪の深さ知る右足
(無点) ローソクや見せ物にしてはならない事がある
(無点) 磯野家にない二階が暮れている


※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計


◆作者発表

【渋谷知宏】
雪の深さ知る右足
冷蔵庫氷を産んだ聖夜
くだを巻く金もなく直帰

【天坂寝覚】
雨を来て来ただけ
また寝て夜
名前を呼ぼうとして枯れ草

【中筋祖啓】
ローソクや見せ物にしてはならない事がある
スプーンの、事が・・・・・・・・、好きです。
ストーブの内々に燃ゆ芯の炎

【畠働猫】
宿るものごと平たい骨を嚥下する
すっからかんだった夜(よ)に雪満ちる
愛も死体も抱いて湖凍りつく

【馬場古戸暢】
長靴ちいちゃく雨を蹴った
人妻が待っているメールを開く
シュークリームをつかむ小指の爪の長い

【藤井雪兎】
拳怪我したまま新学期
くびれているからあの星が見える
名言つぶやいても私の声

【本間鴨芹】
磯野家にない二階が暮れている
知らない人が四回目の出場だ
低きに流れて大河

【松田畦道】
肺病む父子であり無口
磨り減ったサンダルが火事だといって走る
舌だしてもの欲しがってぶさいく

五十音順

以上、8名
※今回、白川玄斎さんが欠席(選句には参加)、畠働猫さんが新たに参加いたしました。



105 件のコメント:

  1. 知らない人が四回目の出場だ (7点)

    ◎「いったい何の大会なのだろう。一切明かされないまま突然現れる『知らない人』。本句の作者も、自分が何を眺めているのか実は分かってないような気がする。四回目の出場だという人がハンマーでも砲丸でも槍でもない何かを豪快に投げ放ち、雄叫びを上げる。まるで悪い夢でも見ているようだ。」
    ◎「結構なベテランを知らないのだからこの人(句の主体)は初出場なのだろう。この句をどう取るかで人生の現状が分りそうだ。焦りを覚えるか、このベテランの技を盗もうとするか、それとも無視するか。」
    〇「嫌がらせのような光景が、逆に笑える。なんとなくタイガーマスクとか、江頭2:50などを連想させられた。」
    〇「たとえどんな偉業であろうと、関心のないものからすれば、こんな感想になる。これを逆の立場に置き換えるならば、今自分がこだわっていること、取り組んでいることも、他人から見ればこのように感じられるということだろう。ただ句にせよ、詩にせよ、本当によい物は無関心なものをも感動させる力を持っているとも思っている。いつかそんな詩や句を生み出したいものだ。しかし、「四回目」は絶妙である。五回以上なら知らなくともすごいと思うだろうし、三回以下なら目に留まらないだろう。おそらく実際の日常を切り取ったのかと思うが、計算ならばおそろしい。」
    〇「何度も遭遇したであろう景だ。よく句にしたと思う。」

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    1. やっぱりこれは、江頭2:50の事であって欲しいです。

      江頭の事を全く知らない人からしたら、こうなってしまうはず。

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    2. 僕はこの句は、やっぱり何かの中継をテレビで見てる時に、出場者の事を知り、それが全く知らない人だった事に滑稽さを感じた句だと思いました。

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    3. 特選に頂きました。
      一番上の評です。
      謎めいているのに解説を必要としない、読み手の自由な解釈で楽しめる句だと思いました。
      お見事でした。

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    4. 特選にていただきました。
      上から二番目の評が私です。
      一読するとユーモラスな印象ですが、この「知らない人」に感情移入するとまた違った味わいが出て来る句ですね。

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    5. 並選 「たとえどんな~」の評。
      鴨芹さんのユーモアが好きです。

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  2. シュークリームをつかむ小指の爪の長い(3点)

    ◎「シュークリームから指の観察へと向かう、そんな視点がいいなと思いました。放哉の「はちけそうな白いゆびで水密桃がむかれる」を思い出しました。」
    〇「最初、小指の持ち主は当然、女性だと思っていた。しかし、小指の爪だけ伸ばしているオッサンもいることに気づく。するとこの句に、ある種の不気味さが生まれた。私の妻の父も、小指の爪を伸ばしていたと聞いた事がある。シュークリームはおそらく、愛人への手土産だ。このおぞましさに〇を。」

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    1. こんにちは。先週の月曜日に退院して、半年ぶりのコメントです。今年もよろしくお願いいたします。

      この句を特選で頂きました。上記の放哉の句を連想しました。私の好きな句の一つです。
      シュークリームから指先への視線と関心の変化、こういう所がいいなと思いました。

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    2. 取りませんでした。並選にあるとおり、男性の指を想像して、取らなかったんです。玄齋さんの評はお見事ですね。確かに本歌取りの感じします。

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    3. 皆さん、ありがとうございます。
      一緒のバスにのっていた、若い女性の指先でした。

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  3. 雨を来て来ただけ(3点)

    ◎「目的に対して困難な手段を選択・実行する場合、往々にして手段そのものが目的にすりかわってしまう。「雨を冒しても(会いに)行く」ということ、それ自体が目的となってしまった。雨の中を来た者はそれだけで満たされてしまったのだ。しかしそれを迎える側は、こんな雨の中をわざわざ来て、そして黙っている相手の真意を量りかね、困惑し、自分もまた黙って立ち尽くすしかない。本来の目的であった愛は、雨にまぎれて流れ去ってしまった。そんな夜の出来事だろう。」
    〇「悪天候の中をわざわざやって来たのに目的を果たせなかったときのやるせなさ。でも雨の中を来たという達成感は一応感じているようだ。」

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    1. 「雨を来て」にぴんと来ていませんでした。評を読んで納得しました。

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    2. 取りませんでした。でも何かイヤとか、嫌いとかいうわけでもなく。不思議と入ってこなかった。でもじっくり考えると、虚しさがありますよね。前後の句が読んで見たいといまは感じてますね。

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    4. 特選。
      寝覚さんの才能は日本の宝。

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  4. 長靴ちいちゃく雨を蹴った(3点)

    ◎「「ちいちゃく」がいい。よく気付いたと思う。蹴った本人も気付いてないだろう。雨を蹴ったことを。」
    〇「おそらく子どもの景だろう。何とも可愛らしい句だ。愛情が詰まった佳句。」

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    1. 並選です。これはそのまま正直に読んで、その意味を味わう。そんな句ですよね。でも、結構凝ってる。そこに巧さを感じました。

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    2. 特選に頂きました。
      スーパースローでリプレイしているような、そんな繊細さを感じました。

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    4. ありがとうございます。
      こういうぽんと浮かぶ句が、やはり好きです。

      ※上コメントでは「句」が抜けていました。失礼いたしました。

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  5. 冷蔵庫氷を産んだ聖夜(3点)

    ◎「キレイ。断られても仲間入りしたい。ガリガリ君のすぐ横で、このような神秘が起きていたとは!」
    〇「聖母マリアの処女懐胎を思わせるが、正確には聖夜はキリストの誕生日の前日である。それはまあいいとして、冷蔵庫は果たして処女なのだろうか?私は別にどちらでもいいが、この句を読んだ後で何故か冷蔵庫を愛おしく思った。」

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    1. 意味をとれていませんでした。聖母マリアとかけてあったのですね。

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    2. 評を読んで納得いたしました。何故「産んだ」なのか、聖母マリアに思い至ることができませんでした。

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    3. 皆さんどうもありがとうございます。
      冷蔵庫が氷を産む、なんて本来あり得ない話ですが、製造はします。
      聖夜に限らずですが、日常の何気無いことを意味ある物として表現したかったと言うと、意味不明ですかね。
      実際の景を素にした句です。

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  6. 舌だしてもの欲しがってぶさいく(3点)

    ◎「”舌だしてもの欲しがって”いるから”ぶさいく”なんだろうと思うが、そうはいってもかわいらしい。「浅ましい」の一言で切り捨ててしまいそうだけれど、よく拾い上げたなと思う。」
    〇「地球の広さを感じた。日本に居ながら、海外を体感することが出来る見事な秀句だ。」

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    1. 並選の方の評の解説が欲しいところです。海外とのつながりがいまいち。

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    2. この句を見て、時代や国によって美人の基準が色々と異なる事が、真っ先に連想されましたので、こうなりました。

      クレオパトラ、楊貴妃、小野小町って、どういう美人だったのか?

      それと、江戸時代の春画も、思い出してしまいました。
      あれも、現代人からすると、ちょっとギャグに見えてしまう。

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    3. 取りませんでした。犬か猫を詠んだ句だと思いました。動物への愛情を詠んだだけと感じたのです。勿論それは悪くは無くて、ただ共感というとこまでは出来なかったです。

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  7. また寝て夜(3点)

    ◎「二度寝ですね。」
    〇「二度寝をして夜まで眠ってしまったのか、それとも睡眠のリズムが夜型になってしまって、夜に目覚めるサイクルになってしまったのか。いずれにせよそれは、昼の世界との関わりを絶ってしまったということだ。今から身支度をして出かけても、買い物もできない。まともな食事もできない。図書館だってやってない。コンビニ、24時間チェーンの牛丼屋、インターネットカフェ……。夜の孤独の受け皿はどれも空虚で陳腐で薄暗い。そしてまた何も予定ができなかったと後悔し、ただただ癒せない焦燥感を抱きながら、訪れる睡魔に任せてまた夜まで眠ってしまう。自分もすぐに生活リズムが乱れるのでよく分ります。」

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    1. 並選 「二度寝をして夜まで~」の評。
      これも寝覚さんの句。「好き」で選ぶと寝覚さんの句ばかり選んでしまう。

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  8. 名言つぶやいても私の声(3点)

    〇「ツイッターの世界観がうまく表現さrている」
    〇「自分の声が嫌いだ。仕事上、録音したものを聞かなくてはならないことがあるのだが、背中がむずむずしてしまう。当然、名言などに合わないと思う。『長いものには巻かれろ』とか、『寄らば大樹の陰』など、情けない格言がお似合いだ。なのでこの一句に強く共感した。いわば草臥れた大人のペーソス。」
    〇「名言とそれを口にする自分自身の比較・格闘の様子が窺えます。名言の中身をきちんと自分のものにしているか、大切な視点だと思います。」

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    1. 声に出して何を言ったのでしょう。ちなみに自分の声をそのまま聴く以上に、録音された声を聴く方が、ダメージが大きい気がします。

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    2. 取りませんでした。しかし、これも凝った句だと思いました。名言とは即ち格言とか歴史的な言葉とか重みがあるもの、それに対して現実の何と小さく軽い事。とはいえ、この自己否定な感じが、わかりませんでした。

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    3. 自己否定というより、名言と自分の距離の遠さを実感している感じですね。
      もっとも、この句の主人公は諦めておりません。
      生きていれば必ずチャンスはあるのですから。

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  9. 人妻が待っているメールを開く(2点)

    〇「「人妻」がなんとなくエロティックな含みを持つようになったのはいつからなんだろうか。」
    〇「最初かなりいかがわしいものを感じたが、自分の奥さんを敢えて『人妻』と呼んだとすると、この夫婦間の距離は少し離れているのではないだろうか。奥さんを他人にしたがっている夫の思惑が見える。」

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    1. 人妻にメールですから、どこか後ろめたいものがありそうですが、この句は不思議とコソコソした感じがないというか、むしろ爽やかな印象を受けました。
      ふたつめの評、面白いですね。

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    2. 「人妻」とは言え、エロさはあまり考えられず。メールがきた相手が既婚の女性で、その状況を客観的に見て、「面白そう」と思った作者がニヤリと作った句だと思いました。

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    3. ありがとうございます。これはわかりにくくていけませんでした。

      迷惑メールです。何故か一時期、人妻が待っているという旨のタイトルをもったメールがよく届いていたのでした。

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  10. 拳怪我したまま新学期(2点)

    〇「休み明けって、同級生が怪我したりとか、自分が怪我をするとかあった。怪我したやつは何か成長してきたような気がしたものだった。自分の場合は恥ずかしかっただけだけど。」
    〇「格闘漫画の始まりかなと思いました。中学の頃、友人が嫌いなやつを思い切りぶん殴ってしばらく手を使えなくなったそうです。」
    〇「前の学期の終わりに拗らせた関係がそのままの状態で休み明け。今はそれほど腹は立たないけれど微妙な雰囲気。」
    ●「これがもしも、自分自身の実体験であれば、もっと、面白い言葉がでるはず。「事実は小説より奇なり」を見たくなった。」

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    1. とっていませんが、悪くはなかったです。いったい彼に何があったのか。

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    2. 並選です。なんか、若者の成長を感じました。いまはこんな感じって柄が悪いとか、怖いとか否定的に見られるかも知れないですよね。でも、僕なんか子供の頃はこんなのありました。

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    3. これは実体験ではなく想像の句です。
      でもこういう光景は至る所にあるでしょう。
      暴力は良くないですが、やらなければ誇りを失う場合もあるのです。

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  11. ストーブの内々に燃ゆ芯の炎(2点)

    ◎「静かな景。しっかりと燃えている炎は作者の心か。写生句の理想的な形。景に作者が入っている。」

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    1. 写生句ではありますが、言葉に拠っている感じがしたためとりませんでした。

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    2. 特選で取りました。
      言葉に依っている、依り方と写生のバランスが個人的に好きです。
      「芯の炎」っていい表現だな。

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  12. くだを巻く金もなく直帰(1点)

    〇「この日は家で一人酒となったことだろう。」

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    1. ほんとに金が無いと何もできない世の中なんだなあと身に沁みます。

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    2. この句はそのままの句です。僕は小遣い制なので、やり繰りに苦労してます。小遣い俳人って自分で呼んでます(笑)この後は、くだを巻けない分句作に精を出すことにしました。

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    3. >くだを巻けない分句作に精を出すことにしました。

      素晴らしいです。くだ巻いてばかりの私ですいません(;´∀`)

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  13. 磨り減ったサンダルが火事だといって走る(1点)

    〇「こういう時に真っ先に走り出すのは、たしかに”磨り減ったサンダル”のような気がする。」
    〇「火事の最中の冷静な観察眼、後で振り返ると強烈な印象で残っているのかなと思いました。」
    ●「実際の火事の場にいると、サンダルの磨り減りを見てる余裕はないだろう。となるとこの句は、ドラマチックに彩色された句なのだと分る。見事な切り取りであるが、見事すぎるゆえ違和感を感じた。」

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    1. サザエさんを連想しました。火事へ向かって野次馬根性を出して走っているところかと。

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    2. 評を入れませんでしたが、私も、サザエさんを連想しました。

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  14. すっからかんだった夜(よ)に雪満ちる(1点)

    〇「三好達治『雪』を思わせる、静謐な世界。ただ疑問なのは『夜(よ)』のルビ。これは必要だったのだろうか。よる、と読んでもこの句の価値は変わらないと私は思うのだが。むしろ読み方を限定することで、景色の拡がりが損なわれてしまうことを心配した。これはぜひ、作者に解説をお願いしたいところ。」
    〇「私は雪国出身者なのでこの感じは良くわかる。雪のな冬の夜の欠落感はかなりのものだ。とはいえ雪が積もったら積もったで、ぶつくさ言いながら雪かきすることになるのだが。ここら辺、他人との関係に似ていなくもない。」

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    1. ●「夜」を「よ」とルビをつけた理由が知りたい。必然性を感じなかったので。」

      ※記載漏れでした。
      (渋谷)

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    2. 逆選と同じく、ルビの必然性がわかりませんでした。個人的には、よると読みたいところでもありました。ルビがなかったらとっていたかもしれません。

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    3. これは、編集担当として確認すべきことだったかなといまでは感じてます。あくまで投句受けた句は作者の意図と考えてますので、ルビがあるものはそのまま表記しました。しかし、投句を見て少し「ん?」と感じたのも事実。ただ、あっても無くても大丈夫だろうとも感じましたので、そのままの表記としたのです。

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    4. 作者です。
      句評ありがとうございます。うれしいです。
      これは過去作から。作った当時は「よる」と読んでいましたが、改めて見ると納まりが良すぎるように思えて「よ」とルビを振りました。
      「すっからかん」「だったよるに」「ゆきみちる」
      では3つの塊が平板で山場が無くつまらないなあという気がしてきたのです。
      「すっからかんだったよに」ここまでを一気に読んで、性急さや焦燥感を表し、「ゆきみちる」というところへ着地、あるいは静寂を表現できるのでは……と。
      また、「よ」という音から「世」「余(わたし)」へのイメージの派生も得られるのでは……とか。
      ルビが不要で解釈に委ねるべきだったとは、逆選の方の評に今では賛成です。

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    5. すっからかんだった/夜(よ)に/雪満ちる

      と読んだために、音韻的な面で、一句目と二句目のつながりに坐りの悪さを感じていました。「すっからだんだった・・・夜に!雪、満!」という感じで捉えていたのです(伝わるでしょうか)。

      「夜(よ)」としてとらえたため、世や余まではイメージできておりませんでした。

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  15. くびれてるからあの星が見える(1点)

    〇「山の稜線がくびれているところがあって、そこに星が光っているのだろうか。くびれって良いものだなと思った。」

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    1. 評を読んでようやくわかりました。私はてっきり女性のくびれかと。

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    2. 確かに山の稜線の事ですよね。くびれって、気づかなかった。読めないですね。くびれの意味が取れず取りませんでした。

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    3. 私はくびれと聞くと女性のウエストを真っ先に連想してしまうので、評を読んでしまったと思いました。
      ちょっと説明不足でしたね。

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    4. 並選で頂きました。
      星が比喩なのかなとも思いましたが、あえてくびれが女性のウエストではないという風に読んでみました。
      ちなみに僕も、くびれと言えば真っ先に女性を思い浮かべます。念のため。

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  16. 肺病む父子であり無口(1点)

    〇「父子に会話がないことは特別なことではない。ただこの父子には確かな満足と互いへの愛情を感じる事が出来る。「同病相憐れむ」というが、同じ病を得ているということは、互いの痛みをわかりあえるということだ。「無口」であるということは、言葉が不要であるということだ。ただここに在るということが互いの痛みや苦しみを慰める。言葉ではなく互いの存在で慈しみあう父子の風景がここにある。私も病人や身内の死などで悲しみの中にいる人に対していつも言葉を持てない。「大丈夫か」と問われれば、大丈夫でなくとも、問いかけるものを気遣い「大丈夫」と答えざるを得ない。それはさらなる苦痛だ。この父子にはその必要がない。しかし愛情はあふれている。」

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    1. 並選。
      畦道さんの句には上品な知性を感じます。

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  17. 愛も死体も抱いて湖凍りつく(1点)

    〇「北の景だろう。心中した二人を拾い上げるのは、春先のこととなる。」
    〇「寒い北のお話。どこか哀しい民話のような句だ。凄惨であり美しい。」
    ●「二時間ドラマを見ながら作った句なんじゃないかと思った。」

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    1. 並選です。二番目の句評です。一番目の句評がお見事。悲惨なんですけど、情というか、そこが二時間ドラマなのかも知れないけど、冷たくて寒くて哀しいけど愛がある面白い句だと思いました。

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    2. 作者です。
      句評ありがとうございます。
      これは北海道の道東にある阿寒湖の情景を詠みました。
      幼い日に聞いた情事やアイヌの物語がもとですので、逆選の評にも納得です。

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  18. 低きに流れて大河(-1点)

    ●「あまりに当然のことすぎるか。」

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  19. 宿るものごと平たい骨を嚥下する(-1点)

    ●「平たい骨、の読み方に苦心した。まず考えたのが蟹の足から出る、軟骨のようなもの。しかしこれは嚥下するのは難しい。では肉か魚か。いずれにせよ骨が飲み込めるほど、丁寧に調理されているのだ。結局よく分らないが、『宿るもの』に思いを馳せるなど少々模範的すぎる」

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    1. 魚を食べてる時の句かなと思いました。読みづらかったです。

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    2. 作者です。
      句評ありがとうございます。
      これは遺骨について詠みました。

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  20. スプーンの、事が・・・・・・・・、好きです。

    〇「この感覚がないので読めないけれど、リズム感が好きなので取る。」
    ●「ちょっと意味が分らなかった「キリンさんが好きです、でもゾウさんのほうがもっと好きです」というCMを思い出した。」
    ●「この句を逆選にしたら負けな気もするが、敢えてする。とはいえ内容的にはそれほど嫌いでもない。むしろスプーンに対してこのような感情を抱けたのを称えたいぐらいだ。ただ、句読点や中黒などの記号を多用すると、いずれ言葉がそれらに乗っ取られて、記号だけの句ができそうだ。そしてその句は、人には理解されないだろう。コンピューターには理解されるかもしれないが。」
    ●「何だかよくわからなかったです。」

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    1. 難解だったため、選から外しました。

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    2. 上から三番目の評が私のです。
      内容は好きなのですが、やはり記号が気になってしまいました。
      これが現代詩の世界なら特に問題にはなりませんが、
      リズムありきで作られる俳句の世界では、
      記号はリズムを持つのか判断が難しい所です。
      この疑問は、これからの祖啓さんの句が解き明かしてくれるのかもしれません。

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    3. ●「ちょっと意味が分らなかった「キリンさんが好きです、でもゾウさんのほうがもっと好きです」というCMを思い出した。」

      この評が、お見事だったので、面白い結果だと思いました。

      スプーンの事が好きだという事を、公に告白できて胸がスッキリする想いでしたが、記号の問題が浮上するとは予想外でした。

      しかし、たしかに、ゾウさんの事も、好きです。

      どうしようかな?

      スプーンとゾウさんだったなら、スプーンのほうが、より、好きです。

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    4. 取りませんでした。
      おそらく作者は、フォークや箸よりもスプーンが好き、ということではなくてスプーンそのものが持つ形状とか光沢とか、そういうものが好きなのではないでしょうか。確かに良く見ると官能的にも思えますし、ゲームの小道具にもなるし楽器にもなる用途の幅広さも魅力です。
      この句は、是非ユリ・ゲラーに読んでもらいたい。

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    5. 編集担当として、入力する際にようやくこの句の雰囲気がつかめてきた。
      鴨芹さんのいうように、スプーンに愛着があるのである。この道具に対する愛情と言うか信仰のような感じは、日本人的な感覚だと思う。昔物作りは、特殊技能として扱われていたそうです。記号に関しても面白いと思う。句意がちと選に入れるには物足りなかった。まあ、これは単に好みの問題かも知れないですけど。

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    6. 逆選 「ちょっと意味が~」の評。
      自由だからと言っても、ハンバーグばかり食べずに野菜も食べなくてはいけないんじゃないかと思います。

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  21. 名前を呼ぼうとして枯れ草(無点)

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    1. 取り合わせで枯れ草を持って来たのは悪くはないと思います。
      ただもっと鮮烈に表現できたかも。

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    2. 僕は取り合わせの枯れ草がよくわからなかった。句意が掴みきれなかったままです。自解が欲しいですね。

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    3. 私も枯れ草がわかりませんでした。名前を呼ぼうとしてなぜ枯れ草なのか。自解を望みます。

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    4. 悪くないとは思いました。定型句にはよくある、二物衝撃に近い手法ではないでしょうか。ただ、『やつぱり一人はさみしい枯草』(種田山頭火)との類似が、少し気になりました。

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  22. 雪の深さ知る右足(無点)

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    1. 右足が積雪にはいったところでしょう。悪くはないと思いました。私個人がそのような積雪を実際に知らないためか、とるにいたりませんでした。

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    2. いい句なのですが、今回の鍛練句会は結構濃い句が多かったので、そちらの方に目が行ってしまいました。
      でも決して悪くはないと思います。

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    3. 取りませんでしたが、この季節よくあることなので共感しました。
      雪に足を突っ込んだら予想以上に深かったという感じでしょうか。その驚きに対して「知る」は少々物足りない感じもしました。

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    4. 迷った末、とりませんでした。とても姿のよい句だと思いますが、ややインパクトが弱かったのでしょうか。ひとつの景色、ひとつの感慨を過不足なく描くに留まらず、その先にある何物かを見せてほしいです。

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    5. 皆さんどうもありがとうございます!
      この句は雪の山の句です。思ったより深かったんで、想像以上でした。一回びっくりしたのに、二回も三回も驚かされてしまいました。この句は何気ないこういう驚きを句にしたいとも思って作りました。

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  23. ローソクや見せ物にしてはならない事がある(無点)

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    1. 景がまったくみえてきませんでした。

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    2. 真っ先にSMを連想してしまいました。
      確かにあれは見世物にはできない。
      でもローソクの炎は、電灯に慣れた目からすると妖しく見える時が確かにあります。

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    3. SMですか。そっち方面には疎いもので、その読みはできませんでした。

      自解も欲しいです。

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    4. >古戸暢さん

      それだと私がSMに詳しいみたいじゃないですか(笑)
      ちなみに私にはそのような体験はございません(;´∀`)

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    5. なかなかミステリアスな、味のある句だとは思います。ただ、『……ならない事がある』と言い切られてしまうと、世の中には知ってはならぬ事がある、みたいな感じで、これ以上意味を考えるのをやめたくなってしまうというか。怖い俳句、のカテゴリーですね。

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  24. 磯野家にない二階が暮れている(無点)

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    1. 「磯野家にない」がわかりませんでした。磯野家は確かに平屋で二階をもっていませんが、とりたてて言う必然性がみえませんでした。

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    2. 取ってませんが面白いと思います。
      この家は磯野家より家庭環境が複雑になりそうです。

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    3. この句も、面白いですよね。
      鴨芹さん独特の表現だと思います。
      サザエさん見てる、日曜の18:30頃の時間帯になんかあったのかな?

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    4. 一見ユーモラスな句なんですが、その印象の源はおそらく『磯野家』にあるんですよね。これはイメージに寄りかかりすぎだったのでは。イメージの固定した固有名詞の扱いには注意が必要だと思いました。

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    5. 沢山のご意見、ご感想ありがとうございます。
      改めて考えると、まだ検討が必要だった句だったと思います。
      マンガだからと言ってしまえばそれまでですが、サザエさん一家にはドタバタはあってもドロドロはありません。もしかしてそれは平屋に住む大家族だからではないだろうか、とある時思いました。もしも2階建てで二世帯住宅だったりしたら不倫や家庭内暴力などの問題が入り込む余地があるのではないだろうか。
      そう思い始めてから、夜、二階の電気が消えている家が気になるようになりました。
      畦道さんご指摘の件はそのとおりだと思います。固有名詞は難しい、だからこそ使いたいというのもあるのですが。

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  25. みなさんお待たせしました。
    鉄塊第九回鍛練句会の結果でございます。

    今回、選のない句は(無点)として表記させていただきました。
    私の句も入っております。
    自分に対する戒めも兼ねてということで、お許しください。
    では、よろしくお願いします!


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    1. 渋谷様

      無点の句でもそれ単体で読むとそんなに悪くなかったりするんですよね。
      でも句会になると埋もれてしまう場合もあって…
      アップお疲れ様でした(´∀`)

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    2. どうもありがとうございます!
      研鑽も良い頃合いで上げます!
      無点の句についても、検証が必要ですね。

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