2013年4月30日火曜日

第十二回研鑽句会



(最高得点句)

ダンサーになろか凍夜の駅間歩く(5点)


鶏しめる男に雪が殺到す(5点)



(5点)ダンサーになろか凍夜の駅間歩く◎◎○
(5点)鶏しめる男に雪が殺到す◎○○○
(4点)たてとほす男嫌ひの単帯◎◎
(4点)母と子のトランプ狐啼く夜なり◎○○
(4点)初夢のなかまで君よいくぢなし○○○○
(3点)わかち合ふ水蜜桃は匙で切る◎○
(3点)螢の国よりありし夜の電話◎○
(2点)春泥のまつくらやみに迷ひをり◎
(2点)みんな夢雪割草が咲いたのね◎
(2点)あたたかい雨ですえんま蟋蟀です○○
(2点)たんぽぽの皆上向きて正午なり○○
(2点)実柘榴のかつと割れたる情痴かな○○
(2点)物言ふも逢ふもいやなり坂若葉○○
(1点)月光にいのち死にゆくひとと寝る○
(1点)ひるがほに電流かよひゐはせぬか○
(1点)わが歩む落葉の音のあるばかり○
(1点)破れシヤツの少年犯は頭髪など分け○
(1点)日焼童子洗ふやうらがへしうらがへし○
(1点)火を恋ふは焔恋ふなり落葉焚き○
(0点)明日よりは死に様か生きざまか雑煮食ふ○●
(0点)われにつきゐしサタン離れぬ曼珠沙華○●
(0点)咲くは天使散るは吾が息薔薇の花○●
(-1点)春の夜のまどゐのなかにゐて寂し●
(-1点)月の下死に近づきて歩きけり●
(-2点)鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし○●●●
(-2点)誰もみなコーヒーが好き花曇●●
(無点)骨透いて虫よ不眠の夜が来る
(無点)堕ちてはいけない朽ち葉ばかりの鳳仙花
(無点)いまは言ふまじ秋あかつきを列なす鳥
(無点)燃え尽きし夏の太陽鏡に青

(以上、30句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。

(作者発表)

【杉田久女】
春の夜のまどゐのなかにゐて寂し
わが歩む落葉の音のあるばかり
われにつきゐしサタン離れぬ曼珠沙華
たてとほす男嫌ひの単帯
物言ふも逢ふもいやなり坂若葉

【橋本多佳子】
月光にいのち死にゆくひとと寝る
母と子のトランプ狐啼く夜なり
鶏しめる男に雪が殺到す
日焼童子洗ふやうらがへしうらがへし
火を恋ふは焔恋ふなり落葉焚き

【星野立子】
春泥のまつくらやみに迷ひをり
誰もみなコーヒーが好き花曇
螢の国よりありし夜の電話
たんぽぽの皆上向きて正午なり
月の下死に近づきて歩きけり

【三橋鷹女】
ひるがほに電流かよひゐはせぬか
あたたかい雨ですえんま蟋蟀です
みんな夢雪割草が咲いたのね
鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし
骨透いて虫よ不眠の夜が来る

【鈴木しづ子】
ダンサーになろか凍夜の駅間歩く
堕ちてはいけない朽ち葉ばかりの鳳仙花
破れシヤツの少年犯は頭髪など分け
実柘榴のかつと割れたる情痴かな
いまは言ふまじ秋あかつきを列なす鳥

【新桐子】
初夢のなかまで君よいくぢなし
わかち合ふ水蜜桃は匙で切る
明日よりは死に様か生きざまか雑煮食ふ
燃え尽きし夏の太陽鏡に青
咲くは天使散るは吾が息薔薇の花


第十二回鍛練句会



(最高得点句)

さあ空ださあ雲ださあ俺だ(6点)



(6点)さあ空ださあ雲ださあ俺だ ◎○○○○
(4点)やすい肌に埋ずまる ◎○○
(4点)有休とって芯まで腐っている ◎○○
(4点)後は土になる花があかい ◎○○
(4点)離婚届出してきた並玉子味噌汁 ◎○○
(3点)桜つもる道の犬が小便している ○○○
(3点)合わせ鏡の中の俺幾千 ◎○
(2点)小さな手のまま老いる ◎○●
(2点)夢の王蟲の眼の赤い ◎
(2点)膿み月に千鳥足がゆく ◎
(2点)不自由な手でゲームをしている一室 ◎
(2点)ラジオからエルビス・コステロ流れあの夜の少し寒かった月のことなど ○○
(2点)最後通牒みたいに満開 ○○
(1点)花叩く雨を聴く夜更かしして何かを待ってる ○○
(1点)いい国つくろう おはよう幕府 ○○●
(1点)雪とけて秋の残骸 ○
(1点)春空からハト降りてきて何か食う ○
(1点)忠犬がリーダーシップを乗っ取った ○
(0点)春はぎこちない教科書 ●○
(-1点)哀しい名の恐竜がソファの下から ○●●
(-1点)打ち込めろーッ、木版! 想い込めーッ、全発! ●
(-1点)終日カレーの工夫を考えのたりのたり ●
(-1点)救いなど求めず生きて私を抱いて ●
(-2点)ひかりのなかでおもいだすひかり ●●
(無点)椿の底のドス黒い
(無点)薄荷飴なめながら金借りる相談
(無点)緩んでる送電線くぐって今日も仕事だ
(無点)腕前のいい人を呼び止める採血室
(無点)山の腹も菜の花
(無点)際限なく肌濡れてゆく五月闇



(以上、30句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



(作者発表)

【小笠原玉虫】
 小さな手のまま老いる
有休とって芯まで腐っている
花叩く雨を聴く夜更かしして何かを待ってる

【渋谷知宏】
ラジオからエルビス・コステロ流れあの夜の少し寒かった月のことなど
椿の底のドス黒い
春空からハト降りてきて何か食う

【白川玄齋】
終日カレーの工夫を考えのたりのたり
不自由な手でゲームをしている一室
腕前のいい人を呼び止める採血室

【天坂寝覚】
やすい肌に埋ずまる
後は土になる花があかい
桜つもる道の犬が小便している

【中筋祖啓】
打ち込めろーッ、木版! 想い込めーッ、全発!
いい国つくろう おはよう幕府
忠犬がリーダーシップを乗っ取った

【畠働猫】
膿み月に千鳥足がゆく
際限なく肌濡れてゆく五月闇
救いなど求めず生きて私を抱いて

【馬場古戸暢】
夢の王蟲の眼の赤い
合わせ鏡の中の俺幾千
山の腹も菜の花

【藤井雪兎】
さあ空ださあ雲ださあ俺だ
ひかりのなかでおもいだすひかり
離婚届出してきた並玉子味噌汁

【本間鴨芹】
雪とけて秋の残骸
春はぎこちない教科書
緩んでる送電線くぐって今日も仕事だ

【松田畦道】
薄荷飴なめながら金借りる相談
哀しい名の恐竜がソファの下から
最後通牒みたいに満開


2013年4月29日月曜日

普段の漢文の易経の勉強の中で鉄塊やアぽろんの皆さんとの関わりを考えてみました


今は VT 句会と次の鉄塊句会のために句を作っております。
それと並行して、私が普段している勉強について述べていきます。

今回のことをまとめていく中で、私の二つの句会、
鉄塊とアぽろんの句友の皆さんへの
感謝の気持ちを忘れずにさらに学んでいこう、

改めてそんな気持ちになりました。


更にこうしてまとめることで、
皆さんの句作に何かお役に立てることができれば、
そんな風に願っています。


今は易と易経の勉強です。易経の言葉はどこを読んでも有意義なもので、
そこをきちんと学んでいけばあえて占う必要はないのです。

でも人の運命を見るのにいちいち全ての易経の文章を検討するというのは
とても大儀なことで、労力が多い割りに得る所が少ないのですので、

その多くの易経の文章からランダムに、あるいはある一定の規則に従って
選び出し、その選ばれた一つを子細に検討していくことで、
その人のためになる道理をきちんと説明することが出来るのです。

ですから易経の文句は実際にはどれを選んでもためになるのですが、
選び出して巡り会った言葉をしっかりと身につけていく、
そんな真摯な作業こそが易の最も重要な所だと思っています。


今は北宋(ほくそう)の邵雍(しょうよう)という学者について学んでおります。
とても尊敬する方です。市井の学者として官職に就いたこともない身の上で、
これほど評価の高い人もいないのです。

彼の易に対する深い学識と、友人たち、特に彼の友人兼パトロンとなった
司馬光(しばこう)という方が儒学者の間で高く評価されていたこともあって、
とても高い評価を受けた方です。

この方の易の考え方を勉強中です。自由研究のようなものですが、
こちらも楽しく学んでいこうと思います。


さて、占いのためには卦を立てる必要があるわけです。

正式なやり方は筮竹を使った長い手続きによって得られるのですが、
これを学んでいたのが入院中でしたので、

病室内で筮竹を使うことはためらわれました。
そこで別の方式をさらに学んでいました。

後はコインの表裏を使って卦を立てる方法もあり、
これも病室で小銭の音を立てるのも良くないだろう、

そう思って、コインの表裏の方式と同じ仕組みで、
乱数を使って卦を立てる Excel のマクロを作ったりしていました。

これはおもちゃとしては大変面白いのですが、
どこまで厳密な乱数なのかなど、諸々の問題があるわけです。


そこで、

邵雍の著書である『梅花易数(ばいかえきすう)』の中にあった、
暦を使って卦を立てる方法を利用してみようと思いました。

試しに中身を理解する意味でも、私自身を占っていきます。

今の自分の状況、人間関係や勉強の問題で、
この先どう進めていけばいいか、そんな内容で占ってみます。


暦を使う方法としては、まず、今の新暦を 農暦(のうれき)、
つまり中国で使われている太陰暦に変換します。

これはいろんなサイトがありますので、
検索していただければと思います。

これを学んでいたのが、平成二十五年の四月二十七日の午後二時、
これを農暦で表しますと、巳年の三月十八日の午の刻、となるわけです
(計算が間違えていたらご指摘をお願いいたします)。


さて、今から作るのは六十四卦で、
上と下の八卦に分かれています。

(一)まずは上の八卦の立て方から。

年月日の数を合計したものを八で割った余りを出します。

干支はどうするかと言いますと、子の年を一として、
一つずつ数字を上げていって、亥の年は十二とするわけです。

巳年は六となります。するとこの合計は、

6+3+18=27で、そこから8を割った余りは3となります。


これを卦の順番に当てはめます。

乾一、兌二、離三、震四、巽五、坎六、艮四、坤八、となっていますので、
ここでは「離(り)」の卦になります。これが上の卦になります。


ちなみに「離(り)」の卦は以下のような画像になります。



図1、離(り)の卦


(二)次に下の卦は、その合計値に更に時刻の干支を
年と同じように数字にして合計し、それを八で割った余りを出します。

つまり午の刻ですから7になって、
27+7=34、8で割った余りは2になります。

ですから下の卦は「兌(だ)」の卦になります。
これは以下の画像のような形です。



図2、兌(だ)の卦


この上下二つの卦を重ねた六十四卦は、
「火沢睽(かたくけい)」というものになります。
こうしてできた卦を本卦(ほんか)と言います。


「睽(けい)」の卦は以下の画像のような形になります。



図3、睽(けい)の卦


次は先ほどの年月日時の合計値を六で割った余りを出します。

34の6で割った余りは4になります。

この部分が先ほどの六十四卦を示す横の六本の線である爻(こう)の
変化する部分です。これを動爻(どうこう)と言います。


今回は下から四番目がその動爻になります。
この動爻の陰陽が逆転して出来た卦を之卦(しか)と言います。

今回の之卦は「山沢損(さんたくそん)」となり、
以下の画像のような形です。



図4、損(そん)の卦


さて、ここでおさらいします。今回は私自身の状況を、
昨日の午後二時を起点に暦をもとに卦を立てました。

その内容は、 「睽(けい)」の卦の
下から四番目の線(爻(こう))が変化して、
「損(そん)」の卦に変わるものでした。さて、


以下はこの卦を立てた結果をどのように判断するかということです。
五行を元に五行のそれぞれがお互いに養ったり制約したりという関係を元に
判断していくというものもありますが、


ここでは易経の六十四卦の六本の線、
つまり爻(こう)を解説した爻辞(こうじ)を元に
判断をしていきます。こちらが易経の文句を元にするものです。


この場合の判断の仕方は朱子学の大成者の朱熹(しゅき)が著した
『易学啓蒙(えきがくけいもう)』によりますと、

一爻が変化した場合は本卦(ほんか)の
変化した爻(変爻(へんこう))の部分の爻辞で判断するとあります。

つまりは今回の場合は 「睽(けい)」の卦の下から四番目の爻の爻辞になります。ところで

『易学啓蒙』という本は安価な邦訳がなく、その上、

中国でもとても高い金額で売っていました。

この原文が見られるサイトは以下にあります。

宋の胡方平という人が解説を書いた『易学啓蒙通釈』という本です。
志のある人は読まれると良いと思います。

Internet Archive というサイトで検索ワードを 易學啓蒙通釋 としますと出てきます。


「睽(けい)」の卦の下から四番目の爻辞と、
その爻辞を解説した象伝(しょうでん)は以下のようになります。

原文、書き下し文の後、実際の説明に入っていきます。

まずは原文から。


●原文:

「九四、睽孤、遇元夫、交孚、厲无咎。 象曰、交孚无咎、志行也。」


※注: 「无」は「無」のことです。易経などではこの「无」を使いますが、
漢詩では「無」の方を使います。


●書き下し文:

「九四、孤(ひと)り睽(そむ)く、元夫(げんふ)に遇(あ)う、
交(こもごも)孚(まこと)あり、厲(あや)うけれども咎(とが)無し。

象(しょう)に曰(いわ)く、交孚にして咎無し、志(こころざし)行わるるなり。」


ところで、私が常に気をつけているのは、

書き下し文だけを書いて分かったような顔をしないということと、
市販の邦訳書をチェックすることはあっても、
それをそのまま書き写すような真似をしない、ということです。

この後は註釈をもとに分かりやすく解説をしていきます。


(睽の卦の形は図3を参照して下さい)


まず睽(けい)とは「背(そむ)く」という意味です。

この卦の形も八卦の「兌(だ)」、つまり沢の上に
八卦の「離(り)」、つまり火があるわけです。

水と火の関係、背き合う、ということです。
反目という言葉があるように、
お互いに背を向けて目を合わせないようなものです。


今回の本文を検討していきます。

まず最初の「九四」、二文字目の「四」はこの爻の位置、
下から四番目を指すわけです。

「九」はこの爻が陽の爻であることを意味します。


なぜ「九」なのかといいますと、これは、

五行の水、火、木、金、土に一、二、三、四、五と番号が振られていて、

このうちの陽の数である奇数の合計、1+3+5=9、となることから
九が爻の陽の数なわけです。

逆に陰の数の合計、2+4=6、六が爻の陰の数であり、
もしこの爻が陰であれば「六四」となるわけです。

ちょっとした豆知識です。さて、


「孤(ひと)り睽(そむ)く」とは、この四番目の爻の上下が陰の爻で、
その間で孤立するということです。


本来陰と陽は引きつけあいますが、対立や反目のある所では、
北宋の程頤(ていい)の注では「同気(どうき)相(あい)求(もと)む」、

つまり、 自分と同じような人と親しもうとするわけです。

良い交わりであれば君子の交わり、
悪い交わりであれば徒党を組むようなものです。

それぞれのケースの良い悪いは別として、
自分と同じような人を求めるようになってしまっているのです。


とりわけ、この「九四」は上にも下にも連れ合いがいない、
つまり「孤独」ということです。
くれぐれも誤解されないように言っておきますが、
周囲が小人ということではなくて、
一人違うことをしている、そんな孤独を感じているということです。


そんな時にどこに連れ合い、仲間が得られるか、ということになります。
それが「元夫(げんぷ)に遇(あ)う」です。

「元夫(げんぷ)」はもちろん「別れたあとの旦那さん」ではなくて、

「夫」は「匹夫の勇」の「夫」のように男性全般を表すもので、
勇気があって果断な人の象徴で、

「元」は程頤の注では「善」、

あるいは三国時代の魏の王弼(おうひつ)の注では「初」を表し、
一番下の陽の爻(初爻(しょこう))の「初九」を表します。


易には上下の卦の関係を表すものとして「応(おう)」があります。
これはその爻と三つ先の爻とが深い関わりを持つわけです。

本来どちらかが陰でどちらかが陽であれば引きつけあうわけですが、
この卦の中では反目していて同気相い求める状況ですから、
どちらも陽にもかかわらずお互いに引きつけ合うのです。

ちなみに一番下の初爻は学生、又は官職に就く前の人を象徴していて、
その人は果断に善を行う意思があるわけです。
もちろん周囲への影響力はまだ小さいわけですが。

そんな初九と孤独な九四とは、

「交(こもごも)孚(まこと)あり」又は「孚を交わす」となります。

「誠」は欲を少なくして行動に常があることで、
「孚」とは修養の結果養われた徳が外にまで現れ出ていて、
人に信じられるということです。

この場合、同類の二人は互いを認め合い、信頼し合う友となるわけです。

そして「厲(あや)うけれども咎(とが)無し」、
危険な状況にあってもその事実を受け止めて慎み深く行動すれば、
過ちを避けることが出来るということです。

過ちがないという意味ではありませんので要注意です。


次に爻辞を解説する象伝には、

「交(こもごも)孚(まこと)にして咎無し、
志(こころざし)行わるるなり。」

とあるわけです。前半部分は解説しました。


漢文での「夢」にはアメリカンドリームのような意味はなくて、
その場合には「志」を使います。


以上をまとめてみますと、

そんな仲間がいるということに安心した九四は、
状況を少しずつ整えて自分の志を行うようになる、ということです。

私も漢文や漢詩を続けながらつい最近まで孤独な状況でした。
自分の勉強が何の役に立つかも分からない状況でした。


そんな中から少しずつ仲間が出来て、自分の立場はある時には初九、
ある時には九四というようにいろんな友人が出来てきました。

それによってようやく少しは自信のようなものが出来て、
自宅での療養が続く中でも何とか勉強が出来ている状況です。


この先もそんな友人の一人一人、鉄塊やアぽろんの皆さんに
お返しできるものはたとえ出来なかったとしても、

自分の勉強をしっかりと進めていくべきだと、
そういうことを示していると思いました。

これからもしっかりと学んでいきます。(了)

2013年4月25日木曜日

第十二回放哉ジュニア賞を読む


過日、第十二回放哉ジュニア賞が開催された。小豆島の六つの小学校より、672名1055句の投句があったというから驚きである。HP上では、受賞するにいたった132句が掲載されている。以下では7句を選んで鑑賞したい。

すずがりんりんふゆ 一年生ひな
この「ふゆ」の取って付けた感がよい。心地よい調べに、寒さも忘れそうな気配がする。

はる一ばんのうめさいた 一年生ゆい
そのまますぎるかもしれないが、好みの句である。こういう句を詠みたい。

ゆきがつせんばらばらばらばらゆきがっせん 一年生きよたか
韻律を調整したところに少しひっかかったが、「ばらばらばらばら」の擬音語は面白いと思う。何の音だろうか。

ドーナツ夏の海で使いたい 四年生なお
浮き輪をドーナツと表現しているのか。だとすれば、何の必然性があるのだろうか。私はむしろ、食べるドーナツそのものだととりたい。それを夏の海で使いたいという。どこかシュールさを感じてならない。

青空に赤いほのおがともる 六先生りき
何のことを詠ったものかわからないが、青空と赤いほのおの対比に感動を覚えたのだろう。何かのお祭りだろうか。

たねをまくはるになったらはなばたけ 一年生まや
「たねをまく」時期が「はる」とも読めるため、少しわかりにくくあった。しかし、このポジティブさがいいと思う。

はっぱのしごときらきらたいようあぴること 一年生ほのか
赤ちゃんの仕事は寝ることだが、はっぱのしごとは確かにこうなのかもしれない。「きらきら」は「たいよう」へ直接かけて読みたい。

もみじ山のおくでころもがえ 三年生りょお
思考実験か何かで、誰も見ていないところで起こったことは本当に起こったことなのか、といったものがあった。さて、このもみじ、誰も見ていない山のおくで果たして存在しうるのだろうか。

2013年4月20日土曜日

ア・ぽろん一周年記念投句集を読む


先日、「ア・ぽろん」のブログ上にて、一周年記念の投句集が掲載された(こちら)。以下では勝手ながら、六句を選んで鑑賞したい。

お題 『一』
花一つ心ほどけて咲く笑顔 37cafe @37asasan
一つだけ咲いた花を見ていると、つい笑顔がこぼれたということか。温かい句だが、少しわかりにくくあった。

窓外に満ちる春一つ珈琲に 林和音 @kazz_hayashi
春一つが何を意味するのかわからないが、いい句だと思う。仮に桜の花びらだとすれば、珈琲に浮かべる必然性はあるのだろうかという疑問は生じた。

お題 『集』
のどかさを持ち寄り午後の集会所 うぐいす @uguisu_asobo08
季節は春だろう。高齢者ばかりが集っているような気がするが、幸せなひとこまだ。

あの人来る部屋の句集隠した りんこ @linco95
共感できる。もとい、何度かやったことがある。自分が好きな文学作品や句集を見られるのは、結構恥ずかしいのである。


『雑詠』
主婦という名の宙ぶらりん 37cafe @37asasan
友人に、同じことを話すひとがいた。彼女は以前は自身の専門を武器にばりばり働いていたのだが、結婚とともに専業主婦となった。本人も納得したうえでの選択であって、不満があるわけでもないのだが、なんとなく宙ぶらりんなのだそうだ。

彗星の巡り来る頃二月尽 さくら @akebonosakura
そういえば二月に彗星がやってきたような気がする。ぎりぎり二月に間に合ったのは、何か彗星的な都合があったのだろうか。


末筆ながら、ア・ぽろんのますますのご発展をお祈りいたします。

2013年4月10日水曜日

第十五回放哉賞落選展

第十五回尾崎放哉賞落選展を開催いたします。鉄塊衆からは、三名九句の投句がありました。皆さまからの辛辣なるコメントをお待ちしております。