2013年6月3日月曜日

第13回鍛錬句会 結果発表

(最高得点句)

どのカーテンも違う色の静けさ(9点)



(9点)どのカーテンも違う町の静けさ◎◎◎○○○

(5点)もう動かないひとを乗せてサイレンが優しい◎◎○

(4点)春の終わりにスライダーが甘く入りました◎○○
(3点)いただきまテーブルを叩く○○○
(3点)つながれた手と手が後を追ってくる○○○
(3点)また返事書けずに一日の尽きる○○○
(3点)よく喋る友は昔の名前◎○
(3点)公衆便所の臭いの父に金せびられてゴミの人生◎○
(3点)子供を抱いて完全体の女が笑う◎○
(2点)するどい月がひっかかっている朝焼け
(2点)崩れない山となる五月号テキスト○○
(2点)この公園は制圧されたモデルガンの子供たち○○
(2点)前髪を切りたくない娘だったのさ春風◎
(2点)まちはしずかにやぶれたままの幟が立っている○○
(2点)祖母のこぶしのよくまわる菖蒲の湯なのだ◎
(1点)賢治読もうか水田浮かぶ本屋の夜○
(1点)身悶えて闇から雨○
(1点)軋む車輪が五月の愁いを巻き込んで止まる○
(1点)いけないことした夜の次にも朝が来た○
(0点)裏鬼門へ置けと渡された香料を嗅ぐ
(0点)僕の星はどれですか小さい手
(0点)他人事に弛む三十過ぎの涙腺
(0点)名残惜しい背中でやらかした
(0点)台風の目となりて息つぎ
(0点)君は膝に登りたい顔して上目遣いで
(0点)造られた川のざりがに釣る子どもら
(0点)罠の花が綺麗
(ー1点)花薊みっしり詰めた棺で逝く●
(ー1点)「雨ふれば即死よ」○●●
(ー1点)寝付けない夜をひとり過去が迫ってきた●
(ー2点)我慢する世間が出来て喜ぶ人●●
(ー2点)犬とー歩くが 古代だよー・・・●●
(ー3点)おじいちゃん冥途の土産には街灯●●●


(以上、33句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



(作者発表)

・藤井雪兎
春の終わりにスライダーが甘く入りました
前髪を切りたくない娘だったのさ春風
いただきまテーブルを叩く

・天坂寝覚
まちはしずかにやぶれたままの幟が立ってる
するどい月がひっかかっている朝焼け
造られた川のざりがに釣る子どもら

・本間鴨芹
名残惜しい背中でやらかした
つながれた手と手が後を追ってくる
崩れない山となる五月号テキスト

・風呂山洋三
この公園は制圧されたモデルガンの子供たち
祖母のこぶしのよくまわる菖蒲の湯なのだ
賢治読もうか水田浮かぶ本屋の夜

・松田畦道
軋む車輪が五月の愁いを巻き込んで止まる
どのカーテンも違う色の静けさ
もう動かないひとを乗せてサイレンが優しい

・白川玄斎
他人事に弛む三十過ぎの涙腺
我慢する世間が出来て喜ぶ人
よく喋る友は昔の名前

・小笠原玉虫
また返事書けずに一日の尽きる
公衆便所の臭いの父に金せびられてゴミの人生
花薊みっしり詰めた棺で逝く

・馬場古戸暢
裏鬼門へ置けと渡された香料を嗅ぐ
いけないことした夜の次にも朝が来た
寝付けない夜をひとり過去が迫ってきた

・畠 働猫
身悶えて闇から雨
罠の花が綺麗
子供を抱いて完全体の女が笑う

・渋谷知宏
君は膝に登りたい顔して上目遣いで
僕の星はどれですか小さい手
「雨ふれば即死よ」

・中筋祖啓
台風の目となりて息つぎ
おじいちゃん冥途の土産には街灯
犬とー歩くが 古代だよー・・・

61 件のコメント:

  1. どのカーテンも違う色の静けさ(9点)

    ◎「カーテンのバリエーションは意外と多い。それぞれにそれぞれの家庭を隠しているのだろう。」(古戸暢)
    ◎『カーテンの色や柄は生活に多大な影響を及ぼす。この静けさも、家庭ごとに違うのだろう。』(雪兎)
    ◎『昔犬を飼っていた時のことを思い出した。散歩はだいたい深夜だった。寝静まっている街を歩くのは楽しい。傍らに息の荒い犬がいても。』(鴨芹)
    ○『夜、外からの光景でしょうか。カーテンによって光の色も変わるわけですが、その内側にはそれぞれの穏やかな暮らしがあるのでしょう。素敵な視点の句です。』(洋三)
    ○「中の景色まで全部違って、明かりの具合も違いそうだなと思いました。」(白川)
    ○『いいですね。私だけの遊びで「みなしごごっこ」というのがありまして、夜遅く犬と住宅街をうろうろして、他人の家の団欒の灯りを見て、ちょっとさみしく思いながらもほっとするんですね。こちらの詠み人も似たようなことをなさっているのかなと思いました。内緒の癒しの一人遊び。静けさというのもいいですね。他人の家の中の音はほとんど分からない。だから幸せなんだろうと勝手に思うことが出来る。素敵な句だと思います。』(小笠原玉虫)
    △『夜の静かな住宅街を歩く様子でしょうか。それぞれの家にそれぞれの幸福があって、その象徴がカーテンなのでしょう。うちのカーテンは猫がのぼるのでぼろぼろです。』(働猫)
    △「リビング関連のショップに居るのか、カーテンに何か色んなライトが当たって色が違うのか。とにかく静けさが伝わらなかった。」(T宏)

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  2. もう動かないひとを乗せてサイレンが優しい(5点)

    ◎『手遅れだった。悲哀と焦燥の果ての静謐な時間。救急車が夜に滑り出していく様子がスローモーションのように見えている。この「優しさ」とはどのような意味なのか。そこに優しさを感じるのは不条理なことである。しかし、わかる。』(働猫)
    ◎「優しいなら救ってくれよと思いました。
    死者に対する思いやりだなと思いました。」(白川)
    ○『お亡くなりになった方を乗せる時でも救急車(だと思うが)はサイレンを鳴らすのだろうかと疑問の余地は残るが、本人や遺族がその死に納得している様子が伝わってくる。」(雪兎)
    △『サイレンの音をもっと具体的に言った方がいいんじゃないでしょうか。“もう動かないひと”で十分ふわっとしてるところに“優しい”はちょっとやり過ぎな気がします。』(寝覚)
    △『悲しいんだけど何処となく安堵感が漂っていて、非常に魅力的だったのでとらせて頂きました。自殺かな。何度もやって失敗して、遂に本懐を遂げたのかなと思いました。安らかにお眠り下さい、と手を合わせたくなるような句。突き放しているようでいて非常に優しい目線の持ち主だな詠み人は、と思いました。』(小笠原玉虫)
    △「少し作りすぎかなぁ。」(T宏)

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    1. 「もう動かない」ことがどうしてわかったのかが気になりました。

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  3. 春の終わりにスライダーが甘く入りました(4点)

    ◎『高校野球の句でしょうか。とにかく雰囲気がいい。「春の終わり」「スライダー」「甘く」の取り合わせが絶妙なトリプルアイスの様。はい、ストライクです。』(洋三)
    ○『この投手はベテランに違いない。この一球で引退を意識しはじめ、今年の秋を迎えるのだろう。』(鴨芹)
    ○「意味不明だが、面白い。スライダーは決め球としてはポピュラーです。それが甘く入った。と言うことは打たれたんでしょうね。」
    (t宏)
    △『なんとなく草野球の光景が思い浮かびましたが、草野球でスライダーを放れるピッチャーは結構いいピッチャーですよね。多分。』(寝覚)
    △)『よくはわかりませんがそれでもぼくは春を見送ってしまうのだろう。』(働猫)
    △『マウンドに膝をついてがっくり、という投手の様子と(春の終わり)との組み
    合わせが絶妙。この良句をとりきれないのだから、本句会の選句もたい へんに
    なった。』(畦道)

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  4. いただきまテーブルを叩く(3点)

    ○『レッド吉田を思わせる瞬発力が素晴らしい。「いただきま、てえーぶるをたたくっ」と読みたい。同じ卓を囲む家人が許せなかったのか。それともまた気に入らないおかずだったのか。「自虐の詩」を思い出した。』(働猫)
    ○『いま、まさに食事にありつこうとしたタイミング。一体、何が起こったのだろう。読み手の想像を大いに掻き立てる句。ただ、テーブルを叩いたのが自分なのか、他の誰かなのかがわかりづらい。ここは、自分だと取ると一人ノリツッコミみたいで愉快。いずれにせよ、このスピードと衝撃には魅了されました。』(洋三)
    ○『すんなりと入ってくるワンフレーズ。雪兎さんはドラマを創造する力に優れていることに気がつきました。』(祖啓)
    △「いただきますではなく、いただきま…。すぐに状況は読めないが、家庭内の中で何かあった事はうかがえるがそれだけ。」(T宏)

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  5. つながれた手と手が後を追ってくる(3点)

    ○「五七五ではなく、五四八で読みたい。お子さんたちだろうか、微笑ましい景。」(古戸暢)
    ○『幸福に追いつめられる感じはよくわかる。ぼくはベビーカーや子連れの夫婦に恐怖を感じます。世界はぼくにだけ優しくしてくれればいいと思う。』(働猫)
    ○「カップルが後ろから迫って来ているのか?それともツープラトン攻撃を受けているのか?絆と言う言葉の氾濫に対する批判か?どちらにせよ作者は独りなんだろう。」(t宏)
    △『後ろから仲睦まじいカップル。そのシチュエション、何かイヤですね。「追ってくる」確かにある種の恐怖を覚えます』(洋三)
    △つながれた手と手が後を追ってくる
    『後ろから仲睦まじいカップル。そのシチュエション、何かイヤですね。「追ってくる」確かにある種の恐怖を覚えます』(洋三)

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    1. 想像した景が皆さんと大きく違ったのが面白いです。

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    2. 選句の段階で全く読めておらず、とりませんでした。
      しかし皆さんの評を拝見し、なるほどと思いました。
      他人の幸せに追い詰められる心情を描いた句でしたか。
      ユニークな視点です。良いですね。

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  6. また返事書けずに一日の尽きる(3点)

    ○『共感します。』(祖啓)
    ○『わかります。思いが強いほど、それを伝えることはストレスになる。大切にしたい相手だからこそ、その返事には時間と労力がかかる。そしてまた今日が終わる。そうして間に合わなくなってしまった手紙はいったいどこへ出せばいいのか。』(働猫)
    ○『過不足が無くてとてもいいと思います。』(寝覚)
    △「時間が経つのは早い。やらないとやる気が出ないのもよく分かる。これで雨が降ってたらナイスシチュエーション。」(T宏)

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  7. よく喋る友は昔の名前(3点)

    ◎『友達は離婚したんでしょうか。であるならば、そのことによる解放感や喪失感や不安感で、よく喋ってしまうのでしょう。でも聞いているこちらとしては辟易としてくるものです。伝える句として、良く出来ていると思います。』(寝覚)
    ○『親が再婚を繰り返し、名字が変わる度にグレていく同級生についた渾名が(出
    世魚)。そんな話を思い出した。あとは『ビッグダディ』の元妻・美奈 子のこ
    とも。元ヤン&バツあり、という茶髪の女を勝手に想像し、勝手に興奮してい
    る。』(畦道)
    △『結婚して名字が変わったということだろうか。それとも改名したのだろうか。その辺がよくわからない。惜しい。』(雪兎)
    △ 「この友は女性かな。となると作者も女性でしょうか。昔の名前とわざわざ言うからには出戻られたのでしょうか。よく喋るのなら元気があるようにも見えます。悲しみなのかなんなのか、言いたいところをもうちょっと欲しい。」(T宏)

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  8. 公衆便所の臭いの父に金せびられてゴミの人生(3点)

    ◎『迫り来る説得力。このような切り札が、誰の生い立ちにも必ず、何箇所か存在するのかもしれない。パスポートみたいに世界で通用する。』(祖啓)
    ○『一片の救いもないが、だからこそ美しい句。ゴミの山から、こういう句を拾い
    だせるかどうか。それ次第で、ゴミがゴミのまま終わるか否かが決ま る。』
    (畦道)
    △『“ゴミの”は無くていい気がしますが、そう言わざるを得ないものが作者にはあるんでしょう。いわゆる共感は得がたいでしょうが、この瞬間の感情は共有できました。』(寝覚)
    △「儒学を学んでいる関係上、誤解のないように一言申し上げます。
    『親としての務めを果たしていないのに子に孝行を求めるのは間違いです。
    親が親としての実質を持ってこそ、孝が本当にきちんと存在できるのです』
    この方がもし自分の体験を述べているのでしたら、お元気になって下さいね。」
    △『あんまり卑下しすぎかなとも思いますが。そんなこともあるのでしょう。』(働猫)
    △「そこまで言わなくてもいいんじゃないの。と言いたくなる。」(T宏)

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    1. 言葉を増やす傾向のある玉虫さんには橋本夢道が参考になるような気がします。研鑽句会でも取り上げたことがありますので是非ご一読を。

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  9. 子供を抱いて完全体の女が笑う (3点)

    ◎『こういう女大嫌いなんですが、句として一番ざわっときたので特選にとらせて頂きました。さぞドヤ顔をして笑っていることでしょう。でもいいのです。幸せは思い切り自慢すべき。言葉と言葉のつながりもスッとしてて大変いいと思いました。こういう風にさりげなく、それでいてドキリとする句を詠みたいものです。Excellent!!』(小笠原玉虫)
    ○『最初特選に取りかけたが、子供を産んだ女性だけが「完全体の女」ということはないと思うので並選に。ただ、こういう見方をしたくなるのは理解できる。」(雪兎)
    △『“完全体”という言い方がとてもいいですね。その言葉が出てくる感情は、果たしていわゆる劣等感なのかどうかは分かりませんが、粘つくような緊張感があります。怖い怖い。』(寝覚)
    △「女性に対する畏怖の念を感じます。」(T宏)

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    1. セルを想像します。

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    2. 『完全体』がすんなり入って来ず、とれませんでした。
      ですが改めて見直してみると『笑う』が良いんですね。
      優越感なのか、悪意なのか。黒い笑い。
      この薄気味悪さ、何度も読み返して癖になります。

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  10. するどい月がひっかかっている朝焼け(2点)

    ○『するどい月が朝焼けの空に見えるのだから月齢25くらいの有明の月だろう。それがなかなか昇っていかない様子。』(鴨芹)
    ○『この月は夜の内に研ぎ澄まされたものだろうか。吉報のようにも凶報のようにもとれる月だ。』(雪兎)
    △『美しい情景。許されぬ情事の翌朝、それぞれの痛みを抱えて別れて行く空なのだろう』(働猫)
    △『写生句かな。好きです。「するどい月」という表現、誠に私好みです。』(小笠原玉虫)
    △「この三日月の表現はよく見かけます。朝焼けとするのもありがちかと。」(T宏)

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    1. 景は浮かぶのですが、類句が多いように思います。

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  11. 崩れない山となる五月号テキスト(2点)

    ○『いわゆる「積ん読」というやつでしょうか。身に覚えがとてもあります。』(寝覚)
    ○「試験を諦めてるような情景が寂しいですね。
    諦めきれていない所もあるように想像していました。」(白川)
    △『何かとやる気の起きない五月。テキストも山積みになっている。そんな情景を思い描いたのですが合っているでしょうか。読むほどに味が出る句。』(洋三)
    △『あるあるある…!ピカピカのまま、積んでおくんですよね。ピカピカなので処分し難く、全く困ったことです。』(小笠原玉虫)
    △「五月号とは何なのか?結社誌の五月号かとこの状況では考えるけれど、崩れない山、テキスト、これらの関連が分からなかった。」(T宏)

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    1. 五月号テキストが複数あるのだと思いますが、いったい何のテキストなんでしょう。ノルマが多くて大変そうです。

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  12. この公園は制圧されたモデルガンの子供たち (2点)

    ○『この感じはよく分かる。例えばバスなどに、玩具の銃を持った子供が乗ってき
    たとき、(ああ、銃を持った男がバスに)と思ったり。通報してやった らさぞ
    面白かろうとも思うが、キ○ガイ扱いされるのは間違いないので、そこは理性で
    抑えている。』(畦道)
    ○「表現が巧み。ちょっと狙いすぎとも思いましたが、滑稽味があり嫌味に感じなかった。お見事でした。」(T宏)
    △『制圧「された」のだから制圧された側の立場にいるのだろうが、子供たちとはどのような関係にあるのだろう。』(鴨芹)
    △『とてもいいと思うんですが、なんか違うと思ってしまいました。何がどう違うのか具体的に説明できず申し訳ないです。』(寝覚)
    △『可愛い。子供たちが戦争ごっこでしょうか。入ーれてーって言いたくなります。』(小笠原玉虫)

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    1. 畦道さんのひそかな願望に少しばかり共感してしまいました。

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  13. 前髪を切りたくない娘だったのさ春風(2点)

    ◎『目に被さってやや邪魔そうな前髪を振り乱し、向かい風のなかを少女がやって
    くる。なにかに怒った様子で、ぐいぐいと勢いよく。すれ違いざま、中 指を立
    てられた。だが不思議と腹は立たない。中二病、などと称することもある若さ故
    の万能感を肯定的に捉えた、大人の句。季語の配合が優しい。』 (畦道)
    △『とってつけたような春風ではあるけれど、だからこそ爽やかに感じるのかもしれない。』(鴨芹)
    △「女の子には前髪がどうのとかこだわりありますよね。春風に前髪が気になってしゃあない娘さんが可愛らしく感じました。」(T宏)

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    1. この場合の娘は、小学校高学年以上な気がします。

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  14. まちはしずかにやぶれたままの幟が立ってる(2点)

    ○)「景が浮かぶ句。ひらがなが多すぎる気もした。」(古戸暢)
    ○『幟で止めた方が好みではあるけれど、このような光景には引きつけられるものがある。』(鴨芹)
    △『ちょっとよく意味が分かんないんですが、何となく好みの世界であります。でもやっぱよく分かんないのでとるに至りませんでした。』(小笠原玉虫)
    △「写生句だと思いました。しずかなまちに幟が立っていて、ずっとやぶれたままだという句。そこにもう一つなんらかの要素があれば取ってます。」(T宏)

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    1. とりたい句でした。
      ストイックで、なおかつ味があります。
      T宏さん仰るように、写生句ですね。
      『まちはしずかに』が、やや散漫だったのかもしれません。
      そこまで句を大きくせず、破れた幟に視点を集中させる手もあったのでは。

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  15. 祖母のこぶしのよくまわる菖蒲の湯なのだ(2点)

    ◎「今日は五月五日菖蒲湯の日、風呂場から祖母の歌が聞こえる。こぶしが効いていて上手い。お祖母さんの気分の良さが伝わってくるいい句でした。」(T宏)
    △「最後まで悩んだ。「なのだ」がひっかかった。」(古戸暢)
    △『好き。かなり好きです。「なのだ」もいいなと思います。菖蒲湯に浸かっておばあちゃんご機嫌なのでしょう。当方、ちょっと懐かしさに涙し。』(小笠原玉虫)

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  16. 賢治読もうか水田浮かぶ本屋の夜(1点)

    ○「水田沿いの本屋での景だろうか。あるいは賢治にそういった物語があるのだろうか。なんとなくいい句だと思えた句。」(古戸暢)
    △「いい句だと思います。水田浮かぶとは水田に本屋が映るということでしょうか。心象句のように感じました。」(T宏)

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  17. 身悶えて闇から雨(1点)

    ○『覚えがあるなーと共感至極。で、とらせて頂きました。雨夜の物思い。いろんな過去の思い出したくないことを思い出したりして。でもそれがなかなか快感だったりもするのです。短さもいいなと思いました。好きです。』(小笠原玉虫)
    △「状況が読めない。観念的すぎるかと思います。」(T宏)

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  18. 軋む車輪が五月の愁いを巻き込んで止まる(1点)

    ○「古い車輪のきしむ音は哀しく響きますね。
    この方自身も疲れているのかなと思いました。」(白川)
    △「車輪がなんの車輪なのかは述べず、とにかく愁いをまといながら止まるのだと言う。五月の愁いだから休み明けの心情なのかもしれない。最後の休みの日に乗っていた列車とみた。」(T宏)

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  19. いけないことした夜の次にも朝が来た(1点)

    ○『「いけないこと」をした夜は、心臓が高鳴って眠れず、このままいつまでも夜が続くかのようにさえ思えてしまう。それでも朝は必ず来るわけですが、いつもとちょっと違った朝なのかもしれません。想像を掻き立て、なおかつ意味深な句です。』(洋三)
    △『句の後半がもたもたした感じ。でも、いけないことの後だからもたもたしているのだろうか。』
    △『やーらしいの。』(働猫)
    △『そうなんです、来ちゃうんです朝は、いけないことした翌日にも。フッフッフ。』(小笠原玉虫)
    △「いけないことがなんなのか気になります。夜の次にも朝が来たという表現は、朝が来る
    のは当たり前ですが、その予定通りの流れを拒んでる感情がみて取れます。」(T宏)

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    1. 匂いがあるというか、魅力的な句でした。
      ですが、「朝なんて来なければいい」と思いながらいけないことをしている、
      その瞬間の方がさらに魅力的だと感じます。

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    2. このフレーズ、俳句ではあまり見ませんが、漫画とかでは結構見るんですよね。なので紋切型に見えてしまって取りませんでした。
      俳句しか読んでない人には新鮮だけど、それ以外の分野から見るとちょっと…というのが最近の句には多い気がします。

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    3. 「いけないこと」、で、何を連想するかが、醍醐味だと思いました。

      とりあえず、『徘徊』という言葉が浮かんできました。

      夜の街を徘徊する=いけないこと

      だと感じました。

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  20. 裏鬼門へ置けと渡された香料を嗅ぐ(0点)

    △『この習慣を知っていれば悪くない句だと思う。いかんせん私は知らなかった。』(雪兎)
    △ 『鬼神を退ける香りなのでしょうね。鰯の頭の臭いかな。』(働猫)
    △「ここに意味を見出すことはちょっと無理かな。狙いすぎではないでしょうか。」(T宏)

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    1. 私も渡されるまで、この習慣を知りませんでした。普通にいい香りだったのですが、結局裏鬼門がどこかわからず放置してあります。よっぽど私に運がついていないように思われたようでした。

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    2. 九州独自の習慣でしょうか。香りで鬼が防げるのかな。

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  21. 僕の星はどれですか小さい手(0点)

    △『「僕」がいいのか、「ぼく」や「ボク」がいいのか悩ましい。』(鴨芹)
    △『“星”としたところが面白みですね。でも、フィクションの匂いがあまりしないので、これはこういう景なんでしょう。』(寝覚)

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    1. 「小さい手」の動きを見たかったですね。星に対してどう動いたのか。

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    2. 喋り方がたらちゃんぽいです。

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  22. 他人事に弛む三十過ぎの涙腺 (0点)

    △『わかる。』(働猫)
    △「よくわかるな。この辺りからなんでも泣けてくるんですよ。」

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  23. 名残惜しい背中でやらかした(0点)

    △「名残惜しい背中まではいける感じがするのですが、その後のやらかしたが何がどうなってどうなのか?やらかしたでまとまる序文でもないし、物足りない。」(T宏)

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  24. 台風の目となりて息つぎ(0点)

    △「台風の目はなんらかの比喩的表現なのか、なんとも忙しい日々を送って来たのかと想像しましたが、言葉が足りてない感じを受けます。」(T宏)

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  25. 君は膝に登りたい顔して上目遣いで (0点)

    △『猫ですね。』(寝覚)
    △『好き。女のようでもあり、犬かネコのようでもあり。こういうセクシー系弱いです。好き。』(小笠原玉虫)
    △『一読、猫の句と。猫派にはたまらない。』(畦道)

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  26. 造られた川のざりがに釣る子どもら (0点)

    △『この「造られた」がどこまでもかかるのが面白く、またそれぞれ違った風刺になりますね。「造られた川」人口の川。「造られた〜ざりがに」放流された自然のものではないざりがに。「造られた〜子どもら」子供としてあるべき姿を演じさせられている子供。自分は「子ども」という表現に造られた感じを受けます。』(働猫)
    △『ビオトープでざりがに釣りかな。うちの近所にもあります。造られた川にも小さな命はたくさん息づいています。いいですね。いまの季節っぽくもあり、素敵だと思います。』(小笠原玉虫)
    △「造られた川は人工的に新たに造られた川か、それとも土のところがもはやなくコンクリートなどで川底が固められているような川か。どちらにしても人為的に造られたことに対する批判的な表現だと感じます。でもそこにザリガニもいて子も遊ぶ。それは良いことなのではないでしょうか。」(T宏)

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  27. 罠の花が綺麗 (0点)

    △『罠の花だから綺麗、なんじゃないでしょうか。』(寝覚)
    △「罠・花・綺麗。この順番が違ってたら取ってました。」(T宏)
    △『花にみとれて、自分の仕掛けた罠にはまる。そんな様を想像して面白かっ
    た。』(畦道)

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    1. 知らない住宅地をほっつき歩いていて、バラにひっかかったような感じか。

      自然に生えている花よりも、植木鉢を連想します。

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  28. 「雨ふれば即死よ」(ー1点)

    ○『ひょっとして、田んぼの事なのか?』(祖啓)
    ●『奇を衒ったのか、何か新しいことをしたかったのか良く分かりません。少なくとも僕は新しいとも、奇なるものとも思わないです。ただただつまらない。もしこれが、自分が面白がれればいいという発想の下に作られたものであるなら、他者の評価を求めるような場所に出すべきではないです。』(寝覚)
    ●「単純に、意味がわからなかった。読者に委ねる部分が大きすぎるのかもしれない。」(古戸暢)

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    1. 俳句の「パーツ」としては優れていると思います。
      これに限らず方々で(ツイッターなどでも)優れた「パーツ」を見かけるので、後はどうやって俳句という「マシン」にするかですね。

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    2. 昆虫目線の句だと思いました。

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  29. 花薊みっしり詰めた棺で逝く(ー1点)

    ●『ずいぶん用意周到な死ではないか。常人であれば死んでから棺に入るものだ。棺の中で死んでいくのはそこに常住する吸血鬼であろうか。胸に杭を打たれて死んでいく様子か。とすれば薊は血の隠喩であろう。そのように妄想すれば美しい句だ。しかし作者の意図とは違うと思うので逆選にします。』(働猫)
    △「花アザミは季節感のためなのか被葬者が好きだった花なのかは分からない。」(T宏)

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  30. 寝付けない夜をひとり過去が迫ってきた (ー1点)

    ●『以前にも言ったが、俳句は印象の詩だと思うので、「迫ってきた過去」を何か象徴的なもので表現しないと、単なる叙述で終わってしまう。「迫ってきた過去」が何なのか作者には見えているはずだ。それを書けば俳句になる』(雪兎)
    △「つまり、トラウマがあると…」(T宏)
    △『そんな夜が私にもあります。共感の句。』(洋三)
    △)『ありがちな題材かもしれない。しかしその分多くの共感が得られそうに思う。』(働猫)

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    1. 最近、過去を思い出して「ああああ」となることが増えました。思い出しそうになる前になんとか気を紛らわしたりもします。
      一行詩と自由律俳句の違いに悩むこともあるこの頃です。

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  31. 我慢する世間が出来て喜ぶ人 (ー2点)

    △「我慢する世間とは?川柳っぽい社会批評句に見えます。」(T宏)
    ●『そんなこといわれても、と思うだけで一句のなかに感動もなにもない。なんと
    なく嘲笑的な目線の角度は感じるので、その意地悪さをもっと前面に出 したほ
    うがいい句になるかもしれない。』(畦道)
    ●『ドMなのか?なんとなく、人間の健康を害する状態なので逆選。』(祖啓)

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    1. 最近の玄斎さんのリアルタイムを知って、
      この句がリアルに伝わるようになりました。

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  32. 犬とー歩くが 古代だよー・・・(ー2点)

    ●「最後までどうしようかと思った作品でした。逆選にしました。」(白川)
    ●『この飛躍感が好きです。なぜ古代なのか?色々、想像は尽きませんが、きっと辿り着けないのでしょう。逆選でいただきます。』(洋三)
    △『雰囲気は好き。』(雪兎)
    △「今まさに犬と歩いているが、古代だと…。一文字空けがよく分からないけれど、時間の跳躍と言う意味かと想像しました。でもく句意が分からないな。」(T宏)

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    1. 自由律俳句の句会ではないどこか別の場所で出されていれば、とっていたように思います。

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    2. 一読、祖啓さん作と分かる句を、ついとってしまう私です。
      いわば、ファンですね。
      ですが今作はとれませんでした。(逆選でもなく)
      ちょっと好意的読解に寄りかかっているように感じました。
      もっと読者を突き放した雰囲気が欲しいです。

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    3. うーん、なるほど、今回は、三句とも、
      実は、センチメンタルな感じの投句でしたので、
      そのへんが、サービス精神にかけるところが
      あったかもしれないと思いました。

      指摘が当たっている気がします。

      暴れっぷりを活かそうと思うと、
      センチメンタルに、ひたってばかりはいられないですね。

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    4. と・・・、なると、やはり、『おはよう幕府』だ!

      いい国つくるぞ!

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  33. おじいちゃん冥途の土産には街灯 (ー3点)

    ●『「には」の意味を掴みかねている。街灯が冥途の土産だったということであれば「は」になるだろうし、冥途の土産は街灯がおすすめという意味なのだろうか。』(鴨芹)
    ●『おじいちゃん可哀想だっぺね!!(泣)この街を君にあげよう、的な無責任さがズキリときますね。嫌われ者の爺様だったのかな。おじいちゃん子だった私にはちょっと痛すぎたので逆選にとらせて頂きました。』
    ●「僕には分からなかった。亡くなったのか、それとも亡くなる前の話なのか、そもそも冥土の土産が街灯とはどう言ったものか…」(T宏)

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    1. これは最考したら、

      ・死ぬ人は天井ばかり見つめてた

      に、なりました。

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