2013年7月13日土曜日

きやらぼくを読む

※きやらぼく No.372(2013年5月)より。
※きやらぼくHPはこちら

虚空いざなう鳶を撃つ  三好利幸
どことなくは惹かれるところがあった。何を(誰を)いざなっているのだろうか。

沸点超えた日も窓に雨打つ  ゆきいちご
ここでいう沸点は、怒りの沸点だろうか。やかんの沸点と読んでも面白い。

献血する私の一滴さくらんぼ形  ゆきいちご
血が少しこぼれたところを詠んだものとみた。よくぞ気付いたと思う。

杖つく影を追い越さないでゆく  藤田踏青
狭い道での出来事だろうか。いつもとは違うゆっくりとした歩みを楽しめたことだろう。

わかり切った事もう言うな月が出て来た  天野博之
夫婦の会話のひとこまと読んだ。話をごまかそうとしているようにもみえる。なお、同氏によるエッセイも面白い。

眠るばかりの君に春の雲ながれ  幾代良枝
誰がどうして眠ってばかりいるのかわからないが、淡々としたあたたかい日常をみる。

1 件のコメント:

  1. 古戸暢さんお疲れ様です。
    「きやらぼく」は俳句に真摯な方々が集い、それぞれ独自に個性を発揮している印象です。我々もこうありたいですね。

    この中ではゆきいちごさんの「献血する私の一滴さくらんぼ形」に惹かれます。まさに発見の句です。また、人によっては別の形に見えるでしょうから、そこがまた面白いです。

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