2013年10月14日月曜日

祖を読む、水を読む

※鉄塊衆名簿自選五句より。
※もはや題名の意味がわからなくなっていることについては、自覚的です。

中筋祖啓

となりの花が赤くて良かった

なぜとなりの花なのか。そして白かったら良くなかったのだろうか。

春一に良い角度で飛ぶカラス

カラスの飛び方に角度をみたこと、「良い」という主観を込めたところに、この句の面白みがある。

ダンゴムシぞんざいにして常に居る

「ぞんざいにして」の使い方に少し違和感を覚えるも、ダンゴムシにぞんざいという言葉はよくあてはまる気もする。

うまれてこのかた直線

これまでの自身の生き方を詠んだものだろう。曲線に生きた人と対面してもらいたい。

溶けたのか世界が雲へ消えてゆく

薄い雲がまばらに広がっている空を思い浮かべた。消えたのは世界ではなく、自身の方だったのかもしれない。

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十月水名

ゆでたまごの白身の味を朝から説明できるか

朝から難しいことに考えをめぐらせることとなったようだ。しかし朝でなくとも、説明するのは難しいように思う。

呪文のてにをはを間違い姉がまた泣いた

長い日本語の呪文を唱える必要があり、その中には「てにをは」が含まれている。姉はその呪文を唱えたいが、何度やっても「てにをは」を間違えてしまう。小学生が遊んでいる景か。

手のひらよりも鳥に集約されていく花びら

桜並木道で、手を差し出してみた。花びらが手のひらに乗るかと思ったが、道の先にいる鳥の方に落ちて行くばかりで自身の手には乗らない。春のひとこま。


難破したところで神棚をつくればいい

港町での発想か。こうして海神は、世界の各地で現れて行く。

10÷3が最初の永遠だった

幼少の時分、延々割り続けた記憶がある。生れてはじめて遭遇する永遠は、あの式の中にあるのかもしれない。個人的には、1÷3をも推したい。


7 件のコメント:

  1. 「祖を読む、水を読む」…今回の題名は何だか格好良いですね~。

    私は「となりの花が赤くて良かった」と「ゆでたまごの白身の味を朝から説明できるか」をいただきます。
    いつかお二人の個性を分析してみたいです。

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  2. ・10÷3が最初の永遠だった
    に、一票です。

    十月さんの個性が、どうなるか見ものですね。
    とりあえず、ビジュアル系な方だと思いました。
    だけど句は、生活感がやたらある。

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  3. 「なぜとなりの花なのか。そして白かったら良くなかったのだろうか。」

    うーん、この句評から、

    「馬場古戸暢とは、いったい何者か?」

    というメッセージをもらった気がします。

    取り組んでみます。

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  4. 句評ありがとうございます。ビジュアル系と初めて言われ、ちょっと戸惑っています(*_*) 自分でもどう自由律を作っていくか試行錯誤しております。

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  5. 雪兎さん、
    題名が意外と好評で、安堵いたしました。

    祖啓さん、
    そのようなメッセージを差し上げたつもりはありませんでした。ほかのことに取り組んだ方が、いろいろといい気がします。

    水名さん、
    今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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    1. 古戸暢さんへ

      ちょっと変な書き方だったかな?
      古戸さんに興味を持ったという事なので、ご安心ください。

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