2013年12月30日月曜日

鉄塊第五回VT句会選句選評結果



▽最高得点句

フタの裏に有る静寂  (11点)【中筋祖啓】



▽部門ごと上位句

【自由律俳句】(4句)
フタの裏に有る静寂         (11点)【中筋祖啓】
子の掘った穴の深い小春日      ( 8点)【藤井雪兎】
ちいさなカフェにみっしりクリスマス ( 7点)【遠藤みつまめ】
友達ができた冷たい泥        ( 6点)【地野獄美】

【定型俳句】(3句)
冬うらら鳥の切手が水の上      ( 6点)【タケウマ】
矢印の通りに行けば死亡する     ( 5点)【中筋祖啓】
新年がプリンターからぞろぞろと   ( 5点)【木曜何某】

【題詠句(兼題「愛」)】(2句)
愛人にするなら誰だ童貞ども     ( 3点)【ゆなな子】
愛された目が死にたがる雪催     ( 3点)【地野獄美】

【コンプリート句】(◎と○と●のすべてを獲得した句)(1句)
おたまじゃくし太陽はこわいもの   ( 1点)【十月水名】
◎○●●△△△



▽個人別合計上位者

中筋祖啓   (15点)
遠藤みつまめ (12点)
藤井雪兎   (11点)
木曜何某   (10点)
馬場古戸暢  ( 9点)
地野獄美   ( 9点)
タケウマ   ( 9点)
うぐいす   ( 8点)



▽互選集計結果

フタの裏に有る静寂                 (11点)◎◎◎◎○○○△△
子の掘った穴の深い小春日              ( 8点)◎◎○○○○△△
ちいさなカフェにみっしりクリスマス         ( 7点)◎◎○○○△△
友達ができた冷たい泥                ( 6点)◎○○○○△
冬うらら鳥の切手が水の上              ( 6点)◎○○○○△
矢印の通りに行けば死亡する             ( 5点)○○○○○△△△
新年がプリンターからぞろぞろと           ( 5点)◎○○○△
車窓いつまでも結露おび無言ばかりで罪人として帰る  ( 4点)○○○○
ひとりの酔漢が受験生に手を合わせ          ( 4点)◎○○△△△
木の葉ふるふる生足がいる              ( 4点)◎○○△△△
警官がしめつて走る冬の原              ( 4点)◎○○△△
寒き夜や飯島愛の無修正               ( 4点)◎○○△△△
謎解きの佳境となりて虎落笛             ( 4点)◎○○△
宇宙船ちょっと圧縮ミルフィーユ           ( 4点)◎◎△△△
本のカバーに年末のメモがいそがしい         ( 3点)○○○△△△
もうあなたの声聞こえない夜へ風花          ( 3点)◎○△△
灯り消しておんなの唇が赤い             ( 3点)○○○△△△△△
来る来ない来る来ない来る来ない雪が降る       ( 3点)○○○△△△
川に浮いた笹舟すくってほどく            ( 3点)○○○△△
父さんの真っ黒な肺年暮るる             ( 3点)○○○△△
すべて投げ出して逝った父の干支くる         ( 3点)○○○
そういえば死ぬのはやっぱり春にした         ( 3点)○○○○○●●△△
一人居へ帰る冬田の三枚目              ( 3点)◎○△
マウンドで和尚の孫の崩れ落ち            ( 3点)○○○△△
ささくれをゆっくりむいて深い傷           ( 3点)◎○△
愛人にするなら誰だ童貞ども             ( 3点)○○○△△△
愛された目が死にたがる雪催             ( 3点)○○○
バルーンライトが夜を裂く外で働く人まだ働く     ( 2点)◎△△
あなたの眉毛だけしか見えない後部座席        ( 2点)○○△△△△△
片目がムツゴロウさんに繋がっている梟        ( 2点)○○△△
ゼリー食う友の話は聞き流し             ( 2点)○○△△
土曜日のネガティブ思考ブロツコリ          ( 2点)○○△△△
愛歌ふ美輪明宏は有袋類               ( 2点)○○△△△△
愛してもらえるはずの明日へ眠る           ( 2点)○○△△
電子音の愛の歌で泣く俺じゃなかった         ( 2点)○○△△
夜を売る人に言う「ご自愛ください」         ( 2点)○○△△
愛の名においてパンツを脱ぎなさい          ( 2点)○○△△
怪談を語るように愛語る口              ( 2点)○○△△△△
愛人は水子参りだ突っ立って待つ           ( 2点)○○△△△
私を洗濯する湯に浸かる               ( 1点)○△△△△△
おたまじゃくし太陽はこわいもの           ( 1点)◎○●●△△△【コンプリート句】
国会議事堂前 奥歯疼きけり              ( 1点)○△△△
霊媒師の脳挫傷を数理的に追放            ( 1点)○○○●●△△
空っ風吹く手をつないでゆく             ( 1点)○△
あとはボタンを押すだけ               ( 1点)◎●△△△
寒昴のぞみは遠く過ぎ行きて             ( 1点)○△
裸木に鳥の集ひて凌遅刑               ( 1点)○△△
鬼百合や悪性リンパ腫体験記             ( 1点)○△△
みちみちと 厚着の群に 上野行き           ( 1点)○△
愛しさは冬ざれた瀬のうちに似て           ( 1点)○△
薬缶冷え切る前の高倉健氏              ( 1点)○△
冬うらら破滅の男語るカフェ             ( 1点)○△△
だんご虫とひろげた手 寡黙に愛あかい         ( 1点)○△
湯豆腐や愛を語れど語れども             ( 1点)○△△
二次元の君を愛せば寒き尻              ( 1点)○△△△△
噛んで噛んで味のなくなった君をなほ愛す       ( 1点)○△△△
クリスマス大事なことはよそでする          ( 0点)○●△△△△
行く年の字幕で見たるコントかな           ( 0点)○●△
寒いから早く殺してまた吹雪く            (-1点)○●●△△
陰口の中に有る愛情                 (-1点)●△△△△
親に愛されず声の出ないカラスよ           (-1点)●△△△
愛しい貴女で鼻毛だ                 (-2点)○●●●
13日の金曜女房は飛行機でどっかに行く落ちれば幸運 (-2点)●●△△△
愛してる言い過ぎるから嫌われる           (-3点)●●●△△△△△
デカチンポ焼いて捨てて多数決で愛して        (-3点)●●●△△
思い出は愛に変質した                ( 無点)△△
遺影焼いても祖母にはずっと祖父がいる        ( 無点)△△
拝啓おり姫浮気は順調ですか             ( 無点)△△△△
足元びっちゃびちゃになるなら冬           ( 無点)△△
寒月や龍模っておる舳先               ( 無点)△
コッホ雪片曲線愛ある愛の営みは           ( 無点)△
愛妻弁当の重み確かめる始業前            ( 無点)△△△△
岩塊になった愛にしがみつく             ( 無点)△△△
愛玩の意味を知ってか睨む猫             ( 無点)△△△
何度でも愛してしまう笑顔を写真にのこしていった   ( 無点)△
冬濤をテレビ画面の愛人へ              ( 無点)△△
犬種の異なる二匹の間に兄弟愛めばえ         ( 無点)△△
知らなくても困らないカマキリモドキを愛す      ( 無点)△△△

(以上、78句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



▽作者発表(投句順)
上から次の順に掲載
「自由律俳句」
「定型俳句」
「題詠句(兼題「愛」)」


【y4lan】
霊媒師の脳挫傷を数理的に追放
宇宙船ちょっと圧縮ミルフィーユ
デカチンポ焼いて捨てて多数決で愛して

【馬場古戸暢】
木の葉ふるふる生足がいる
一人居へ帰る冬田の三枚目
愛してもらえるはずの明日へ眠る

【なかやまなな】
片目がムツゴロウさんに繋がっている梟
薬缶冷え切る前の高倉健氏
愛歌ふ美輪明宏は有袋類

【十月水名】
おたまじゃくし太陽はこわいもの
警官がしめつて走る冬の原
知らなくても困らないカマキリモドキを愛す

【中筋祖啓】
フタの裏に有る静寂
矢印の通りに行けば死亡する
陰口の中に有る愛情

【鈴木桃子】
あなたの眉毛だけしか見えない後部座席
土曜日のネガティブ思考ブロツコリ
犬種の異なる二匹の間に兄弟愛めばえ

【ちとせ】
足元びっちゃびちゃになるなら冬
寒月や龍模っておる舳先
湯豆腐や愛を語れど語れども

【藤井雪兎】
子の掘った穴の深い小春日
マウンドで和尚の孫の崩れ落ち
愛妻弁当の重み確かめる始業前

【北大路京介】
国会議事堂前 奥歯疼きけり
鬼百合や悪性リンパ腫体験記
親に愛されず声の出ないカラスよ

【遠藤みつまめ】
ちいさなカフェにみっしりクリスマス
そういえば死ぬのはやっぱり春にした
夜を売る人に言う「ご自愛ください」

【畠働猫】
バルーンライトが夜を裂く外で働く人まだ働く
すべて投げ出して逝った父の干支くる
何度でも愛してしまう笑顔を写真にのこしていった

【うぐいす】
灯り消しておんなの唇が赤い
父さんの真っ黒な肺年暮るる
愛の名においてパンツを脱ぎなさい

【風呂山洋三】
私を洗濯する湯に浸かる
謎解きの佳境となりて虎落笛
愛しい貴女で鼻毛だ

【琳譜】
車窓いつまでも結露おび無言ばかりで罪人として帰る
愛しさは冬ざれた瀬のうちに似て
だんご虫とひろげた手 寡黙に愛あかい

【タケウマ】
もうあなたの声聞こえない夜へ風花
冬うらら鳥の切手が水の上
コッホ雪片曲線愛ある愛の営みは

【木曜何某】
本のカバーに年末のメモがいそがしい
新年がプリンターからぞろぞろと
電子音の愛の歌で泣く俺じゃなかった

【ゆなな子】
愛してる言い過ぎるから嫌われる
寒き夜や飯島愛の無修正
愛人にするなら誰だ童貞ども

【前田 獺太郎】
ひとりの酔漢が受験生に手を合わせ
みちみちと 厚着の群に 上野行き
愛玩の意味を知ってか睨む猫

【雪うさぎ】
来る来ない来る来ない来る来ない雪が降る
寒いから早く殺してまた吹雪く
噛んで噛んで味のなくなった君をなほ愛す

【山崎智佐】
川に浮いた笹舟すくってほどく
クリスマス大事なことはよそでする
岩塊になった愛にしがみつく

【小笠原玉虫】
空っ風吹く手をつないでゆく
冬うらら破滅の男語るカフェ
愛人は水子参りだ突っ立って待つ

【けいてん666】
あとはボタンを押すだけ
裸木に鳥の集ひて凌遅刑
二次元の君を愛せば寒き尻

【圓哉】
思い出は愛に変質した
寒昴のぞみは遠く過ぎ行きて
13日の金曜女房は飛行機でどっかに行く落ちれば幸運

【めけ】
遺影焼いても祖母にはずっと祖父がいる
ささくれをゆっくりむいて深い傷
怪談を語るように愛語る口

【柚子子】
拝啓おり姫浮気は順調ですか
ゼリー食う友の話は聞き流し
冬濤をテレビ画面の愛人へ

【地野獄美】
友達ができた冷たい泥
行く年の字幕で見たるコントかな
愛された目が死にたがる雪催

以上26名



※今回参加者のうち、「y4lan」さん「ゆなな子」さんについては投句のみのご参加で、選句選評はいただけなかった。



▽以下、コメント欄に参加者選評を掲載する


96 件のコメント:

  1. フタの裏に有る静寂 (11点)◎◎◎◎○○○△△

    ◎鍋の中身とフタの裏には絶対的な距離がなければならない。時々中身につつかれることがあるが、基本的にフタは孤独だ。作者の発見に感謝。(雪兎)
    ◎夜ひとりで昨日のカレーを温め、また蓋をした、そんなイメージで読みました。どこからともなくやってくる寂しさ。べったりではないが張り付いている静寂なのかなと。(遠藤みつまめ)
    ◎一種、茶味というか禅味を感じる。フタはカタカナでないほうが好み。(獺太郎)
    ◎アイスだかプリンだか、缶詰だかわからないですけれど、スゴク美味しいものを無言で食べているという感覚があります。(けいてん666)
    ○例えば、このフタが土鍋のフタだとして。中はぐつぐつと煮えているにも関わらず、持ち上げたフタの方はさらっと湯気を立てるだけ。確かにそこには「静寂」があります。見事な視点です。(洋三)
    ○意表をつかれる句。しんとした中でフタの裏を眺める寂寥感が良い。(雪うさぎ)
    ○とりました。ジャムの蓋で想像。いいですね。何故か実家での冬の光景を思い出しました。ロシアンティーにしようと、紅茶をいれてジャムの蓋を開ける。一瞬の静けさをよくとらえた句と思います。(小笠原玉虫)
    △フタがなんのフタか分かると、よりその静寂さが納得出来るんじゃないかと思いました。私は風呂のフタだと面白いなーと。(なかやまなな)
    △フタの裏に注目したことがなかった。何のフタだろう。鍋のフタなら、水滴が流れて静寂ではない。アイスのフタなら舐めるか舐めないかの選択を迫られ静寂はない。と、ここで気づいたのが、おそらくこれはシュレーディンガーの猫(http://www.youtube.com/watch?v=Q8savTZOzY0&fmt=34)。フタを開けるまで、その中は全てが有であり無である状態。あらゆる可能性が重なり合っている状態。それを「静寂」として表現しているのだろう。禅の公案にも通じる奥行きのある句である。(働猫)

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  2. 子の掘った穴の深い小春日 (8点)◎◎○○○○△△

    ◎子どもが取り憑かれたような行動の不気味さ。小春日和との対比がいい。(十月水名)
    ◎子供は夢中になるととんでもないことをすることがある。掘った穴を覗くと、予想以上の深さに驚く。小春日の明るい陽光の中、深い穴の暗さが少し不気味にも感じられる。(うぐいす)
    ○日々の暮らしにおける何気ない発見が詠み込まれている。(古戸暢)
    ○子、小春日という「明」の題材に、穴という「暗」の対比が綺麗にまとまった。(獺太郎)
    ○子供の飽くなき探究心。夢中で掘ったんだろうけどそのままだと危ないから埋めないといけないですね。(智佐)
    ○すでに落ちてしまって、はるか頭上の穴の入り口を見上げているのだろう。こんなにも深い落とし穴を掘れるようになった子の成長を誇らしく思いながら、もうすでに一時間も誰も通りかからないことを不安に感じながら。小春日とは言え、いずれ日は落ち、寒さが穴の底を満たすだろう。まさか、あいつ。このままおれを放っておくつもりか。早く「大成功」のプラカード持って、テッテレーって言え。おい。だれか。たすけてください。ねえ。おねがい。(働猫)
    △穴にもいろいろあるわけです。砂場がいいな。…ごめんなさい。私、腐女子なんでこれ以上は。(なかやまなな)
    △無心に穴を掘る子に冬の日はやさしいですね。(タケウマ)

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  3. ちいさなカフェにみっしりクリスマス (7点)◎◎○○○△△

    ◎飲兵衛の常連客ばかり。しかし飾り付けは洗練されている感じで楽しいです。ツリーの飾りみたいなピアス付けた人もいる。(なかやまなな)
    ◎みっしりという表現なのに全然嫌な感じではなく、とても静かで幸せな感じがしますね。(木曜何某)
    ○こういう店も好き。(祖啓)
    ○ライトが輝くツリー、ポインセチア、キャンドルなどが想像され、楽しくなる。(雪うさぎ)
    ○クリスマス時期は飾り付けを見るのが毎年楽しみです。(智佐)
    △ 少し入りづらい小さなカフェに、たくさんのクリスマスの飾り。海外のオーナメント。色とりどりのツリー。クリスマス限定メニューなんかもあったりして。私も、カフェが好きなので、「わかるわかる」と言いたくなる句。(桃子)
    △客として入っているのであれば、作者も嫌いではないのだろう。(働猫)

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    1. とらなかったが、景がよく浮かぶ句。

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  4. 友達ができた冷たい泥(6点)◎○○○○△

    ◎独り泥遊びをする子が見知らぬ子と出会って打ち解け、別の場所でまた遊び始めるという、そんな流れを読みました。「冷たい泥」に寂しい印象を受けますが、「友達ができた」ことによって生まれたその冷たさに、反ってあたたかさを感じます。熱が泥から友へ移動した、子の成長を感じられる一句。(めけ)
    ○嬉しがっているところが、さみしいな。(十月水名)
    ○「冷たい泥」と「友達」の関係性。昔ACに、海辺の泥人形が波に攫われる死ぬほど怖いCMがあったのを思い出しました。(遠藤みつまめ)
    ○冷たい泥に惹かれて選びました。なんとなく寂しい印象なのですが、友達ができたのならうれしいですし、なんだか不思議な句です。(木曜何某)
    ○とりました。一見して意味が分からないのですが、何かこれは普通に友達が出来たというよりは恐ろしい意味が込められていそうです。ボッチが構ってもらえるようになったので友達と思ったのに、実はいじめが始まっただけとか(冷たい泥の中に突き転ばされた、とか)、もしくは「冷たい泥」が何か妖怪?みたいな人外のものだったりとか。この不穏さがたまらないですね。実に好みです。詠み人の自解をうかがってみたい。(小笠原玉虫)
    △額には「emeth」と書くのですね。(働猫)

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    1. 最後までとるかどうか悩んだ句のひとつ。意味をつかみそこねることが採らなかった理由だが、それはそれでいいと思う。

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  5. 冬うらら鳥の切手が水の上(6点)◎○○○○△

    ◎切手の鳥は飛ばないが風には飛ばされる。水の上へ風で飛ばされたのだろうか。これから使おうとしていた切手が駄目になってしまったような印象を受けた。勿体無いというか残念というか、もの悲しくて好き。(北大路京介)
    ○白鳥だろうか、鴨だろうか。鳥の切手はたくさんある。結局出さなかった忘れたい人への手紙を、水たまりに捨てた。その手紙に貼ってあった切手に描いてある鳥が泳いでいるように感じた。切なくあるも、これから一歩前に出ようという感じが伝わってきた。(桃子)
    ○事務員さんが大量の切手を貼る作業をしている様子が浮かんだ。手元に切手に水をつけるための器があるのだろう。何かの拍子にその水の中へ切手がひらり。あっ、と手を止めた一瞬の冬うらら。(うぐいす)
    ○意味不明ながら惹かれる句、惹かれることに少し抵抗があるけど。(雪うさぎ)
    ○とりました。可愛らしい。自宅で誰かに手紙を書く、静かな休日の景が浮かびます。水鳥の絵の切手を、小皿とかにとった水の上にちょっと置いて糊を湿らせている。そして鴨とかが池に浮かんでる様子をふと思ってふふふと笑ったりしてるのかなと思いました。ひとりで、平和な一瞬をよくとらえました。大好きな句です。(小笠原玉虫)
    △こちらも選に入れたかった句。美しい情景であると思った。しかしどうしてそうなったのか因果関係は読み取れなかった。でもきれいである。(働猫)

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    1. 意味をつかめないままだった。うぐいすさん、玉虫さんのみた景が、腑に落ちた。あらためて見るととりたくなる。

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  6. 矢印の通りに行けば死亡する(5点)○○○○○△△△

    ○自分の頭で考える方が上手く行く場合もあるが、いつもそうとは限らないので悩ましいものである。(雪兎)
    ○誰かを抹殺するフローチャートだろうか。それとも自分が死亡するフローチャートだろうか。もし後者だとすれば、その矢印に逆らって生きていってるのだろう。人は誰しも死の矢印に逆らって生きているが、最終的には死んでしまう。諸行無常。(北大路京介)
    ○何を考えないでも好きな作品です。なので軽々しく選ばないように音や語句や感じるものを色々と考えさせていただきました。やはり好きな句です。(琳譜)
    ○矢印の通りに行かねば不死なのか(地野獄美)
    ○面白すぎる。人間不信な感じだろうか。ウィザードリィのようなシニカルなゲームのようにも思う。確かに現実世界において、私たちは「矢印の通りに」行ってしまいがちだ。一度立ち止まり、死亡しないか確かめるべきだ。ゲームと違って命は一つしかないのだから。(働猫)
    △これはトイレの個室にある落書きかな。矢印の方向に見て行く。「バカ」で終わるといいんだけど、「しね」と書かれていて、便器から無数の伸びてくる…。(なかやまなな)
    △ 自分の進むべき道は、自分で見つけろという意味ですね。(桃子)
    △なにそれこわい。(遠藤みつまめ)

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  7. 新年がプリンターからぞろぞろと(5点)◎○○○△

    ◎コンテンポラリーな明るさにとても好感が持てる。(雪うさぎ)
    ○年賀状の印刷であろう。プリンターから「おめでとう」の字が次から次へと吐出されていく光景は、めでたい気になる。(北大路京介)
    ○インクジェットだと1枚1枚の印刷はそんなに早くない。ので「ぞろぞろ」は出てこない気がする。けど新年が何か気持ち悪いもののようで好き。(遠藤みつまめ)
    ○どこにでもある家庭の年末風景を楽しげに揶揄していていいなあ(圓哉)
    △年賀状面倒くさいですよね。そんな倦んだ感じが出ています。(働猫)

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  8. 車窓いつまでも結露おび無言ばかりで罪人として帰る(4点)○○○○

    ○この冷たさも、時として必要。(祖啓)
    ○とりました。覚えのある光景です。寒い季節に同乗者とケンカになっちゃったか、子供時代に車中で親のお説教が始まっちゃったか。クルマという密室でこうなるの、非常に息苦しい。で、相手は沈黙しちゃってこちらが悪いということで固定されちゃったみたいな。罪人という強い言葉がいいですね。気まずい雰囲気をよく表しながら、大げさすぎるところがちょっとユーモラスでもあり。好きな句です。(小笠原玉虫)
    ○重苦しく、諦めと許しが混じったような車内の雰囲気。居心地が悪い。幼い頃家族で出掛けた帰りの車内で、私の母は時々父を罪人として帰らせるような態度を取っていた。句から感じたその空気に懐かしさを感じました。(めけ)
    ○詰め込みすぎな気もするため、逆選と迷ったが、語句選びの美しさからとる。バスの車内の暗い情景をよく描いている。「結露おび」がなんといってもよい。「無言」と「罪人」はどちらかでもよかった。(働猫)

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  9. ひとりの酔漢が受験生に手を合わせ(4点)◎○○△△△

    ◎世代を越えた、謙虚な視線に好感が持てる。(祖啓)
    ○誰もが一度は見かけた気のする情景でしょう。でも改めて言われたりこうやって句に成れば背景に色々目が行きます。多くを語っている句だと思い選ばさせていただきました。(琳譜)
    ○このなんともいえない奇妙さ、ちぐはぐさが好きである。(柚子子)
    △祈りたいのはこっちでしょうに。(遠藤みつまめ)
    △どうしてだかはわからないけど、ありそうな事と納得する。(雪うさぎ)
    △暗い読み方をしてしまった。酔いどれの親父が、受験生である息子に手を合わせている。一夜の酒代を恵んでくれと頼んでいるのか。それとも、よい大学に入り自分を楽させてくれと懇願しているのか。親に食い潰される息子の悲哀。それでも親を棄てられない子供の弱さ。なんて不幸な情景だろうか。(働猫)

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  10. 木の葉ふるふる生足がいる(4点)◎○○△△△

    ◎特選。実は私もこの季節の突風について今回詠ませて頂いたのですが、こちらの句の方が一瞬の光景を鮮やかに焼き付けていると感じました。この木の葉は銀杏の黄色い葉っぱのように思います。冷たい風がどっと吹いて、ばぁっと銀杏葉が散る。でもマフラーを巻き付けた女子高生は生足だったりするのでしょう。いまの季節を実に美しく表しました。エクセレント。実にお見事です!!(小笠原玉虫)
    ○木の葉の上をふるふるしている生足がい(て)るととりました。葉っぱ踏み踏みするほどの元気はこの生足にはないが、こっちはすこし元気になる。ありがとう。(なかやまなな)
    ○「ふるふる」にひかれました。(タケウマ)
    △幽霊だろうか。死体だろうか。理解し難い怖さに惹かれるものがある。「ふるふる」が良い。(桃子)
    △面白い句。降ってくる木の葉を見ていたのに「あ、生足だ!」って(木曜何某)
    △結局生足に視線が行ってしまう。これを業と言わずなんと言うか。(働猫)

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  11. 警官がしめつて走る冬の原(4点)◎○○△△

    ◎師走にむけ増える犯罪には悲しい意味も見え緊迫感もあるのにとても分かりやすい言葉だけで詠まれています。これだけの言葉に「師走」や「貧困」触れもしていない状況が見え選評を忘れ何度も読み返させていただきました。(琳譜)
    ○街のイメージと比べて冬の原は余りにも趣が違います。この警官は寂しくないのかしら。(遠藤みつまめ)
    ○しめつて、に惹かれました。警官がしめつて走る。(木曜何某)
    △「しめつて走る」がおもしろいです。(タケウマ)
    △しめって走るとはどういう状況を言っているのだろうか。汗なのか、雪や雨に濡れているということか。涙か。なんとなくやりきれない感じだけは伝わった。(働猫)

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    1. 「しめつて」の意味をつかめなかった。

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  12. 寒き夜や飯島愛の無修正(4点)◎○○△△△

    ◎飯島愛の人生に作者が心を寄せていることが充分伝わる、また私も共感できるすばらしい佳句です。(圓哉)
    ○ 忘れもしない2008年12月24日。友だちと一緒にクリスマスパーティーをしている時に飛び込んできた、飯島愛の訃報。あれだけテレビで活躍している人だったから、とてもショックだった。もうすぐ飯島愛の命日。そんな日に、彼女の生まれたままの姿を見ている。罪悪感を感じるか、それとも興奮か。AV女優から、芸能人として活躍できたのは彼女だけであろう。いろいろ思うことがあり、この句を取らせていただいた。(桃子)
    ○見たいような見たくないような。きっと画質はわるいんでしょうね。寒き夜がぴったりです。(タケウマ)
    △家にあった過去が。本当に綺麗な人でした。(ちとせ)
    △その「愛」で来るとは思いもしませんでした。(洋三)
    △何が言いたいのかまったくわからなかった。(働猫)

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  13. 謎解きの佳境となりて虎落笛(4点)◎○○△

    ◎よいです。(古戸暢)
    ○夢中で読んでいる推理小説。それまで物音ひとつ耳に入らなかったのに、不意に鋭く冷たい風の音が聞こえた。何かの合図のように。(うぐいす)
    ○冬の夜、静かに本を読んでいるのだろうか。内容と現実世界がリンクしていき、物語のクライマックスに合わせて外の風の音も強まっていく。現実と物語の境界があいまいになる夜。急な来客があっても出ないことをお勧めする。(働猫)
    △ドラマ「相棒」でこういう話ありましたね。(雪兎)

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  14. 宇宙船ちょっと圧縮ミルフィーユ(4点)◎◎△△△

    ◎ この句がとても好きで、特選に取らせていただいたのだが、なんと選評を書いたらいいのか相当悩んだ。私なりの解釈だが、地球という宇宙船の、長い長い歴史。それが、圧縮して今の形になった。ロケットから眺める地球は、まるでミルフィーユのようである。私も、こういう句を目指したい。(桃子)
    ◎言葉のリズムにひかれました。きゅっと圧縮された宇宙船もかわいい♪(タケウマ)
    △宇宙船ならば圧縮ではなく膨張なのでは。かわいい句なんですけど。(遠藤みつまめ)
    △無重力になるのだから、逆に膨らむのでは?と思いました。(けいてん666)
    △意味はわかりませんがかわいらしいですね。(働猫)

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  15. 本のカバーに年末のメモがいそがしい(3点)○○○△△△

    ○書店でもらうカバーのことでしょうか。確かに12月はゆっくり本を読んでいるヒマなどありません。生活感溢れる句です。(洋三)
    ○普段はメモには使われないであろうカバーに書かれた文字は「走り書き」のような文字。何か他の用事をしながら忘れないようにと書き込まれて行く文字。何も強い語句はないけれどふと思い出すそう感じました。(琳譜)
    ○書店でつけてもらった紙のカバーですね。ちょっとしたことだけれど、その為人が出ていると思います。(けいてん666)
    △たぶん、本につけたまま書いているわけではなさそうだ。読み終えた本のカバーを取り外して、メモ代わりにしているのだろうな。楽しい予定ばかり。ちょっと違うけど、「書を捨てよ、町へ出よう」だな。(桃子)
    △「メモが」の「が」が勉強になりました。(タケウマ)
    △読書というもののゆったりした時間を年末が侵食していく様子ですね。(働猫)

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  16. もうあなたの声聞こえない夜へ風花(3点)◎○△△

    ◎特選。今回の句群の中で最も美しい愛の句である。失われたのは当然、声だけではない。風花の冷たい美しさには同時に儚く失われるものを想起させられる。顔を覆い、夜のように黒く長い髪を震わせ、静かに泣く美しい女性を思い浮かべた。(働猫)
    ○きれいな句ではあるが、感傷的すぎる気もする。(古戸暢)
    △「風花」がロマンティックで効果的。(雪うさぎ)
    △若干、演歌っぽいですね。(けいてん666)

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  17. 灯り消しておんなの唇が赤い(3点)○○○△△△△△

    ○「灯り」に大正の匂いを勝手に感じた。(古戸暢)
    ○薄明かりの中なのでしょう。情景が目に浮かぶようです。官能的ですね。(洋三)
    ○作者は男でこの女と寝ている姿を想像した。女のいやらしさ、男が女を見るいやらしさが分かる句である。官能句の中には「ふざけている」と不快に思いそうなものもあるが、この句はそうでなく、作者は真面目に俳句に詠んだことが受け取れる。(柚子子)
    △明るいところでは、特に気にならない唇だが、灯りを消した途端に、ぼってりと、セクシーに感じる唇。「唇だけが赤い」というのは、どこかで何回か見た表現だが、この句の「灯りを消して」というところから、女に徐々に興奮していく様子が伝わってくる(桃子)
    △女の唇の赤さだけが闇にぼうっと浮かび上がるのか、灯りを消してと頼む女の唇が赤いのか。恐らく後者でしょうが、パッと読んだ時は前者の印象を受けました。(遠藤みつまめ)
    △この後どうなるんでしょうか。あんなことやこんなことが……(タケウマ)
    △すごく綺麗にまとまっているのだが、どこか既視感が。(獺太郎)
    △やる気まんまんである。おそろしい。(働猫)

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  18. 来る来ない来る来ない来る来ない雪が降る(3点)○○○△△△

    ○割りとありがちな感じ、でも好きです。良い意味でスタンダードだったのでは。(遠藤みつまめ)
    ○「来る来ない」の三連が効いています。結句に至って脳内に情景が広がり、山下達郎の例の曲が流れました。(洋三)
    ○ちらちらと降る雪のひとつひとつを願いながら目で追ってる。(智佐)
    △花占いかと思ったら「雪が降る」ときたのでちょっと面食らいました。(雪兎)
    △サンタを待っている子供かなと思ったのですが、たぶん恋人を待っているのでしょうね。でも、僕はサンタを待っているほうが好きなのでそちらだと思い込むことにします。サンタを待つ子供たち。雪が降っているのに「来る来ない来る来ない」(木曜何某)
    △冬の町で来ない人を待っているのですね。来ないのです。帰りましょう。(働猫)

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    1. あらためて読むとよいと思う。

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  19. 川に浮いた笹舟すくってほどく(3点)○○○△△

    ○ほどいて作り方を調べたくなるほどの出来だったのかもしれないが、どことなく人間の底意地の悪さを感じる。いい意味で。(雪兎)
    ○人の作った笹舟を勝手に。しかし、とても自然というか、とても綺麗というか、良い句だと思います。(木曜何某)
    ○ぼくたちはふだん、壁に書かれた恋人同士の願いごとなんかをわざわざ消してまわるようなことはしない。あの、川に浮いている笹の舟も、それがどこかへ無事に届いてほしいとつくって流した誰かの、ささやかな祈りのようなものであると、何となく知らせているようなかたちをしている。それを見つけてわざわざほどく、というのだから、これがその人自身の浮かべたものでない以上は、ただ事ではない気がする。なんとなくそれを見つけ、なんとなく拾い、なんとなくほどかざるを得なかった、そのなにげなさにこそ、ささやかにも強いその人の業のような感情を思う(地野獄美)
    △川に浮いた瞬間、やはり流れていくなと離れるのを嫌って、それですくってほどいたのかと思いました。(めけ)
    △誰かの願いを乗せて流れてきたものかもしれないのに。無邪気なのか、それともちょっと意地悪なのか。(働猫)

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  20. 父さんの真っ黒な肺年暮るる(3点)○○○△△

    ○無事に年を越せますよう。(古戸暢)
    ○まだ病気は発症していないだろうが、時間の問題という気もする。思えば我々は、いつも何らかのリスクを抱えて年を越しているのだ。(雪兎)
    ○タバコを吸わなくても肺は黒くなるらしい。肺に入ったゴミは外に出ずにが溜まっていき黒くなる。年が開けたとて肺は黒いまま。絶望感があって良い。(北大路京介)
    △年の暮れに肺を患った父と、まあいずれそうなるだろうなとは思ってはいたけどと話す家族が浮かびました。「父さん」という表現に父親と家族の距離の近さを感じました。父だと悲愴感漂う気がしますが、父さんだと何となく前向きに感じられる。(めけ)
    △それでも煙草はうまいのだろう。人体の不思議展。(働猫)

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  21. すべて投げ出して逝った父の干支くる(3点)○○○

    ○父は投げ出していったが、こちらには父の思い出が刻み込まれている。(なかやまなな)
    ○父が死んでから何年経ったかは分からない、しかし父の干支だけは覚えている。すべて投げ出しても12年毎に干支は巡ってくるもの。(北大路京介)
    ○ある種の品を感じる。(獺太郎)

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  22. そういえば死ぬのはやっぱり春にした(3点)○○○○○●●△△

    ○太宰治の小説の一節を思い起こしました。あれは夏ですが。(洋三)
    ○もう少し何かひねりが?それともこれ以上?と思いながらも、もう死ぬ事など怖くないという今までの時間と、せめて死ぬときくらいはと思う気持ちが見えました。その力で春に成ればなにか幸せがきっと来るのだろうと軽快な言葉から感じ選ばさせていただきました。最後まで好き嫌いさえも選べない不思議な力のある句だと感じました。(琳譜)
    ○軽さがいいです。長生きしそうですね。(けいてん666)
    ○面倒くさい人、そこがいいなと感じました。面白いなと感じるけれど巻き込まれたくない雰囲気。「やっぱり春にした」を、私は先延ばしにしながらだましだましでも生きることを選んだ人として読んだのですが、やっぱり春にしたこの人はその後どうしたのだろう。(めけ)
    ○いつかほんとうに死んでしまいそうだと思っていたともだちからの、ほんとうに死んでしまった後に届いていたはがきの、追伸・・・なんだよ、嘘つき(地野獄美)
    ●評価不能なものを外した上で、選句を行った。この句については、内容そのものは好きだが、五七五の韻律に拠るほかない点が気になった。(古戸暢)
    ●ひとりごとをどう詩にしていくかが大事なんでは。(圓哉)
    △ 誰かとの話の途中だろうか。自身の死を「そういえば…」で他人に語り出す軽さ。おもしろいのだけど、選び難いものがある。(桃子)
    △「死にたい」が口癖なのだろう。春までになにか死を思いとどまらせるイベントがあるのだろうか。死期を悟り、せめて桜のころまで生きようという強がりと読めば美しくもあるが。たぶんそれは穿ち過ぎであろう。「ねがはくは花のもとにて春死なむそのきさらぎの望月の頃(西行)」(働猫)

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  23. 一人居へ帰る冬田の三枚目(3点)◎○△

    ◎自然と雪が積もっていたり、淋しい様子が凄く伝わった。(ちとせ)
    ○夕方の薄暗くなってきた頃、冷たい風の吹く中を帰る人の姿が浮かびました。一人居が冬の寂しさを強く感じさせます。もうそろそろ家に着く頃であってほしいと感じました。(めけ)
    △三枚目は田の枚数なのか、自身の役回りなのか。いや、両方なのだろう。三枚目を演じた一人の帰り道の遠さ、寒さ、切なさを読み取れる。(働猫)

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  24. マウンドで和尚の孫の崩れ落ち(3点)○○○△△

    ○顔や耳の形が似ているんだけど、性格が特に似ていそうだなと、楽しい想像ができた。(ちとせ)
    ○彼のことは町中が知っているのだろう。球場で、あるいはテレビ中継で映し出された崩れ落ちるピッチャーは「チームのエース」ではなく「和尚の孫」だったのだ。(うぐいす)
    ○馬鹿馬鹿しさが秀逸です。若干、「出オチ」感がありますが。(けいてん666)
    △ 意味はよくわからないが、言葉の持つ面白さを感じる。(桃子)
    △草野球であろうか。祖父が住職であったことから、幼少期より「和尚の孫」と呼ばれてきた。今や自分自身が孫を持つようになったというのに。幼馴染はいまだに「和尚の孫」と呼ぶ。あだ名とは業のようなものだ。どこまでもついてくるのだ。(働猫)

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  25. ささくれをゆっくりむいて深い傷(3点)◎○△

    ◎無季としていただいた(作者はささくれを季語としたことを考慮したが、いくら調べても季語として出てこなかったので)。無季は「果たして俳句にする必要があるのか?散文や短歌ではいけなかったのか?」と自問しながら選句していったが、これは成功と言える。ひらがな中心の上五中七から下五が実に意外性があり、それだけに非常に痛々しさが伝えわってくる。それだけでなくささくれを愛しく思い、だからこそよりその深い傷に作者は痛みを感じたのではないか。(柚子子)
    ○ゆっくり丁寧に痛まないように、これ以上の問題に成らないように・・・なのか、ゆっくり丁寧に触れなければ成らないようなものだからこそ注意を払っても深く残ったのか・・。悲しい空気だけでなく乗り越えた時間を優しく包んでいるようなそんな空気を感じ選ばさせていただきました。(琳譜)
    △慎重にしてかえって事態を深刻にしてしまう。そういうことってありますよね。(働猫)

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    1. 改めて見たら、いい句でした。自分のことをわかってないって事を、わかってるのか。

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  26. 愛人にするなら誰だ童貞ども(3点)○○○△△△

    ○愛人壇蜜!パトロン檀ふみ!そして女房に檀れい!!(なかやまなな)
    ○複数の美女と、複数の恋愛経験のなさそうな男性がいる、合コンか。そもそも童貞ってそんなにおかしいことではないと思うのだけど、この句から、女性としてのプライドが見えてきた。こんな男と付きあっていることを認めたくない自分とか。でも、その男は学歴とか、職業とか、人に自慢したくなるような物を持っていたりして。また、「当然、私を選ぶんでしょ」という、女性の心の声も聞こえてくる。(桃子)
    ○忘年会や新年会での様子かもしれないが、恋人ではなく、愛人というのがいい。(ちとせ)
    △童貞に無茶な質問するのは面白いですよね。(十月水名)
    △きゃりーぱみゅぱみゅでお願いします。(タケウマ)
    △木村多江でお願いします。(働猫)

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    1. 皆さんの嗜好が興味深いです。

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  27. 愛された目が死にたがる雪催(3点)○○○

    ○死んだ目と雪模様の色調がリンクしていて入って来やすい句(獺太郎)
    ○生きるための手助けなら何かできるのかも知れないが、死を望む人には何も言えないしできない。きっと胸を押されるような苦しみとやるせなさを感じはしても無視してしまうだろう。空気の冷たさと空の様子が余計にそう感じさせるのかもしれない。(めけ)
    ○病気や老衰で死に瀕している犬や猫を思い浮かべました。その目を受けとめきれずに窓の外に視線をそらす。曇天。今にも雪が降りそうな暗い空が不安を煽る。失われゆく命を慈しむように抱いていたあの日の情景を思い出しました。(働猫)

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  28. バルーンライトが夜を裂く外で働く人まだ働く(2点)◎△△

    ◎上句から結句まで非常に力強い句です。「外で働く人まだ働く」には熱いものを感じました。(洋三)
    △「夜を裂く」がいいですね。(タケウマ)
    △道路の脇の工事現場で働く人たちを想起。ふと見た光景を鮮やかに焼き付けました。実に俳句的で好きです。夜を裂くの前までは、もう少し整理出来るかもとも思います。(小笠原玉虫)

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  29. あなたの眉毛だけしか見えない後部座席(2点)○○△△△△△

    ○助手席には私以外の女…(なかやまなな)
    ○鏡ごしにうつってるあなたがどんな気持ちでいるか気になるのだろう。(智佐)
    △いい視点ですね。ただ「だけしか」が勿体ないです。(洋三)
    △バックミラーに運転席にいる人の顔が写っているのですね。表情をうかがいた事情があるのでしょう。でも見えない。気まずい時間が流れていきます。(タケウマ)
    △車中の風景ですね。物語性があります。運転席・助手席と並んで座れないジレンマみたいな。で、運転席と助手席は夫婦とかなのでしょう。ちょっとさみしくてスリリング。(小笠原玉虫)
    △「だけしか」というしつこいようにも思える表現に、本当は助手席で横顔を見たかったが叶わなかった歯痒さ、そして執念を感じました。ほんのり恐ろしさも。(めけ)
    △車を停めてきちんと話し合いましょう。だまっていればお互いに不満は溜まるばかりです。(働猫)

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  30. 片目がムツゴロウさんに繋がっている梟(2点)○○△△

    ○どうしてもケチがつけにくい。(祖啓)
    ○こんなイメージの膨らませ方がとてもいいですね。(圓哉)
    △すごくひかれた句です。ムツゴロウさんはなんでも見てるんですね。(タケウマ)
    △なんか怖い。イカの目が自身の脳に比して高機能すぎるため、何らかの別の存在(宇宙人とか)の「目」の役割を担っているというトンデモ説を思い出しました。(働猫)

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    1. 鑑賞文を読んでも意味をつかめないこの孤独感。

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  31. ゼリー食う友の話は聞き流し(2点)○○△△

    ○ゼリーが喉を通る感触と聞き流す話が耳を通る感触がリンクするみたいで面白い。(北大路京介)
    ○「ゼリー」が効いていると思います。つるりとすべり落ちる感覚。(けいてん666)
    △ゼリーのつるっとした感じと「聞き流し」のつるっとした感じ。つるっと入ってくる句でした。(遠藤みつまめ)
    △よほどゼリーが好きなのか。それとも友と言いつつ友ではないのか。後者で読むとどろどろした感じで怖いので前者で読む。しかし、そうすると「ハムッ ハフハフ」のAAを思い出してしまい、にやにやが止まらない。(働猫)

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  32. 土曜日のネガティブ思考ブロツコリ(2点)○○△△△

    ○今日、学校で試験かって思いながら食べるブロッコリーは面白い(ちとせ)
    ○よくわからないのは無条件にとることにしているのですが、特に「ネガティブ」と「ブロッコリ」にやられました。(タケウマ)
    △なぜ土曜日がネガティブなのかはおいておいて、たしかにブロッコリーは愉快な形じゃないかも(十月水名)
    △ブロッコリーに罪はない。ないけれどこんなところに出てくると陰鬱さの象徴に見えてしまうから不思議です。(遠藤みつまめ)
    △「アーノルド坊やは人気者」の中で、おにいちゃんのウィリスはけっこうネガティブな考え方をする役柄だったように記憶しています。ブロッコリーみたいな髪型だったので思い出しました。(働猫)

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  33. 愛歌ふ美輪明宏は有袋類(2点)○○△△△△

    ○有袋類と言い切られるとそう思ってしまう。(十月水名)
    ○美輪さんの懐の深さ、あれは有袋類であることに由来していたのか。妙に納得。(うぐいす)
    △そう言われたらそうかもと納得してしまう存在感がある。(ちとせ)
    △股の間に「袋」があるから有袋類、ということでしょうか?(けいてん666)
    △実際の有袋類の袋の中は、その臭いにすぐさま逃げ出してしまいそうで且つ脱出も簡単そうに思えますが、美輪さんの場合は一度踏み込んでしまったが最後、どこが出入り口だったか分からなくなってしまいそうですね。ビロード地に香水のイメージ。(めけ)
    △確かにそうかもしれませんね。(働猫)

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    1. けいてんさんの鑑賞文に一瞬納得しかけたが、おそらく違うのだろう。

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  34. 愛してもらえるはずの明日へ眠る(2点)○○△△

    ○「はず」からさみしさが伝わってきます。愛してもらえたのかな…。(十月水名)
    ○切ない。子供だったらなお切ない。誰でも琴線に触れる傷を持っているかも。(雪うさぎ)
    △「愛してもらえるはず」とは苦しくなることを思う方だなと困惑しました。翌日の夜、ちゃんと眠れただろうか。(めけ)
    △問題を先送りしてみる。大切なことです。明日になればきっと何かが変わるはず。子供のころのことを思い出してちょっと苦しくなりました。(働猫)

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  35. 電子音の愛の歌で泣く俺じゃなかった(2点)○○△△

    ○「俺じゃなかった」という喪失感が大変好きである。口語を上手く使っている。(柚子子)
    ○ボーカロイドにだって愛の歌くらい歌えるし、15歳の少女がそれを毎朝聴くたびに泣いている時代だ(地野獄美)
    △クサい感じが嫌いではないです。(けいてん666)
    △ん、そうですか。という感想しか。自己愛があふれ出ている感じですね。(働猫)

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  36. 夜を売る人に言う「ご自愛ください」(2点)○○△△

    ○「夜を売る人」というキラーフレーズに振り回されないでしっかりと着地した。(獺太郎)
    ○夜を売る人と言えばホストやキャバ嬢等が思いつくが、特に売春婦を思い浮かべた。頑張っている人に「頑張れ」というような違和感も言った本人(=作者)も違和感を感じているのだろう。季語ありのバージョンもぜひ考えていただきたい。(柚子子)
    △確かにちょっと心配になります。(洋三)
    △大きなお世話な気もするが、どうしてもそう言いたい状況にあったのだろう。殴られなければいいが。私なら言われれば殴る。(働猫)

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  37. 愛の名においてパンツを脱ぎなさい(2点)○○△△

    ○命令なのか、諭しているのか、笑ってしまった。(十月水名)
    ○とりました。ストレートでいいです。愛などなくてもパンツは脱げますが、愛なく脱ぐパンツは確かにあまり面白くない。やはり愛の名のもとに脱ぎたいものです。「愛ある限り闘いましょう、命燃え尽きるまで」っていう美少女戦士ポワトリンのキメ台詞を思い出したりもしました。そう、キメ台詞的小気味良さもあるのです。(小笠原玉虫)
    △うふふ♪ 言ってみたいし言われてみたいですね♪(タケウマ)
    △愛の名のもとにはすべて許されるように思いますが、この愛は非常に即物的です。人の子の愛(エーロス)の正しい姿とも言えますね。(働猫)

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    1. 「愛」の句では、これが一番良かったです。

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  38. 怪談を語るように愛語る口(2点)○○△△△△

    ○愛って怖いですからね。でも、話している人は楽しんでいるのですよね、怖がらせようとして。それが面白いなと思い選ばせていただきました。(木曜何某)
    ○語られたほうは怖がるのか笑うのか、とぼけた味が良い。(雪うさぎ)
    △これは怪談以外のなにものでもありません。(十月水名)
    △おどろおどろしさが滲み出ているのか、訥々と語るのか、それともびくびくと語るのか。怪談をどう語るかは人それぞれですが、愛もそうなのでしょうか。ううん。(遠藤みつまめ)
    △怖い怖い>< こういう相手とは関わっちゃいけませんね!!(小笠原玉虫)
    △稲川淳二でしょうか。あ、なんだろー、この、心臓がシクシクー、シクシクーと痛み出したんですよ。それで嫌だなー、怖いなー、と思ってたら……愛してしまっていたんですよー。(働猫)

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  39. 愛人は水子参りだ突っ立って待つ(2点)○○△△△

    ○意外に若い女性なんじゃなかな。(なかやまなな)
    ○はい、突っ立って待つしかないですね。そうやっていろいろなことを受け入れていくしかないのです。(タケウマ)
    △突っ立って待つ間、一体何を考えていたのか。何も考えていない気もするのです。(遠藤みつまめ)
    △もし女性の句だとしたら超ブラックとして許せるけど。(雪うさぎ)
    △水子参りに昭和を感じます。業深い二人ですね。(働猫)

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    1. 愛人の水子参りがすでに興味深い。

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  40. 私を洗濯する湯に浸かる(1点)○△△△△△

    ○体は毎日の洗濯物のように重たい。(智佐)
    △ 洋服は、洋服の意思で自らを洗うことができないが、人間は自分の意思で、自分を洗うことができる。私の何を洗濯するのかを書いていない所に、自由律俳句らしさと、魅力を感じる。(桃子)
    △風呂は命の洗濯よ。永遠の名言です。(遠藤みつまめ)
    △お風呂→人間を洗濯、って発想が面白いなと思いました。(小笠原玉虫)
    △湯に浸かることで一日のあれこれをほぐして落とし、深刻にしないようにしているんだろう。とはいえ「洗う」ではなく「洗濯」としたところから、この日は長風呂で結局深刻になってしまいそうに思えました。(めけ)
    △風呂はいい。すべてをリセットしてくれる。再生の儀式にも通じる。最近ずっと湯船に浸かることがなかったなあ。この正月休みは温泉でも行きたいものです。(働猫)

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  41. おたまじゃくし太陽はこわいもの(1点)◎○●●△△△【コンプリート句】

    ◎生まれたばかりの無数のおたまじゃくしを上から眺めながら、その数と蠢くさまにぞっとする、あの戦慄。すべては何も知らずに卵を泥の中でぬくめてはぐくんだ太陽のしわざだ。その親の蛙たちの、親のそのまた親まで、いっさいがそう。子を一人産んだばかりの女が、素直にそう感じた光景か。それとも、その子がものめずらしげに素朴に田んぼを見ていた光景だろうか。いずれにせよ、あれだけ力んで自分が生み出したものを、太陽はいともたやすく遠くから、なんの自覚もなしに、何万年も与えつづけてきたのである。太陽。選ばず、与え続けること。もしも、この句のように太陽を少しでも「こわい」と感じたなら、それが、あなたやわたしには決してそうすることのできないものだからである。句の連想も非常に面白いと思った。平易にひらがなで書かれた「おたまじゃくし」と同時に、まず目に飛び込んでくるのは、太陽ではなく「こわい」感覚の方である。おたまじゃくしを見ていたら、なんだかよくわからないがこわかった、その速さが、あえてひらがなにされた「こわい」にはある。いいようのない気持ち悪さ、畏れのようなものをようやく感じて、おたまじゃくしを見ている自分を見ている太陽の存在に気づく。句じたいは、こわいのは太陽だと言ってくれているにもかかわらず、結果的に、おたまじゃくしが太陽と同じくらいこわく思えることが素晴らしい。というのも、わたしたちには到底、太陽の本当のこわさなど、微塵も感じとることはできないから(地野獄美)
    ○おたまじゃくしは水以外のすべてに負けてしまいそうなほど儚く脆弱に見える。そのため、太陽を恐れているのが容易に想像できる。(雪兎)
    ● 太陽の下で、生き生きと泳ぐおたまじゃくしに、誰が「太陽はこわいもの」と、問いかけているのだろうか。蛙ではなさそうだが…。私の場合、この季節におたまじゃくしと言われてもピンとこず、どうしても精子を思い浮かべてしまう。太陽の下で、死んでいく精子たち。ただ、通常は野外で行うものではないので、太陽というのはなんだかおかしいな。そういう意図でなかったら本当に、変な見方をしてしまい、ごめんなさい。(桃子)
    ●句の意図や風景が浮かぶより前に何か引っかかりを感じました。それを自分なりに解釈したいと思うものの未だうまく表現できず、もどかしさを感じました。そう感じた句はこれ以外になかったのでこちらを逆選とさせていただきます。(めけ)
    △おたまじゃくしに虫眼鏡で太陽光をあつめて焼こうとしている子の姿を想像しました。確かにこわいですね。(タケウマ)
    △おたまじゃくしが太陽を怖がるという意味ではなく、これから育っていく→生きるって怖いことだ、でも希望があるみたいな句意かなと解釈しました。まさにその通りですね。太陽を持ってきたのがうまいなと思いました。(小笠原玉虫)
    △季節感はまったくないが、おたまじゃくしにしてみればそれは太陽は怖いでしょう。子供のころ蛙の卵を取ってきて育てるのが好きだった。玄関の水槽に入れておくとおたまじゃくしがもじゃーっとわいて。そしてつい水を足し忘れてみんな干からびてしまったことがありました。すまぬ。すまぬ。(働猫)

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    1. 精子の気持ちになって発言しているのか?

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    2. あ・・・、桃子さんがすでに書いてた

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  42. 国会議事堂前 奥歯疼きけり(1点)○△△△

    ○作者の心情や主張が強すぎず弱すぎず、ほどよい距離感で表現されている。(柚子子)
    △奥歯にものが挟まっているんですね。(なかやまなな)
    △デモに参加したのでしょうか。ひりひりとした感情が伝わります。(タケウマ)
    △奥歯に爆弾でも仕込んでいるのだろうか。あるいは加速装置か。(働猫)

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  43. 霊媒師の脳挫傷を数理的に追放(1点)○○○●●△△

    ○「脳挫傷」を「追放」という大胆さ。意味が通じなくてもいい。作者の意気込みを買いました(十月水名)
    ○うまい戦い方だ。(祖啓)
    ○ どんな病気も治すという霊媒師が、脳挫傷になる。それを数理的に追放した。一見、皮肉のようにも感じるが、「医学的」ではなく「数理的」なのである。私は、医学と数理の関係性が、よくわからないが、「追放」という言い方も含め、霊媒師とはまた違った胡散臭さを感じる。おもしろい。(桃子)
    ●ひとつひとつの言葉はおもしろいのに、組み合わせたことで何が何だかわからなくなってしまった感じ。私が数学に弱いからでしょうか。(うぐいす)
    ●生き死にのことを言葉遊びしてるように取れてしまった。東野圭吾のガリレオシリーズのようではある。(智佐)
    △とっても気になる句でした♪ とると脳挫傷になってしまいそうで、あきらめました。(タケウマ)
    △まったく意味がわからない。ナンセンス狙いなのか。椎名林檎の歌詞だと言われれば納得する。「れ」と「り」があるので、初期の巻き舌で歌ってほしい。(働猫)

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  44. 空っ風吹く手をつないでゆく(1点)○△

    ○冬らしい景。類句はあろう。(古戸暢)
    △寒さを理由に手を?いだとも読めるし、困難に立ち向かっていく決意の句とも読める。いずれにせよ、何か一つ足りないような気がする。(働猫)

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  45. あとはボタンを押すだけ(1点)◎●△△△

    ◎直前まで用意を念入りにしていて、さあやっと、という緊迫感があります。(智佐)
    ●キューバ危機(なかやまなな)
    △炊飯器で炊きこみご飯をつくるわけではないですよね。ボタンを押した後になにが起こるか読者の想像力を試しているようです。おもしろい♪(タケウマ)
    △何のボタン、何のため(何があったから)などもう少し描写があればいただきたい。興味はひかれる。(柚子子)
    △ちょっと投げっぱなしな気もするがおもしろい。(働猫)

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  46. 寒昴のぞみは遠く過ぎ行きて(1点)○△

    ○ 新幹線の「のぞみ」と「望み」をかけているのだろうな。しみじみと、物思いにふけっている様子が、とてもおもしろい。寒昴という季語も合っている。(桃子)
    △流れ星でも探しているのでしょうか。(働猫)

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  47. 裸木に鳥の集ひて凌遅刑(1点)○△△

    ○なぜカラスは、こんなにも多くの役目を担っているのだろう。(祖啓)
    △すごい見立てです。こわい。(タケウマ)
    △鳥が集まっている様子から、作者には凄惨な情景が想起されたのだろうか。鳥との関連でプロメテウスをイメージした。(働猫)

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  48. 鬼百合や悪性リンパ腫体験記(1点)○△△

    ○悪性リンパ腫がどんな病気かわかりませんが、鬼百合との対比に納得できてしまいました。(圓哉)
    △花をつけるまでに数年かかる鬼百合が先にあることで、悪性リンパ腫を克服した印象を受けました。長患いを克服した人の日記(めけ)
    △この取り合わせに必然性はあるのだろうか。鬼百合という名の女性の体験記なのか。わからない。(働猫)

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  49. みちみちと 厚着の群に 上野行き(1点)○△

    ○厚着をした人たちはまさしく電車の中に「みちみち」詰まっています。閉塞感を思い出してうっとなりました。(遠藤みつまめ)
    △「みちみち」は、着膨れした様子と、上野への道々との二つの意味があるのでしょう。どこへ行っても厚着の群れがいて邪魔だなあ、と厚着した作者が思っているのでしょう。(働猫)

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  50. 愛しさは冬ざれた瀬のうちに似て(1点)○△

    ○古い話ですが岸恵子と萩原健二の映画「約束」を思い浮かべてしまった。情景を感じられると惹かれます。(圓哉)
    △愛し方は人それぞれですね。だからこういう句の場合、「あ、そっちのがいいじゃん」と思わせるものでなければ人の心を動かせないのです。(働猫)

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  51. 薬缶冷え切る前の高倉健氏(1点)○△

    ○よくわからないんですが、「高倉健氏」の「氏」にひかれました。なんかほっておくと役を全うするまで寡黙に立っていそうですよね。その姿勢への尊敬を「氏」にあらわしたのかと。(タケウマ)
    △そしてこちらが冷え切った後の高倉健氏となります。(働猫)

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  52. 冬うらら破滅の男語るカフェ(1点)○△△

    ○あまり深刻でない感じです。カフェで取材でも受けているのかもしれませんね。(けいてん666)
    △どうしようもない人の話は(それが恋愛絡みだと余計に)盛り上がる話題の一つだと思います。その分、場がお開きになった後のことを思うとやるせない気持ちになります。(めけ)
    △「破滅の男」ってなんだろう。ちょっと大袈裟な感じがします。「破滅した男」「破滅型の男」ならわかりますが、「破滅の男」だと、世界を滅ぼすために魔王に遣わされた男(四天王の一人)みたいです。破滅の男が倒されたか……。ふふふ。しかし奴は四天王の中でも最弱……。(働猫)

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  53. だんご虫とひろげた手 寡黙に愛あかい(1点)○△

    ○寒い中手袋もしないで夢中で遊んでいたんですね。冷えて赤くなった手が愛しい。やさしい眼差し。(めけ)
    △前半は自然でよいが、後半が重い。よい瞬間を切り取っているのだから、語選び次第でもっとよくなると思う。(働猫)

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  54. 湯豆腐や愛を語れど語れども(1点)○△△

    ○冬の鍋を囲んで愛とは何かを語る。話は尽きない。(獺太郎)
    △これだという答えの無い話題でああでもないこうでもないと語り合いながら湯豆腐をつつく。酒も入っていそうですね。贅沢な冬の風景。愛の話よりも湯豆腐に愛を傾けていそう。(めけ)
    △湯豆腐でなくてはならない必然を感じませんでした。(働猫)

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  55. 二次元の君を愛せば寒き尻(1点)○△△△△

    ○二次元を愛することは、漂流にも似て、あまりにも静か過ぎる。(雪兎)
    △ 抱き枕だろうか。「寒き尻」がとても現実的。(桃子)
    △もうパンツ脱いじゃったんですね♪(タケウマ)
    △寂寥感がたまりません。どうしてお尻が寒くなるのでしょう。あ、もしかして……BL読んでいらっしゃる!?(小笠原玉虫)
    △自慰行為の最中に不意に我に返ったのでしょうか。幸せそうで何よりです。(働猫)

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  56. 噛んで噛んで味のなくなった君をなほ愛す(1点)○△△△

    ○まず、味がなくなるまで噛み尽くしてくれるのだろうか。それでもなお愛してくれるのだろうか。そんな男がいるんだろうか。そして我が夫は…?(うぐいす)
    △ガムでしょうか。なるほど噛む行為は愛することと共通する部分があるかもしれません。(タケウマ)
    △味の無くなったものをなお愛すというそれは、愛なんだろうか。単純にガムのこととして考えてしまったせいか、わたしにはそれは愛というより執着のように感じられた。(めけ)
    △そのような愛もあるのですね。(働猫)

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  57. クリスマス大事なことはよそでする(0点)○●△△△△

    ○少しさみしい自宅の様子と本人の気持ちの高ぶりとの対比が面白かった。(ちとせ)
    ●クリスマスよりも大事なことといっておきながら、それが何かは、はっきりと言わない。ではどこでするのかと聞かれても、よそである、としかない。きわめて一般的に考えれば、この「よそでする大事なこと」こそが、ここで言われているクリスマスの目的である。ぼくはぜったいにそれが「性交である」といわない。もっと大事なことが、必ずあるはずだ(地野獄美)
    △「せいや」は妻とではなく。(なかやまなな)
    △クスッと笑みを浮かべてわかるなあと思わせる愉快な句です。(圓哉)
    △とても面白い。しかし読者に想像を任せ過ぎである気もする。大事なこととは何か、よそとは例えばどこか等を描写すればより一層良くなるのではないか。(柚子子)
    △「仕事とセックスは家庭に持ち込まない」というビートたけしの名言がありますが、そういうことでしょうか。(働猫)

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  58. 行く年の字幕で見たるコントかな(0点)○●△

    ○新しい楽しみ方であり、新年という季語と合っている。(ちとせ)
    ●「行く年」でなくても良いんじゃないでしょうか。最近のテレビ番組は字幕が多いですね。早送りで見ても字幕読めばコントの内容もわかっちゃいますね。耳の聞こえないかたの句かもしれないと思いましたが、もしそうなら、聞こえないことがもっと分かるような言葉を持ってきたら良い句になるんじゃないでしょうか。(北大路京介)
    △ルコントなら、「髪結いの亭主」が好きです。あ、コントか。年の瀬、家族と過ごす年越しの日に、見るでもなくついていたテレビの中で芸人たちが必死にコントをやっていたのでしょうか。ルコントのほうが良くないですか。(働猫)

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  59. 寒いから早く殺してまた吹雪く(-1点)○●●△△

    ○うーむ、悲しい句ですね。もう助からないのでしょうね。しかし、ちょっとコメディの感じもしました。(木曜何某)
    ●好きな作品。ただ「寒い」と「吹雪く」の重なりがなければ、この作品はもっと面白く、読者の想像力を刺激したのかな、と思いました。(十月水名)
    ●本当の事だろうか?(祖啓)
    △寒いから、吹雪く、と言った言葉がありながら、浮かぶ情景は暖かい部屋でした。(遠藤みつまめ)
    △そのまま読むと、なんて甘えた言葉だろうと思ってしまうので、違う読みを試みます。たぶん二人は妖怪退治的な仕事をしているのです。そして今、東北の寒冷な地で雪女郎かなにかとたたかっているのです。しかし平和に暮らしていた妖怪たちの住処を奪ったのは人間たち。自分たちの邪魔になるからといって「早く殺して」とは、やはり利己的な言葉。やっぱり甘えです。(働猫)

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    1. 状況をつかめないが、雰囲気は好きです。

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  60. 陰口の中に有る愛情(-1点)●△△△△

    ●これが「最も」拙く、問題句であるかと問われれば悩むが、しかし類似した作品がよくありそうなこと(俳句に限らず)、俳句である必要性が最もわからなかったことから逆選句としていただいた。(柚子子)
    △悪口ではなく陰口。悪口の中にあるよりももっと歪んだ何かを感じます。(遠藤みつまめ)
    △「陰口」を最初エロティックな名詞でとらえてしましました。「かげ口」ですよね。(獺太郎)
    △その独り善がりの愛って通じるのかな?と思いました。(けいてん666)
    △いないところで話題にするということは、確かに意識しているということではあります。しかし、「陰口」と言ってしまうと悪意が含まれてしまうので愛情とは言えないと思うのです。確かにあの夜、古戸暢さんのことを話題にしましたが、陰口ではありませんでしたよ。あれはただの愛だった。古戸暢愛。(働猫)

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    1. 働猫さんの鑑賞文に腑に落ちないところがあります。

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    2. コトさんへ

      あんまり気になるようだったら、「コトノブの歌」を聴いてみて。

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  61. 親に愛されず声の出ないカラスよ(-1点)●△△△

    ●どこかに狙ってやってます感が見えてしまう。元々美しい声の鳥ではなく、カラスであるところが肝なのでしょうが、ううむ。(遠藤みつまめ)
    △これも切ない。カラスであることでそれが強調されている(雪うさぎ)
    △マリア・カラスですか?(けいてん666)
    △カラスそのものを詠んでいるのか、人物をカラスに擬えているのか。「よ」がちょっと気障であろうか。(働猫)

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  62. 愛しい貴女で鼻毛だ(-2点)○●●●

    ○もしこの人が貴女の鼻毛すら愛しい、などと書いていたら、ぼくはその人の恋人の家にいって、その恋人の鼻毛をこの目で確かめるまでぼくは絶対に認めないつもりだったが、鼻毛だと言い切っているのだから、鼻毛は、愛しい貴女と同じくらいに存在感がある、ということであり、そのことにぼくも完全に同意できる(地野獄美)
    ●類句どころではなく、何一つ新しい所が無い。もう少し事物を注意深く見つめてください。(雪兎)
    ●人のからだで鼻毛ほどキュートなものはないと常々思っています。愛を語るときに鼻毛を出すのはボク的に反則です。(タケウマ)
    ●使い古されたテーマであるように思う。もう一つなにかなければいただけない。(働猫)

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  63. 13日の金曜女房は飛行機でどっかに行く落ちれば幸運(-2点)●●△△△

    ●落ちれば幸運まで言わなくても、意味は伝わったのでは。(ちとせ)
    ●音律がひどい。無駄に詰め込みすぎ。(獺太郎)
    △ 夫は一人になりたいのである。妻が出かけて一人になれたのに、そのうえ落ちろとは!妻にとっての不幸も、夫にとっては幸運。幸運もなかなかやってくるものではないが、不幸もなかなか訪れるものではない。幸と不幸は隣り合わせである。(桃子)
    △俳句ではなく、短歌や散文、詩なら間違いなくいただいた。(柚子子)
    △13日の金曜日ならば、飛行機に乗るよりも、どこか湖の畔のコテージで大学生数人とマリファナパーティをする方が、ホッケーマスクによる確実な死が得られます。(働猫)

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  64. 愛してる言い過ぎるから嫌われる(-3点)●●●△△△△△

    ●こういう形の愛は常に語られているので共感は得やすい。何か一文字二文字に配慮をすればそれだけで特選や並選にかえって選ばれるものなのかもと思いました。なのでそれがとても惜しく逆選に。音韻だけでも整っていれば切ない世界が覗けたのかなと別の面では難しいこの題材でぜひまた詠んでいただき読まさせていただきたいです。(琳譜)
    ●うむー。俳句とするには直接的すぎるかなと思いました。(小笠原玉虫)
    ●発想がありきたりだし、このリズムで言うと標語っぽいです。(けいてん666)
    △「愛してるって最近言わなくなったのは、本当にあなたを愛しはじめたから」は理にかなっているのですね。やるな、ゴスペラーズ。(なかやまなな)
    △ドキッとしました。しつこいひとはいつの時代も嫌われます。(遠藤みつまめ)
    △嫌われる理由はそれだけではないような。「愛してる」にはどことなく、「真心を込めて」とかそんな類の言葉に通ずるうさんくささを感じます。(めけ)
    △始めは逆選句としていただこうとしたが、韻の心地良さから「△」にした。韻が良いからこそより気になったのであろう。(柚子子)
    △理由は別にあるように思う。それに気づいていてこう思いこもうとしているのか、それとも本当に気づいていないのか。(働猫)

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    1. 句としてはまったく評価できないが、中身には共感する。

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  65. デカチンポ焼いて捨てて多数決で愛して(-3点)●●●△△

    ●逆選。つっこみどころ満載ですね。もしかして逆選狙いなのではと思ったので素直にいただきます。とにかく大したインパクト。(洋三)
    ●うーん、僕には意味がよくわからなかったのと、ちょっと下劣かなと思い逆選です。(木曜何某)
    ●その単語はやはり節度を越えているでしょう。もう一歩手前で踏みとどまってほしかった。(雪うさぎ)
    △「多数決で愛して」のフレーズは好きです。(雪兎)
    △ははは。おもしろーい。(働猫)

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  66. 思い出は愛に変質した(無点)△△

    △「変質」がキモですね♪ (タケウマ)
    △思い出は美化されるということでしょうか。もしそうだとしたら、ちょっと当り前すぎるように思います。(働猫)

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  67. 遺影焼いても祖母にはずっと祖父がいる(無点)△△

    △おそらく季語が入ればぐんと良くなると思われる一句。(柚子子)
    △遺影焼くほどの何があったのか。作者の意図とは違うのだろうが、祖父の霊がおろおろとその様子を眺めている様子を想像してしまった。(働猫)

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  68. 拝啓おり姫浮気は順調ですか(無点)△△△△

    △言いたいこと、やりたいことはわかります。ただ、もうちょっと捻っても良かったかなと。(遠藤みつまめ)
    △クリスマスに会えない彦星からのメッセージでしょうか。面白いです。(洋三)
    △誰の立場で詠んだのかが不明瞭です。(けいてん666)
    △もはや倦怠期も過ぎて、こんな関係になってしまったのでしょうか。悲しいことです。(働猫)

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  69. 足元びっちゃびちゃになるなら冬(無点)△△

    △ 「なるなら」が面白いのだと思う。けれど、私にはよく分からなかった。「するなら」じゃダメなのだろうか。(桃子)
    △え。なんでだろう。北海道共和国ではその後足先が凍傷により壊死して切り落とすことになってしまいます。非常に危険です。(働猫)

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  70. 寒月や龍模っておる舳先(無点)△

    △そんな船はいまどき遊園地にある「バイキング」ぐらいしか思いつきませんが、それですか?あれ、小さい頃は好きでしたが、大人になってから乗ると気持ち悪くてたまりませんでした。(働猫)

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  71. コッホ雪片曲線愛ある愛の営みは(無点)△

    △つまり、愛は無限だってことだろうか。それとも雪の結晶のように儚く消えてしまうということか。(働猫)

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  72. 愛妻弁当の重み確かめる始業前(無点)△△△△

    △どんな気持ちで重みを確かめるのか、それによって句の印象がだいぶ変わってくる気がします。(遠藤みつまめ)
    △「今日は何かな」なのか「よかった、中身がある」なのか、重みを確かめる行為に微笑ましさを感じます。(めけ)
    △予備選句には入れた句。始業前がより妻への愛の深さが分かる。(柚子子)
    △昨日はちょっとけんかしたのでしょう。いつもより軽い。たぶん中には500円玉しか入ってないパターン。それでもなんだか微笑ましい句です。(働猫)

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  73. 岩塊になった愛にしがみつく(無点)△△△

    △それはいつの間にか愛ではなくなっていた、ということなのでしょう。個人的にはしがみついている間に岩塊になっている方が怖いですが。(遠藤みつまめ)
    △しがみつくそれは執着ではないのか。(めけ)
    △岩塊になる、の意がつかめませんでした。千代に八千代にさざれ石の巌となりて、ということでしょうか。(働猫)

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  74. 愛玩の意味を知ってか睨む猫(無点)△△△

    △誇り高い猫、いいですね。オレはオレだ、お前の愛玩物なんかじゃない、みたいな顔、猫ってするときありますよね。すっかり犬にうつつをぬかしているここ数年ですが、また猫とも暮らしてみたくなりました。五七五ですっきりまとまってるのもいいと思います。(小笠原玉虫)
    △「ちょいと、どういうことよ」とかなんとか言いたそうな猫の視線とそれを見てはははと笑う飼い主の姿が浮かぶ。微笑ましく羨ましい光景に思えた。(めけ)
    △なんだかいやらしいです。(働猫)

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  75. 何度でも愛してしまう笑顔を写真にのこしていった(無点)△

    △これは悲しい……別れたともとれますが、この場合写真に写っているのは亡くなったかたなのかなと思います。死んだ人には永遠にかないませんから、写真を見ている人の、あとの恋人も、切ないですねぇ……(小笠原玉虫)

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  76. 冬濤をテレビ画面の愛人へ(無点)△△

    △昭和の火曜サスペンス劇場の、最後の謎解きシーンを想起。罪を告白した愛人は、人々の制止も空しく冬濤に身を投じ……火曜サスペンス劇場を久々に観たくなってしまいました。心躍る。(小笠原玉虫)
    △ファン心理の怖さを表現しているのでしょうか。私の○○なのに、あんな女と!みたいな。冬濤はとげとげした感情を表しているのでしょう。(働猫)

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  77. 犬種の異なる二匹の間に兄弟愛めばえ(無点)△△

    △可愛い。グレート・ピレニーズとチワワが仲良し兄弟で、チワワの方が兄だったりとか、ありますあります。(小笠原玉虫)
    △仲良きことは美しきかな。ですね。ほほえましい。(働猫)

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  78. 知らなくても困らないカマキリモドキを愛す(無点)△△△

    △知らなくても困らないものを愛する、って、結局は自己愛なのかなと。(遠藤みつまめ)
    △カマキリモドキ思わず画僧検索してしまいました。小さい虫なんですね、人の指先に乗るような。こういうマイナーな小さい虫をそっと「好き…」と思っている感性、とてもいいと思いました。好きな句です。(小笠原玉虫)
    △愛ってみんなそういうものですよね。(働猫)

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  79. 以上で鉄塊第五回VT句会の編集を終了させていただきます。

    ご参加のみなさま、おかげさまで大変盛況な句会となりました。
    心から感謝しています。ありがとうございました。

    ただ、記事中にも記しましたが、2名の方から選句選評をいただけなかったのが今も心残りです。編集担当として非常に残念に思っています。

    来年も今年同様、様々な場面でともに研鑽を重ねられますよう祈念します。
    今後ともよろしくお願いします。

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