2014年6月29日日曜日

第二十五回 鍛練句会

最高得点句

会えなくなる人の目玉かわいている(うぐいす)
隣から悲鳴のあって夏めく夜だ(風呂山洋三)


互選集計

(4点)会えなくなる人の目玉かわいている◎◎
(4点)隣から悲鳴のあって夏めく夜だ◎○○
(3点)ちょうどよい月のないすきま◎○
(3点)にわかに苛立って鯖を斬首す◎○
(3点)約束は昨日だったビビデバビデブウ○○○
(1点)肺の中てふてふつかれている◎●
(1点)きのうのカレーぬくめる台所に窓がない○
(1点)詠めない空に雷雨○
(1点)本音言わぬ女の唇が薄い○
(1点)出目金黒くて大きすぎるまつり○
(1点)雨の後の風にタバコの煙乗せた○
(1点)花びら消えた古井戸の闇覗く人のいる○
(1点)飲みすぎた命日の甘い吐瀉物○
(1点)おそろしく水呑んで百合しろく咲く○
(1点)笑うて笑うて明日へ眠れん○
(-1点)正午みたいに広いひらめ●
(-2点)親からの電話だ無視する●●
(0点)花咲け馬鹿の庭に咲け○●
(0点)ペディキュアに土下座している五月闇○●
(無点)よく働いた夜の歯磨き粉たっぷり
(無点)不幸自慢聞くふりをして見やる紫陽花
(無点)蕗あまく煮て少女恋におちゆく
(無点)雨にはためく旗と寝入る
(無点)愚痴聞いている今夜は蒸し暑い
(無点)首を回すと君が見ていた
(無点)今日のできごと枕に乗せるほくそ笑む
(無点)飛び出す猫よそこで止まるな
(無点)弱い心を許せと迫るお前切り捨てる
(無点)うつぶせても何も変わらなかった
(無点)死ぬまでさびしい風窓が鳴る


※以上全30句。特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。
※コメント欄に句評を掲載いたします。そちらにおいての(△)はコメのみ無点の意味。


◆ゲスト紹介

うぐいす
自由律な会「アぽろん」所属の実力派女性俳人。
NHK山口放送局「スゴつぶ」においても予選通過常連さんでした。
近頃は松山俳句ポストにおいて有季定型句も詠まれています。
わたくし小笠原玉虫の憧れの俳人さんのひとりです。


◆作者発表(ゲスト以下、アイウエオ順)

【うぐいす】
きのうのカレーぬくめる台所に窓がない
本音言わぬ女の唇が薄い
よく働いた夜の歯磨き粉たっぷり
約束は昨日だったビビデバビデブウ
会えなくなる人の目玉かわいている

【小笠原玉虫】
不幸自慢聞くふりをして見やる紫陽花
にわかに苛立って鯖を斬首す
親からの電話だ無視する
飲みすぎた命日の甘い吐瀉物
弱い心を許せと迫るお前切り捨てる

【十月水名】
ちょうどよい月のないすきま
出目金黒くて大きすぎるまつり
正午みたいに広いひらめ
肺の中てふてふつかれている
うつぶせても何も変わらなかった

【畠働猫】
蕗あまく煮て少女恋におちゆく
花咲け馬鹿の庭に咲け
ペディキュアに土下座している五月闇
おそろしく水呑んで百合しろく咲く
死ぬまでさびしい風窓が鳴る

【馬場古戸暢】
詠めない空に雷雨
雨にはためく旗と寝入る
首を回すと君が見ていた
飛び出す猫よそこで止まるな
笑うて笑うて明日へ眠れん

【風呂山洋三】
隣から悲鳴のあって夏めく夜だ
愚痴聞いている今夜は蒸し暑い
雨の後の風にタバコの煙乗せた
花びら消えた古井戸の闇覗く人のいる
今日のできごと枕に乗せるほくそ笑む


句会進行担当:小笠原玉虫





30 件のコメント:

  1. 1.隣から悲鳴のあって夏めく夜だ

    ◎戸締りをしっかりとして寝入りたい。(古戸暢)
    ○この悲鳴はなんの悲鳴でしょう。夏だからホラー? 想像をかき立てられます。(水名)
    ○ホラーや怪談はかつて夏の風物詩であった。悲鳴が隣人のものか、テレビの中のものかはわからないが、それに夏を感じるという感覚は昭和を生きてきた自分によく馴染む。食卓には西瓜。テレビには稲川淳二か13日の金曜日。「夜」だから「あなたの知らない世界」ではない。新倉イワオ。宜保愛子。池田貴族。みんな死んでしまった。平成世代ならば、隣で事件が起こっているのに無関心な様子ともとれるであろうが、それだとあまりおもしろみはない。(働猫)
    △いいですね。オカルト的な雰囲気もありますが、これはDVか何かの悲鳴かなととりました。他人の家の剥き出しの声は気まずく、恐ろしい。じわりと暑く成り行く季節の変わり目の狂気。好き。(玉虫)

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  2. 2.不幸自慢聞くふりをして見やる紫陽花

    △「不幸自慢」と表現した時点で、もう聞く気がないことはわかるため「聞くふり」は余分か。(働猫)
    △「紫陽花」が効いていると思います。ただ「~を~して」という形は説明調ですね。あと「見やる」は不要かも。(洋三)

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  3. 3.きのうのカレーぬくめる台所に窓がない

    ○いいですね。生きている限り延々と繰り返される日常。その日常の閉塞感がすごくよく表されているなと感じました。この句の登場人物は、料理のみならず食をあまり愛していなさそうです。生き抜くための執念が希薄な人物という気がする。このようにさりげない表現で、人生に対する諦念をよく表せたものだなと思います。お見事。(玉虫)
    △暑さが伝わってくる。カレーの粘性とよどんだ空気とが同じイメージとして相乗的に表現されている。(働猫)

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  4. 4.ちょうどよい月のないすきま

    ◎仕事帰り、月が雲に隠れていると少し残念に思います。「すきま」はそんな気持ちも表していると捉えました。(洋三)
    ○「ちょうどよい」が「月」にかかるか「すきま」にかかるかで変わってきますが、私は「月」にかかると読みました。「すきま」も、カーテンのすきま、あるいは心のすきま、いろいろ想像できます。今の自分の心を満たすような月が今夜は出ていない、というのが私の読みです。修飾の関係がはっきりしていたら特選で取りたかったです。(うぐいす)
    △「ちょうどよい」のは「月」か「すきま」か。「月」とするならば、言っても仕方のない不平不満を述べていることになる。「すきま」とするなら、月の光からも逃れて闇に隠れたいという後ろ暗さの表れだろう。後者の方が好みであるが、きっとどっちでもいいのだろう。(働猫)
    △障子がすこぅし開いていて、その隙間から真っ暗い夜空が見えているイメージ。こういうとき月が見えたりするとあるあるって感じになりますが、ここは月がないんですね。それをよしとする辺りに俳人の心意気が読み取れます。(玉虫)

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  5. 5.蕗あまく煮て少女恋におちゆく

    △古風な感じがしました。(水名)
    △句材は時にこうして与えられるものだ。そしてこの句はそれで「詠めた」句なのか、句材を得たことの報告なのか、どっちなんだろう。メタっぽい思考の迷路に誘われそうだ。(働猫)
    △平仮名遣いが効果的です。「て」は妥当でしょうか。(洋三)

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  6. 6.詠めない空に雷雨

    ○悩んでいるときに雷。これは非常に危険です。雷雨って非日常感がありますね。(水名)
    △句材は時にこうして与えられるものだ。そしてこの句はそれで「詠めた」句なのか、句材を得たことの報告なのか、どっちなんだろう。メタっぽい思考の迷路に誘われそうだ。(働猫)

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  7. 7.本音言わぬ女の唇が薄い

    ○察することを求めないだけよいか。(古戸暢)
    △薄い唇って嘘つきっぽく見える。何故なのだろう。そしてこの女はちょっと恐ろしい女という気がします。妹の夫と不倫をしていながら妹の相談をしゃあしゃあと受けていたりとか。そんな怖さを感じます。(玉虫)
    △薄幸そうです。木村多江いいですよね。(働猫)

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  8. 8.花咲け馬鹿の庭に咲け

    ○リズムがいいですよね。「咲け」の連続が吐き捨てるようでツボです。(水名)
    ●ちょっと意地悪だなぁと思ってしまいました。これ言う必要ある?(玉虫)

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  9. 9.にわかに苛立って鯖を斬首す

    ◎急に腹立つことはありますね。「鯖を斬首」するという表現が好きです。(水名)
    ○「斬首」が少し取ってつけた感じもしますが、主婦としては、苛立ちを料理にぶつける姿に共感できます。鰯では小さいし、鯛では大きいし、「斬首」するには「鯖」くらいがちょうどいいかもしれません。(うぐいす)
    △料理は愛情と勢いですよね。(働猫)
    △勢いのある句。ただ音読した時に少々勢いが半減されるのを感じます。「て」が不要かも。(洋三)

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  10. 10.雨にはためく旗と寝入る

    △いいですね。宿直の学校の用務員さんのイメージ。いまどき学校に宿直する用務員さんていなそうですが、昭和の、ちょっと古い小学校とかにいそうです。国旗と校旗をしまい忘れた夜に雨が降り始めてしまった。やってしまった、でもまあいいか、と、寝返りを打つのでしょう。静かで、ちょっとだけ怖い感じがする佳句です。(玉虫)
    △呼ばれた気が。どういう状況なんだろう。雨風の強さはわかります。はためく音を聞きながら入眠していくのでしょう。でも何の旗立ってんだ。国旗?軍旗?あ、大漁旗か?とするとこれは船の上か。明日は時化るだろう。過酷な漁になる。その予感を覚えながら、それに備えて少しでも眠っておこうというのか。漁に命をかける男たちの熱いドラマ。マグロ。ご期待ください。(働猫)

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  11. 11.愚痴聞いている今夜は蒸し暑い

    △これも「不幸自慢」の句同様、「愚痴」という表現にすでに「聞きたくないもの」という主観が乗せられている。そうするとそのあとの展開「蒸し暑い」も当然のことすぎるように思える。(働猫)

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  12. 12.出目金黒くて大きすぎるまつり

    ○金魚すくいの水槽の中には、客寄せのため大きな出目金が何匹か泳いでいますよね。子供たちのあこがれの対象であり、また、縁日の持つキラキラドロドロの魔性の象徴でもありますね。ちなみに北海道の縁日で金魚すくいと言えば、和紙を張ったポイではなくモナカが主流であり、実際にはすくえずに参加賞で一匹もらうゲームとなっております。(働猫)

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  13. 13.ペディキュアに土下座している五月闇

    ●雰囲気はとても好きな句ですが、「足フェチ」+「土下座」+「夜」という組み合わせはどこかにありそうで、逆選とさせていただきました。(水名)

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  14. 14.よく働いた夜の歯磨き粉たっぷり

    ○私は風呂に入った後に歯磨きをします。体も心もリフレッシュされる感じです。「たっぷり」が効いています。(洋三)
    △歯磨き粉が出すぎたのでしょうか。歯磨き粉を調整できないくらい疲れていたのかな。(水名)
    △ささやかなご褒美みたいな言い方だけど、別にうれしくないよね。歯医者さんも歯磨き粉は少量で泡立てない方がよく磨けると言っています。あ、不快なものを口に含むお仕事でしょうか……。(働猫)

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  15. 15.親からの電話だ無視する

    ●このままだとただの心のつぶやきですね。言い切る感じは嫌いではないですが、「無視する」を別の表現に変えるといいかもしれません。状況としてもあるあるすぎるかなと思いました。(うぐいす)
    ●何というか、そのまんまな感じ。無視しないであげてください。逆選でいただきます。(洋三)
    △なんだか甘えた感じがします。(働猫)

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  16. 16.雨の後の風にタバコの煙乗せた

    ○吸いたくなる。(古戸暢)
    △煙草は吸わないし、むしろ苦手な方だ。それは別にしてこれはきれいな句ですね。長い雨が終わりさわやかな風の中煙草に火を点けたのでしょう。(働猫)

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  17. 17.首を回すと君が見ていた

    △司馬懿みたいに首を180°回せるけど奇異に見られるのでずっと隠していたんでしょうね。秘密を知られたからにはもう殺すか結婚するしかないでしょうな。(働猫)

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  18. 18.花びら消えた古井戸の闇覗く人のいる

    ○特選に限りなく近い並選。大変いいです。このようにふとした弾みに暗黒面を覗いてしまうような世界観が非常に好きなのです。花びらがひらひらと井戸に落ち行く。それを目で追いつつ、ほんとに深い考えもなしに古井戸を覗き込んでしまったのでしょう。真っ暗な闇が、地下深くで口を開けている。ここからは水は見えないが、何かよからぬ存在がひっそりと息づいて、こちらを見上げていそうです。思わず背筋が寒くなる。けれど、何食わぬ顔をして視線を外すのでしょう。ところで、山頭火の母のことを思い出してぞっとしています。同じ溺死にしても、海や川で死ぬよりも井戸は恐ろしいですね。狭くて深いダークウォーターは本当に恐ろしい。(玉虫)
    △詠者はどこにいるのか。覗いている人を突き落そうと、その後ろに立っているような気がしますね。未遂で済んでいることを祈ります。(働猫)

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  19. 19.正午みたいに広いひらめ

    ●なんとなくわかるようでよくわかりません。じゃあ、かれいは正子かな。(働猫)
    △とても気になった句。面白いです。
    △いいですね。一見意味不明っぽい響きですが、これは怠惰な日曜の昼と読みました。寝過ごした、あーあ、でもまぁいいか。みたいな諦観が似合う気がする。でも、だだっ広いと思った日曜の昼はあっという間に過ぎ去りますよね。だからこそ貴重なひとときなのです。でも別に有意義に過ごす必要もないという。怠惰は甘い贅沢。(玉虫)

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  20. 20.飲みすぎた命日の甘い吐瀉物

    ○「甘い」から、愛する人の命日と読みました。しかも、亡くしてからあまり長く経っていない命日。未だ立ち直れていない感じがよく表れていると思いました。(うぐいす)
    △人の死も飲む口実にしてしまうのですね。「甘い」がすごくリアルで気持ち悪いな。(働猫)

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  21. 21.約束は昨日だったビビデバビデブウ

    ○「やくそくーは、きのうだーった、ビビデバビデブー」と読むのが正しかろうか。しかし魔法の言葉に頼るほど切迫した状況ではないのだろう。のんきな印象である。ただ、舞踏会の翌日に来た魔女が言っていると思うとテヘペロではすまない。スケジュール管理のまずさを十分に反省すべきである。(働猫)
    ○適当さを評価したい。(古戸暢)
    ○私もあります。魔法にかけられたような心持ちがします。(洋三)
    △いいですね。あーやっちゃったあらまぁという気持ちをごまかそうとおどけているのかな。それとも必死で時よ戻れと呪文をとなえているのか。慌てたり悔やんだりしている自分からもすっと距離を空けている。この視線がいいと思うのです。(玉虫)

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  22. 22.おそろしく水呑んで百合しろく咲く

    ○印象的な句。「おそろしく」と「しろく」が共鳴している気がします。ただ「咲く」は不要かも。(洋三)
    △これは飲みすぎた次の日の情景ととらえました。激しい二日酔いの目に映る百合の白さとすがすがしさの対比が面白かったです。(水名)
    △いいですね。すごく好き。聖女みたいな成りをして、図太くちゃっかりしているなという感じがすごく出ていると思います。そして「おそろしく水呑んで」って、うまく言えないのですがしあわせそうではないですね。どうも薄幸な気がする。そこがいいのです。(玉虫)

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  23. 23.今日のできごと枕に乗せるほくそ笑む

    △いいことがあった一日なのですね、とかわいらしく読みたいところであるが、鉄塊にそんな心のきれいな詠者はいないはずなので、ここは「ほくそ笑む」という表現に着目しよう。これは本日の企みがうまくいったことを表している。重要書類の数字を改竄し、明日部長が失脚するように仕掛けたとか。友人と遊ぶ約束をして、家の前に落とし穴を掘っておいたとか。あるいは多額な遺産を受け取る目処がたったとか。そういうことなんだろう。違うかい。(働猫)

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  24. 24.飛び出す猫よそこで止まるな

    △猫を思いやれるのは倭国に暮らすものの余裕であろうか。北海道共和国では飛び出すのは鹿か熊であるので、ぶつかればこちらが死ぬ。鹿は強い光を見ると硬直する習性があるため、車のヘッドライトの中立ち止まってしまうのである。(働猫)

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  25. 25.肺の中てふてふつかれている

    ◎状況はよくわからなかったのですが、パッと見て好きだなと思いました。「肺の中」という言葉から、やはり病んでいるのかと想像します。それを「てふてふ」で柔らかく表していますが、ゆっくりと死へ向かっているようにも思えます。(うぐいす)
    ●意味を理解できなかった。そのような病気があるのか。(古戸暢)
    △しうつがひつようよのさ!(手術が必要ですね。)(働猫)
    △いいですね。肺が呼吸を、呼吸が風を自然に連想させ、蝶のイメージまですっと連れていってくれますね。弱弱しい呼吸と、もうすぐ寿命の蝶々。連想からの巧みな表現と思います。(玉虫)

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  26. 26.弱い心を許せと迫るお前切り捨てる

    △あたりまえだろうという気がしてしまうのだが、これを句にしたということは、これは詠者にとっては特別なことだったのだろう。これまでは切り捨てられずにいた。頭では理解しながらも互いにだめになっていく共依存の関係から抜け出せないでいたのだろう。やっとその悪循環を断ち切ることができた。だがこの未消化な句を見ている限り、本当に断ち切れたとは思えない。表現者としても生活者としてももう一段上るためには、さらなる自己分析が必要なのではないか。「切り捨てた」なら言ってもいいッ!!ということです。(働猫)

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  27. 27.会えなくなる人の目玉かわいている

    ◎眼を見開いたままの死者というのは非常に凄惨な光景である。今まさに恋人の命を奪い、茫然としている情景を思い浮かべた。凄惨ではあるがそうした情景には愛と美しさをも感じてしまうのだ。(働猫)
    ◎葬儀の景かなと思います。瞼をきちんと閉じさせることが出来なかったのでしょう。荼毘に付されてしまえば、もう顔を見ることも出来ない。残された方にとっても最後のこんな瞬間に、冷徹に事実に気付いてしまった。この距離感がいいなと思いました。文句なしの特選です。(玉虫)

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  28. 28.うつぶせても何も変わらなかった

    △腰痛であろうか。お大事になさってください。(働猫)
    △いいですね。シンプルで非常に共感。苦しんでも何も変わらなかった、という意味かなととりました。でもこれは絶望の句という気がしない。変わらなかった、という気付きから、詠み人は立ち上がれそうな気がする。不思議と希望を感じる句であります。(玉虫)

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  29. 29.笑うて笑うて明日へ眠れん

    ○いいですね。大抵面白くてたまらなくなった頃って寝る時間だったりしますよね。明日もきちんと起きて仕事に行かなくては……けれど、笑って笑って、ああ苦しい。楽しい気持ちが伝播してくるような句です。いや待てよ。ほんとにそうなのかな? もしかしたら詠み人は、深い悩みやかなしみの中にいて、敢えて狂ったように笑い出すことで己がバラバラに砕け散ることを寸でのところで押しとどめているのかもしれない。シンプルでありながら読者の想像を掻き立てる佳句。実に面白いです。(玉虫)
    △ここまで笑えるとはどんなできごとだったのでしょう。他人事ながら気になります。(水名)
    △楽しい夜だったのだろう。しかし一人に戻るとやはり眠れなかった。一人寝に慣れなかった頃、経験があります。一日の終わりに一人という寂しさ。慣れてしまいたくないものです。(働猫)

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  30. 30.死ぬまでさびしい風窓が鳴る

    △いいですね。わたしも空っ風の吹く土地の生まれ育ちなので、風の表現が非常に好きです。窓をがたがた揺らす風。詠み人はこの土地で生き続ける限りこの風の音を聞き続けなければならない。そして詠み人が死んでからも、風は吹き続けるのでしょう。(玉虫)

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