2015年6月27日土曜日

第三十五回 鍛錬句会


◇互選集計

(1点)泣いている人とおんなじ夕焼けでいる ◎●
(1点)諍いのあと雨は静かに薔薇を濡らす ○
(1点)網膜焼いて飛ぶ鳥の行方 ○
(1点)そういや髪の毛一本落としてかなかったあの娘 ○
(1点)贅肉つまむ子抱き上げる白昼 ○
(1点)正しい夏の灯にかぶとむし ○
(0点)メメクラゲの空涎臭い街
(0点)だけどゴミ漁らなければあめのひるどき
(0点)住宅街にネオン・ノイズが鳴り出した
(0点)カフェの女の指輪に気付いた
(0点)ゴキブリ一匹居間を飛んだ
(0点)深夜の不意に全裸だ
(0点)洗濯機壊れた夜にこけた
(-1点)暑かった寒かった窓の無い部屋で外の話 ●
(-1点)細腕や青春は自殺した ●

以上15句。
※特選◎(2点)、並選○(1点)、逆選(-1点)として集計。

◇作者発表

【武里圭一】

メメクラゲの空涎臭い街
住宅街にネオン・ノイズが鳴り出した
細腕や青春は自殺した
そういや髪の毛一本落としてかなかったあの娘
だけどゴミ漁らなければあめのひるどき

【畠働猫】

諍いのあと雨は静かに薔薇を濡らす
泣いている人とおんなじ夕焼けでいる
正しい夏の灯にかぶとむし
網膜焼いて飛ぶ鳥の行方
暑かった寒かった窓の無い部屋で外の話

【馬場古戸暢】

深夜の不意に全裸だ
洗濯機壊れた夜にこけた
カフェの女の指輪に気付いた
贅肉つまむ子抱き上げる白昼
ゴキブリ一匹居間を飛んだ

15 件のコメント:

  1. (1点)泣いている人とおんなじ夕焼けでいる

    ◎佳い。(古戸暢)
    ●テレビドラマのいち場面を切り取ったようで、どこかありきたり。(圭一)

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  2. (1点)諍いのあと雨は静かに薔薇を濡らす

    ○綺麗過ぎるところが気にはなる。(古戸暢)
    △痴話喧嘩だろう。呆然とした感じが出ている。(圭一)

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  3. (1点)網膜焼いて飛ぶ鳥の行方

    ○映像的で好き。暫く残像がチラチラしていただろう。(圭一)
    △意味がわからないが、拷問でも受けたか。(古戸暢)

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  4. (1点)そういや髪の毛一本落としてかなかったあの娘

    ○デリヘル句であろうか。経験がないのでよくわからないが。また呼びたくなる女の子というのは、こうした細やかな心遣いができる子なのだろう。(働猫)
    △冗長にすぎるか。(古戸暢)

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  5. (1点)贅肉つまむ子抱き上げる白昼

    ○のどかで好きな景色。(圭一)
    △愛情が伝わる。「贅肉つまむ」は実際の情景であるというリアリズムを演出する効果がある。(働猫)

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  6. (1点)正しい夏の灯にかぶとむし

    ○正しさは重要。(古戸暢)
    △正しい夏の灯とはなんだろう。「灯」という語からは人工的な明かりを想像するが、「かぶとむし」という自然界の生物に対する正しい明かりは、月や星の明かりだとも思う。飼っているかぶとむしなら、専用の照明器具だろうか。(圭一)

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  7. (0点)メメクラゲの空涎臭い街

    △ねじ式ということしかわからない。(古戸暢)
    △引喩、アリュージョンという技法であろう。「メメクラゲ」は「××クラゲ」の誤植であるらしいが、間違いから新しい生命が得られた奇跡的な言葉である。その奇跡的な言葉を安易に引いてもだいたいは失敗する。引喩は引用元をどこかで超えなければ、単なる紹介文に堕してしまうものだ。(働猫)

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  8. (0点)だけどゴミ漁らなければあめのひるどき

    △『だけど』や『なければ』は必要だったか。(古戸暢)
    △烏か野良猫に自らを仮託したものか。新しい題材ではない。「だけど」の逆接も「あめ」にかかっているのが解り易すぎて広がりがない。言い尽くされている。(働猫)

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  9. (0点)住宅街にネオン・ノイズが鳴り出した

    △ネオン・ノイズが何かわからなかった。(古戸暢)
    △昭和の音という感じがする。しかし住宅街に?どういう状況なのかよくわからない。路地裏の音。酒場の音かと思うが。しかしそうではない違和を詠んだものであろう。自分には状況をつかみ難かった。(働猫)

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  10. (0点)カフェの女の指輪に気付いた

    △淡い失恋であろうか。だからどうしたという気持ちになる。童貞感の強い句である。(働猫)
    △いい女だと思ってチラチラ見ていたら結婚していた時のガッカリ感。話しかけもしないのに何故だろう。(圭一)

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  11. (0点)ゴキブリ一匹居間を飛んだ

    △そのまま過ぎはしないか。何か、例えば違和感でも詠み込まなければ、句として成立しないだろう。(働猫)
    △殺しましょう。(圭一)

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  12. (0点)深夜の不意に全裸だ

    △全裸句はおもしろいが「不意に」はその面白さの中でも月並みなものである。我々はもっと新しい全裸句を求めているのだ。(働猫)
    △全裸なのは異性か、自分か。どちらにしろ室内だとは思うが、野外なら大変だ。(圭一)

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  13. (0点)洗濯機壊れた夜にこけた

    △悪いことは重なるものだが、洗濯機が壊れたほどの不幸の前には「こけた」程度の不幸は忘れられてしまうものではないのか。それを同等に語るからには、この「こけた」の結果は全治2週以上の重傷であったのだろう。遠方からご平癒をお祈りしています。(働猫)
    △踏んだり蹴ったりの夜。(圭一)

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  14. (-1点)暑かった寒かった窓の無い部屋で外の話

    ●状況はわかります。(古戸暢)
    △「窓の無い」が重要なんだと思うが、想像力が働かない。(圭一)

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  15. (-1点)細腕や青春は自殺した

    ●自殺は私自身のテーマでもあるので、見る目は厳しくなる。これはよくない。(働猫)
    △「や」は切れ字なのかorなのか。いずれにせよ、自殺はしていないと思います。(古戸暢)

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