2013年6月29日土曜日

第十四回 研鑽句会


(最高得点句)

ビールだコツプに透く君の大きい指 (6点)

 

(6点)ビールだコツプに透く君の大きい指 ◎◎○○
(5点)バラックの寺ができた梅が咲き過ぎた ◎○○○
(5点)となりでも筍さがしてる春 ○○○○○
(4点)七面鳥が向うむいてふくるる焚火 ◎○○
(4点)林檎をかぢつて、夜、浪の音がしてゐる ◎◎
(4点)冬、冬、枯れたあぢさゐのみ光つて ◎◎○●
(3点)つくしが出たなと摘んでゐれば子も摘んで ◎○
(3点)子を連れて草いきれの道曲つて見える ◎○
(2点)紅い芙蓉をひとまはりして来る子です ○○
(2点)温室の硝子一枚壊れて夏 ○○
(2点)幼稚園は休みです杉菜ぞくぞく ◎
(2点)土ばかりいぢつて何を抜く子ぞ ○○
(1点)赤蜻蛉多く飛過てから庭に打つ水よ ○
(1点)土筆が伸び過ぎた竹の影うごいてる ○
(1点)光線を踏みたんぽぽ咲き過ぎた ○
(1点)桜くろんだ小学校すでにひけてる ○
(1点)子が靴の土ほこり麦の穂が出た ○
(1点)飛行船の灯あかく来る短日 ○
(0点)山吹の蕾何のおちんこぞ ○○○●●●
(0点)新緑の町へ来る汽車の音です ○●
(0点)お馬お馬あしびの花も過ぎたよ ○●
(-1点)梅若葉つき抜けた竹の嵐だ ●
(-1点)昼ぬすびとを追ふ巡査梅若葉です ○●●
(-1点)つやつやひれあざみうちの玄関だ ●
(-1点)芹素足にふれた ●
(無点)日射さんさんと梅を落してる
(無点)ちらちらと燈が楽しんで雪の斜面だ
(無点)芒青うて蝶を追ふ子ぞ
(無点)曇り硝子しめても向うの杉菜
(無点)柊にながれる雨こぼれる



(以上、30句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



◆作者紹介
北原白秋(1885-1942)
童謡作家、歌人、詩人として知られるが、数は少ないながらも俳句も残している。荻原井泉水との論争があったせいか自由律の句が少なくない。出句原本は「白秋全集38 小編4」(岩波書店)。

2013年6月28日金曜日

第十四回 鍛練句会

(最高得点句)
いっしょのみちはみじかいゆうぐれ(8点)

 

(8点)いっしょのみちはみじかいゆうぐれ ◎◎◎○○
(4点)空き家の窓の夜より暗く ◎○○
(4点)お悔やみの口から餃子のにおい ◎○○○●
(3点)すれ違う赤子が咳をした ◎○
(3点)攻撃的ミッドフィルダーそれは僕ではなかったTVの中 ◎○
(3点)Fは鳴りませんでした十五歳 ○○○
(3点)後半37分ピザ届きました ◎○
(3点)後ろ姿消えてそこにも道があった ◎○
(3点)この店に決めた夏のにおいのする ◎○
(2点)涼しげな笑顔の女だ酔えない ○○
(2点)くたびれた枕カバーからいろいろと出てくる ○○
(2点)吐息かさねて月を研ぐ ○○
(2点)朧月に電車が着いた ◎
(2点)達筆が便所の壁 ○○
(2点)お母さんに切られたそうなおかっぱが俯いている ○○
(2点)ほのあかい胸もとあとは闇 ○○
(1点)死んだのは妹の方です服を脱ぐ ○
(1点)札束を前に黙ってみる俺達 ○
(1点)コレクションなぞ捨てちまおうか南風(はえ)強く吹く ○
(1点)もういらない玩具なのか夾竹桃にぶら下がって ○
(1点)人身事故の駅何事もなく雨の夕暮 ○
(1点)もうだれも叱ってくれない影夏草にのびていく ○
(-1点)しゃがむ男の陰に猫 ●
(-1点)視界も定かでない目に梅雨晴れ ●
(-2点)先輩の背中をどやしつけた飲み会の翌日 ●●
(-6点)感傷にひたってばかりもいられない ●●●●●●
(無点)その女には触れさせなかった日に揺れる海の音
(無点)ホトトギス告げる白線止まりなさい
(無点)2ちゃんに書き込むというクレームに困っているのだ老店主は
(無点)カフカに傍線を引いても忘れているテスト時
(無点)コピー&ペーストの煉獄
(無点)職場には阿修羅のような人が要る
(無点)やっぱり男は俺ひとりだった




(以上、33句)
※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。



◆作者発表

【小笠原玉虫】
空き家の窓の夜より暗く
人身事故の駅何事もなく雨の夕暮
コレクションなぞ捨てちまおうか南風(はえ)強く吹く

【シブヤTヒロ】
攻撃的ミッドフィルダーそれは僕ではなかったTVの中
2ちゃんに書き込むというクレームに困っているのだ老店主は
くたびれた枕カバーからいろいろと出てくる

【白川玄齋】
視界も定かでない目に梅雨晴れ
カフカに傍線を引いても忘れているテスト時
先輩の背中をどやしつけた飲み会の翌日

【天坂寝覚】
朧月に電車が着いた
いっしょのみちはみじかいゆうぐれ
Fは鳴りませんでした十五歳

【中筋祖啓】
感傷にひたってばかりもいられない
職場には阿修羅のような人が要る
コピー&ペーストの煉獄

【畠働猫】
吐息かさねて月を研ぐ
ほのあかい胸もとあとは闇
もうだれも叱ってくれない影夏草にのびていく

【馬場古戸暢】
しゃがむ男の陰に猫
すれ違う赤子が咳をした
お母さんに切られたそうなおかっぱが俯いている

【藤井雪兎】
札束を前に黙ってみる俺達
死んだのは妹の方です服を脱ぐ
やっぱり男は俺ひとりだった

【風呂山洋三】
涼しげな笑顔の女だ酔えない
ホトトギス告げる白線止まりなさい
この店に決めた夏のにおいのする

【本間鴨芹】
達筆が便所の壁
その女には触れさせなかった日に揺れる海の音
後半37分ピザ届きました

【松田畦道】
後ろ姿消えてそこにも道があった
お悔やみの口から餃子のにおい
もういらない玩具なのか夾竹桃にぶら下がって

2013年6月23日日曜日

鉄屑詩集を読む

※鉄屑詩集「子を連れて」より。

抱いた子が見付けた一番星
この句は私の記憶に強く残っている。夕暮れ時の家族との生活のひとこまが切り取られた、美しい句。

子を抱いて早く寝ろ寝ろうろうろおろおろ
なかなか寝付いてくれない子を抱いて、歩き回っている様が浮かんだ。最後の「おろおろ」が面白い。

乳吐いても微笑んでくれる
これも今だに諳んじることができる句。よくお子さんをみていないと詠めない。

雪待つ子の前にみぞれ
子どもの「あれー?」という顔が浮かんでくる。しかしすぐに気を取り直し、みぞれにはしゃいだことだろう。

洟垂れが私の胸に飛び込んでお出迎え
家庭を持つ人ならではの句だろう。こちらのシャツは涎まみれになっているだろうが、嬉しいものである。

サンタ知らない父でサンタになる
サンタの格好をしたのかどうかが気になるところ。そういえば私もサンタを知らない。そういう習慣を持たない家に育ったのだ。

子らがしがみついてきた外は雪だ
はしゃぎながらしがみついてきたのだろう。「雪やこんこん~」を皆で歌いたくなる。

皿に残ったサンタ欠けている
クリスマスケーキの上にのっている、サンタの砂糖菓子。少しかじったのは、お子さんだろうか。

得意気に見せる娘の掌に天道虫
愛しい生活詠だが、作者の胸中には思うところがあったようだ。詳しくは『草原』25-07号「特集 戦争俳句」を参照。

小さな傘と長グツ駆けてゆく大きな水溜まり
その後ろからゆっくりと後を追う詠み手まで想像できる。