2013年6月9日日曜日

第四回VT句会(2013夏)②

コメント欄に参加者のコメントを列記(前半部)。

※上位句ならびに互選集計、作者発表はこちら
※コメント後半部はこちら

46 件のコメント:

  1. 剃り残しあり初夏ののどぼとけ(9点)

    ◎「初夏となり、襟元の詰まっていない姿を見た、その時に髭の剃り残しを見つけた。ひらがな表記によりのどぼとけの白さと湿り気が感じられ、一層色気がわき立つ句と思います。」(さくら)
    ◎「剃り残しが気になる初夏。のどぼとけもよい。」(智佐)
    ○「危ういざっくり行きそう。」(鮎美)
    ○「のどぼとけフェチの女の子はわりといるらしい。剃り残しなど、絶好の萌えポイントではなかろうか。」(真史)
    ○「これはうまい。剃り残したものはヒゲなんだろうけど、違う意味も感じられる。」(T宏)
    ○「この“のどぼとけ”の主は多分モテる男です。」(寝覚)
    ○「のどぼとけの危うさ。一本だけひょろっと生えてるのかも知れません。」(露結)
    △「喉仏の尖った形が初夏に相応しい。剃り残しはない方がよかったかも。」(牛後)
    △「少年、まだ髭剃りにはなれていない様子。鼻の下、顎、とにかく顔は剃るけど、首元まで剃らない。それが初夏の日差しに光る。こののどぼとけ、まだ小さいんだろうな。ひらがな表記がそれを窺わせる。少年よ、君も汗臭くなるのか」(なな)
    △「上手い。しかし個性的な句が大量に集まるVTルールではとりきれなかった。もったいない。」(畦道)

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  2. あなたが笑つている私は着ぐるみの中(9点)

    ◎「ほほえましい、人の心をゆったり和ませる佳句 補足:今、荻原規子のRDGにハマッテいます最終巻にそんなシーンがあって個人的に惹かれました。」(圓哉)
    ○「あなたが笑っている着ぐるみの中には私がいるのだ、と読むのか、あなたが笑っている私は本当の私ではなく、私という着ぐるみを着ているのだ、と読むのか?勿論、後者のほうだと解釈したい。」(オカピート)
    ○「いいです。胃痛の青空とどっちを特選にとろうか最後まで悩みました。春にぴったりの、ユーモラスで、やさしく(←絶対ひらがなで!)、ちょっぴり切ない光景。着ぐるみの中の人は、いつも好きな人の楽しそうな様子をそっと見守っているだけの人なのでしょう。詠み手もきっとやさしいかた、と伝わってくる名句。大好きです。」(玉虫)
    ○「恋をしている比喩かと思いました。」(T宏)
    ○「別のあなたを見てしまった驚き。」(卓)
    ○「なんとも居た堪れない感じがします。」(寝覚)
    ○「誰も皆そうなのかも。鎧でなく着ぐるみというところに今の社会を泳ぎ渡る核心があるような気がします。」(ニレ)
    ○「着ぐるみのバイト中、思いを寄せているひとに出くわす。家庭持ちのそのひとは、幸せそうに笑っていた……と解釈。切ない。ついでに好きなひとの子供に跳び蹴りを食らったりしたら、なお切ない。」(畦道)
    △「愚か者の涙を知らなければ愛はわからない。」(鮎美)
    △「着ぐるみはゆるキャラであろうか。シチュエーションがおもしろい♪」(タケウマ)
    △「怖い。これが女性の句だとしたらただただ怖すぎる。」(りんこ)

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  3. わたしたちのふりかえるのがとてもよくみえる(8点)

    ◎「不思議な視点。作者はどこに立っているのか。」(露結)
    ○「幽体分離した視点か。魂だけが、真実を知る。」(茂根)
    ○「情景が浮かぶ、微妙な客観性に余韻を感じる。」(圓哉)
    ○「実際にそこにあったのはミラーやショーウインドウのようなものだったのかもしれませんが、何か上空5mあたりから眺めているようなそんな光景が浮かびました。」(ニレ)
    ○「時間空間主観客観の広がりがいい。」(獺太郎)
    ○「ESP俳句である。」(ゆかり)
    ○「おもしろい。わたしたちがふりかえっている姿を見ているのは一体誰なのだ? まるでわたしたち自身のような印象を受ける。この句は誰の視点なのだろう、などいろいろと想像力をかき立ててくれた。」(ロケッ子)
    △「電器店にあるビデオカメラに自分達を映しているのかもしれません。あれは不思議な気分でした。」(雪兎)
    △「幽体離脱だろうか。考えようによっては怖い句。意味をはっきり掴んだとは言い難いのだが、不思議な魅力のある句。」(畦道)

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  4. 花冷えのつなぐほかない手があった(8点)

    ○「初めは若い恋人同士を浮かべましたが、もしかしたら老老介護かもしれないと思いました。人は、手に手を取るしか生きる道はないのかもしれません。」(うぐいす)
    ○「つなぐほかないと思われている側の人間でした。そんな時でも、気にも留めずにただ努力していればよかったなと、時折思います。」(玄齋)
    ○「つなぐほかない手、という言い方が上手い。そんな手が傍らにあるのは桜の高揚感の狭間にある花冷ならではか。」(牛後)
    ○「どちらともなくでた手が温かい。」(卓)
    ○「中七下五がステキ♪ 上五はちょっと説明的か。」(タケウマ)
    ○「冷えていたのは恋人の心だったのかもしれない。春の予期せぬ寒さが二人の手を結んだのだろう。まだやり直せるのかもしれない。」(働猫)
    ○「春とはいえ、寒い日には誰かの手が温かく感じることがあります。ぬくもり、やさしさ。その『ほかない手』は、春の日差しのような手なのでしょう。」(洋三)
    ○「そして、抱くほかない体があった。」(露結)
    △「老夫婦をイメージした。」(鴨芹)
    △「きれい。情景がすっと入ってくる。」(畦道)

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  5. 鎌の刃に去年を生きた草(8点)

    ◎「感服。時の流れと生命と無常さと孤独感と自分。おそらくその刃は錆びていたのでしょう。」(ニレ)
    ◎「去年は鎌の手入れが出来ない何かが起きたのだろうか。誰かの鎌なのか。それとも牧草か何かだろうか。時の流れを感じさせる句だ。」(りんこ)
    ○「説明的で惜しい。語順、言葉、まだ練ることができる。」(茂根)
    ○「今は枯れている草を、去年を生きた、と言い換えたところが手柄。刈り取られたあとも必死に生きようとしていた雑草のたくましさを感じます。」(オカピート)
    ○「野生の命と人の営み、タナトスのバランスが良い。」(獺太郎)
    ○「1年間伸びた草と自分の1年を重ねて考えさせられるような句。」(智佐)
    △「刈る時は、おそらく思っていないんだろうなぁ、刈った後に、刃の上にしなっと乗っている草を見て思うんだろうなぁ。」(さくら)
    △「写生句としてよくできていると思う。」(牛後)

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  6. 朝のマウンドに遺骨(7点)

    ◎「秀逸。」(鮎美)
    ○「体言止めが効いてますね。映画のトップシーンのように鮮やかです。」(オカピート)
    ○「きっと元ピッチャーの遺骨であろう。遺言なのか家族か友人が気を利かせてかでマウンドに撒いたのだと思う。夜中に無許可で球場に忍び込み散骨した。その遺骨を撒くシーンではなく、朝の光に照らされたマウンドがいつもと違う色をしているところを句にしたところが良いと思った。」(京介)
    ○「小高い場所だけに切ない。」(卓)
    ○「遺骨が本当にあっても面白いんですけど…あ、不謹慎か。いやでもこう言われると、なんか、怖いというより不思議な感じ。真相は、あのピッチャーの白い線なんでしょうが、誰もいないマウンドって本当に寂しいな。あ、学校の七不思議って、こんな風に生まれるのかもしれないですね。」(なな)
    ○「ピッチャーが足を置く白いプレート(何ていうんですか、あれ。)を骨に見たてたユーモア。」(露結)
    △「状況は分からないけれども気になる句です。」(倫代)
    △「同様な事件を経験したことがある。学校のグラウンドで人が死んでいた。あるべきでない異物は様々な感情をわたしたちに起こさせる。」(働猫)
    △「ポール・サイモンの『ナイト・ゲーム』への返句のようである。」(ゆかり)

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  7. 痛いふりしないと悪い気がして天井を見た(7点)

    ◎「一番に思いついたのは、保健室。何回も先生が見にくる。ただの寝不足による貧血だったり、体調不良だったりするんで、寝たらすっきりする。でも授業終わるまで、居なさい、急には身体がね、慣れてないからといわれ、ぼーと天井を見る。そういえば、自転車乗ってて、車にぶつけられたときも、痛いふりというか動揺した振りを一瞬したな。あとか本当に動揺したけど。ちょっとだけ住宅顕信も思い浮かべました」(なな)
    ◎「このような句を見ると、どんな人生にも『詩』があるのだと実感させられる。言葉は平易だが、心の奥底から発せられている句である。」(雪兎)
    ○「病気、それも入院して看護され世話される立場でしょう。こういう心情や状況をこういう形で詠むのは定型では難しく、自由律のアドバンテージを感じる句です。」(春休)
    ○「ああ、あるあると笑ってしまいました。」(倫代)
    ○「これはこれで、肯定したい。」(祖啓)
    △「自分にも思い当たる行動…。くすっと笑えるようなささやかさのバランス感覚が素晴らしいですね。」(ニレ)
    △「お互い初めて同士だとこういうこともあるのでしょうね。」(働猫)

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  8. ベビーカーよけて愚痴のつづき(7点)

    ◎「無意識の良心。もしかしたら行く手を阻むベビーカーを疎ましく思っているのかもしれないけれど、いや、やっぱりそこまでの思いはなくて、ごく自然な行動なのだろう。少ない言葉でありながら、人間というものの本質が句に表れているような気がして強く惹かれた。」(ロケッ子)
    ○「人間のある一面をよくとらえていて、俳諧味もある。」(真史)
    ○「愚痴って、やはり自己のドロドロしたところで、それを道すがらはき続けていた。もう自分の世界に入っている。そんなときに、前をたらたら行く自転車や、道塞ぐ高校生軍団に遭遇すると、怒りはMAX!でも、ベビーカーの赤ちゃんにはなんかこの世のドロドロを与えたくないというか、なんか一瞬そういう配慮したんでしょう。性善説。うん。でもまたあのベビーカーめ、真ん中歩いて。って思ってしまうのもまた事実。」(なな)
    ○「愚痴がとまった瞬間は同時に、赤ん坊と目が合った瞬間だったろう。」(古戸暢)
    ○「井戸端会議中のベテラン主婦とベビーカーの対比が好き。」(獺太郎)
    ○「場所を占領するベビーカーと止まらない愚痴のすれ違いに趣を感じた。」(智佐)
    △「ベビーカーをよけるところから愚痴に必死で周りが見えてないわけではないみたい。ベビーカーの赤子を見ることなく愚痴こぼし続けてるのがおかしい。」(京介)
    △「心の動きがもうひとつ。」(卓)
    △「ベビーカーが愚痴を遮った一瞬。」(露結)

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  9. 牛ゆっくりと口動かしながら春ですなぁ(6点)

    ○「のどかでのどかであくびが出そうな風景。『春ですなあ』は牛の口から出た言葉ととらえました。『口動かし』が直接的なので、別の表現にならないかなと思いました。」(うぐいす)
    ○「牛を見て言っているのか。牛がしゃべっているのか。どちらともとれておもしろい。なんだか力が抜ける。日々忙しい自分が馬鹿馬鹿しく思える。」(働猫)
    ○「『春』である必然性はないように最初は思ったが、やっぱりある気がしたので採る。春ですなぁ。」(古戸暢)
    ○「のどかな春のひとときを思わせます。碧梧桐の句とは対照的で、アイロニーな感じがしました。」(洋三)
    ○「春ですなぁ、がのどかで良い。百句以上集まった今回、この句のリズムの心地良さは出色。」(畦道)
    ○「地元からどこかへ行こうとすると必ず通らなくてはいけない場所を思い出した。日常だった。日に照らされた牧草の香りを思い出す。帰りたくなる。」(りんこ)
    △「谷岡ヤスジだな。」(鮎美)
    △「牛がしゃべったわけじゃないですね(笑)。春ののどかな風景。」(露結)

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  10. 生命線運命線も春の泥(6点)

    ○「泥遊びの子供なのか、田植する女子なのか作者の目線が気になる好きな句」(圓哉)
    ○「手を泥だらけにして遊ぶ、それをウィットをもって詠んでいる。」(春休)
    ○「頭脳線とか結婚線とかもありか。春の泥で汚れているのがいいですね。」(千晶)
    ○「上手い♪ きっとよい手相なのでしょう。」(タケウマ)
    ○「春の泥は可能性の塊だ。それに生命線と運命線を浸すのだから、きっと良い事が起きるだろう。これを農家の皆さんが毎年行ってきたと思うと感慨深い。」(雪兎)
    ○「土いじりで手相がくっきりと浮かぶ情景が目に浮かぶ。」(獺太郎)

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  11. 母の日に炎のごとき花贈る(5点)

    ◎「『ごとし』によるストレートな直喩に、花の様も、母への感情も窺われます。例えば岡本太郎とかの子のような。」(春休)
    ◎「一番に目を引いた句。ごときという表現は好きではないですが、この場合見事にはまってていい。何がいいのかと言いますと、母の日に炎のような花を送ると言うこと。マイナスイメージには取れませんでした。」(T宏)
    ○「母親に対する慕情と嫌悪。その両面が同時に発現するのが”炎のごとき花”なのだろうと思う。」(牛後)
    ○「『炎』という例えが、どこか一筋縄ではいかないような、愛憎入り混じっているような、そんな印象を与える。良い話で終わらない母の日も世の中にはあるのだろう。」(雪兎)
    ●「母が好きな花なのか、送る側の趣味なのか、何か思いを込めたのだろうか。送る側の自己満足が少し見える気がした。」(りんこ)
    △「女傑かすごい美人か、会ってみたい。」(圓哉)
    △「ラテン系のように情熱的な恋をした母。烈火のごとく、私を叱った母。真っ赤な薔薇を贈りたい、愛しい母。さあ、母よ!まだ元気でいてくださいよ!さて。ただ、ちょっと散文的な感じもします。そこが惜しいなと。」(なな)

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  12. 柿わかば大統領の顔のシャツ(5点)

    ○「かなり痛い。」(鮎美)
    ○「若葉の中でも柿を選んだあっけらかんさと異国の大統領の顔のシャツを着ているというあっけらかんさが、若葉の季節に合っていると感じました。」(さくら)
    ○「柿わかばの明るさがいい。」(千晶)
    ○「どの大統領か想像するのが楽しい♪ 柿若葉だから若々しい人であろうか」(タケウマ)
    ○「大統領とはネルソン・マンデラだろうかとなんとなく。」(畦道)
    △「外国人が日本語がプリントされているシャツを着ていると、その意味を教えたくなる、その逆のパターンかなと思いました。」(玄齋)
    △「レーガンかケネディかな、と思った。オバマではないような気がした。」(働猫)
    △「『柿若葉』と『大統領の顔』この取り合わせが何かいいです。」(洋三)
    △「『大統領の顔のシャツ』がいい。マルコスとかチャウシェスクとかろくでもない大統領に違いない。」(ゆかり)

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  13. 枯れていない花を捨て家を出る(5点)

    ◎「枯れていない花を捨てる、という行為が捨てゆくものの大きさ、大切さを象徴している。寺山修司の世界のようで味わいがある。」(牛後)
    ○「枯れていない花を捨てるのはもう戻らないからだ。『部屋』ではなく『家』であるところから、これは独立の決意であろう。一語一語はけして明るい語ではない。しかしその決意は、新しい花を探す明るさにあふれている。」(働猫)
    ○「長期旅行に出る際には、冷蔵庫の中身を食べつくすようにしていたことを思い出した。」(古戸暢)
    ○「捨てるまでにどれほどの決断をしたことだろう。」(鴨芹)
    △「何やら決意めいたものを感じます。潔い。」(洋三)
    △「なんともいえぬ屈託がある。」(ゆかり)

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  14. たわむれを墓の上(5点)

    ◎「昆虫とか、空き缶とか、たしかに戯れている気がする。」(祖啓)
    ○「“たわむれ”は墓に眠る誰かとの親しさの表れなんでしょうね。」(寝覚)
    ○「面白いけれど何か足りない感じがする。かといって何かを足したら言い過ぎになりそうな気もする。」(鴨芹)
    ○ 「虫か何か小動物が交んでいるのでしょうか。墓の上という設定は好悪あるかも。」(露結)

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  15. 眼の奥を川が流れてゐて痛し(5点)

    ◎「イメージと実景のあわいがあいまいな描き方ながら、盛り上がってくる涙も想起させる。」(茂根)
    ◎「目の奥の痛みの表現として秀逸だと思いました。」(倫代)
    ○「川が流れてゐて痛いって だけでいいような気も。」(千晶)

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  16. 背を向けても流れている川(5点)

    ○「淋しさがあふれている句ですね。さびしいと詠まないから余計にさびしいんですよ。」(オカピート)
    ○「見ていなくても、自分とは関わることがなくても、世界はそこに存在する。ちょっと哲学的。」(真史)
    ○「深いですね。短いのに心を鷲掴みにされます。」(ニレ)
    ○「人と自然は時々仲違いする。大抵は人の勝手な思い込みから始まるのだが。只事のようでいて、なかなかそうとも言い切れない句である。」(雪兎)
    ○「関係なしに川はたえず流れ続けている。」(智佐)
    △「観察者と対象の関係性の命題。不確定性原理とは?」(獺太郎)
    △「川とはそういうものであろう。」(ゆかり)

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  17. 蛇苺はじめてなんてこんなもの(4点)

    ◎「呆気ない初体験を済ませ、ふと横を見てみると蛇苺が赤かった、という句。あるいは初めてなのは相手だけで、作者は(こんなものよ)と慰めているのか。美味しそうだが酸っぱくて食べられない、蛇苺との取り合わせが見事に決っている。」(畦道)
    ○「蛇苺が性器で処女喪失の句ですかね。知識豊富で自身の初体験を嘲笑しているかのよう。」(京介)
    ○「上五の蛇苺が絶品♪」(タケウマ)
    △「蛇苺がよく付いてる。」(鮎美)
    △「いいですね。ちょっとエッチな感じ。素直に苺にしないで蛇苺にしたところが、ちょっと斜に構えてる感じがしてきゅんきゅんします。青春ですね。好きです。」(玉虫)
    △「がっかり感が蛇苺にぴったり。」(倫代)
    △「蛇苺との取り合わせに意外性があって面白い。」(牛後)
    △「バレ句である。」(ゆかり)

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    1. 「はじめてなんてこんなもの」というのは、わりあい平凡な感想だと思う。

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  18. 痛すぎて止める新技柏餅(4点)

    ○「「柏餅」という技、本当にありそうだ。そして、本当に痛そうだ。どうしてこの技をすることになったのかはわからないが、『痛すぎて止める』という優しさ、そして『柏餅』この響きが気持ち良い。」(桃子)
    ○「上手だなあ。わからないのにわかる。かけてる方が痛い技ってありますよね。」(働猫)
    ○「「柏餅」の斡旋がいいですね。」(ゆかり)
    ○「滑稽さがいい。子どもか大人かわからないけれど、『ああ、男ってバカだなぁ』と愛情を込めた苦笑いができる。」(ロケッ子)
    △「こういうナンセンスな句は大好きです。俳句というと、心にもないわびさびを詠む人こそ痛いです。」(オカピート)
    △「アクロバティックな性交体位でも思いついてしまったのでしょうか。」(京介)

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  19. 人を殺した手が水をすくう(4点)

    ◎「水をすくった時に唐突に自覚するのだろう。自分の手が血にまみれていることに。水を飲む。人を殺しながらもなお自分自身は生き永らえようとしている。そのことに嫌悪し罪の意識に苛まれる。わたしは父を殺したという自覚を捨てられないで生きてきた。心から共感する句である。」(働猫)
    ○「リアリズムもときに俳句。」(茂根)
    ○「冷たく澄んだ水が美しい。」(卓)
    ○「水を救っている。」(祖啓)
    ●「作者に殺人歴があるのでしょうか。それとも殺人犯を描写しているのでしょうか。事実であれば作者の境涯など何らかのコンテクストとセットで読まれるべきかも知れません。フィクションであれば何も言うことはありません。こういう作品はフィクションで安易に作られるべきではないと思います。あるいは『殺した手が水をすくう』だけで充分なのかも知れません。」(露結)
    △「ドラマを作ろうとし過ぎな気がします。」(寝覚)

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    1. 「人を殺した手」というのがあまりに直接的で、詩情がないように思う。

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  20. 椿落ちて大音響の汽笛かな(4点)

    ◎「見事です!椿が落ちた瞬間に、いや、椿が落ちたことをきっかけに汽笛が大音響で鳴り響いた。とても鮮明な映像が浮かびます。『椿落ちて』と、6音の破調にしたのが狙いなら、ますます恐れ入ります。」(オカピート)
    ◎「椿が落ちると聞くと、どうも気持ちが悪いイメージがするけれど、この句の椿の落ち方は、なんだかとても気持ちが良くて、美しい。汽車と椿。なんて相性が良いのだろう。大井川のあたりかなあ。」(桃子)
    ○「SLが近くて迫力が伝わる。」(卓)
    ○「俳句を始めてから、はじめての春を越したわけですが、あんなにも椿の花が落ちるのを待ち望んだことはありません。花の落ちた時の私の気持ちを代弁してくれた気がしました。」(洋三)
    ●「蝶墜ちて大音響の結氷期 のあまりにも安易な翻案で、何も生み出していない。」(真史)
    ●「「蝶墜ちて大音響の結氷期」(富澤赤黄男)を念頭においたとしても、たいした出来と思えなかった。悪い意味での(手練れ)の句。」(畦道)
    △「景は面白いのですが、赤黄男の句のパロディならあまりうまくない」 (倫代)
    △「どうしても“蝶墜ちて大音響の結氷期”(富沢赤黄男)を思い起こしてしまう。」(タケウマ)
    △「富澤赤黄男の『蝶墜ちて大音響の結氷期』を踏まえつつ、本当に大音響の『汽笛』を持ってきているところが眼目であるが、なんだか志が低いような気がする。」(ゆかり)

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  21. カプセルの未熟児笑む五月(4点)

    ○「助かってほしい…いじらしい句…と、みせかけて、ん?あれ?って思わせますね。ちょっとしたホラーですね。未熟児って言われる程生まれたばっかの赤ちゃんだったらまだ笑わないんじゃないの。あれ、おかしいな?あれ、うわ!って、この未熟児、妖怪みたいな怖さがありますね。秀逸過ぎるオカルト句!」(玉虫)
    ○「笑っても笑わなくても親は心配するものかと思う。赤子は親の笑顔を見て笑うことを学習するのだとか。未熟児ながら学習して成長していってることが喜ばしい。」(京介)
    ○「大きく育って欲しいと願う。」(鴨芹)
    ○「『私これでも未熟児だったんだよ!』と笑いをとるジャージ姿の体格のいい女子が浮かんだ。希望。始まりの句だ。」(りんこ)
    △「あらゆる生命が輝く五月。この小さな命の未来に幸あれ。ちなみに私も未熟児でした。」(うぐいす)
    △「やっぱり笑うのかな。」(鮎美)

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    1. 嬰児って、いつ頃から笑うのだろうかと気になった。カプセルの中の未熟児でも笑うのかな?

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    2. 先ほど「未熟児 笑顔」で検索しますと、未熟児の子が笑っている動画がありました。幸せな風景ですが、なぜか悲しくなる光景でした。

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  22. 眼帯の中の眼も閉ぢぬ(4点)

    ◎「何がどうとは言い難いですが好きです。」(寝覚)
    ◎「参りました。」(ゆかり)
    △「当然の反射、合理的につむらないやつがいたら怖い。」(鮎美)

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  23. 嫌われたいのか綿パンが白い(3点)

    ○「嫌と綿パンのギャップ感覚がとてもここちいい。」(圓哉)
    ○「何故綿パンが白いと嫌われたいなのかわかりませんが、確かに少し苛立ちます。言語化不能な感情・感覚をよく伝えてくださいました。」(寝覚)
    ○「この季節に白い綿パンで登場する男はきっと部屋も真っ白でやたらと高いシャツを着ている。私も好きになれそうもない。」(りんこ)

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  24. 桜咲け米寿の友が笑うから(3点)

    ○「句友かもしれないし、そうでないかもしれない。米寿の友の優しい笑顔を像した。『桜咲け』というという言葉に、いつまでも健康でいてほしい、という思いと、作者の優しさを感じた。」(桃子)
    ○「倒置表現で締めが”~だから”のような句は嫌いだったはずなのに、思いがけずすごく好きになってしまいました。あたたかさとやさしさに撃ち抜かれました。」(ニレ)
    ○「花は人を笑顔にしてくれることがあります。特に日本人は桜が大好き。句調からは切実な願いのようなものが感じられます。『米寿の友』への思いでしょう。素敵な句です。」(洋三)
    △「桜とご老人の取り合わせは定番と言えば定番だが好き。」(獺太郎)

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    1. これも良いなと思いましたが、多くの句を選んでいく中で取りこぼした一句です。米寿の友で思い出すのは、八十歳の書道の先生で、漢詩も長年されていたおばあさんです。懐かしい気持ちになった一句でした。

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  25. 痛い手をさして盤が近い(3点)

    ◎「酔っぱらった時に地面がやたらと近く見える、そんな光景を思い出しました。相当に手痛い失敗だったのだろうなと思いました。」(玄齋)
    ○「余裕がないとき物が近く見える。」(智佐)
    △「惜しい。(さされて)のほうがよかったのでは。」(畦道)

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  26. つまりだからけれどやっぱりの私(3点)

    ○「言い訳めいた接続詞の連なりが面白いです。話せば話すほど空疎になっていく感じ、ありますよね。」(倫代)
    ○「『私』という自己を確立するための苦闘の様子が、特に具体的な景が無いのにも関わらず伝わってくる。こういう句も面白い。」(雪兎)
    ○「このストーリーを繰り返していくのだろう。面白い。」(鴨芹)
    △「おもしろいけれど、いささかキャッチコピーっぽい。」(真史)
    △「接続詞の連続に面白さがある。」(牛後)
    △「つまり優柔不断な私。だから私、自分のこと嫌になっちゃんだけれど、やっぱり私は私だから嫌いになれない。あなたもそうでしょ。はい。そうです。」(なな)
    △「口癖に人柄が出る。」(智佐)

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    1. 初見で取ろうと決めた句のひとつ。先を越されました(笑)

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  27. 灯台の真白きに君立てば夏(3点)

    ◎「浮かぶ景が夏すぎて気持ちがいいので採りました。」(古戸暢)
    ○「色彩の美しい句。灯台は実際には薄汚れていた入りしますが、この句ではあくまで白い、美しい灯台なのだろう。その前にすっと立つ『君』。すらりとした身体。白いワンピース。つばひろの帽子。すべてが美しい。」(働猫)

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  28. ここが痛点 薔薇いつせいに散る(3点)

    ○「まっさおな空の痛点のようだ。薔薇では類想なし。」(茂根)
    ○「薔薇の散るスイッチの入る瞬間を、体感的に捉えているところが面白い。ぶつぶつ切れたような叙述も心に引っかかり、印象に残る。」(春休)
    ○「着眼点が好き。一字空けはなくても良いかも。秘孔を突かれた薔薇だ。」 (T宏)
    △「これも好きだなぁ。薔薇の痛点、どこなのか教えてほしい。」(ロケッ子)

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  29. 颯爽と東京へ出る春の泥(3点)

    ○「足元はぬかるんでいるが足取りは軽い。未来への期待に胸が膨らんでいるのでしょう。でも、案外東京にもぬかるみはあるから気をつけて。」(うぐいす)
    ○「映像が浮かびます。」(さくら)
    ○「ふるさとの春の泥を靴につけて東京へ向かうのは、どこか地方在住者の矜持すら感じる。」(雪兎)
    △「春の泥つけて上京。田舎者が期待を胸にきた。そんなイメージを感じました。」(T宏)
    △「吉幾三の”おら東京さ行ぐだ”の世界か。季語・春の泥がいいと思う。」(牛後)
    △「春の泥は、颯爽というよりはむしろ怖ず怖ずという感じがしていたので、いい意味で裏切られた感じ。」(鴨芹)

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  30. 胃痛のあおぞら澄み切っている(3点)

    ◎「いいいいいですね。素晴らしく好きです。こういうひとりぼっち感こそが私の中では自由律って感じで腑に落ちるのです。ぽつんとつぶやいて終わっちゃったみたいな短さもとてもステキ。身を折り曲げたいような胃の痛み、でも見上げればまるでこっちのことなんて問題にしてないような、澄んだ澄ました青空だったんでしょう。Excellent!!」(玉虫)
    ○「胃が痛いのはつらいもの。そんなときは澄み切った青空でさえ自分の胃に切り込んでくるような気がしてくるのかもしれない。」(牛後)

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  31. 痛い方へと蝶は飛ぶ(3点)

    ◎「幻想的、耽美的とも捉えられるし、生物学的にもあり得る。好き。」(獺太郎)
    ○「蝶の痛みを詠んでいるわけではないのだろう。作中人物の痛みに対し、摂理のように飛んでくる蝶。なんだか可笑しい。」(ゆかり)
    △「言われると、蝶の飛び方って変ですよね。飛ぶこと自体が痛がっているようにも見えます。」(オカピート)
    △「方へが惜しい感じがしました。この蝶、痛みを癒しに行くんではないんです。覗きに行くんですよ。人が痛み苦しんでいるところを覗く蝶。蜜の味。そしてそれを栄養にひらりひらり舞う。そんな蝶なのに惹かれてしまうなんて愚かですね、人間は。」(なな)

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  32. 新緑や双子の片割れだけが泣き(3点)

    ○「好きな景です。『双子のひとり』としたら、中八じゃなくなりますね。」(倫代)
    ○「双子の年齢はわからないが、『なんで相方は泣いているんだろう』という顔を泣いていない方がしているのを思い浮かべた。」(古戸暢)
    ○「こんなふうに双子が及ぼしていたのであった。」(ゆかり)
    △「着眼点は良いと思いますが、言葉がこなれていない印象。もっと良い句になるはずという気がする。」(春休)
    △「この取り合わせ、気持ちが良いなあ。大変だけど、幸せでいっぱいなんだろう。」(桃子)
    △「片割れという言葉が斬新。」(卓)
    △「双子だからといって、同じではない。それぞれにしたたかさをもっている。今回は泣いた片割れのしたたかさ。でもそれが子ども。すぐに泣き止むだろう。何故ならもう片方が楽しいことを見つけて遊び出したから。」(なな)

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  33. 青春とは何だ答えろ春嵐(3点)

    ◎「こういう句、大好きです。嵐に向かって叫ぶ感じですね。少し違いますが『台風クラブ』という映画を思い起こしました。やり所の無いエネルギー。無駄に嵐や海や夕陽に叫んでしまう。まさに青春です。」(洋三)
    ○「春嵐に問う、というか詰め寄る辺りが、実にこう『勉強が出来る人の青春』という感じですね。」(寝覚)
    ○「この馬鹿らしいほどの強さ、適当さ。好き句。」(古戸暢)
    ●「ステレオタイプなフレーズは、季語の付け合せを工夫したほうがいい。」(茂根)
    △「石原裕次郎が出てきそう。」(牛後)
    △「どちらかというと青嵐に聞くべきではないか。どちらにしても答えは風の中だが♪」(タケウマ)
    △「本当だ。なんだろ。」(祖啓)
    △「荒い幕開け。」(智佐)

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  34. 窓開けて逆子体操聖五月(3点)

    ◎「清々しく輝く五月の光を浴びて、母親は四つん這いになったりお尻をふりふりしたり。生命は美しく、時に滑稽です。健やかに生まれますように。」(うぐいす)
    ○「ほほえましい、聖五月はことばとしてありかどうか・・・。」(圓哉)
    △「何故窓を開けるのか?何故逆子体操なのか?すべては聖五月のなせるわざ、ということでしょうか?」(オカピート)
    △「逆子が直るといいですね♪」(タケウマ)
    △「妊婦の日常と季節感、マリア様のご加護があらんことを。」(獺太郎)
    △「ああ、なんてぴったりな季語を使われたのだろう、と感服しました。」(ロケッ子)

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    1. ブログに掲載されたのを読み直して、なんでとらなかったのか反省している句です。逆子体操(実は具体的にどういうものかは知らないのですが)と、これしかないという絶妙の季語。素晴らしいです。

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  35. ぼくにだけみえるともだちマグノリア(3点)

    ○「すべてひらがなであることで、少年の屈託のなさが表れています。マグノリアの甘く妖しい香りの中、現れたともだちのことはだれにも秘密。」(うぐいす)
    ○「あぶないすぐ命の電話へ。」(鮎美)
    ○「マグノリア。木蓮を英語にしただけなのになんて怪しげな響きなのだろう。マグノリアとは、ともだちの名前なのかもしれないし、季語として使っているのかもしれない。ともだちは悪魔だろうか、妖精だろうか。ぼくはどういう人物なのだろうか。いろいろと、想像が膨らんで楽しい。」(桃子)
    △「子供時代の頭の中だけの友達かな。神秘的でちょっと怖い。マグノリアで終わる、句全体の流れも気持ちいい。好きです。」(玉虫)

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  36. 恋の痛み知らずにさくらんぼ実りました(2点)

    ○「さくらんぼは、童貞か処女かの隠喩でしょうか。痛み知らずでスムーズに実ったのがうらやましい。そういう願望が句になったようにも思った。初恋の人とそのままゴールインしたのをそのまま句にしてるとは思いたくない。」(京介)
    ○「この後たくさんの痛みを覚えるのだろうけど、でも実らせたのならそれでいい。」(鴨芹)
    △「とても綺麗なさくらんぼなんですよね。艶もあり、鮮やか。でもなんか足りない。チェリーの毒々しい色には負けますよね。」(なな)
    △「中学生女子青春小説のような瑞々しい世界観。良いですね。好きです。」(ニレ)

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  37. 迷いなく咲いていてみち見失う(2点)

    ○「あまりにも綺麗な咲くもんだから、見惚れて道を間違えてしまったのでしょうか。薔薇?カサブランカ?蘭?いやいや芥子の花も。向こうは惑わすつもりないんでしょうが、惑わされて振り回されたこっちとしてはもう。女々しくて、女々しくて、女々しくて、辛いよーって歌いたくなります。」(なな)
    ○「立派に咲いた花に見とれ、ついつい道を間違えてしまう。最近ありました。着眼点といい、表現といい、見事です。」(洋三)
    △「迷いなく咲く花の中で迷っている作者。なかなか面白い。」(牛後)

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  38. 水面打ち船舶の飛ぶ立夏かな(2点)

    ◎「爽快そのもの。」(卓)
    △「勢いのある句と思いましたが、『船舶』という用語は硬いのでは? 船の種類が分かるように詠むことも可能なはず。」(春休)

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  39. 忘れた人の名花瓶に挿して春(2点)

    ○「花の名前のついている女の子は結構多い。春だとしたら、すみれ、さくら、かえで、などがメジャーだろうか。忘れたなどといって、しっかり覚えているじゃない。」(真史)
    ○「名前を花瓶に挿すというのが面白い。名前は忘れたかもしれないが、思いは残っているのでしょう。」(倫代)
    △「いいですね。花と同じ名前ってことは相手が女、詠み手が男かな。花を生けて『ゆり…』とか呟いているんでしょう。忘れてねぇじゃねぇか(笑)。女々しいところがある男性て好きです。」(玉虫)
    △「忘れたい人、じゃないのかな?と思いました。春が来たら何でも一新されるなんていうのは幻想で、実際は未練たらたら、愛憎ドロドロ。だから野の花が綺麗に見えるんです。」(なな)

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