2019年2月21日木曜日

第三十七回 鍛錬句会


※2019年2月開催

◇集計結果

(7点) 少女抱きしめて放り投げた  古戸暢 ◎◎○○○
(6点) 笑いながら鬼の面かぶった  雪兎 ◎◎○○
(5点) 火がつくまで月見ている  働猫 ◎○○○

(4点) 慰められたい夜が朝にかわりよる  古戸暢 ○○○○
(2点)いぬにたくさんついてる草の実  玉虫 ◎
(2点) 缶コーヒー傾けて夕陽のまばゆい  風呂山 ◎
(2点) 月光照らす雪野どこまでも青い  働猫 ○○
(1点) 冬とせめぎあう真夜中の重機  働猫 ○
(1点) 意味も無意味もシャボン玉とんだ  かもせり ○

(1点)「絶望」と大げさに云う葱を買う  玉虫 ○
(1点) 両手で頬を包む日を雪が降っている  古戸暢 ○
(0点) 日向でも日陰でもユーミンが聴こえる  雪兎
(0点) 見るに堪えない春の踏み台  かもせり

(0点)役所出てきてお天気雨だ  玉虫
(0点) 道を?作るッ!   自由律俳人ホームセンター造林鎌 ○●
(0点) うれしくてかなしくて雪のなみだ  かもせり
(0点) 冬の大地が震えている  風呂山
(0点) 冬はテムレス冬はテムレス定番です   自由律俳人ホームセンター造林鎌
(0点) ブルゾンちえみの振り向いて立春  雪兎 ◎●●
(-1点) 疲れた体を風が打つ  風呂山 ●
(-4点) 星見師   自由律俳人ホームセンター造林鎌 ●●●●

以上24句。
※特選◎(2点)、並選○(1点)、逆選(-1点)として集計。 

◇投句者(投句順)

【自由律俳人ホームセンター造林鎌】
星見師
道を?作るッ!
冬はテムレス冬はテムレス定番です

【藤井雪兎】
ブルゾンちえみの振り向いて立春
笑いながら鬼の面かぶった
日向でも日陰でもユーミンが聴こえる

【本間かもせり】
見るに堪えない春の踏み台
うれしくてかなしくて雪のなみだ
意味も無意味もシャボン玉とんだ

【風呂山】
疲れた体を風が打つ
缶コーヒー傾けて夕陽のまばゆい
冬の大地が震えている

【畠働猫】
火がつくまで月見ている
冬とせめぎあう真夜中の重機
月光照らす雪野どこまでも青い

【】




【小笠原玉虫】
「絶望」と大げさに云う葱を買う
いぬにたくさんついてる草の実
役所出てきてお天気雨だ

【馬場古戸暢】
慰められたい夜が朝にかわりよる
少女抱きしめて放り投げた
両手で頬を包む日を雪が降っている

24 件のコメント:

  1. (7点) 少女抱きしめて放り投げた  古戸暢
    ◎幸せそうな親子とも読めるけど、昨今の虐待事件のことのようにも思えた。放りなげ「た」とするところが、どこか取り返しのつかないことのように感じる。(かもせり)
    ◎子供と戯れあう景を思い起こしたが分からない。それでも何故だかとても惹かれる。(風呂山)
    ○スケベ。(はる)
    ○ゆかいな光景でうれしい。体重が何キロかが気になる。(自由律俳人ホームセンター造林鎌)
    ○好き。好意的に取れば、軽く投げながら高い高いしてる子煩悩のお父さんとも思えるけど、これはちがうと思うんだな。スッゲ身勝手なサイコパス。おーよしよーしと引き寄せ、ギュッと抱き締めておいて、そぉれ!と突き放すように放り投げてあとは知らん顔。少女は恐らく、何が起こったか分からないまま笑顔で地面に落ちたことでしょう。一体どうして、こんな酷いことを? 問うたところで、理由なんてきっとない。ただ少女を抱き締めたいと思った、そして気が済んで要らなくなった。それだけのことなのです。他人に対して不条理な身勝手さを炸裂させる瞬間を短く捉えた、佳句と思います。(玉虫)
    △プロレスのファンサービスかな。でなければ児相に通報案件。(働猫)

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  2. (6点) 笑いながら鬼の面かぶった  雪兎
    ◎こうした幸福な光景を切り取った句は好きだ。幸福に気づくのはいつも失ったあとであるからだ。この句も、この幸福な光景は永遠に続くものではない。そうした自覚があるからこそ詠まれている。幸福は失われるから美しいのではなく、失われたからこそ美しさを意識することができるのだ。(働猫)
    ◎今回の特選はこちらに。いいですねー先ずイメージさせるのは、楽しそうな節分風景。よーしパパが鬼になるからなーキャッキャ!みたいな。でもどうでしょう。ここで鬼の面をかぶった者が、もう一つのペルソナに目覚めてしまい、何かが解放されてしまったのだとしたら。このあと起こったのは、豆まきではない凄惨な何かだったのかもしれない。その直前の、この笑顔。そう思うとゾクリと寒気が走ります。俳句っぽい写生と見せかけて、巧妙に物語が仕込んである句。めっちゃ好きです。(玉虫)
    ○面を被った後は変わらず笑顔なのだろうか。ちょっと怖い余韻。(風呂山)
    ○勇ましい。桃太郎と戦いたくない。よって、和睦せよ。(自由律俳人ホームセンター造林鎌)
    △節分のほほえましい光景。毎年鬼をやっていたが、子供が小さかったころ真剣に「鬼」をやったら泣かれて大変だった。鬼の面もリアリティあふれるものだった。(かもせり)
    △節分でしょうか。(古戸暢)

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  3. (5点) 火がつくまで月見ている  働猫
    ◎こんな風に月を見たことがない。火はすぐについてしまうし、室内でしか使わないので。昔はよくあることだったのだろうが、今は違う。月の見方も時代によって変化するのだなあ。(雪兎)
    ○何に火を付けているのだろうか。ミステリアスな余韻。(風呂山)
    ○いろんな意味で気になる。火事にならないか心配。気が付いたら、ヤケドしてた。(自由律俳人ホームセンター造林鎌)
    ○現代の生活において火がつくまでにそこまで時間があるのか。それとも、キャンプなどで屋外で火を起こしているところか。よそ見していて大丈夫か。(古戸暢)
    △ストーブに火をつけることをイメージしたが、焚火とかかもしれない。この場合は月も寒々しいような気もするが、でも凝視してしまうのだろう。月の魔力。(かもせり)

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  5. (4点) 慰められたい夜が朝にかわりよる  古戸暢
    ○孤独な夜が明けていく様子を詠むのがうまい天狗。(働猫)
    ○自分でしたくせに。(はる)
    ○置いてけぼりにされたこの慰められたいという感情はどうなるのだろう。また次の夜を待ち続けるのだろうか。(雪兎)
    ○好き。スッと入って来る感じがあります。慰められたい、ってストレートに言っちゃっててちょっとスウィートすぎる感じもありますが、この句においてはストレートでスウィートな甘えがいい感じに成功してるなと思いました。やせ我慢せずにこういうこと言えちゃう人ってとても強いと思います。(玉虫)
    △悶々として朝になった。「かわりよる」の意図がつかめなかった。(かもせり)

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  6. (2点)いぬにたくさんついてる草の実  玉虫
    ◎ 優しい。景も見える。自由律もこういった純粋な写生を作るべき。(はる)
    △これおがさんかな。オナモミの句前に出してたよね。(働猫)
    △散歩から帰ってきた後だろうか。一緒に歩いた人間には草の実はついていないだろうから、そういうところで犬と人との目線の違いを感じてしまう。(かもせり)
    △状況説明文の域を出ているのか。(古戸暢)

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  7. (2点) 缶コーヒー傾けて夕陽のまばゆい  風呂山
    ◎大人っぽい。(古戸暢)
    △仕事終わりか。山田孝之の出てるジョージアのCMかな。(働猫)
    △仕事中の一服だろうか、傾く太陽を見て「ああもうこんな時間か」と思ってしまう、そんな景が浮かんだ。(かもせり)
    △小休止の風景って感じで好きです。(玉虫)

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  8. (2点) 月光照らす雪野どこまでも青い  働猫
    ○絵画的。雪深いところに住んでいるけれどこのような景色に出会うことは少ない。張り詰めるような空気感がある。(かもせり)
    ○雪野なんて知らない。(古戸暢)
    △美しくも思うが恐ろしくも思う。(風呂山)

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  9. (1点) 冬とせめぎあう真夜中の重機  働猫
    ○好き。吸い込むと肺が痛くなる程に冴え渡った冬の夜気と、止めっぱなしの重機ってめちゃくちゃ似合う気がします。よく民家を解体中で、半分崩したところでまた明日―てなって、家の内部が丸見えのまま取り残されてる状態のやつを見かけますが、この句の重機も、そういうちょっとさみしい作業の途中って感じがします。「せめぎあう」がちょっとうるさい印象。ここを別の語にしてぐっと引き締めたら更にいい句になるかも。(玉虫)
    △積雪のある地域の日常。重機には当然オペレータがいるわけで、その方々も冬とせめぎあっている。本当にありがたい。(かもせり)
    △今年の冬も絶対に負けられない戦いがある。(雪兎)
    △カッコいい。(風呂山)
    △景が浮かばなかった。(古戸暢)

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  10. (1点) 意味も無意味もシャボン玉とんだ  かもせり
    ○少し難解な句ですが、シャボン玉は意味があっても無くても飛べますね。だからシャボン玉が時々恐ろしく見えるのかな?(雪兎)
    △意外さがない。(働猫)
    △気になる句。「シャボン玉とんだ」が支えるには、「意味も無意味も」は重すぎると感じてしまった。(玉虫)
    △「意味も無意味も」ですべての現象を網羅してしまっている。(古戸暢)

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  12. (1点)「絶望」と大げさに云う葱を買う  玉虫
    ○ 絶望と葱の対比が面白い。葱は優しい。(はる)
    △ねぎは立てて鍋に入れるとおいしく煮える。ガッテンでやってた。(働猫)
    △絶望の正体を考えている。欲しかった食材がなくて葱で妥協したのか。(かもせり)
    △日常感がいい。(風呂山)
    △「絶望」という名詞を大げさにつぶやきながら葱を購入したということか。レジの店員の前でその名詞を口にしている状況が見えない。(古戸暢)

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  13. (1点) 両手で頬を包む日を雪が降っている  古戸暢
    ○ちょっとメロドラマが過ぎるように思うが。きれいはきれい。(働猫)
    △寒い景にも関わらず、温かさをも覚える。(風呂山)
    △寒い日に雪が降るというのはあまり意外性がなくて、読み方に悩んでいる。寒いのは良く伝わってくる。(かもせり)
    △「日を」要るかな? なくても成り立つかな?と考えました。(玉虫)

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  14. (0点) 日向でも日陰でもユーミンが聴こえる  雪兎
    △わかる。連れ句「ドリカムが日陰まで追いかけてくる」。(働猫)
    △昭和末期のスキー場ではよく耳にしたけど、今はどこに行けばユーミンを耳にするだろう。(かもせり)
    △どちらかと言えば日陰がいい。(風呂山)
    △いいですね。特にすることもない日曜の午後って感じがします。有線でユーミンが流れる商店街をてくてく歩けば、こっちが日向を歩こうが日陰に入ろうが、我関せずとばかりにユーミンの歌声が。景が目に見えるようでした。(玉虫)
    △音量が大きいということか。(古戸暢)

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  15. (0点) 見るに堪えない春の踏み台  かもせり
    △「踏み台」は比喩か。それとも実物か。雪解けでどろだらけになっていく何かの踏み台なのだろうか。それに自分か何かを仮託して見ているのだろう。(働猫)
    △縊死の踏み台なんでしょうなぁ。春の陽気にふと誘われて、やっちまったんでしょう。残された者は見るに堪えないって思うかもしれませんが、旅立った者は、いまはおだやかになりにけり、と思いたいところです。(玉虫)
    △「踏み台」が何かわからなかった。(古戸暢)

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  17. (0点)役所出てきてお天気雨だ  玉虫
    △役所が来いって思う。毎度ね。(働猫)
    △役所「を」出てきたのだろうけど、役所「が」出てきたと読めてしまった。税務署で用を済ませたときはこの句のイメージに合うように思う。(かもせり)
    △役所がどこからか出てきたのか役所から私か誰かが出てきたのか。(古戸暢)

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  18. (0点) 道を?作るッ!   自由律俳人ホームセンター造林鎌
    ○意外!それは髪の毛ッ!(働猫)
    ●読むたび吹き出してしまうインパクト。こういう句はやはり逆選でいただこう。(風呂山)
    △「?」がよくわからなかったが、この句には振付があるのではなかろうか。生で(あるいは映像で)「見て」みたい句というものに初めて出会った。(かもせり)
    △ジョジョ第五部のセリフかな?(雪兎)
    △面白さがもはやない。(古戸暢)

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  19. (0点) うれしくてかなしくて雪のなみだ  かもせり
    △心情語を明確に書いてしまっていて、それが特段効果的でもないために歌謡曲の歌詞になってしまっている。(働猫)
    △ふつうにとてもよい。相反する感情を「~くて~くて~」の反復で浮かび上がらせ、状況も分かるし美しい。新しくはないなーと思って今回は並選に届かずとさせていただきました。(玉虫)
    △「うれしくてかなしくて」によって想像の余地が小さくなってしまった。(古戸暢)

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  20. (0点) 冬の大地が震えている  風呂山
    △マンションポエムか。(働猫)
    △寒さで震えているのか、地震なのか。いずれにしても厳しい環境ではある。(かもせり)
    △地震の景でしょうか。(古戸暢)

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  21. (0点) 冬はテムレス冬はテムレス定番です   自由律俳人ホームセンター造林鎌
    △知らんけど。そうか。(働猫)
    △定番なのはわかる。場面が具体に示されると共感しやすくなるかもしれない。ただの宣伝になる可能性もあるけど。(かもせり)
    △分からないからググった。確かに定番。灯油入れや雪掻きに、とても重宝している。(風呂山)
    △テムレスという名称の存在に気付いていなかった。(古戸暢)

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  22. (0点) ブルゾンちえみの振り向いて立春  雪兎
    ◎素晴らしい対比。微笑ましいし、加わりたい。ブルゾンほほえみ。(自由律俳人ホームセンター造林鎌)
    ●んーーーブルゾンちえみって言いたいだけかもって思った!(玉虫)
    ●「ブルゾンちえみ」の意味がわからなかった。調べて芸能人の名前と知った今でも、句意が結局見えない。固有名詞句は難しい。(古戸暢)
    △俗すぎてちょっと。ブルゾンが素材として面白くなるにはまだ時間が必要であるように思う。(個人的には面白くなることはないように思う。)(働猫)
    △これは立春でなくてもよさそうな気がする。勝手ながらブルゾンちえみには秋のイメージを抱いている。(かもせり)
    △こういうタイトルの特番があってもいい。(風呂山)

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  23. (-1点) 疲れた体を風が打つ  風呂山
    ●もう一歩、必要。さらに疲れて栄養ドリンクを飲もう。(自由律俳人ホームセンター造林鎌)
    △当たり前体操か。意外さがない。気づきがない。疲れるの初めてか。(働猫)
    △「打つ」という語は瞬間的な衝撃のような印象がある。風はずっと吹いているのだろうが、ある瞬間痛みを覚えるような突風が吹くこともある。辛い光景だ。(かもせり)
    △冬っぽい。(古戸暢)

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  24. (-4点) 星見師   自由律俳人ホームセンター造林鎌
    ●?(働猫)
    ● これはファンタジー作品の職業や。(はる)
    ●天文台で説明が上手な人を思い浮かべた。ただ、これは「句」なのだろうか。そもそも句とは何だろうか。そんなことを考える機会をいただいたので、感謝を込めて逆選に。(かもせり)
    ●これは私の考える俳句のリズムが無いので逆選とさせていただきました。これではただの単語です。星見師という職業(?)には興味ありますけど。(雪兎)
    △韻性を覚える単語は確かにあると思う。ただ、他人もそう感じるかどうかは難しいところ。(風呂山)
    △好き。詠み人は星を見るプロになってしまったのでしょう。前回の「尿水銃」に似た感じを受けるけども、こっちはちょっと俳句ってよりも可憐すぎる気がするのであと一歩で並選という判断とさせていただきました。(玉虫)
    △ゲームか何かにおける職業名のようです。占星術師と何が違うのか。(古戸暢)

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