2012年8月4日土曜日

第三回 鍛練句会


最高得点句
花の名を忘れた口へ匙を運ぶ


最低得点句
あー死にたい。でも死ねないのは君のせいだよ

蟷螂の子がポトリと落ちてもがくメダカの水槽

空蝉のくるぶしあたり

君への仇討のために幸せになろう


互選集計

(9点) 花の名を忘れた口へ匙を運ぶ ◎◎◎◎○
(6点) 桃そっと置かれたまま腐っとる ◎◎○○
(4点) 乾いた土に雨のまるさ ◎○○
(2点) 若気の至りの上限にいる ○○
(2点) みんな棄てて帰る海風がすずしい ○○
(2点) どっかの犬が吠え続ける夜を帰る ○○
(2点) 花の名前で雨に濡れている ○○
(2点) くそ暑い日の昼飯の味噌汁 ○○
(1点) 日陰ばかり歩く ◎●
(1点) 酔いたい夜の酔えない
(1点) なにができるミシンの音か
(1点) 朝刊に裏切られる試合の結末
(1点) 雨が長居させてくれた
(1点) 稲妻にこの姿見せに行く
(1点) もういい月が出た
(0点) キィーン!ポールにカバンが当たったぞ ○●
(-1点) 空蝉のくるぶしあたり
(-1点) 君への仇討のために幸せになろう
(-1点) 蟷螂の子がポトリと落ちてもがくメダカの水槽
(-1点) あー死にたい。でも死ねないのは君のせいだよ ○○●●●
(無点) 小さきおなら駅から歩め
(無点) 汗臭く日の暮れる
(無点) 心配して損した前歯欠けてる
(無点) 政治を憂いて元気な老人たち
(無点) うらぶれて私の影を踏む
(無点) ガソリンスタンドは、まばゆい
(無点) いつまでも玄関先の野あざみ


特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計


作者発表


【渋谷知宏】
あー死にたい。でも死ねないのは君のせいだよ
くそ暑い日の昼飯の味噌汁
空蝉のくるぶしあたり


【春風亭馬堤曲】
うらぶれて私の影を踏む
日陰ばかり歩く
いつまでも玄関先の野あざみ


【白川玄斎】
朝刊に裏切られる試合の結末
君への仇討のために幸せになろう
政治を憂いて元気な老人たち


【天坂寝覚】
雨が長居させてくれた
もういい月がでた
みんな棄てて帰る海風がすずしい


【中筋祖啓】
小さきおなら駅から歩め
ガソリンスタンドは、まばゆい
キィーン!ポールにカバンが当たったぞ


【馬場古戸暢】
酔いたい夜の酔えない
若気の至りの上限にいる
汗臭く日の暮れる


【藤井雪兎】
乾いた土に雨のまるさ
花の名前で雨に濡れている
稲妻にこの姿見せに行く


【松田畦道】
心配して損した前歯欠けてる
なにができるミシンの音か
花の名を忘れた口へ匙を運ぶ


【矢野風狂子】
桃そっと置かれたまま腐っとる
蟷螂の子がポトリと落ちてもがくメダカの水槽
どっかの犬が吠え続ける夜を帰る


※五十音順


48 件のコメント:

  1. 花の名を忘れた口へ匙を運ぶ(9点)


    【句評】
    ◎「二通りに読みました。ひとつは、ごく普通の人同士の食事の最中を詠んだもの。もうひとつは、ひとりでは食事を出来なかくなった老人を詠ったもの。どちらの解釈が適当か分りませんが、静かな日常をうまく描いたと思います。そして後者の解釈であるとすると、「花の名を忘れた口」とは、あまりにも美しい表現です...」

    ◎「よく、上品なレストランとか、ひとんちでご飯を食べる時に、そういえば、こういう時がたしかにありました。この句を読んで、私自身がこの気持って、こういう事だったのかって気がつかされました。何かを思い出そうとしながら食べている。たしかにこういう時は、こうなる。」

    ◎「認知症になった親を介護する子の視点だろうか。健康だった頃は花に詳しい方だったのかもしれない。これから介護の句増えていくと予想できてしまうのは非常にやるせないが、俳句の「民衆の詩」という側面はこの句のように我々を容赦なく抉り出すだろう。」

    ◎「『花の名を忘れた口』とは、親しい誰かの口なのでしょうか。それにしてもこの言葉の美しさたるや。こうも美しく語られると、その関係には親しみ以上の愛情があるように感じられてなりません。キリスト教で言うところの「アガペー」がそれにあたるのでしょうか。それあるが為に『匙を運ぶ』という行為がただの奉仕や献身ではない、何か神聖な儀式めいて映ります。だからなのか、「花の名を忘れた」誰かにいずれ来る死を予感し、その予感をかすかな哀しみとして句の中に見ました。それは句を、5‣7‣6で区切って読んだ時に口に残る響きからも感じられます。その哀しみがあるからこそ、よりこの句を美しいと思いました」

    ○「詩的完成度が高く美しい句だと思う。しかし、この美しさは同時にやや暗い陰を秘めている。」

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    1. 作者、畦道です。
      三年ほど前、介護の資格を取るため施設で実習をしたことがあります。
      そこで食事介助を何度か、経験しました。
      本句はそのときのことを念頭に作りました。
      具体的なことは語らなかった結果、ご講評では何通りかの解釈が生まれました。
      どれが正解、ということはありません。
      作者の手を離れた瞬間、俳句は読み手のものです。
      自由な解釈の余地を残した、というところが成功した、と思います。

      多くの方に選んで頂けて嬉しいです。
      今後も精進致します。

      畦道拝

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    2. おめでとうございます(´∀`)
      私は特選で取りました。

      やはり介護の経験が元になっていましたか。
      悲しさと美しさが無理なく混ざり合っていて、
      人の心との距離が近い句でした。

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  2. 桃そっと置かれたまま腐っとる(6点)



    【句評】
    ◎「時間の経過をなんとも美しく表現している。「そっと」が絶妙ですな。腐った桃がなんとも甘美に見える。」

    ◎「海藤抱壺のせいか、病床の枕元にある気がします。腐っていてもそっと置かれている桃はいいものです。」

    ○「桃が置かれる場所はいくらでもありそうですが、『そっと』となると限られる気がします。果たして何処なんでしょうか。食卓?墓前?仏前?判りかねますが、ともかく、この桃今腐ってしまっている。そこにあることを忘れられてしまっていたからでしょう。桃だけでなく、桃が置かれた場所も。けれど「私」は気づいた。その「気付き」がこの句の背骨で、それを表するための『そっと』なんじゃないでしょうか。促音が二つもあって、それでも弾まない響きが「気付き」の重さを語っているように思えます。」

    ○「『そっと』置かれたからにはそれなりに弔う気持ちがあったのだろうが、人は死者の方ばかり向いて生きているわけではないから、どうしてもこの句のような状況に出くわしてしまう。それでも『置かれた』側は許してくれるかもしれないが。」

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  3. 乾いた土に雨のまるさ(4点)



    【句評】
    ◎「夕立の降り始めだろうか。乾ききった土の上に、雨粒が落ちる。その表面張力を簡素な言葉で捉えた。誰もを唸らせる派手さない句かもしれない。しかし、この的確な観察は、作者の基礎体力の高さを伺わせる。骨太だ。この句そのものが、乾いた大地への恵みの一滴であるかの如くに力強い。」

    ○「土に携わる仕事でもしていないと、なかなか気付かない景です。」

    ○「雨が降り出した瞬間を捉えていますが、しかし眼はまず地面に向いている。その理由、心境は推し量ることしか出来ませんが、あまり明るいものではないように思えます。ですが、降り出した雨の、その跡の『まるさ』を眼は捉えた。それこそは、乾いた土が潤って滑らかになっていくように、心が癒されていく過程の表れと見えて、何か許されたような気がしました。そうした句意がないにしても、雨の描写の仕方や、描かれた景、その中乾燥と湿潤の対比。口にした時の響きの、最終的な柔らかさが好きです。」

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    1. 恐縮です。
      もっと自然の懐へ入って行きたいです。
      そこに溶け込んで出られなくなるぐらいに。

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    2. 雪兎様 

      畦道です。
      特選取らせて頂きました。
      一見、何事もない景色を、見事に昇華させた良句でした。
      目指すべき、ひとつの方向性を見た思いも。

      こういう作を、ふっと掴める瞬間。
      私も体験してみたいです。

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    3. 畦道さん、ありがとうございますm(__)m
      たまに自然が見せる救いのようなものに思えたので句にしてみました。

      何気ない風景に隠れた、
      生きている限り逃れられない真実を掴みたいといつも考えてはいるのですがなかなか難しいですね。
      幻を掴む思いです。

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  4. みんな棄てて帰る海風がすずしい(2点)



    【句評】
    ○「若い句。もうすでにおっさんである僕とh、立っている地点が違う。みんな棄てて帰るとは、とんでもない決断である。そして、その時に受けているであろう海風が、なんとも気持ちいいんだろうなと感じる。何もかも捨てきれないおっさんには眩しい境地である。」

    ○「前半の「みんな棄てて帰る」が句に凄い広がりを与えている。」

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  5. 若気の至りの上限にいる(2点)



    【句評】
    ○「単純に、こういう心情が好き。やっちまったなぁ、という現場。」

    ○「『鉄塊』のキャッチフレーズのような一句。ところが実際に若さを生きてみると、上限を迎えたと思ってからが案外長いのである。若気の至り、という当たり前の言い回しやや気になるが、率直だとも思う。何かを起こす前の、覚悟の言葉ともとれる。」

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  6. どっかの犬が吠え続ける夜を帰る(2点)



    【句評】
    ○「これは、僕がいつも家に帰る情景です。アホな犬がいるんです。家に着いても鳴き声が聞こえてくるんです。そして、この句の主人公はその中を帰っている人間です。ホントのこと言うと、どっかの犬なんて、猫でも虎でも蝉でもなんでもいいんです。ガフガフ吠えている犬のそばを、おそらくは無言で帰っている主人公。その対比が描くもの意図するものは様々。いろいろ想像力が働く句です。」

    ○「しばしば遭遇する夜です。どこかの犬が見当つかないことも、しばしばあります。」

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  7. 花の名前で雨に濡れている(2点)



    【句評】
    ○「濡れている人の表情が気になるけれど、後ろ姿だけでも良いような状況。」

    ○「例えば木槿だったら木槿として濡れるということだろうか。ロマンティストにもほどがある。でも、こういう句キライじゃないよ。」

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    1. ロマンティストにもほどがある…最高の誉め言葉です(´∀`)
      ありがとうございます。

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    2. こんばんは。

      御句、並選にとらして頂きました。
      この句を読んだ時、木槿として雨に濡れている自分を想像して、ゾクゾクしました。
      こんな句好きですね。

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    3. 今晩は。
      ありがとうございます(´∀`)

      木槿には木槿の濡れ方があって、
      その他の花にもそれぞれの濡れ方があるのでしょう。

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    4. そうそう、そうなんですよ。
      それぞれに濡れ方がある。
      良いですね。

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  8. くそ暑い日の昼飯の味噌汁(2点)



    【句評】
    ○「暑さが増したところですね。まあ、これぞ日本の夏というところでしょうか。」

    ○「こういう時の味噌汁って、美味くもないのに、やたらとインパクトがありますよね。硬派というか、試練というか。」

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  9. 日陰ばかり歩く(1点)



    【句評】
    ◎「単純に好きなタイプの句です。少々「放哉病」的ですが、個人的に完全なツボ句でした。」

    ●「日陰ばかり選ぶのは暑いからか。それとも、目立たないようにか。どちらにしてもマイナス思考かと思い逆選としました。」

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  10. 酔いたい夜の酔えない(1点)



    【句評】
    ○「酔いたいときは血を吐くまで呑むべきです。呑みが足りません。それと酔いは一つあればわかるので、別の言葉を入れると良くなると思います。」

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  11. なにができるミシンの音か



    【句評】
    ○「自分の物かと期待してsまいますね。」

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  12. 朝刊に裏切られる試合の結末



    【句評】
    ○「現在のようにインターネットが普及していない時代はこの句のような出来事は日常茶飯事だった。ある程度時間を置くことによって味わえる喜びはもちろん、悲しみのほうも今では貴重になりつつある。」

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  13. 雨が長居させてくれた(1点)



    【句評】
    ○「友人宅でしょうか?雨以外にも人のやさしさも感じます。」

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  14. 稲妻にこの姿見せに行く(1点)



    【句評】
    ○「雷鳴のなか、作者は外に出ないといけないのである。この姿を見せに、とは堂々としているようで、どこかやけくそに近い開き直りであるとも読める。この姿、とはあまり胸を張れたものでないような気も。シンプルな景色に、作者の心情が投影された巧みな一句だと思う。」

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  15. もういい月が出た(1点)



    【句評】
    ○「何かほっこりしますな。働きを終えた男の句です。」

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  16. キィーン!ポールにカバンが当たったぞ(0点)



    【句評】
    ○「『キィーン!』という、その音が聴こえてきました。『ポールにカバンが当たった』という状況と重ねると、この音は若さと、それゆえの盲目さの表れに見えます。それが、ともすれば粗雑とも取れる律となり、『キィーン!』という音をより澄んだものとして聴かせる。その音への感動を表わすのに、この句以外の言い方はちょっと思いつきませんでした。」

    ●「この『キィーン!』という音をそのまま効果音で表わしても面白くはない。これでは手抜きだ。むしろこの音が周囲に及ぼす波紋のようなものを表わすのが詩ではないでしょうか。」

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    1. 中筋 祖啓2012年8月2日 19:24

      この「キィーン」を、近日、推敲してみましたところ、

      ・ホームラン!ポールにカバンが当たったぞ
      ・ストライク!ポールにカバンが当たったぞ
      ・おめでとう!ポールにカバンが当たったぞ

      と、いった所になりました。

      これはこれで、面白いかもしれないな?

      いや、ちょっと、まてよ、これは、大げさかな?

      それなら、

      ・潔くポールにカバンが当たったぞ
      ・一太刀にポールにカバンが当たったぞ

      などが、無難で平和な路線であろう、と思いました。

      が、これでは、はしゃぎ具合が足りない。

      うーん、やはり、「キィーン」だと、はしゃぎっぷりが上手くでるようで、

      この場合、キィーンは、「はしゃいでいた」という事が、そのままの事情のようです。ついついはしゃぎすぎたので、こうなった。

      うーん、逆選されると、同じ句から、新しいストーリーが生まれて面白いですね。

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    2. 逆選に取ったのは私です(;´∀`)

      何故かというとですね、この句からストーリーが広がらなかったからです。
      内容的に想像したいと思わせる部分が無かったんですね。

      「キィーン!と音がした。
      それはポールにカバンが当たった音だった」
      この句はそれで終わっていますが、もう少し何かが欲しい。
      例えばそのカバンの持ち主の特徴を少し匂わすとか。
      読み手を引きつける「エサ」が足りない印象でした。

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    3. 中筋 祖啓2012年8月2日 23:03

      逆選は、雪兎さんでしたか。

      こういった反応をいただいた時は、
      坐禅をするのが良いらしい、と、ふと、思い出しました。

      そういえば、これは、句を読むことも似た作業に違いないので、

      こういった反応をいただいた時は、
      次の句を読めば良いらしい、と、ふと思い出しました。

      うーん、、、、だとすれば、次だ。


      ひょっこりとして、次回  祖啓

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    4. そうです、次、ですよ。
      今度一緒に飲む時にも詳しく説明致しますのでよろしくです。

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    5. 中筋 祖啓2012年8月3日 19:26

      それが分かりやすそうですね。
      また、酒池肉林の宴をやりましょう。

      8月は田舎に帰ってしまうのでいないので、
      次会えるとしたら、早くて9月になるかと。

      何か、吟行にちょうど良い宴スポットでもあると良いですね。
      そういえば、上野に、店長が俳句マニアなお店があったので、そこなんか、次回、面白いかもしれません。

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    6. 酒池肉林(笑)

      私も8月は帰省するのでお会いできるのは9月になりそうです。

      店長が俳句マニアの店はいいですね。
      今度は俳句に関係のある店に集まりましょうか。
      土日なら昼からでもOKですよ(´∀`)

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  17. 空蝉のくるぶしあたり(-1点)



    【句評】
    ●「よく情景がつかめない。個人的には木の根元(つまり私達の踝辺り)に見つけた蝉の抜殻を題材にしたのではないかと思ったが、どうにもよく解らない。そこの処がもう一つ読み手伝わり易くなれば、なかなかの句に化けそうな気がする。」

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    1. 句の景色は、まったくその通り。
      コンクリートの壁にへばりついてました。
      表現の仕方は色々ありますが、確かにこの句の表現は空虚だけですね。

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    2. 中筋 祖啓2012年8月2日 18:53

      この句を、並選にとろうか迷いました。

      蝉のくるぶしは、若い女性の着物のうなじのような魅力があり、
      チャームポイントだと思っていたので。

      蝉のくるぶしは、スタイルが良いので、
      詠み人は、それに見とれていたのではなかろうか?というのが、
      第三者の意見ですね。

      私的には、アブラゼミのくるぶしをつかんで運ぶ指が、
      ピンセットのように丁寧、という状況を思い浮かべました。

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    3. 祖啓様

      面白い!
      その解釈、一般的とは良いがたいですが、ものすごい想像力ですね。
      空蝉だけに、何もない感覚。
      これが、僕のこの句の本意ですが…
      乗っかっても良いですよ( ̄ー ̄)

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  18. 君への仇討のために幸せになろう(-1点)



    【句評】
    ●「本当かなぁ?変だなぁ?ってことで引っかかりました。はたして、これは本当なのか??」

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  19. 蟷螂の子がポトリと落ちてもがくメダカの水槽(-1点)



    【句評】
    ●「見たものをそのまま語り尽くすとこうなるのだろうが、ひとつの句としてはあまりに未整理ではないか。おそらくここから何らかの要素を削っていく、省略するという作業が必要なのだ。素材としてはいいものを捉えている。だからこそ惜しいと思う。」

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  20. あー死にたい。でも死ねないのは君のせいだよ(-1点)



    【句評】
    ●「自由律俳句として読むには無理があるかと。」

    ●「試みでやったのかもしれませんが、非常につまらない出来です。俳句であることを忘れてはいけません。」

    ●「これでもかと言わんばかりに「私」で満ちていて、描かれた心情も理解できます。けれど、あまりにも生(なま)過ぎて、これは、これを詠んだ方のためだけのものだと思いました。これを素材として、もっとそ削ぎ落とす、あるいはもっと肉を付ける。そうして出て来たものを改めて見てみたいです。」

    ○「色々とはみ出した句ではあるが、むしろ口語短歌の分野では主流の題材である。私は短歌では語り過ぎてしまう部分を自由律俳句で表せるのではないかと考えているので取らせて頂いた。」

    ○「所見では逆選に取った一句。しかし、『死』という言葉の扱いの、ここまでの軽率さも珍しいと呆れつつ、何度も読んでいるうちに味わい深く思えてきた。特選とも迷った。こういう選句は邪道なのかもしれないが、点を差し上げ、額縁に入れて飾って輝きを増す句、というのもあるような気もしている。」

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    1. こんにちは。
      逆選王となりました。
      渋谷です。

      この句に関しては、逆選3の並選2。
      狙った訳では無いですか、面白い結果になりました。
      この句は、自由律ではないとも言えるかも知れませんが、僕にとっては詩でありブルースなんです。
      この句が良いか悪いかは別にしても、僕はいつも考えてます。
      自由律とは、なんぞや⁉と。

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    2. 短歌と自由律の関係を考えている時に丁度この句と出会い、
      ヒントを得たような気がしたので私は並選で取らせて頂きました。
      私は常に自由律の次の段階を求めていますから。

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    3. 畦道です。
      御句、並選に取らせて頂きました。
      こういう不思議な作に出会うとまず『舌頭に千転する』という言葉を思い浮かべます。
      何度も読み返し、心のどこかに引っかかった理由を探します。
      ひとつには、奇をてらっているようで、実は普遍的な主題を簡素に扱っていること、でしょうか。
      そして、『自由律とは、なんぞや!?』という、
      作者渋谷さんの問いかけ。
      やはり、色々なものを秘めている句だと思いました。
      逆選3、並選2。5票入っているわけです。
      逆選、酷評を恐れず挑戦的な作を繰り出した渋谷さんに敬意を表します。

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    4. 雪兎様

      お疲れ様です。
      歌は心情の表現に秀でていると思います。
      僕も自由律でそのような表現が出来ないかと考えていました。

      でも、まだまだいけない。
      なんと言ったらいいんでしょうかね。
      この感覚。

      コスモス、少し揺れていることあるんだ 知宏

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    5. 畦道様

      どうもお疲れ様です。
      そして、最高得点おめでとうございます。

      僕の句は、どうですかね。
      良く俳句と自由律の違いを聞かれた時に、説明に窮することがありまして、自由律と言っても自由ではないですよね。
      とは言え、決まりごとはある方が良いし、基本は大事なんですが…

      しかし、敬意なんてもったいないですよ。
      句意は、読んで字のごとく。
      でも、実感です。
      僕の句は、イメージでは、額縁に飾られるよりそこらへんの紙屑に殴り書かれたメモで十分です。

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    6. 再び失礼。渋谷様。

      『自由』『律』『俳句』。どこに軸足を置くか、で作は変わってきます。

      私はどれか選べと言われれば『俳句』に軸足を置いた作を目指します。
      今回、逆選に取られた方々も、おそらくその視点で、御句に違和感を持ったのではと推察します。(逆選に取られた方、違うならご指摘下さい)
      でも私は、御句を並選に頂きました。
      漠然としていて申し訳ないのですが、なにか『可能性』を感じたんですよね。
      自分とは違う、軸足のバランスを持った作者が、なにごとか始めようとしていることに。
      僭越ながら一言申し添えれば、もっと野蛮であってもいいと思います。
      失敗はするでしょう。
      逆選にも取られます。
      でも、もっと野蛮に。
      いつか、ばしっとはまるときが、来ると思うんですがいかがでしょう。

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    7. 畦道様

      ありがとうございます。
      僕としても、「自由」と「律」が離れている事は、考えたこと無かった。
      そうなれば、僕は「自由」を取りますね。
      どうなるか分かりませんが、チョット変わって来ますよ。
      先月にありましたオ◯ニー的俳句。
      僕の出発点はまさにそこでした。

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    8. 何度もすみません。渋谷様。

      普通は『自由律』と『俳句』ですよね。
      ただ私は、この自由という言葉は、『律』にだけ背負わせるには大きすぎる言葉だと思う次第です。
      俳句性を保ちながら、『自由』の領域へ、踏み切る。

      そういう跳躍に私は憧れます。

      ……たとえ、それは自慰行為だと言われても。

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    9. 畦道様

      自慰行為って大事ですよ。
      やってない人いないでしよ(笑)
      そういう話じゃ無い?

      どちらにせよ、やるしかないんですよ。
      想像から共感へ。

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  21. 句評は以上となります。
    今回は過去2回とは異なった結果で面白い結課となりました。
    活発な意見交換ができること願っております。
    お疲れさまでした。

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