2012年9月28日金曜日

第五回 鍛錬句会

最高得点句
どの向日葵も私を見ない
それぞれのにおいのする金で払っている

最低得点句
ウルフルズ聴いて夏を漕いだ

互選集計
(6点) どの向日葵も私を見ない ◎◎○○
(6点) それぞれのにおいのする金で払っている ◎◎○○
(5点) 空んなった手をまだなめる犬の舌あったかい ◎○○○
(4点) 女も知らずに少年は逝く ◎◎
(3点) ただ生きているだけの腹が鳴った ○○○
(3点) 急いでなにか建ててるそこはかつて工場だった ○○○
(2点) 電話の先に本当にいるのか確かめたくなり ◎
(2点) 朝型人間の懸垂 ○○
(1点) 虫の声無く残暑 ○
(1点) ひとり抱え込んだ膝である ○
(1点) 凌霄花を映した目で狂っている ○
(1点) 金玉の裏の泡を流した ○
(1点) ハトに嫌われる行進 ○
(1点) 開けば錆臭い手の平よ ○
(-1点) 水に足をおく ○●●
(-1点) お願い。もうちょっとしがみつかせて ○●●
(-3点) ウルフルズ聴いて夏を漕いだ ●●●
(0点) 世の中ほどに対立もせぬ二人○●
(無点) さっきから足音が歌ってない
(無点) この一瞬のために死んでもよいと言わなくなり
(無点) 見ただけでおいしいよと言うインド人
(無点) 酔いどれた月との会話楽しんでいたんだけどね
(無点) 青い月夜にも人の死ぬ
(無点) 美味いラーメンを出して歯が無い


※特選(◎)2点、並選(○)1点、逆選(●)-1点として集計。

作者発表

渋谷知宏
ひとり抱え込んだ膝である
酔いどれた月との会話楽しんでいたんだけどね
お願い。もうちょっとしがみつかせて

白川玄齋
電話の先に本当にいるのか確かめたくなり
世の中ほどに対立もせぬ二人
この一瞬のために死んでもよいと言わなくなり

天坂寝覚
ただ生きているだけの腹が鳴った
水に足をおく
空んなった手をまだなめる犬の舌あったかい

中筋祖啓
見ただけでおいしいよと言うインド人
朝型人間の懸垂
ハトに嫌われる行進

馬場古戸暢
女も知らずに少年は逝く
ウルフルズ聴いて夏を漕いだ
金玉の裏の泡を流した

藤井雪兎
さっきから足音が歌ってない
美味いラーメンを出して歯が無い
それぞれのにおいのする金で払っている

松田畦道
どの向日葵も私を見ない
急いでなにか建ててるそこはかつて工場だった
凌霄花を映した目で狂っている

矢野風狂子
虫の声無く残暑
青い月夜にも人の死ぬ
開けば錆臭い手の平よ

※五十音順。

49 件のコメント:

  1. どの向日葵も私を見ない(6点)

    ◎『自意識の高さが面白く描かれています。』
    ◎『向日葵の花は太陽に向くので、それらに見てもらえないのは、どこか自分が生命としての輝きを失っているようで切ない。ならばといって、太陽に追随するように動いたところで、結局自分が見られているわけではないので空しい』
    ○『イイ句。ただ、このネガティブな物言いをマイナス点としてとらえる選者もいるだろう。しかしそれは好みの問題』
    ○『景色はとても明るいのだが、向日葵は太陽を向く、という普遍的イメージが効いて、より「私」の暗さが際立った。けれどこの景色の中で「私」は異物となることなく調和している。それは偏にこの句が、自己も世界も否定せずに受け容れているからだろう。仏教的な「明らめ」をすら感じているかのようだ。』

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    1. 特選にていいただきました。自嘲という感じでしょうか。

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    2. 特選でいただきました。上から二番目の評が私です。
      向日葵からは明るさよりも残酷さを感じてしまいます。

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    3. 作者、畦道です。
      選んで頂きありがとうございます。
      夏の終わり、「燃え尽きた……」といった風に項垂れている向日葵を見て詠んだ句です。
      私にはどうも向日葵が、太陽の方を向いて咲く明るい花、という風には見えないんですね。どこか、おどろおどろしいようで。
      明るい夏をエンジョイできない己を嗤う、という見方はまさにその通りだと思います。

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    4. 向日葵には太陽以外は目に入らないというような狂信的な印象もあります。
      …って別に向日葵に恨みは無いんですけどね(笑)
      種美味しいし。

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  2. それぞれのにおいのする金で払っている(6点)

    ◎『職業の違う者たちが、割り勘で飲む。ここは私に払わせて下さい、いえ私が、などというややこしいやり取り抜きで、粛々と頭割りの金額を払う。清々しい光景だ。一見当たり前のことをさらりと仕立ててみせた一句。におい、は匂いでも臭いでもなくひらがなで。この辺りの作者の苦心も伺ってみたい。』
    ◎『「それぞれ」が指すものは各種硬貨や紙幣であると同時に、それを持っている人の生活も指しているのだろう。そうした違いと割り勘の際に生まれる妙な空気感が相俟っていて面白い。』
    ○『金の匂いは、持っている人それぞれで異なるのでしょうか。あるいは、一円、五円と通貨の種類ごとに違うのか。面白い句です。』
    ○『汗臭さ、コイン臭、サイフの革、それぞれの思惑、腹黒さなどなど・・・、割り勘で支払う、なんともいえない、奇妙な空気をよくとらえている。』

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    1. 並選でいただきましたが、割り勘の様子とは読めておりませんでした。てっきり店員か何かかと。割り勘の様と読んだ方が、面白いですね。

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    2. 古戸暢さんありがとうございます。作者です。

      句会の後で割り勘で飲むのが常になっておりますので、
      そこからこの句ができました。
      もちろん古戸暢さんの解釈も決して間違いではありません。

      お金って結構においがつくんです。
      汗臭かったり、香水の匂いだったり。
      そういう所にそれぞれの生活というか人生が顔を覗かせていて面白いです。
      「におい」とひらがなにしたのはそのような理由もあります。
      臭かったり、芳しかったり、いろんな人生がありますから。

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    3. 特選にて頂きました。
      それぞれの仕事、それぞれの矜恃でもって稼いだ金を、黙々と払う。
      美しい光景だと思いました。
      におい、をひらがなにした理由にも納得しました。

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    4. >畦道さん

      ありがとうございます。
      同じ一万円でも稼ぎ方は人それぞれですからね。
      そこを描きたかったのです。

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  3. 空んなった手をまだなめる犬の舌あったかい(5点)

    ◎『犬ってとても食いしん坊だな。この景は、僕にも覚えがある。犬の本能の一心不乱の有様。その中で作中主体は、その舌のあったかさに癒されているのだと思う。しかし、それは独りよがりな自己満足なだけなのである。浅ましさに癒される、その関係性がこの句の良さだ。逆に動物だとかわいく見える。そう言う部分も面白い。』
    ○『一読、微笑ましい光景が目に浮かぶ。ではそれだけの句かといえばそうではない。空になった、ではなく『空んなった』。それ以降のひらがなの使い方などにも、細かい配慮が行き届いている。完成度の高い一句だと思う。』
    ○『犬にしてみれば餌の残り滓を一生懸命舐めているだけなのだが、犬の舌があったかいのも相まって、こちらは愛されていると勘違いしてしまう。そうやって人と犬は今までやって来たのだろう』
    ○『写生に徹する事で、一見、とるに足らぬ只事が哲学的な深みをまとう』

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  4. 女も知らずに少年は逝く(4点)

    ◎『この一句からひとつの物語を思い出しました。ある国の太守とその夫人を暗殺しようとした暗殺者の少年が捕まりました。太守は助かったものの、夫人は殺されました。太守は一人の吟遊詩人を雇い、この暗殺者の少年に恋愛の歌を聞かせるようにと言いました。民衆たちは太守は気が触れてしまったのかと噂をしていましたが、その吟遊詩人は太守の意図を見抜いていました。吟遊詩人が牢の中にいる暗殺者の少年に恋愛の歌を聴かせると、少年は涙をポロポロと流していました。その少年は生まれついてから常に暗殺者として育てられ、恋の喜びも知らずに今まで生きてきたことを後悔したのです。彼が処刑される頃には、少年は「まだ死にたくない」と何度も叫んでいたそうです。この太守の残酷な復讐を思い浮かべていました。』
    ◎『性と死を取り扱っていて、綺麗事におさまらずリアルな空気がある』

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    1. どうもありがとうございます。

      あまりに残酷なお話ですね。
      少年が少年のまま逝かずにすむ世界がきますよう。

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  5. ただ生きているだけの腹が鳴った(3点)

    ○『よく詠まれがちな景だとは思いますが、「鳴った」の投げ出し感がいいです。』
    ○『不思議なもので、外で体を動かしているよりも、家に籠もってなにもしない日のほうが、腹が減る。そのぐらいしかすることがない、というときにこそ、食欲は湧くのである。本句はその無為な有様を、的確に言い当てた。足が痺れた、でも手が震えた、でもなく『腹が鳴った』。なんという空虚。』
    ○『そう、生きていれば、ただそれだけで腹が減り、グーグー音がなるのです。どんだけ非生産的な日常であっても、生産的な日常であっても、それは変わらない。人の業を感じる、そんな句。』

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  6. 急いでなにか建ててるそこはかつて工場だった(3点)

    ○『なんとなく、このナレーターに、色々と解説をおまかせしてみたい。あの町は、どうですかね?この家の晩御飯は、どうですかね?って。名司会者としての一句。』
    ○『まるでこの句からは、かつて工場であった事実を隠したいかのような雰囲気を感じる。今のこの国の傾きっぷりとは別の高度成長期の象徴としての工場がこの句にはある。だけど急いで隠されそうになっている。』
    ○『急いで、という言葉に、そこがかつて工場であったという事実が隠蔽されていくような雰囲気を感じた。けれど作者はそこに工場があったことを知っている。そこに作者という個と、時代という一種の公との間にある隔たりを強く感じた。』

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    1. 悩んだ末にとらなかった句です。皆さんの句評を読んで、そこに秘密がある可能性にようやく思い至りました。そう見ると、非常に面白い句です。

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  7. 電話の先に本当にいるのか確かめたくなり(2点)

    ◎『突然、クソ怒られたり、訳の分からないむちゃぶりをくらった瞬間を上手くとらえている。なんだこりゃ?って言いたくなるような電話は、電話だからこそ、より、不意をつかれるのだが、たしかに、相手の人物をフィクションとして、抹殺してしまいたくなる不条理さがある。みんなの代弁者になってくれたような一句。そのとおり!と賛同したい。』

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  8. 朝型人間の懸垂(2点)

    ○『いったいこの言葉の連なりが俳句として、あるいは詩として成立しているのか、実に際どい。しかし、どうしようもなくイメージは拡がってしまうのである。やたら早起きのおっさんが、学校の庭かどこかで懸垂に励む。たぶん真っ白なランニングを着用している。この眩しいほどの馬鹿馬鹿しさに一 点。』
    ○『なんというか、夏っぽいというか、あり余る力というか、とにかく無駄に元気である。朝型人間って言い回しがなんか良い。』

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  9. 虫の声無く残暑(1点)

    ○『現代性を感じる。実際はコンクリートジャングルだろうがどこだろうが虫というのはしぶとく生きているのだけれど、そういういのちに気付かない気付けない気付こうとしない人間の傲慢さ、あるいは残暑に起因する怠惰を感じた。』

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  10. ひとり抱え込んだ膝である(1点)

    ○『類句がある気もしますが、部屋での孤独をよく詠ったと思います。』

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  11. 凌霄花を映した目で狂っている(1点)

    ○『ながめている側の冷静さと、相手側のギャップとが、なんともいえず、バランスが良い。真ん中にある花が、なんかいい。』

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  12. 金玉の裏の泡を流した(1点)

    ○『こういう部分に着目して句作するのは非常にリスクが高い。周囲との摩擦が避けられないからだ。問題はこのような句を女性がいる句会で出せるかどうか。出せるのなら、私は作者を信用するし応援したい』

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    1. どうもありがとうございます。

      草原に提出した拙句に「寝湯のちんぽこ浮かんでいる」がありますので、信用していただければ幸いです。ただそもそも、問題がありうるとは考えていませんでした。

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    2. 並選で取らせて頂きました。

      まあ私がエロ・グロが嫌いというか、そういうのを書いて何かを書いた気になっている人が嫌いなので、最初この句を逆選にしようとしましたが、よく考えてみると私も毎日のようにやっていることですし、このような方法を用いるのは私には無理なので、行き着く先が見たいと思った次第です。
      あ、信用はしてますよ(笑)

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  13. ハトに嫌われる行進(1点)

    ○『北朝鮮の軍事パレードでの兵隊の行進を想像しました。その姿は平和の象徴であるハトには嫌われるなと思いました。』

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  14. 開けば錆臭い手の平よ(1点)

    ○『工場勤務の職人の姿が浮かびました。労働者の悲哀を感じました。』

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  15. 水に足をおく(-1点)

    ○『言葉を削いで短律に徹した事で逆に自由さを得ている。私はどこか寂しさを感じた』
    ●『「水に足をおく~」のように、続きが知りたかったです。 』
    ●『事物を削るのも俳句の技法の一つではあるが、これは少し削り過ぎだと思う。三角形の一角が欠けているようだ。『おく』という行動は良かっただけに少し残念』

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    1. 『三角形の一角が欠けているようだ。』という評を頂戴しておりますが、この句においてはその『欠け』こそを意識していました。
      ですので『続きが知りたかった』という評も頂戴しておりますが、「水に足をおく」以外の言葉は蛇足にしかならない、と思い省きました。
      結果として読み手にほとんど全てを投げる・預ける形になってしまったのは、僕の至らなさでした。

      それと今になって見返してみると、この句は「うた」としての強度が弱いですね。反省です。

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    2. 「三角形~」の評は私です。

      短律句の代表作「咳をしても一人」の「一人」に比べると、
      「おく」だと言葉の強度が弱いような気がするんですよね。
      そのせいもあって「欠けている」というより「句として完結していない」と映ってしまったのではないでしょうか。
      句意は違ってしまいますが、「水に足を捨てる」だったら取っていたかも。

      無断添削失礼致しましたm(__)m

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    3. 「捨てる」という形も良いと思うんですが、言葉が強すぎると言うか、意味合いが限定的になり過ぎると言うか、ともかく「そこまでしっかりとは語りたくない」という気持ちが僕にあったんですよね。
      更に言うと、この句の全体的な強度の弱さも含めて句意にしたかった、というところがあります。

      結果として、うまくはいかなかったんですが(´ш`;)

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    4. 句は短律になればなるほど、言葉の強度が求められるような気がします。
      まあ…難しいですね(;´∀`)

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  16. お願い。もうちょっとしがみつかせて(-1点)

    ○『この句のリアリティにはかなわないです。一人で爆笑していました。』
    ●『句というよりは文だと思いました。「私」が前面に押し出されており、ぐいぐいと来られる感じが少しきつかったです。』
    ●『口語を駆使してそれらしく形にしているものの、その実、何も語っていない』

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    1. この句を何も語っていないという評は、ある意味まともです。
      作者の渋谷です。
      句には、それのみで感興を起こせるものもあれば、作者を知ってこそ感興を得られる場合もあると思います。
      この句は、ある時の僕の本当のリアルな気持ちでして、グイグイこられるという圧力も伝わっていたみたいでうれしいです。
      ちなみに、女性に向けての句ではありません。

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    2. 私は取っておりませんが、むしろ女性の視点だと思いました。実際こういう風に言われた事がありますし…

      渋谷さんの「あー死にたい」の句は、あれはあれで作品として成立してましたが、この句は何かが足りない気がします。

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    3. 私は男性視点だと思いました。実際こういう風に言った(以下略。

      逆選でいただきました。圧力は伝わりました。

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    4. 藤井さま
      足りませんか?
      ただ、この句は僕にとっては「あー死にたい。」より重くて、満足度は高い句です。
      自己満なんですけど、ある時のリアルな…と、申したのも本当のことです。
      これが出て来て、少し楽になりました。
      だからこそ、伝わりにくいのかも知れませんね。
      何かに凝り固まってるとも言えますから。

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    5. >渋谷さん

      「作品として」足りないという意味です。思いは伝わって来ます。

      ただ、この句は思いを「出す」ことに重点を置き過ぎていて、「伝える」ことはあまり考えていないような気がしたんですね。

      私は渋谷さんではありませんので、渋谷さんの仰るそのリアルな気持ちを体験できないわけです。
      私がそこに近づくには渋谷さんの句しかないのです。

      愚考、失礼致しましたm(__)m

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  17. ウルフルズ聴いて夏を漕いだ(-3点)

    ●『実に爽やかな光景ではあるのだろうが、一句として眺めたときに、ウルフルズの存在感に寄りかかりすぎでは、という印象。もっと意外性が欲しい。仮 にウルフルズをどうしても鳴らしたいのなら、まさかという状況で。例えば葬式とか。そのぐらいの行儀の悪さが欲しい。ウルフルズの宣伝文句としても弱い。』
    ●『ウルフルズを知らなかったので、残念。そんな自分自身が残念になったので、逆選。』
    ●『固有名詞に引きずられている印象。例えば「ウルフルズ」が「ブルーハーツ」だったとしてもあまり変わらないはず。』

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    1. どうもありがとうございます。

      第五回逆選王となりました。
      金玉の方で狙っていたのですが、難しいものです。

      皆さまの句評通りで、返す言葉もありません。実景を伴わない句は詠み難いので、葬式との取り合わせが面白くあっても、私には詠めないように思います。ウルフルズが好きなのですが(ブルーハーツも)、彼らにも悪いことをしてしまいました。

      このように丁寧に句評を述べていただくと、自身の句ばかりか、自身の句評をもよりよくしたいと思えます。重ね重ねありがとうございます。

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    2. 固有名詞の扱いは難しいですね。
      私はそれほど付き過ぎを否定はしませんが、
      やっぱり句には感性を刺激するものが欲しいです。

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  18. 世の中ほどに対立もせぬ二人(0点)

    ○『世間一般の常識では対立しているのが当たり前の人種同士なのかもしれない。ただ『ほどに』とあるので、全く対立してないわけでもないらしい。その匙加減が現実的で上手いと思う』
    ●『表現がもったいないと感じた。意味はよく分かるが、対立度が少ない。「せぬ二人」が生きてこない。』

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    1. 白川さんからご依頼を受けましたので、代筆します。

      (ここから)

      こんばんは。白川 玄齋です。

      皆さんのご意見をもとに、推敲 or 作り直しをしてみました。「推敲をして良くなるか」ということも問題になりますが、これについてもご意見を伺いたいです。

      (元の句)世の中ほどに対立はせぬ二人

      「世の中」では対立点があいまいというのはズバリなご指摘だと思いました。

      イメージしやすいのは「日中」「日韓」ですが、これでは私の別のところで差し障りがあります。

      この両者の矛盾を解消するために、唐の時代の詩人が漢の時代の故事を使って国政を批判したように、故事を使用します。

      (推敲後)呉越ほどに対立はせぬ二人

      対立点という意味では改善されたのではと思います。

      (ここまで)

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    2. とってはいないのですが、推敲句を書かれていたので少々。

      どういう議題において「呉越ほどに対立は」しないのかを知りたくなる句だと思いました。

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    3. 元の句の方が良いと思います。

      そもそもこの句の主題は「対立」ではなく、「せぬ二人」にあると思うのですよね。
      であれば対立点、対立度よりも、対立の具体性・実感が必要なんじゃないでしょうか。
      その点が「呉越」という比喩は「世の中」より乏しいと思いました。

      削除
    4. 白川さんがブログへのコメントができないということで、以下に白川さんのコメントを代筆いたします。

      ――――――――――

      古戸暢さん、寝覚さん、お返事をありがとうございます。どうやら皆さんの意見を理解できていなかったのがわかります。

      「世の中」や「呉越」よりも、もっと争いのイメージがパッと浮かぶもの、例えば「トムとジェリー」「悟空とベジータ」とかの方がいいのかなと思いました。
      とりあえず、皆さんの意見を理解していかないとと思いました。よろしくお願いいたします。

      ――――――――――

      以上、白川さんのコメントでした。

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  19. 他に「選外句への所感」として各句へのコメントもお寄せいただいたので、以下にそちらを掲載いたします。

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  20. 世の中ほどに対立もせぬ二人
    『『世の中ほど』という比喩は上手くいってない』
    『「世の中」と「二人」のスケールの差異が重要なのだろうが、そのせいで「対立」が見えない。』

    朝型人間の懸垂
    『大喜利に堕してしまっている。解説がなければ気付けない詩性などつまらない』
    『面白いと思った言葉を並べただけという感じ。確かに面白いが句としては見れない。』

    さっきから足音が歌ってない
    『懐メロの歌詞っぽい陳腐さ』
    『「楽しかったのに」あるいは「楽しそうだったのに」というため息が言外に聞こえて、その後への言い知れぬ不安を感じた。並選をもう二つ取れるならば一つはこの句。』

    この一瞬のために死んでもよいと言わなくなり
    『魅力がある句。もっと凝縮させて濃度を高めるべき』
    『ひとまず詩的に言ってみたという感じ。まだ素材の段階だと思う。』

    女も知らずに少年は逝く
    『「女も知らずに」が「少年」の枕詞になってしまった印象。おかげで絵空事にしか見えなくなった。』

    ひとり抱え込んだ膝である
    『出来てはいるが、いわゆる放哉病。』
    『好きだがもっと短くしたい。』

    ウルフルズ聴いて夏を漕いだ
    『う~ん、『ウルフルズ』と云う固有名詞が評価の分かれるところか』

    見ただけでおいしいよと言うインド人
    『笑った』
    『大喜利寸前だと思いつつ笑ってしまった。』

    電話の先に本当にいるのか確かめたくなり
    『何か尻切れトンボ感』
    『怒りとも不安とも取れて共感性は高いと思うが、物足りない。』

    それぞれのにおいのする金で払っている
    『出来てはいるが、惜しい。何かもう一つピリリと締まって欲しい』

    酔いどれた月との会話楽しんでいたんだけどね
    『口語句は何か句が緩くなる時がある。出来てはいるのだが、この句もそういう罠に落ちている』
    『「酔い」の緩さ、気だるさが響きにも感じられた。李白の月下独酌にインスパイアされたんだろうかと思ったが違うかもしれない。』

    ただ生きているだけの腹が鳴った
    『もう一つ研ぎ澄ますか、何かがあると、もっと読み手の胸に迫る句になると思う』

    凌霄花を映した目で狂っている
    『直接『狂っている』と言わず、その狂気を表現した方がイイ』
    『「狂っている」と言うほどの狂気が見えない。』

    青い月夜にも人の死ぬ
    『「人の死ぬ」という言葉があまりにも取って付けたような感じ。』

    金玉の裏の泡を流した
    『イイ句だが、どうしても山頭火の『ちんぽこもおそそも~』の句と比較してしまう』
    『「裏の」としたのが良い。人を選ぶと思うが、並選をもう二つ取れるならば一つはこの句。』

    ハトに嫌われる行進
    『悪くは無いが、もう一つ何か芸が欲しいところ』
    『言いたいことは分かるが、まだ「行進」の説明文としか感じない。』

    美味いラーメンを出して歯が無い
    『出来ていると思うが、好みの問題』
    『仕上がっていると思うので、後は好き嫌い。』

    開けば錆臭い手の平よ
    『短歌を持ち出すのは筋違いと思うが石川啄木の「はたらけど~」という歌と比べてしまうと、哀感が物足りない。とはいえこの句を見るときにはそうした哀感はかえって不純物。なれば、もっと乾燥した物言いが欲しかった。』

    急いでなにか建ててるそこはかつて工場だった
    『出来ていると思うが、もう一つ何か欲しいところ』

    お願い。もうちょっとしがみつかせて
    『読点ではなく句点であることに意味があるのかもしれないが、見出せない。』

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